2016年予算議会・緊急質問

藤野英明です。

議員のみなさま、緊急質問の機会をお認めいただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いします。

緊急質問に立ったフジノ

3月18日、内閣府が『地方創生加速化交付金』の対象事業を内示し、本市が申請していた『横須賀市健康マイレージ制度事業』と『日本版DMO設立準備事業』は選ばれず、『不採択』となりました。

つまり、本市が「事業の財源」と見込んでいた歳入が1円も入ってこない、という極めて異常な事態が起こったのです。

にもかかわらず、わずか4日後の3月22日、全議員宛に財政部長名で「財源を一般財源に変更して実施していく予定です」との報告がなされました。

これをかみ砕いて言えば、国からもらえると決めてかかっていたのに1円ももらえないので、市のお財布から全額を出すことに切り替える、という意味です。

しかし財源の前提を全く変更するというこの突然の決定は、市議会に対して何の説明も無いままに打ち出されました。

当然ながら、議論も質疑もなされていません。

したがって、この方針は絶対に受け入れることができません。そこで市長の考えを質す為に、緊急質問を行ないます。



1.「地方創生加速化交付金」対象事業として「不採択」の内示を受けた「横須賀市健康マイレージ制度事業」について

(1)「横須賀市健康マイレージ制度事業」が「不採択」となった原因分析の必要性について
  
このような異常事態に際して『不採択』となった理由を把握しているか、と財政部に問い合わせると、3月23日13時現在、「本市はその理由を確認していない」とのことでした。

何故ならば、先方は忙しくて電話もつながらない、つながっても対応してもらえない、とのことでした。

しかし、その直後に僕が内閣府地方創生推進室に問い合わせた所、すぐに電話はつながり、とても丁寧に詳しく『横須賀市健康マイレージ制度事業』は3つの観点から基準を満たしていない為に『不採択』とした、と説明をして下さいました。

僕が政治家だから答えた、というようなことではなく、「交付金は自治体の関心が高いことでしょうからご質問いただければ、きちんとお答えします」とのことでした。

僕は、『不採択』の理由を確認もせず、いきなりただ財源を変更して事業実施を行なうことなど絶対にあってはならない、と考えています。

そこで伺います。

【質問1】
何故、本市は内示があった18日から現在に至るまで、内閣府地方創生推進室に『不採択』の理由について説明を求めなかったのでしょうか。

(→市長の答弁へ)


さて、神奈川県内の自治体では合計99件の申請がなされて74件が「採択」の内示を受けました。神奈川県内で『不採択』となったのは本市だけです。

一般的に、何らかの交付金に申請をする時は、その交付要綱を丁寧に読み込み、その趣旨の理解に努めて相手先である国の省庁やとりまとめ役の神奈川県と事前に細かく相談しながら事業設計をした上で、申請をするのが当たり前です。

しかし、本市の申請は2件とも『不採択』となった訳で、事業設計にあたっての内閣府や県との相談・調整の不足や部局の取り組みの甘さなどを深く反省しなければなりません。

しかも今回のように『不採択』になりながらも内閣府や県にその理由さえ問い合わせなかったことは、とても理解できません。

それならば、当然、かわりに本市自らが原因を分析して欠点を改善する取り組みを行なっていなければなりません。
 
そこで市長に伺います。

【質問2】
『地方創生加速化交付金』の趣旨に合致していなかったことに関して、18日の内示から22日の一般財源での事業実施発表までのわずか4日間で、誰がどのような原因分析を行なったのでしょうか。

そしてどのような結論に至ったのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)




(2)「財源は全額国庫だ」という前提が崩れた以上、事業実施を見直す必要性について

今回のように、あらかじめ国や県からの財源を見込んでいたものの全額支出されなかった事業を、財源を変更して市が全額を負担してあえて実施した事例は、僕が市議会議員になってから13年間、全く記憶にありません。

そこで市長に伺います。
    
【質問3】
本市には、国等からの交付が全額受けられなかった事業をあえて市の一般財源から全額支出すると変更して実施した前例はあるのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)




さて、3月22日、財政部長名で『地方創生加速化交付金(平成27年度補正予算)の内示について(再報告)』が全議員に報告されました。

その内容は、事業が『不採択』になったにもかかわらず、議会の議決を受けているので、財源を一般財源に変更して事業を実施していく予定だ、というものでした。つまり、市が全額負担をするというものです。

