2010年予算議会・個人質問

藤野英明です。よろしくお願いします。



1.財政危機の中で財政規律を重視した予算における、ハコモノへの市長の認識について

この7か月間、市長は『厳しい財政状況』を繰り返し訴えてきました。

歴代市長によってつくられた多額の借金、景気後退による市税の大きな落ち込み、基金を取り崩さなければ予算も組めないこと、乾いた雑巾をさらに絞るような努力を続けている、と。

予算編成方針

予算編成方針


そして初めての予算編成にあたっては『財政規律』を基本方針に臨みました。

しかし、それだけ『財政危機』を強調してきたにもかかわらず、その大きな要因である『ハコモノ3兄弟』(芸術劇場・美術館・ソレイユの丘)について、市長は施政方針でも全く触れませんでした。

『ハコモノ3兄弟』に切り込めばマニフェスト実現の『財源』を捻出する上でも大きな効果があったにも関わらず、実際の予算案を見ても大幅なカットはありませんでした。

これでは選挙での公約だった『脱ハコモノ』についての公約違反の上に、説明責任も果たしていません。

そこで伺います。



(1)ハコモノ3兄弟に今後かかる費用はいくらなのか

市長は「財政再建に向けて本市の財政状況についての認識を市民のみなさまと共有する為」に『財政基本計画』を全戸配布すると述べました。

それならばまず市民のみなさまに、『脱ハコモノ』を公約した市長から現実をしっかりと伝えていただきたいのです。

芸術劇場・美術館・ソレイユの丘、それぞれについて、

【質問1】
①現在まだ残っている建設費用の借金額はいくらなのでしょうか。

【質問2】
②管理・運営費用は今後予測しうる限り、いつまでいくらかかるのでしょうか。

ぜひお答えください。



(2)今後どう対処すべきかをはっきりと市民のみなさまに説明すべきではないか

「吉田雄人が市長になれば『ハコモノ3兄弟』への税金のムダづかいがカットできるはず」

「もっと優先順位の高い政策に税金が使われるはず」

そう信じて多くの市民の方々は昨年の選挙で吉田市長に投票をしました。

僕は今年1月、吉田市長と一緒に朝の駅立ちに参加しましたが、そこで感じたことは

「多くの市民の方々は今もそう信じている」

ということです。

けれども昨年9月議会、12月議会において僕はハコモノについて繰り返し市長と質疑をしてきましたが

答弁から見えてきた吉田市長の「現在の姿」は当選後、明らかに変わってしまったと言わざるをえません。

例えば『美術館』は、今年度も大きく入場者数が減った上に、さらに新年度予算案でも入場者数の見込みを今年よりも減らしました。

それにも関わらず吉田市長は、先日の質疑の中で「美術館を観光資源として利用する」旨の答弁をしました。

美術館以外のハコモノへの予算もほとんどカットできませんでした。

つまり吉田市長は脱ハコモノの選挙公約を捨てて、赤字を垂れ流し続ける道を選んだのです。

ハコモノ批判で当選した市長なのですから、本来ならば方針転換をした時点で、再び市民に信を問うべきでした。




市長は市政方針でこう述べました。

「どうしても実施が困難なものについては早い段階でその理由や課題を示し、今後の方向性も含めて、説明責任を果たしてまいります」。

それならば市長はその言葉どおりに説明責任を果たして、市民のみなさまに『現在のスタンス』をはっきりと説明すべきではないでしょうか。

【質問3】
今後ハコモノ3兄弟にどう対処するのか、お答え下さい。



(3)「運営形態の見直し」や「指定管理者の公募」でどれだけ負担を減らせるかの検証結果は出たのか。またその結果はいつ発表されるのか

「抜本的な見直し」の方針を変更した市長は、最近ではこう答弁してきました。

「すでに建設されたハコモノは『廃止』などの抜本的な見直しでは無く、『指定管理者への移行』など運営形態の見直しや指定管理者の公募によって税金の負担を減らすのだ」と。

そこで僕は「その見直しでカットできる金額はいくらなのか」と改めて質問しましたが、

市長は「その金額は分からないので検証するよう総務部に指示した」とのことです。

そこでうかがいます。

【質問4】
その検証結果はもう出たのでしょうか。

出たならば、早く公表して下さい。

【質問5】
また、結果がまだ出ていないのならば、いつまでに出すのでしょうか。

お答え下さい。



(4)新年度開催予定の「事業仕分け」において、『ハコモノ3兄弟』の必要性を問うてみるべきではないか

吉田市長は、新年度予算案で、障がいや難病のある方々が社会参加できるように支援する為の予算を3300万円もカットしました。

あまりにも情けなく、そして残念なことです。

「そんな大切な予算をカットするよりも不要不急の『ハコモノ』にもっと切り込め」と市民のみなさまは誰もが願っているはずです。

ハコモノに対して「抜本的な見直し」をせずにお茶を濁すような「微修正」をすることが、本当に市民の望んでいることなのでしょうか。

市長は今年10月、新たに『事業仕分け』を開催しますがぜひ『ハコモノ3兄弟』をその対象に入れて

これからも続けていく必要があるのかという根本的な『存続』か『廃止』かをぜひ仕分けしていただきたい。

【質問6】
「1度作ったものは壊せない」と吉田市長は言いますが、そんな「官僚の論理」なんかではなく、

「市民」のみなさまや「外部」の第三者の視点から、本当にこれらハコモノの必要性があるか否かを事業仕分けすべきではないでしょうか。

市長の考えをお聞かせください。



2.長生きが喜ばれない現実を打ち破る為の、「力点を置きたい可能性への投資」の1つとしての高齢者福祉について

2月17日、長妻厚生労働大臣は所信表明演説を行ない、『ポジティブ・ウェルフェア』への方針転換を宣言しました。

機会の平等を後押しし、国民全体の能力を活かすことができる攻めの社会保障・積極的な社会福祉のことを『ポジティブ・ウエルフェア』と呼んでいます。

歴代の政府は社会保障への支出を「コスト」としてきましたが、「コスト」ではなく「未来への投資」なのです。

「経済成長」と「社会保障」とは、どちらかを重視すれば、もう片方が犠牲になるものではありません。

超高齢社会に突入した本市においても、医療・介護は、高齢者を中心に確実に需要が増大しています。

社会福祉は大きな『成長産業』であり、雇用の創出が期待できるものです。

僕は政府の方針転換を歓迎しています。




この『ポジティブ・ウェルフェア』はイギリスのトニー・ブレア政権が掲げた重要なスローガンですが、ちょうどその頃、吉田市長はイギリスに留学しておられたので当然、理解しておられるはずです。

