【続報2】北体育館プールの天井板落下のその後の対応/国土交通省が「通知」を全都道府県に出しました

国土交通省から「通知」が出されました

7月27日(土)午後3時、北体育館にある温水プールの天井板(1枚3kgが5枚)が落下しました。

この事故発生からその後の対応について、フジノブログでは2回にわたって報告してきました。

・北体育館プールの天井板落下のその後の対応
・【続報1】北体育館プールの天井板落下のその後の対応

北体育館温水プール(指定管理者のホームページより)

北体育館温水プール(指定管理者のホームページより)


本日、新たな動きがありましたので報告します。

国土交通省住宅局建築指導課長が各都道府県の主務部長宛に通知を出すとともに、メディアにもプレスリリースを行ないました。

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国土交通省のホームページより

通知を出した理由は、

静岡県静岡市と横須賀市で発生した屋内プールでの天井脱落事故を受けて、関係省庁・都道府県に対して、大規模な空間を持つ建築物の吊り天井に対して脱落対策の実施を求める為

です。

以下に通知の全文を掲載します。

平成25年8月20日
国住指第1852号

各都道府県建築主務部長あて

国土交通省住宅局建築指導課長

屋内プール等の大規模空間を持つ建築物の吊り天井の脱落対策について(技術的助言)

  建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第39条第1項では、天井を含む内装材については、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならないとされており、また、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第8条第1項では、建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならないこととされている。

  各建築物の所有者、管理者等においては、法第12条第1項に基づく定期調査報告の実施など、日頃建築物の適切な維持管理に努めて頂いていると考えているが、今般、平成25年7月14日に静岡県立富士水泳場において、屋内プールの吊り天井の天井板等の大規模な脱落が生じるとともに、同月27日に横須賀市立北体育館屋内プールにおいて、吊り天井の立ち上がり部分の天井板の一部の脱落が生じたところである。

  これらの事案については、現在、当該建築物の所有者である地方公共団体において詳細な原因を調査中であるが、現時点においては、地震の影響等により、天井下地材同士を接合するクリップ等が外れ、その後、天井板等の脱落に至ったものと推測される。(別紙1参照)

  屋内プール等の大規模空間を持つ建築物の吊り天井について安全確保を図るためには、当面、下記1.の対象となる建築物の部分について、下記2.のような対策の必要性が認められる。

  このため、当職においては、所有者、管理者等に注意を喚起するため、別添の通り関係団体及び関係省庁あてに通知したところ(別紙2参照)であるが、貴職におかれても、下記について、管財部局、教育委員会等の公共建築物及び民間建築物の所有者、管理者等に対して周知の徹底をお願いするとともに、所有者等に対する必要な助言をお願いする。

  なお、本通知については注意喚起を趣旨とするものであり、対策の実施の報告・集計を求めるものではないことを申し添える。また、今後、上記二事案の建築物の所有者である地方公共団体による調査において詳細な原因が判明した段階で、必要に応じ情報提供を行う予定である。
  さらに、貴管内の特定行政庁及び市町村に対してこの旨周知いただくようお願いする。

1.対象となる建築物の部分
建築物の大規模空間となっている部分のうち、吊り天井が設置されているもので、建築物の建設後、震度4以上の地震が観測されたもの

※ 大規模空間とは、天井高6m超の部分が面積200㎡超ある空間をいう。

※ 具体的な施設・空間としては次のようなものが考えられる。
屋内プール、体育館、劇場、音楽ホール、映画館、エントランスホール、待合ロビー、講堂、展示場、宴会場 等

※ 特定の地域及び期間における過去の地震による震度については、気象庁の震度データベース検索で把握することが可能である。

2.必要と考えられる対策

① 天井面のゆがみや垂れ下がりの有無を目視等により点検するとともに、点検口等から天井裏を目視し、クリップ等の天井材の外れ等が生じていないかの点検を実施すること。

② 点検の結果、クリップ等の天井材の外れ等の異常が発見され、天井の脱落のおそれがあると考えられる場合には、天井下の立入を制限するなどの安全対策、所要の天井落下防止措置等の実施を行うこと。

(注)天井の脱落防止対策については、改正後の建築基準法施行令(平成26年4月1日施行)に基づく新たな天井の基準を参考とすることができる。

次に別紙1です。

(別紙1)

屋内プールにおける天井脱落事故について

1.静岡県富士水泳場
(1)所在地
静岡県富士市

(2)建築物概要
構造:屋根S造、地下1階・1~3階RC造(一部SRC造)
天井の構造:吊り天井(在来工法)
階数:地上3階、地下1階
建築面積:9,788 m²
延床面積:13,181 m²
建築年:平成14年

(3)事故の概要
7月14日19時頃~15日7時頃(推定) 事故発生
死傷者:なし
建築物被害:天井材脱落300m²(5m×60m)
特徴:

  • 野縁と野縁受けを接合するクリップの外れにより、天井板と野縁が一体で脱落している。
  • 天井材が脱落した箇所以外でもクリップの外れにより、天井面の垂れ下がりがある。
  • 脱落が生じた近傍の天井下地材や天井板には顕著な劣化は認められない。

(4)現段階で想定される原因
クリップが広い範囲にわたって外れていることから、外力(地震と想定される)によりクリップが外れ、その後、クリップが天井の重さに耐えきれずに外れて脱落したものと考えられる。

* 当該施設のある地域については、建設後震度5強の地震が観測されている。

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2.横須賀市北体育会館
(1)所在地
神奈川県横須賀市

(2)建築物概要
構造:SRC造(一部S造) 天井の構造:吊り天井(システム天井)
階数:地上4階
建築面積:2,263 m²
延床面積:5,965 m²

(3)被害の概要
7月27日15時10分 事故発生
死傷者:なし
建築物被害:天井立ち上がり部分の天井板(590mm×800mm )5 枚
特徴:

  • 天井立ち上がり部の下側の枠と下地の骨組みを留めるリベットが欠落している。また上側の枠と下地の骨組みを留めるリベットが欠落している。
  • 天井立ち上がり部分の端部が垂れ下がり、立ち上がり部分の天井板が脱落している。
  • 天井パネルが脱落した箇所以外の端部でもリベットの外れがあり、わずかに垂れ下がりが見られる。

(4)現段階で想定される原因
天井面の段差部分で地震の影響等により、応力集中が生じて接合部が破損し、天井板の脱落に至ったと推測される。接合部が破損した原因については横須賀市において調査中である。

* 当該施設のある地域については、建設後震度4の地震が観測されている。

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(別紙2)は送付先が異なるだけで内容は同じ為、省略しました。
『通知』からの引用は、以上です。


フジノは、通知を出した国の対応を評価しています。

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横須賀市の天井板落下後、ツイッター上ではフジノに対して

「もちろん横須賀市と富士市の2つの事件の原因究明はすぐにやらねばならないけれど、むしろ東日本大震災後の建物の天井の再チェックが全国的に必要ではないか」

というご意見が届いていました。フジノも全く同感でした。

もちろんフジノは市議として横須賀市がしっかり取り組みを行なうよう注意することはできます。

けれども、同様な問題が明らかに全国の建物で起こりうると推測できる以上、いち市町村としてよりも全国で一斉に調査を行なうべきだと考えていました。

それが国土交通省が通知を出してくれたおかげで、他のまちでも同じような構造の天井など改めて点検が行なわれるようになっていきます。

この通知を出してくれた意味は大きいです。フジノはとても評価しています。

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