しかし、そんな変更を認めることはできません。

何故ならば、本市は議会に対して「財源は全額国庫だ」と繰り返し説明してきたからです。

まず、予算議会が開催される前の2月、副市長や部長たちが各会派に対して事前説明を行ないました。

そこで配布された説明資料『平成28年第1回定例会に係る事前説明について』には『横須賀市健康マイレージ制度事業』は『地方創生加速化交付金申請事業』と明記されていました。

次に2月15日に全議員向けの『予算説明会』が開催されました。

そこでも、配布された『平成28年度予算説明会資料』にはやはり『横須賀市健康マイレージ制度事業』は『地方創生加速化交付金活用事業』と明記されていました。

つまり予算議会が始まる前から、行政側によって繰り返し「財源は全額国の『地方創生加速化交付金』だ」と議会側は説明を受け続けてきたのです。

さらに、実際に予算議会がスタートし、正式な審議の場となった予算決算常任委員会教育福祉分科会においても健康部から配布された説明資料には『横須賀市健康マイレージ制度事業』は『地方創生加速化交付金対象事業』と明記されていました。

それでは、その他の事業はどう記されていたかというと、例えば『生涯現役ガイドブックの作成』事業は明確に区別して『その他の補正』と記されていました。

教育福祉分科会でこのような説明を受けて実際に審査を行なった委員の1人として、僕は「あくまでも財源は国の『地方創生加速化交付金』である」という説明をもとに質疑を行ない、予算決算常任委員会での採決に臨みました。

つまり当然ながら他の議員も、2月から繰り返し行政側によって説明され続けてきた「財源は『地方創生加速化交付金』である」という前提で審査し、採決に臨んだはずです。

しかし、『不採択』によって、『財源』という事業実施の判断における『不可欠の前提』が全く失われたのです。

それにもかかわらず、議会が議決しているから財源を切りかえて実施する、というような説明は、僕には全く受け入れられません。

そこで伺います。

【質問4】
市長がこのような判断をした法的な根拠はあるのでしょうか。

あるならば、それは具体的にどの法律のどの条文から判断したのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)




さて、はじめから「限りある市の一般財源で本事業を全額賄う」という前提で議案審査がなされていたならば、市が行なう他のあらゆる事業との優先順位を勘案して、議会側は否決あるいは減額修正したはずです。

何故ならば、もっと先にやらねばならない事業がこのまちにはたくさんあるからです。
 
僕や複数の議員が質疑や討論において数多くの不備を指摘しました。

それでも最終的に議会側が『横須賀市健康マイレージ制度事業』を賛成多数で可決した理由は「あくまで一般財源ではなく、国の『地方創生加速化交付金』だから」と多くの議員が判断したに過ぎません。

『交付金』という『特定財源』の縛りがあるから本事業の実施はやむを得ない、と『消極的な賛成』をしたに過ぎないことは、質疑や討論の内容からも明らかです。

こうした『事業実施の財源』に対する議会側の共通認識を、かつて市議会に身を置いた市長ならば、当然理解できるはずです。

それにもかかわらず、市長は財源を切りかえて事業実施すると発表しました。全く理解できない行動です。

そこで伺います。

【質問5】 
はじめから「財源が市の一般財源のみ」とされていたならば、『横須賀市健康マイレージ制度事業』は否決もしくは減額修正されていたのだと市長は理解しておられないのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)




(3)「横須賀市健康マイレージ制度事業」の2016年度の実施をいったん見送り、事業設計をやり直す必要性について

『地方創生加速化交付金』事業として『不採択』となり、議案の審査及び採決の前提条件であった財源が完全に変更された今、今回の市議会の質疑も議決もその正当性は失われた、と僕は考えています。

つまり議会は本事業に一般財源の支出を認めてはいません。

そこで市長に伺います。

【質問6】
『横須賀市健康マイレージ制度事業』の財源を切りかえて2016年度に実施するという結論は、いったん見送るべきではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)




【質問7】
また、多くの批判があった『横須賀市健康マイレージ制度事業』の事業費全額を市の一般財源に切りかえて実施するならば、事業設計をゼロからやり直すべきではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