2010年・厚生労働白書より

2010年・厚生労働白書より


ですから今回市長が高齢者福祉について「力点を起きたい可能性への投資」の1つとして触れたことは、本市も『ポジティブ・ウェルフェア』への転換を宣言したのであってほしいと僕は願っています。

現在このまちの現実は、特別養護老人ホームの待機者が約2000人にものぼり、何年間もの入所待ち、老老介護、痰吸引などの医療行為が必要な為にそもそも受け入れ先が無い、など苦しんでいる方々が非常に多く、介護苦からの虐待やご家族の自殺も起こっています。

そんな長生きが喜ばれない現実を打ち破る為にも『施政方針』では本市が目指す高齢者福祉の未来をより具体的に述べるべきだったのではないでしょうか。



(1)在宅サービスの充実に向けて新年度はどのように取り組んでいくのか

「今すでに介護が必要な方々」への取り組みについて、市長は『施設サービス』にしか触れませんでしたが、『在宅サービス』の充実も介護の両輪として不可欠です。

そこでうかがいます。

【質問7】
①今後、『在宅サービス』を充実させていく為にどのような取り組みを行なうのか、より具体的に述べるべきではないでしょうか。

【質問8】
②特に、昨年暮れにまたも選定が失敗に終わった『夜間対応型訪問介護事業所』について、今後どう対応していくのでしょうか。

『夜間対応型訪問介護』とは、夜10時から朝6時までの間、高齢者の方々のお宅をホームヘルパーが定期的に巡回したり、緊急時にはオペレーションセンターや通報端末を利用して訪問が受けられるサービスですが、現在、本市には事業所がありません。

昨年12月に選定審査会を行ないましたが、応募はわずか1社、しかも、選定されませんでした。

この件を取材した神奈川新聞に対して本市が出したコメントはこのようなものでした。

  • 夜間だけ対応する訪問介護事業所のニーズがどれだけあるかハッキリしない。
  • 来年に市民アンケートを実施して、その結果を見て再び公募を行なうかどうか決める。

日頃、介護に苦しむ切実な声を聴いてきた僕には、このコメントは全く理解できません。




厚生労働省が毎年発表している統計に『介護サービス施設・事業所調査』がありますが、

2月25日に発表された最新の調査結果によれば『夜間対応型訪問介護』の利用者は全国で「前年度2.9倍」に増えています。

そもそも本市が実施している第4期高齢者保健福祉計画においても、『夜間対応型訪問介護』は2011年度までに年間延べ3600人の利用を見込んでいます。

横須賀市の第4期介護保険事業計画より

横須賀市の第4期介護保険事業計画より


わざわざ改めてアンケートを取るまでもなく、いかに強いニーズがあるかはハッキリしています。

介護や福祉は時間をロスすればするほどに苦しむ方々が増えていきます。

時間のムダや空白を作ることは許されません。

募集方法を改善するなど全国の事業者に対してアピールをして、本市でも『夜間対応型訪問介護』を実現すべきです。

市長の考えをお聞かせください。

【質問9】
③同時に、介護に悩むご家族のレスパイトに積極的に取り組むべきではないでしょうか。

以上3点についてお答え下さい。



(2)施設サービスの不足を市立2病院で対応すべきではないのか

約2000人もの特養待機者を1人でも多く減らすには、現計画だけでは間に合いませんが、絶対に見殺しにしてはいけません。

本来、高齢者福祉は「医療」と「介護」がシームレスでなければいけません。

そこで、代替案として市立2病院での対応について、市長にうかがいます。

【質問10】
①市立2病院の病床で待機者の受け入れができないのでしょうか。

【質問11】
②特に、市民病院で休止している病床を早期に『療養病床』として稼動させて受け入れをすべきではないでしょうか。

また、すでにうわまち病院には『療養病床』が設置されていますが、その50床のうち10床は個室の為、1ヶ月の費用負担は30~50万円にもなります。

入院したくても個室しか空きが無く、そんな高いお金は出せない為に入院したくてもできない方々が実際にいます。空いてるベットがあるのに入院できない現実は間違っています。

【質問12】
そこで、③個室数を減らして差額ベット代を取られない病床を増やせないのでしょうか。

【質問13】
④多額の工事費用をかけて個室を改築せずに現在の個室であっても費用負担を下げて入院しやすくすべきではないでしょうか。

以上4点についてお答えください。



3.行政側が一方的に大きな負担を押し付けている西地区の2つの課題を「横須賀が抱える大きな課題」と言及した市長の認識について

施政方針の中で市長は、特に重要な「横須賀が抱える大きな課題」として「市民病院」と「ごみ処理の広域化」の2つを挙げましたが、、どちらも関係施設は長坂で、横須賀の西地区に位置しています。

僕はその西地区で幼い頃から暮らしてきました。

この数年こそ離れているものの、今も家族は暮らしており、いつか再び帰って暮らすであろう大切なふるさとです。

もともと交通が不便で十分なインフラも無く、市内の他の地域に比べて地理的に大きな困難を抱えている西地区では、「いつも横須賀市の中では取り残されている」という想いを持たされています。

