全国調査の報告書が完成、フジノも執筆させてもらいました/変革期における市区町村精神保健福祉施策の現状と発展可能性に関する全国調査

全国調査の報告書が完成しました/フジノも執筆させてもらいました

精神障がいのある方々を支援する為の保健・医療・福祉サービスはどのような現状にあるのか。

かつてはその為の調査が毎年行われてきました。

『厚生大臣指定法人・精神障害者社会復帰促進センター』と『財団法人・全国精神障害者家族会連合会』による調査です。

2000年までは継続的に実施されてきたものの、行なわれなくなってしまいました。

そこで、10年ぶりに本格的な全国調査を行なうことになりました。

昨年1月19日からスタートした調査企画委員会にフジノもメンバーとして参加していました。

その2ヶ月後に東日本大震災が起こってしまい、調査報告書の刊行も約1年ほど遅れてしまいました。

ついに調査結果をまとめた報告書が刊行されました!

『変革期における市区町村精神保健福祉施策の現状と発展可能性に関する全国調査』

です。

変革期における市区町村精神保健福祉施策の現状と発展可能性に関する全国調査

変革期における市区町村精神保健福祉施策の現状と発展可能性に関する全国調査


すでに、全国の都道府県・市区町村、精神保健福祉センター、地域活動支援センタ一等には報告書を送付いたしましたので、お手元に届いた方はぜひご覧下さい。

また、 全文はNPO地域精神保健福祉機構のホームページでまもなく公開される予定ですので

ぜひ全国の障がい福祉政策に取り組む政治・行政関係者のみなさまに読んでいただきたいです。

フジノも報告書のまとめを執筆しました

報告書のまとめの部分でフジノも1ページ、執筆しました。

障害一元化の中で他障害の福祉サービスの状況と比較した視点から、これまでは障害種別によって利用できる福祉サービスが異なり、市区町村の予算規模も障害種別によって数倍の聞きがあった。

その理由は、それぞれの障害に対する社会的な認知の違いや、家族会・当事者会などによる福祉施策の獲得・拡大を目指した運動の歴史的な背景の違いなどに起因している。

こうした状況を改善して、障害種別を問わずに利用者のニーズに応じて適切なサービスが受けられるようにする。

それが障害者自立支援法による障害一元化の目的であった。

現時点までの障害一元化の取り組みを評価すると、残念ながらその理念は実現しているとは言えない。

本調査結果から2つの傾向が読み取れる。

第1に、市区町村行政においてこれまで障害種別によって担当部局が複数に分かれていたものが、障害一元化の名のもとに組織としては統合されたが、同時に人員の不足と専門性の低下が起こっている。

第2に、福祉サービスを提供する事業所がどの障害に対して主に取り組んできたかという特性が障害一元化によって見えづらくなってしまっている。

その結果、他障害と比較して精神障害への福祉サービスはさらに脆弱なものになりつつあると言える。

全国的に、精神障害に特化した行政の専門部署は無く、他障害においては一般化している当事者相談員の配置も非常に少ない。

相談支援やホームヘルプの事業所の現場においても、精神障害の特性をより理解する為の研修も不十分な状況にある。

こうした現状は、かつて精神保健福祉関係者の多くが

「三障害一元化の理念そのものは良いが、実態は精神障害が埋没してしまうのではないか」

と懸念した方向に向かいつつあると言えよう。

したがって、ここからいかに本来の障害一元化の理念を実現していくかが極めて重要となる。

今後の精神障害福祉サービスの充実の為に、筆者から3点を指摘したい。

第1に、本調査の結果をもとに精神障害福祉サービスの脆弱な実態を全国の市区町村行政に理解してもらうべく、より一層の働きかけを行なうべきであろう。

第2に、2013年度から始まる医療計画と連動した障害福祉サービスの充実強化の必要性を訴えていくべきであろう。

従来の『4疾病5事業』に新たに精神疾患が加えられ、『5疾病5事業』として様々な数値目標が明示される新たな医療計画では、入院期間のさらなる短期化が既定路線となっている。

医療計画の達成の為には、医療と福祉の連携と地域における福祉サービスの充実が不可欠である。

しかし、医療計画の所管は都道府県、障害福祉サービスの所管は市区町村であることから、双方に理解が不足しており、連携の取り組みが弱い実情がある。

市区町村の障害福祉関係者に医療計画における精神疾患の位置づけを認識させ、精神保健福祉関係者は、地域の精神保健福祉サービスの底上げが不可欠であることを強く訴えていくべきである。

第3に、障害福祉サービスの推移を追跡していくべきである。

変革期にある障害福祉サービスが財政的な事情で縮小されてしまうのか、

あるいは本来の障害一元化の理念が実現されていくのか、今後とも継続的な調査によって分析していく必要がある。

この中でも、フジノが最も強く訴えたいことはこの一文です。

第2に、2013年度から始まる医療計画と連動した障害福祉サービスの充実強化の必要性を訴えていくべきであろう。

従来の『4疾病5事業』に新たに精神疾患が加えられ、『5疾病5事業』として様々な数値目標が明示される新たな医療計画では、入院期間のさらなる短期化が既定路線となっている。

医療計画の達成の為には、医療と福祉の連携と地域における福祉サービスの充実が不可欠である。

しかし、医療計画の所管は都道府県、障害福祉サービスの所管は市区町村であることから、双方に理解が不足しており、連携の取り組みが弱い実情がある。

市区町村の障害福祉関係者に医療計画における精神疾患の位置づけを認識させ、精神保健福祉関係者は地域の精神保健福祉サービスの底上げが不可欠であることを強く訴えていくべきである。

都道府県がつくる『医療計画』と市区町村がつくる『障害福祉計画』をしっかりリンクさせること。

まだまだ都道府県も市区町村もこの重要性をお互いに理解していないのではないか、と感じます。

また、医療と福祉は連携するというよりも、『一体のもの』として統合することが必要です。

この『医療・福祉の統合』をフジノはあらゆる機会に訴えてきましたが、今回こうして重要な報告書で執筆する機会を頂けたことは大変ありがたかったです。

『医療と福祉の統合』『地域包括ケア』の実現に向けて、さらに取り組みを進めていきたいです。

変革期における市区町村精神保健福祉施策の現状と発展可能性に関する全国調査

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