緊急質問を行なうフジノ

2.「地方創生加速化交付金」対象事業として「不採択」の内示を受けた「日本版DMO設立準備事業」について

(1)本市は何故「三浦半島魅力最大化プロジェクト連携事業(三浦半島DMO連携事業)」へ参画しなかったのか。
 
内閣府は『地方創生加速化交付金の内示額一覧』を発表しました。これは、この交付金事業として『採択』された『市町村の名前』と『事業の名前』が載っているリストです。

それを見ると、なんと本市を除いた三浦半島の1県3市1町が連携して、同じ1つの事業を申請していました。

それは『三浦半島魅力最大化プロジェクト推進事業(三浦半島DMO連携事業)』です。

しかも、全ての申請が『採択』されました。

交付決定額はそれぞれ、神奈川県が6,000万円、鎌倉市が1,642万円、逗子市が5,841万円、三浦市は最多の8,000万円、葉山町は1,702万円となっています。

一方、本市は三浦半島の観光の連携の取り組みから孤立してしまったのか、この連携事業には加わらず、単独で『DMO設立準備』を申請して『不採択』となりました。

これによって本市は、三浦半島の観光の取り組みから完全に後れを取ってしまったのではないでしょうか。

あまりにも情けない本市の取り組みに驚いています。

そこで市長に伺います。

【質問8】
何故、本市はこの三浦半島全体の連携事業に参画しなかったのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)




(2)「財源は全額国庫だ」という前提が崩れた以上、事業実施を見直す必要性について

そもそも『横須賀市健康マイレージ制度事業』と同じで、行政側が議会側に繰り返し説明してきた「財源は全額国の『交付金』である」という前提が崩れた以上、この事業については、拙速に2016年度に実施すべきではありません。

また、本市の『日本版DMO設立準備事業』が『不採択』となった理由を僕はじかに内閣府から聞かせてもらっています。

その理由は、

「他地域と連携しておらず、広がりが見られない」
「地域全体で連携していくべきなのに横須賀市単独で事業化している」
「他事業との組み合わせが無い為、誘客の具体性が無い」

というものでした。

まさにこの指摘は的を射ています。

『地方創生加速化交付金』の採択の有無を問う以前に、『観光立市』を目指す本市の地理的要因などを考えれば、三浦半島の他市町及び県と連携しながら積極的に誘客に取り組むべきなのは自明の理です。

内閣府から効果が無いと結論付けられた本市単独での『日本版DMO』を設立しても、目指すべき効果は得られない、と僕は考えています。

改めて、事業の在り方をゼロから見直し設計しなおすべきです。

そこで市長に伺います。

【質問9】
本市単独で『日本版DMO』の設立を行なうことは十分な事業効果を見込めない上に、国の『交付金』も『不採択』となった以上、2016年度の本事業の実施は見送るべきではないでしょうか。


(→市長の答弁へ)




【質問10】
また、今から改めて三浦半島各自治体にお願いをして『三浦半島魅力最大化プロジェクト推進事業(三浦半島DMO連携事業)』に参加させていただくべきではないでしょうか。

お答え下さい。

以上で1問目を終わります。


(→市長の答弁へ)



市長の答弁

ご質問、ありがとうございました。

【答弁1】
まず、内閣府への不採択の理由の確認について、ご質問をいただきました。

3月18日の午後に、神奈川県を通じて内閣府から内示がありました。

この内示では、『採択』となったものが示されていまして、本市の事業の記載が無いことを確認いたしました。

ただちに財務課職員が内閣府へ電話をしたところ、「今忙しいのであとで電話するように」と言われ、要件を伝えることすらできませんでした。

そこで、本市から内閣府に出向している職員に連絡をしましたが、こちらも、職員から内閣府へは取り次いでいただけず、仕方なく「メールで理由を確認してほしい」と依頼を致しました。

藤野議員から財務課にご連絡のあった23日の13時の時点では、不採択の理由について確認が取れていませんでしたが、24日朝に内閣府に出向している職員から連絡があり、理由について確認をいたしました。


(→フジノの再質問へ)


【答弁2】
次に、誰が、どのような原因分析を行なったのか、そしてどのような結論に至ったのか、というご質問をいただきました。

3月18日午後に、『不採択』であることを確認し、ただちに内閣府に連絡を試みる一方で、財政課職員が、他団体で採択された事業の傾向や、県の職員からの情報などから分析を行ないました。

今回『採択』された事業をみると、他の自治体と連携した広域的な取り組みが多く、こうした要素のある事業を優先的に採択したと考えられることから、本市の申請した2事業は、他の自治体と連携して行うものではなかった為、評価が低くなったのではないか、と分析いたしました。




【答弁3】
次に、国等からの交付が全額受けられなかった事業を、あえて一般財源から全額支出すると変更した前例について、ご質問をいただきました。

例えば、平成27年第3回定例会で補正予算を計上した国の『地域住民生活等緊急支援のための交付金』、いわゆる『地方創生先行型上乗せ交付分』については、新たな観光資源の創出と活用の全額が『不採択』とされましたが、『総合戦略』の基本目標実現に資する事業ですので、税源を一般財源、および市債に切り替えて実施した例があります。