また、過去の経緯から行政によって巨大なごみ処理施設を押し付けられてきたとの「負担感」や、

「迷惑施設はどうせいつも西地区なのだ」という「諦めの感情」も持たされています。

幼い頃から西地区で暮らしていれば、今までずっと続いてきた行政の「西地区への仕打ち」を、誰もがはっきりと感じています。

だから、今回市長が西地区の2つの問題を「横須賀の抱える大きな課題」と述べた時、

「行政が一方的に問題を押し付けておいてそんな言い草をするなんて」と僕はふるさとを汚された激しい怒りを覚えました。




1月27日に「ごみ処理施設建設予定地は長坂だ」と市長が突然発表してから、僕は西地区を歩きまわって知人・友人の声を聴いて回りました。

その中で、多くの方からこう言われました。

「フジノはあんなに吉田市長を一生懸命選挙で応援したのに、当選した途端にていよくごみ処理場を自分のふるさとにおしつけられてうまく利用されたよな」と。

「建設まで9年間もかかって、どうせその時には吉田雄人は市長を辞めて国政にでも行ってるんだろう」と。

「自分たちはここで死ぬまで暮らすけれど、市長も部長も西地区ではないし、どうせ他人事なんだろう」と。

そして、僕が感じている怒りは僕だけのものではなく、西地区に暮らしている人々の率直でリアルな声なのだと確信しました。

誰もが希望を感じることができる「新しい横須賀」の実現を僕は吉田市長に政権交代することで叶えられると信じてきましたが、吉田市長は古い行政の過ちを繰り返しています。

市長は今回、西地区の市民の自尊心を深く傷つけ、さらに行政への不信感を強くさせたことを理解しているのでしょうか。

そこで、あえて僕は市長の姿勢を質したいと思います。



(1)市長の言行不一致こそ「横須賀の課題」ではないのか

「市政の主体は市民である」、住民主体、市民主体、民主主義を大切にすると施政方針で市長は宣言しました。

しかしそんな美しい言葉とは全く逆で、この2つの問題に、西地区の市民は主体的に関わる機会はありませんでした。

まず、市民病院の問題は、行政側が経営を誤ってきた結果、指定管理者制度への移行による混乱を招き、何の瑕疵も無い西地区の市民の方々に大きな不安と迷惑をもたらしています。

また、ごみ処理施設の建設予定地は平成18年から選定作業をして3つの候補地を決めていたと市長は述べましたが

市民のみなさまにも市議会にも候補地が知らされることはなく、行政が「密室」で候補地に決めていただけです。

かつての美術館やソレイユの丘の建設も、行政が一方的に結論を押し付けたからこそ市民の反対運動が起こりました。

市長は自らも参加した反対運動の過去をお忘れでしょうか。

今回のやり方はかつてあなたが否定した『古い行政の間違ったやり方そのもの』です。

このどこが「新しい横須賀」なのでしょうか。

さらに市長は、

ごみ処理施設の建設地は「特殊な問題」なのでその時その時の経緯を報告することができなかった

と先日述べましたが

「時の権力者」が「これは特殊な問題だからプロセスは非公開」と勝手に決めることは、民主主義から最もかけはなれた「市民不在の密室政治」です。

自ら述べた「市長として在るべき姿勢」と現在の市長は完全に矛盾しています。

「脱官僚」とはトップの姿勢だと繰り返し述べてきたあなたですが、市長という肩書を得た途端に「官僚政治」に埋没して市民感覚を失ない、市民目線を忘れてしまったのではないか。

だから僕はあえて申し上げたいのです。




【質問14】
市長ご自身は、あなたのそんな姿勢こそが、このまちが乗り越えるべき本当の課題だとは思いませんか。

真摯な反省と共に市長の考えをお聞かせ下さい。



(2)そもそも西地区の市民への謝罪が述べられるべきではないのか

市長が2つの「横須賀の大きな課題」についてもしも本当に重要だと認識しているならば、迷惑をおかけしている西地区のみなさまに対してまずきちんと謝罪をすべきでした。

ごみ処理施設の建設問題については1月27日に町内会長らを集めて行なった説明会で謝罪を求められた為に

2月11日付けで大楠・武山の両連合町内会長に謝罪文書を手渡しに行きました。




しかしここでも市長は2つの間違いをおかしています。

まず第1に、謝罪文章の内容です。

あくまでも1月27日に突然こういう報告をしたことだけを謝っているこの文章です。

「市民不在の決定」には触れておらず、こんなものは謝罪ではありません。

第2に、謝罪をする相手です。

町内会長らへの説明会の場でお詫びを述べたり連合町内会長らに謝罪文を出せば、それが西地区の市民の「みなさま」への謝罪になるのですか。

閉じられた空間で一部の人々へ謝罪をしてもそんなことで誰が納得できるのでしょうか。

もちろんこれから市長は西地区を訪れるたびに住民の方々に何百回とお詫びの言葉を述べることになるでしょう。

しかし、理解と協力を得たい、という言葉が口先だけでなく、解決すべき重要な課題だと本当に認識していたならば、まず施政方針演説の中で謝罪の言葉を述べるべきでした。

施政方針とは市長の姿勢を「市民のみなさま」に向けて述べる重要な場です。

【質問15】
だからこそ、施政方針の中でまず何よりも長坂を中心とする西地区の市民のみなさまに対して、誠実な謝罪の言葉を述べるべきだったのではないでしょうか。

市長の考えをお聞かせ下さい。



(3)「地域住民の皆様のご理解ご協力を頂く」とは具体的に誰がどのような意思や行動をどのように示すことを意味しているのか

最後に市長にお聞きしたいことは、「地域住民の皆様のご理解ご協力をいただく」とは何なのかということです。

市長は施政方針の中で

「市としての方向性が決まりましたので、まずは地域住民の皆様のご理解ご協力を頂く」

と述べました。

しかし、少なくとも西地区出身の僕にはこんな市長のやり方では理解も協力も全くする気にはなれません。

むしろ反対運動が起こるならば喜んで僕もその活動に加わるでしょう。

市長は新年度に新たな試みとして住民基本台帳から無作為抽出した市民の方に参加を依頼する「(仮称)市民会議」を開催する方針です。

これはデリバレイティブポールという最近流行している、新たな市民参加の手法ですが

市長が本気で市民主体のまちづくりを目指しているならば、今回の建設予定地についてもゼロから『デリバレイティブポール』をやればいいじゃないですか。

行政にとって都合の良い問題だけ市民参加、都合の悪い問題には参加させない、そんな恣意的な対応はニセモノの市民参加です。

だからこの問題も町内会長らが賛成したらそれで「みんなに理解された」などと恣意的に市長は言いだすのではないかと強く懸念しています。

そこではっきりと定義を聴いておきたいのです。

【質問16】
みなさまが理解する協力するとは誰がどのような状態になったことを言うのでしょうか。

具体的に、一体誰が、一体どのような意思やどのような行動をどのように示すことを意味しているのでしょうか。

そして何よりも西地区の市民の方々の反対の声が強ければ、撤回はありえるのでしょうか。

本気で「市民主体の政治」を市長が実践するというならば当然、撤回もありえるはずです。

ぜひ具体的にお答え下さい。




これで僕の1回目の質問を終わります。



市長の答弁

御質問ありがとうございました。

まず芸術劇場、美術館、ソレイユの丘の、現在まだ残っている建設費用の借金額について御質問をいただきました。
 
【答弁1】
平成21年度末の3つの施設の市債残額ですが、芸術劇場は、借入総額約339億3,000万円のうち、これまでに約190億円償還し、残額は約149億3,000万円となっています。

美術館は、借入総額約40億2,000万円のうち、これまでに約1億6,000万円償還し、残額は約38億6,000万円となっています。

ソレイユの丘は、借入総額約28億1,000万円のうち、これまでに約6億7,000万円償還し、残額は21億4,000万円となっています。



 
次に、芸術劇場、美術館、ソレイユの丘の管理運営費用は、今後予測し得る限りいつまで、幾らかかるのかという御質問をいただきました。

【答弁2】
まず芸術劇場の管理運営費ですが、指定管理料と、芸術劇場があるベイスクエアよこすか一番館の共用部分の光熱水費などの維持管理費を合わせると、年間約5億5,000万円、指定期間終了の平成25年度までの4年間で約22億円となる見込みです。
 
美術館の管理運営費は、平成22年度予算の管理運営費から、その財源となる観覧料などの収入を差し引くと約3億8,000万円で、今後も同程度の費用で推移する見込みです。
 
ソレイユの丘の管理運営費は、PFI事業契約に基づき毎年4億円、契約期間終了の平成26年度までの5年間で20億円となる見込みです。
 
年間あたりの3つの施設の運営管理費の合計は、約13億3,000万円です。




次に、3つの施設にどう対処するのか、現在のスタンスをはっきりと説明すべきではないかという御質問をいただきました。

【答弁3】
財政面から見て、これらの3施設の建設により市債償還費や維持管理費が増大し、本市の財政状況を悪化させた一因になっているとの認識に変わりはありません。

現在のスタンスとしては、芸術劇場については、次期指定管理者は公募で行いたいと考えています。

美術館については、指定管理者も含めた経営形態の見直しについて研究してまいります。

また、ソレイユの丘については、現在の契約期間が終了した後の運営形態の見直しを検討してまいります。
 
当面は施設の維持管理費、運営費などについて可能な限りの抑制をしていきたいと考えています。また、投入している多額の市税が少しでも市民の皆様に還元されるよう、有効な市民サービスを検討し、少しでもコストパフォーマンスの高い施設と感じていただけるような運営を目指してまいります。




次に、運営形態の見直しや、指定管理者の公募の検証結果について御質問をいただきました。

【答弁4・5】
 芸術劇場及びソレイユの丘については、それぞれ関係部局に検討を指示し、美術館については組織としてのあり方を含めて総務部に検討を指示したところです。
 
芸術劇場については、指定管理者の公募の方向で検討を進めていますが、コストの削減に関しては、指定管理者を指名から公募に変更することによる効果額は、昨年公募に変更して選考した生涯学習センターと市営住宅の例で言えば、市が提示した指定管理料の上限額と、選考団体の提案額との差を削減率であらわすと、約8.4%でした。
 
施設によって運営形態は異なりますので、一概に比較はできませんが、あくまで試算としてこれを芸術劇場に当てはめれば、年間の削減額は約3,600万円となります。
 
また、ソレイユの丘については、契約期間満了時に向けて、今後の契約のあり方について研究していまして、運営形態の見直しも契約期間満了までの日程を勘案し、あわせて検討しているところですが、現在市が所有している施設の年間維持管理料に対する試算での削減額は、約3,700万円となります。
 
美術館については、文化行政の総合的な検討も踏まえ、運営形態を研究していますが、平成19年の文化庁の調査では、公立の美術館192館のうち、指定管理者制度を導入しているものが50館ありましたので、これらの先進事例も研究していきたいと思います。
 
なお、美術館はいまだ開館3年目を迎えたばかりの施設なので、現在のところ、その管理運営にかかるデータを蓄積している段階であり、この基礎的なデータがある程度蓄積された段階で、今後の管理運営形態について検討してまいりますが、指定管理者制度もその一つの選択肢であると考えています。




次に、事業仕分けにおいて芸術劇場、美術館、ソレイユの丘の必要性を問うてみるべきではないかという御質問をいただきました。
 
【答弁6】
事業仕分けの事業の選定基準と選定は、今後行政改革推進委員会から意見をいただきながら十分に検討を行い、市の行財政改革推進本部会議において決定したいと考えています。

したがって、今の段階でこの3つの施設を今回の『事業仕分け』の対象とするかどうか、判断することはできないと考えています。




次に、在宅サービス充実に向けて、新年度はどのように取り組んでいくのかについて、3点御質問をいただきましたので、まとめて御回答いたします。

【答弁7・8】
高齢者福祉施策についてお尋ねをいただきましたが、私も議員御指摘のとおり、介護が必要な方々への取り組みは『施設サービス』と『在宅サービス』ともに充実させることによって、よりよい高齢者福祉が実現できると考えています。

まず、『在宅サービス』の充実についてですが、来年度は高齢者が住みなれた地域でいつまでも安心して生活できるように、認知症高齢者グループホームや、小規模多機能居宅介護事業所など、多様な居住環境の整備を進め、在宅サービスを充実させてまいります。

さらに、『在宅サービス』の充実に向け、次期介護保険事業計画の策定準備のために行なう介護保険利用状況調査を活用してまいります。
 
次に、『夜間対応型訪問介護事業所』についてですが、今回の選定においては、応募事業者とのヒアリング、現地調査、公認会計士による分析等踏まえて、総合的な判断で審査を行なったものです。

今後も利用者ニーズの調査等を行い、検討したいと考えています。




【答弁9】
次に、レスパイトケアですが、家族や介護者の休養や、御自身の時間を持っていただくという意味では、ショートステイサービスやデイサービスの利用は有効であると考えています。