また、平成26年度および27年度には、学校営繕工事の国庫補助が『不採択』とされましたが、財源を市債に振り替えて実施したケースもありました。


(→フジノの再質問へ)


【答弁4】
次に、財源を一般財源に変更して事業を実施するとした法的な根拠について、ご質問をいただきました。

予算執行の上では、『予算決算及び会計規則』第17条に

「国庫支出金など、特定の収入を充てるものについては、その収入が確実に入る見込みでなければ執行できない」

と定められていますが、同条但し書きには

「市長の承認を得たときはこの限りでない」

と定められていますので、必要なものについては、市長の判断で執行することが可能です。

今回、交付金を申請した2事業は、『横須賀市まち・ひと・しごと創生総合戦略』に位置付けた事業であり、優先して取り組むべき事業ですので、財源が見込めない場合であっても一般財源で実施する必要があると、補正予算の査定の段階で判断をいたしました。


(→フジノの再質問へ)


【答弁5】
次に、はじめから財源が一般財源のみとされていたならば、『健康マイレージ制度事業』は否決もしくは減額修正されていたのではないか、というご指摘をいただきました。

『横須賀市健康マイレージ制度事業』につきましては、これまで議会、特に分科会等でいただいたご意見を踏まえ、スマートフォン・アプリを活用したシステムの部分の補正予算の執行を凍結いたしたい、と考えています。

なお、その他の部分につきましては、一般の健康事業として総合的に行わせていただきたいと考えています。




【答弁6】
次に、『健康マイレージ制度事業』の財源を切り替えて実施するという結論は、いったん見送るべきではないか、というご指摘でした。

ただ今答弁いたしました通り、『健康マイレージ制度事業』のスマートフォン・アプリを活用したシステム部分につきましては、これまでの議論を踏まえ、補正予算の執行を凍結いたしたいと考えています。


(→フジノの再質問へ)


【答弁7】
次の質問も、『マイレージ制度事業』の財源を切り替えて実施するならば、事業設計からやり直すべきではないかというご指摘でした。

たび重ねての繰り返しになりますが、スマートフォン・アプリを活用した部分につきましては、補正予算の執行を凍結したいと考えています。

なお、その他の部分については、一般の健康事業として、総合的に行わせていただきたいと考えています。




【答弁8】
次に、本市が『三浦半島魅力最大化プロジェクト』に参画していない理由について、ご質問をいただきました。

今回の交付金に採択されました『三浦半島魅力最大化プロジェクト事業』のうち、神奈川県が実施する6000万円は、横須賀市を含んだ三浦半島4市1町と県が連携して実施する事業です。

この他、本市を除く3市1町が県とそれぞれ連携する事業が採択されました。




【答弁9】
次に、本市単独で『DMO設立』を行なうことは見送るべきではないか、というご質問をいただきました。

今回の交付金の採択では、より効率的な事業が優先されていることがわかりました。

ただ、観光立市を目指す上で、観光事業者の中心的な組織である『DMO』の設立はなくてはならないもので、交付金の採択に関わらず、推進していきたいと考えています。

また、より広い地域を対象とする『DMO』に拡大することは、三浦半島地域の活性化、組織の財源や人材の確保、事業展開の充実などにおいて望ましいことですので、まずは横須賀市域のDMOを確立したうえで、広域連携を図っていきたいと考えています。




【答弁10】
次に、今から、『三浦半島魅力最大化プロジェクト』に参加すべきではないか、というご質問をいただきました。

先ほど答弁申し上げました通り、すでに、『三浦半島魅力最大化プロジェクト』には横須賀市も参画していますが、今回の交付金で採択された事業の他にも、三浦半島における観光や暮らしの魅力を高める事業が企画されていますので、今後、実施していく事業にも参加をしてまいります。


(→フジノの再質問へ)


私からは以上です。



フジノの再質問

市長、ご答弁ありがとうございました。再質問を一問一答で行います。

まず、不採択の理由を内閣府に説明を求めなかった理由について、ご答弁をいただきました。

【再質問1】
今のご答弁を伺うと、正に情報を頂く為に内閣府に本市職員を出向させているにも関わらず、その職員からの情報も得る事ができなかった、というのは大変残念な事で、何の為に職員を出向させているのかなというふうに思います。