今後も積極的に御利用いただくために、サービスの利用を周知するとともに、ケアマネジャーや各事業所との連携を密に取り組んでまいります。
 
また、直接レスパイトとは関係ありませんが、現在、認知症高齢者を抱える家族等を対象に、月に1回、保健師による助言指導により介護の悩みを話し合うことで心の休養の場をつくる支援として、『認知症高齢者介護者の集い』を実施していますが、来年度は開催頻度や会場を増やすなどの検討を行ってまいります。



 
次に、本市の特別養護老人ホーム待機者を市立2病院の病床で受け入れることはできないのかという御質問をいただきました。

【答弁10】
特別養護老人ホームの待機者解消は、早急に取り組むべき課題だと考えています。

市立2病院は急性期の医療を担う医療行為を行う施設として設置していまして、医療行為を必要としない特別養護老人ホームとは求められる機能が違っています。

また、うわまち病院は急性期の段階を過ぎて、回復期にあっても医療行為が必要な亜急性期として療養病床50床を設けたものです。
 
したがいまして、市立2病院の病床で特別養護老人ホームの待機者を受け入れることは難しいと考えています。




次に、市民病院で休止している病床を早期に『療養病床』として稼働させて、特別養護老人ホームの待機者を受け入れすべきではないかという御質問をいただきました。

【答弁11】 
市民病院には現在『療養病床』はなく、急性期のための病床のみですが、一時入院を休止するのは、医師及び看護師の確保が難しいための、あくまで緊急避難的な措置です。

まずは急性期病院としての機能を一日も早く回復させることが、市民病院の最大の課題です。
 
『療養病床』という御提言をいただきましたが、急性期の病院としては、できることなら『療養病床』よりも、患者さんの在宅復帰を目指す回復期リハビリテーション病床の整備を図りたいと考えています。



 
次に、うわまち病院の療養病床の個室数を減らし、差額ベッド代が必要のない病床数を増やせないかという御質問をいただきました。

【答弁12】 
入院特別室、いわゆる個室は、患者さんが大部屋よりも安静な状態での入院を、御本人等が希望される場合に利用していただくため設けているものです。このように、患者さんの個人的要望のため、自己負担として個室料金をいただいています。
 
個室の数については、厚生労働大臣が、病床全体に占める個室割合の基準について定めていますが、自治体病院の場合30%以下となっています。うわまち病院はこの割合が20%ですので、基準に比べ個室の割合は低く、より多くの入院患者を受け入れることができる体制になっていると考えています。




次に、うわまち病院の療養病床個室の費用負担を下げ、入院しやすくすべきではないかという御質問をいただきました。

【答弁13】 
県内の市立病院で療養病床の整備ができているのは、唯一うわまち病院だけです。

また、うわまち病院の療養病床個室の使用料は一般病床と同額になっていまして、県内の市立病院の個室料金の中では一番安くなっています。
 
個室料金は先ほど申し上げたとおり、患者さんの個人的な要望により利用していただくものですので、費用負担の公平の観点からも、適切な費用負担をしていただくことは必要だと考えています。




次に、行政側が一方的に大きな負担を押しつけている西地区の2つの課題、市民病院、ごみ処理施設建設予定地を、市長が横須賀が抱える大きな課題と言及した認識についてという御質問をいただきました。

【答弁14】
私がお示しした、平成22年度の横須賀が抱える大きな課題とは、市政運営上乗り越えるべき課題のことであり、西地区そのものに問題があると言われたかのような御不快な印象を議員が受けられたとしたならば、それは私の意図したところではなく、その点については反省をしたいと思います。
 
私が申し上げるまでもなく、西地区は自然が豊かで風光明媚であり、マニフェストでも自然の海岸線を生かした『アーバンリゾート』の創出としているとおり、今後の市政運営の中でこれから盛り立てていきたい地域の代表格の一つであると思っています。
 
こうした中で、ごみ処理については、これまで長年にわたり西地区にお願いした経緯があり、感謝を申し上げているところです。ただ、今回のごみ処理施設建設計画地の選定に係る手続は、施設の性格上、市民参加は現実的でないと考えました。説明会でもそうでしたが、平成18年度から本市が建設計画地の選定をしていることについて、知らない方がいらしたことを目の当たりにして、もっと広報すべきであったと思っています。
 
市民病院についても言及がありましたが、市民病院は広い意味で地域の医療を守るために指定管理者制度に移行したものであり、病院の開設者として、今後指定管理者が地域医療をしっかりと推進するよう、監視してまいりたいと思います。
 
病院とごみ処理施設は、本市全体にとってなくてはならない施設であり、市全体の行政運営を行うことが私の使命であると考えています。




次に、施政方針で西地区の皆様に謝罪の言葉を述べるべきではなかったのかという御指摘をいただきました。

【答弁15】 
施政方針では触れませんでしたが、新たなごみ処理施設建設計画が西地区の皆様に御負担をおかけしていることについては、市としての方向性を決めた時からずっと申しわけなく思っています。

市長としては市全体の廃棄物行政を担う立場として、西地区にお住まい以外の皆様にも今回の計画について周知を行い、一部の地域の方々だけでなく、すべての市民が向き合うべき課題であることをお伝えしていきたいと思います。




次に、地域住民の皆様の御理解御協力をいただくとは、具体的にだれがどのような意思や行動をどのように示すことを意味しているのかという御質問をいただきました。

【答弁16】 
御理解・御協力がどのような状態を示すのかということを明言することは、現状では難しいことですが、過去の経緯として、南処理工場の建設に際しては、南部清掃工場対策委員会が、また長坂の埋め立て開始に当たっては、長坂埋立地対策協議会が発足しています。

今回の長坂地区におけるごみ処理施設建設計画地については、現段階ではそのような団体が設置されていないため、連合町内会長や各町内会長と御相談しながら御説明に伺っているところです。
 
今後、地元の皆様には、本市の置かれている廃棄物行政の現状や、施設の必要性について、何度でもお話をさせていただくことが、現在できることであると考えています。

本市にはこれまでの選定の中で、長坂以外に建設できる場所はなく、地元の皆様に御理解いただけるよう、誠心誠意御説明していく所存です。
 
以上です。



フジノの質問

市長、御答弁ありがとうございました。早速再質問に移りたいと思います。
 
まず、『ハコモノ三兄弟』への対応について、さらに再質問します。
 
まず市債の残高は208億円、今急いで計算したので間違っているかもしれませんが、208億円残っているということですが、いつまでこの208億円が残っているのかという『期間』をお示しください。これが再質問1です。

再質問の2は、任期中に53億2,000万円かかる。これも概算で急いで計算したので間違っているかもしれませんが、53億2,000万円かかるというのは、以前もお伝えしましたが、「(吉田市長が)ハコモノ1個作ったのと同じだ」というふうに申し上げましたが、これを市長の任期中に一体いくら減らせるのでしょうか。これが質問の2です。

質問の3は、「抜本的に見直すということはしない」と。しかも「美術館については運営がスタートして3年間しかたっていないので、データを蓄積していく」とおっしゃっていました。

ということは、もう抜本的に見直すというのはやめたというからには、公約違反ですよね。

公約違反というか、選挙公約としての美術館見直しはやめたということでよろしいのでしょうか。これを再質問の3とさせていただきます。
 
そして聞き逃してしまったようなのですが、総務部の検証結果はいつまでに出すのか、いつ出るのかということを改めてお答えいただきたい。これが再質問の4です。

そして、高齢者福祉について伺いますが、『夜間対応型訪問介護』については、ゼロのまま推移していると。しかも、来年度アンケート行なうというようなコメントが出ていたわけですが、そして来年度の話、出ていましたけれども、なぜ今すぐ募集を改めて行なうとか、例えば全国で読まれているような福祉新聞で、東京都の練馬区などは事業者を募集するときに広告を出している訳です。

そういった形で全国から募集をして、横須賀に来ていただく。そういう考え方というのはできないのでしょうか。

今すぐ『夜間対応型訪問介護事業所』を応募するようにぜひしていただきたいと思います。

今のが再質問の5ですが、再質問の6としては『レスパイト』について伺います。
 
レスパイトの一つとして、『認知症高齢者介護者の集い』を現在開催していて、この回数や開催地域の増加などについて検討していくとおっしゃいましたが、すでに今年出されているその『高齢者介護者の集い』の参加者に配られている文書には、集いはアンケートの結果、中央地区で月1回行うのがいいということで、「増やしません」というふうに既に文書が書かれていることを、つまり部下の行動を市長は把握しておられるのでしょうか。

市長の認識と違うことを部下がやられておられますけれども、本当にレスパイトに取り組むつもりはあるのでしょうか。

これはマニフェスト項目にもありましたから、これが守れなければマニフェスト違反だと思いますが、お答えください。

そして、待機者を減らすという問題に、病院、医療を利用できないかということについて、市長はゼロ回答でしたが、かつて議会で質疑をした際に、「特養待機をしておられる2,000人の中に、一体どんな方がおられるのかを精査してほしい」と申し上げたところ、市長は「行ないます」と。

その2,000名の中には確実に医療行為が必要なために特養に入れないけれども、特養では受け入れてもらえないけれども、待機者のリストに入っているという方がおられます。医療行為が必要な方はたくさんいらっしゃいます。

医療行為が必要な方であれば、病院が受けるのが当然かと思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。これは再質問7です。

再質問の8は、うわまち病院の『療養病床』の個室と個室以外についてです。

個室の稼働率、どれくらいになるか御存じでしょうか。そして個室以外はどれくらいの稼働率か御存じでしょうか。

個室はお金のある方が望んで入っておられると言っておられましたが、もし個室の稼働率と個室以外の稼働率に大きな差があれば、無駄に使われている、つまり空きがあるということになりますが、両方の稼働率を御存じでしょうか。これが再質問の8です。

そして、ごみ処理の問題というか、西地区の市民の方々の尊厳が損なわれたという問題について、3点伺います。

再質問の9としては、なぜ事前に言えなかったかということについて、「特殊な問題だから」と。

けれども、あなたがもしも市議会議員であれば、当然その対応には反対をしたはずです。時の権力者が「この問題は特殊、この問題は特殊でない」と恣意的に判断するということは、完全に市民不在の政治です。

例えば、ごみ処理施設よりも大きな問題である原子力空母の問題、あの問題であっても、蒲谷市長は全員協議会を開いて、そして市民の皆様に2回も住民投票条例の提案をいただいて、そしてそれに対して、立場は違いましたけれども、向き合った。

その姿勢は高く評価できると思います。

けれどもあなたは、決まったことだけを押しつけて、そして終わった後「理解しろ」「理解しろ」「理解しろ」。

何を理解できるというのでしょうか。

僕が先ほど申し上げたのは、西地区が取り上げられたことをまるで汚されたように感じたということも申し上げたが、もう一つ、そんなあなたの姿勢こそが、横須賀の乗り越えるべき大きな課題ではないかというふうに伺ったのです。

ぜひ反省を込めて、御自身の考えを申し上げていただきたいと思います。

そして再質問の10は、これは仮定の質問で、お答えいただけないのだろうなと予測しながらもあえて申し上げます。

この問題が、あなたの生まれ故郷である東京都練馬区や、あなたの育ちの故郷である逗子市で同じことが行われたとき、不快を感じませんか。

『地域エゴ』とあなたは言いたいようですけれども、自分の生まれ故郷にいきなり行政が「決まりましたから理解してください」「協力してください」と言われて、納得できますか。