今後、このようなことがないように、ぜひ気を付けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。



市長の答弁

ぜひ気を付けたい、というふうに思います。

ただ、ひとつだけ申し上げて良ければ、派遣している職員はこのドンピシャの担当ではございません。

とは言いながら、趣旨としては内閣府における『地方創生』、こういった取り組みの情報を早め早めに取る為に送り込んでいるといってもそれは間違いではありませんので、これから気を付けたいと思います。



フジノの再質問

続いて、今回のように国などからの交付が全額受けられなかった事業を市の一般財源で全額支出すると変更して実施した前例が実は2件、すでにあった、ということをご答弁伺いました。

平成27年第3回定例会、それから、平成26年の2回というふうにご答弁いただきました。

ただ自分でも一生懸命、過去の議事録をあたって調べましたし、資料もあたりました。

ただ、やはり見つける事ができなかった。

財政課長にもお聞きしたんですが、「私の記憶にはありません」ということでした。

【再質問2】
これはまさに実行された、ということなんですが、当時、平成27年、そして平成26年、財源を一般財源に切り替えるということを議会側に説明はされておられるんでしょうか。



市長の答弁

大変恐縮ですが、少しお時間を頂いて、正確な答弁をさせて頂きたい、とそのように思います。


(→市長の答弁へ)

フジノの再質問

ではそのあいだに、次の質問に移りたいと思います。

市が一般財源に切り替えて良いと判断した法的根拠について市長から、『規則』第17条の但し書きにおける市長の承認を得たものについては別である、というご答弁をいただきました。

つまり、「今回の取り組みそのものには問題が無いのだ」というご答弁かと受け止めました。

しかし、その経緯が全く説明も無いまま、財政部長名でペーパーが1枚、そして数行書かれただけで議会側に報告が成された。

丁寧な説明とはとても思えない、この内容。

これで市議会側に理解が得られるとお考えになりましたか。



市長の答弁

事業の意義等については、補正予算の分科会の中で、さまざま議論いただいて、その上でご議決いただいたというふうに認識をしていて、まずは我々としては、国の財源も含めてではありますが、横須賀市の為になる事業であるという、その意義にご同意いただいたものという認識を、まずは持っています。

とは言いながら、やはり分科会での議論等、深く考えれば、財源を一般財源に振り替えて、というのを、ただ紙での説明で済ませて良いというものでは、特に今回のケースは、無かっただろう、というふうに認識をしています。



フジノの再質問

それから、どの時点で、仮に不採択となったとしても一般財源に切り替えてやっていくと判断したかといえば、それは補正予算の査定をする時点で決めておられた、というふうに答弁をお聞きしたように思います。

もう一度、この点をご説明いただけますか。



市長の答弁

我々、どのような事業をやっていくか、いう時には、まずはその事業の意義についてですね、議論をいたします。

そういった意味では、こうした今回補正予算で提出した事業については、全て意義のある事業であると、そういう認識でご提案もさせて頂いています。

そういった意味では、財源がどうあれ、やらなければいけないんだという思いがございまして、そういったものも含めて、査定で承認というかですね、この事業を議案として提案しようと、そのように認識をした次第です。

ですので、我々の心構えとしては、たとえ補助が全部取れなくても、一部になったとしても、やらなければいけない事業というものを、議会に提案をしようと、そういった心構えも踏まえまして、含めまして、査定をしている、ということです。



フジノの再質問

『総合創生戦略(案)』は議会で議決した訳でもありませんが、その『総合創生戦略』に書き込んである、つまり必要な事業だから、心構えとしては、仮に全額採択されなかったとしても、市の財源でやっていこうと。心構えとしては、そう考えていたというお話しでした。

ただ、その心構えというものは、市議会側にはひと言も説明はありませんでした。

そうした、何も説明が無い前提で、しかも先ほど、具体的に説明会の名前と説明資料の名前を掲げて申し上げましたが、繰り返し、行政側としては「これは『地方創生加速化交付金』対象事業である」と。

そしてほぼ採択される見込みであるかのような刷り込みが我々の中に与えられて、そして事業について審査を行なった訳です。

ですから、本来であればこれは採択されなかったとしても、本市がやるべきであると考えているという、そういう旨を議会側にお伝えしておくべきではなかったでしょうか。



市長の答弁

分科会等でもですね、そういった説明をしていない。いなかったということですので、本来的には、一般財源になったとしても事業の執行をさせていただきたい、という説明はやはりするべきであったな、というふうに感じています。