今あるやじが飛びましたが、僕もそれを正直に感じます。だからこそ説明責任を果たすべきであるにもかかわらず、説明責任を果たしていない。

だからあえてお聞きしたい。

あなたの生まれ故郷や育ちの故郷である場所にそういうことを行政が行なった場合、反対運動を起こしませんか。

ぜひその点を質問の10としてお答えください。

そして、再質問の11としては、僕はあなたのそういう不誠実な姿勢を、西地区の皆さん、そしてひいては市民の皆さんに対して謝罪すべきだと申し上げました。

「ずっと申し訳なく思っている」という言葉をおっしゃいましたが、それはあなたの心の中で思っているだけの話で、市民の皆様に対して誠実な言葉は一言もありませんでした。

ここはインターネット中継で、全国、そして市民の皆様にもいつでも見られるような状態です。

本来ならば施政方針演説の中で述べるべきであったと思いますが、この場で本来市長は謝罪の言葉があるべきだったのではないでしょうか。

お答えください。

以上、再質問11にわたりますが、誠実なお答えを期待しております。



市長の答弁

再質問ありがとうございました。

1つ、個室と個室以外の稼働率については、部長から答弁をいたします。
 
まず、1点目の「3つの施設の市債残額がいつまで残るか」という御質問ですが、まず合計金額が209億3,000万円と、私も計算させていただきました。これがすべて返し終わるのは、平成の年度でいいますと45年度でございます。

次に、「13億3,000万円の運営管理費合計についても、いつまで残るのか」という御質問ですが、次の再質問以降の回答にもかかわりますが、今のままの施設の運営のまま続けていけば、このままずっと続いていく金額と認識していただければと思います。

3点目、抜本的に見直すと言っておきながら、特に美術館を指しておっしゃられていましたけれども、「そういう姿勢をやめたのかということをはっきり申し上げるべきではないか」という再質問をいただきました。

1問目の答弁でも申し上げましたとおり、美術館の運営形態については、これからしっかりと研究をしていきたいと思っているところです。

そして、さらに一つ踏み込んで今回御答弁したのは、『指定管理者制度』というものも視野に入れて、全国の状況などもしっかり調査しながら研究をしていきたいと思っています。

次に、総務部の検証結果についてですが、こちらは先ほど指定管理を『公募』に移すことによってどれぐらい年間削減できるかという形で検証させていただいた結果を答弁させていただいた訳です。

改めて繰り返しますと、芸術劇場の場合年間約3,600万円、ソレイユの丘の場合約3,700万円、あくまで試算ですけれども、こうした数字が検証の結果として出てまいりました。

次に、介護に関してですが、『夜間対応型訪問介護事業所』の設置状況ゼロという状況の中で、「改めてすぐに募集を行うべきではないか」という御質問でした。

ただ、事業所を募集して、またビジネスベースに乗らずに閉所してしまうというようなことになっては、また大きな混乱が起きるのではないかという考えを持っています。

例えば、昨年の9月、部局で視察に行っている横浜市内の事業所では、登録人員が45名であり、採算ベースに程遠い状況だというようなことをお聞きしました。また、同じ中核市の船橋市では、当初260人を見込んでいた登録人員が40名だったということで、平成18年6月に始めた事業が、平成20年6月に撤退したというような事実もあります。

また現在、『夜間対応型訪問介護』という形ではないですけれども、その代替するサービスとして、24時間サービスを提供する訪問介護事業所も存在しています。

ですので、そうした事業に対するニーズ等の調査をしっかりとしながら、今後の対応を決めていきたいと思っています。

次に、レスパイトの『認知症介護者の集い』についてですが、1度アンケートをとった結果「ニーズがそんなに無いのではないか」ということで、一たんの部局の方向性を出したというのは、私も承知をしています。

ただ、やはり広報の手段、あり方、そういったことをしっかりと考えて、さらなる潜在的なニーズというのは大きいのではないかというような思いもありますので、試行で地域を広げるとか、回数をふやすとか、そういったような取り組みを行いながら実際のニーズに合った形で取り組んでいきたいと、そのように考えています。

次に、2,140人という特別養護老人ホーム待機者を減らすために、待機者の中に医療行為が必要な方もいらっしゃるのではないか、そういう方であれば病院も積極的に受け入れていくべきではないかというような御質問をいただきました。

こちらについては、うわまち病院のほうで療養病床50床用意していますので、そういった形で対応していくことができればいいなと、また、議員御指摘のとおり、2,140人の特別養護老人ホームの待機者がどのような状態で待機していらっしゃるか、そういったことをしっかり調査する必要性については感じているところですので、その調査はしっかり行なっていきたいと考えています。
 
次に、ごみ処理施設の建設予定地について、「事前に説明を行なう姿勢こそが大事だったのではないか」という重ねての御質問をいただきました。
 
施設の性格上、なかなか事前に説明を行うということは難しいと考えましたが、地権者の内諾を得たすぐその後に、まず議会に報告をし、そして地元への説明に参りました。
 
唐突の感を受けたというような地元説明会でのお話なども頂戴しましたが、どこかの段階で必ず御説明をしなければいけない中で、市民の皆さん、地域の町内の皆さんに集まっていただいた際そうした御意見をいただいたことは、私も申し訳ないという思いの中で、謝罪文というのも出させていただいたところです。

また、自分自身の生まれた地域等にこういう施設の建設計画が出たらどうなるかというような御質問でしたが、まず、4歳まで住んでいたのは練馬区ではなくて北区なのですけれども、当然こちらについては、市長として市民全体のことを考えて建設計画地を選定いたしました。

ですから、そういった質問には直接的に御回答することはやはり控えたいと思います。
 
そして、11番目の最後、「不誠実な姿勢を謝罪するべきだ」というような御質問でしたが、負担に対して申し訳ないという思いは、私、100%思っていますので、それについて地域の皆さんから「謝れ」と言われた場合は、私もその場で謝罪をしなければいけないことがあるのではないかと思っています。
 
以上です。



病院管理部長の答弁

私からは、市立うわまち病院の療養病床におけます個室の利用率等について、お尋ねがございましたのでお答えさせていただきます。

うわまち病院におきます療養病床は、全体で50床持っておりまして、そのうち個室は10床であります。

手元にあります資料では、大変古くて申し訳ございませんが、昨年9月におけます稼働率では、個室として87%の利用率、療養病棟全体50床を含めますと91%の利用率となっております。

以上です。



フジノの質問

病院管理部長、市長、御答弁ありがとうございました。最後の質問に移ります。

まず、『ハコモノ3兄弟』についてですが、平成45年。一体いつまで続く借金なんだと。

そして、管理運営費用も、今のままならずっと続いていく数字だということを伺いました。

そして、それに対し「抜本的な見直しはせずに、経営形態の見直しで対応する」ということを、改めて御答弁いただきました。
 
そこで、もう一度確認したいのは、選挙中に市長がおっしゃっていたことは「やればできるのです。今すぐ変えることができるのです」

議会での答弁の中では、選挙中の言葉とは違って、「ゼロにするとは言っていません」というような、「税金の負担をゼロにするなんて最初から言っていません」というようなことを言っておりましたが、多くの市民の方々はそうは受けとめていなかったはずです。

「今すぐやればできるのです」と言っていたあの言葉というのは、抜本的な見直しを目指しているんだとだれもが受けとめたはずです。
 
したがって、再々質問の1ですが、『公約違反』を認めるべきではないでしょうか。

あなたは『公約違反』を既にしていると思いますが、御自身の認識はいかがでしょうか。お答えください。




そして、長寿が喜ばれない現実を打ち破る本市の高齢者福祉の実現を目指してについての再々質問です。
 
『夜間対応型訪問介護事業所』について伺います。

担当部署が視察に行なっているということで、2カ所の事例を挙げていただきました。

そして、そこでは採算ベースに乗っていないというようなこともありましたが、それらの事業所をどのように周知をしているのか。そもそも地域密着型の事業の中に『夜間対応型訪問介護事業』というのはあるというのを、どれほどの方が知っておられるのでしょうか。

そういう現地の視察先の広報状況や、きちんと周知しているのかを調べていないままに、採算ベースに乗っていないからうちのまちでも乗らないだろうという発想は、あまりにも安易過ぎるのではないでしょうか。

その証拠に、本市の第4期計画では、すでに利用者の見込みを3,000人近く見込んでいた訳です。

市長はアンケート調査を行なうということですが、「ニーズが無い」と本当に思っておられるのでしょうか。これが再々質問の2です。




それから、市民病院でぜひ受け入れていただきたい、うわまち病院でぜひ受け入れていただきたいと待機者の方のことを申し上げましたが、医療行為が必要な方の内訳を調べる調べると言いながら、今日また「調べたい」ということでしたが、いつ調べるのでしょうか。

具体的にその結果が発表される日をお答えください。




そして最後に、市長の言行不一致について繰り返し批判をさせて頂いてきましたが、西地区に対して謝罪文書を出しましたけれども、発表したことを謝るのではなくて、こういう行政の誤ったやり方についてを謝って、撤回して、もう1度市民の皆さんで話し合いましょうというのが筋論です。

その発表についてであなたは謝ったことになっていると思うのでしょうか。これは再々質問の4です。



 
そしてもう1つ、現在市長である以上は仮定の質問をお答えできないということでしたが、今市長であるあなたは、選挙の地盤は久里浜にありますが、久里浜だったらどうお感じになったのでしょうか。

あなたが市長になっておらずに市議会議員で、久里浜にこういう決定が起こっていたならば、どのようにお考えになったのでしょうか。




そして最後に、再々質問の6として申し上げたいのは、ぜひ謝罪はこの場でして頂きたい。

しかもきちんと今までの経緯を含めて発表するということは、ほかの議員の方の質疑に対してお答え頂いていますから、まずこういうような市民不在の密室政治を行ったこと、それをまずきちんと謝罪すべきではないでしょうか。

「特殊な問題」「特殊な問題」と、繰り返し市長は申し上げてこられましたが、それは市民を愚弄しているということです。

こういう問題であっても、きちんと説明したら市民の方々は理解してくれるかもしれない。一緒に選んでくれるかもしれない。

けれども特殊な問題だとあなたが決めつけるということは、市民がばかだと言っているのと同じことです。

何故「市民に判断できない」とあらかじめ決めつけて、行政が決定した、お上が決定した、さあ受け入れてくださいというようなことを行なうのでしょうか。

それはきちんと謝罪すべきです。

市民をばかにしたという意味で、きちんと謝罪をしていただきたいと思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。

以上をもちまして僕の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。



市長の答弁

再々質問ありがとうございました。

まず1点目なのですが、芸術劇場、そして美術館、ソレイユの丘、この3つの施設について経営形態の見直しということは、まずそもそもゼロにすることはできないことだということは、実際選挙中も私、申し上げてきたつもりです。

ただ、経営形態の見直しについては、確かに「やればできる」と申し上げてきたところです。
 
そういう意味で、やらないということを一言も言っているわけではありませんので、ぜひこの経営形態の見直し、そして指名から公募という選定プロセスの見直し、こうしたことは時期を見て取り組んでまいりたいと考えています。
 
そして2つ目、長寿が喜ばれる社会にしていく為に、『夜間対応型訪問介護事業所』のニーズについて、改めて御質問いただきました。
 
当然一定のニーズは存在していると私も感じています。

ただ、それが『夜間対応型訪問介護事業所』としての採算ベースに乗るかどうかという見きわめ、また、先ほど申し上げた24時間対応の訪問介護サービスに代替できないのかどうかという見きわめ、さらに潜在的なニーズの掘り起こし、そういったことを今後やっていく中で、次の介護保険事業計画の中に位置づけていくというのが、私のスタンスでございます。

次に、特別養護老人ホームの待機者の実態調査については、毎年4月そして10月に行っていく調査の中で、改めてどのような状態で待っているのかということを視点として組み入れながら行っていきたいと、そのように考えています。

次、4点目、6点目とあわせて御回答させていただきたいと思いますが、藤野議員、何度も「誤ったやり方で行なったことに対して謝罪をせよ」というような形でおっしゃられていますが、その手順については「これしかとりようがなかった」というのが私の考えです。

西地区の皆さんの負担に対して、謝罪の気持ちというのは私、持っていますが、そのやり方、手順について誤っているという考えは持っていません。
 
また、「久里浜にもし決定していたら」という意味で御質問いただきましたが、正直、久里浜で現在『南処理工場』を引き受けてくださっている負担感、また追浜では『リサイクルプラザアイクル』を引き受けてくださっている負担感、こうしたものを考えれば、それぞれの地域の皆さんに対する感謝の気持ちというのを、私はしっかり持っているつもりです。

ただ、今回どの場所にという時には、やはり市民全体のことを、横須賀市全体のことを考えて判断をさせていただきました。

ですので、「久里浜になっていたら」という仮定には、なかなか御回答申し上げるわけにはいきません。

以上です。