市長の答弁

今、引き続き、先ほど答弁できなかった件についてでございますが、まず、27年度の補正予算で提案した事業につきましては、一般財源への振替を行なう旨の委員会報告を行っています。

こちら26年度、27年度にもわたっている事業ですが、小中学校の営繕工事ですけれども、こちら当初は国庫補助で行う計上をしていましたけれども、一部の工事では、この補助が全く採択されなかったという件ですが、こちらについてはですね、議決された市債の範囲内で振替を行なったということで、補正予算等との対応もせず、議会への説明も、この件についてはしていませんでした。



フジノの再質問

今回の質疑にあたって他市の事例をお聞きしたのですが、例えば、近隣の逗子市などは、『交付金』に『採択』されてから議案を提出する、というようなお話しを伺っています。

また、逗子市以外にもそのように交付の内示が出されたあとに議案を提出して、そして議案審査を行なっているというふうに聞いています。

本市も今回、このような事例が起こった訳ですから、今後の交付金申請事業については、議案の出し方を再考すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。



市長の答弁

ぜひ議会スケジュールともですね、相談させていただきながら、また、先ほどらいの指摘にありましたように、一般財源に振り替えてでも行なおうと思っているかどうか、そういった事前の説明も含めまして、議案の出し方というのは今後工夫していきたいと思います。



フジノの再質問

議会側のスケジュールとも相談させてほしいという話が最初にありましたが、議会側は、通年議会も議会改革の中で検討したことがあります。

それは、このように国のスケジュールがタイトであるというのも当然理解していますから、議会の会期が1〜3日延期されることは、なんとも我々は思いません。

ですから、しっかりとした形で、議案の提出を行ない、そして審査にあたっては、正確な説明という前提に基づいて、そうした前提をみんなが共有したうえで、議案審査ができるようにしていただきたいというふうに考えています。

そして、肝心の『横須賀市健康マイレージ制度事業』の中の、特にアプリを活用したシステム設計については『凍結』をいたしたい、というご答弁を頂きました。

『凍結』とは、具体的には何を意味しているんでしょうか。



市長の答弁

基本的には、新たな財源が市単独の一般会計以外で手当できなければ執行しない、と、そういう趣旨として受け止めていただきたいと思います。



フジノの再質問

つまり、ここでの口約束で「執行はしない」と。

それだけなんですか。

具体的に、『繰越明許費の減額の議案』を出すとか、はっきりとした形でこれを行なわないという、そういう形はなされないということですか。



市長の答弁

まずは議会答弁をもって「執行しない」とそのようにお約束をさせていただきたいと思います。



フジノの再質問

残念ながら、特に僕についてはたびたび残念な不誠実なご答弁を繰り返しいただいたりしてきた経緯があり、議会答弁だけでは信頼できないような状況に今なっております。

ぜひ、本当にその言葉を実行するのであれば、議案という形で出していただくのが筋ではないか、と。

その為に、議会はまだ会期、閉じていません。

本会議も開催しています。

市長が議長にお願いをすれば『会期の延長』だって、議長は当然認めるでしょうし、議会の皆さんだって認めると思います。

『減額修正の議案』を出すべき。

それが筋ではないかと僕は思いますが、いかがですか。



市長の答弁

ただ、『凍結』という言葉を使わせていただきましたが、一般会計は充てない、ということは申し上げたいと思いますが、やはり明確な外部の財源というものをもしも手に入れることができれば、また市議会の皆さんのご理解の上ではありますけれども進めさせて頂きたい、という思いもありますので、こちらについては、まずは『凍結』ということでご理解をいただいたいと思います。



フジノの再質問

僕自身は補正予算に反対をしています。

反対の理由は、まさに市長が『凍結』するとおっしゃった、アプリの設計。

これは仮に他の財源を活用したとしてもやるべきではない事業だ、というふうに考えています。

その詳しい理由は分科会ですでに質疑で申し上げていますので、ここでは繰り返しはいたしません。

その「凍結をする」「実際はやりたいんだ」。

でも、それは間違っていると思います。

市長は『総合創生戦略』を金科玉条のようにおっしゃっていますが、『総合創生戦略(案)』を読んでみると、そこに書かれている『KPI』(重要評価指標)、こちらは僕の記憶が正しければ、『横須賀市健康マイレージ制度事業』の利用者数が2万人である、というだけの目標でした。

この、アプリの利用者が2万人だとは書いていませんでした。

つまりこの『横須賀市健康マイレージ制度事業』、他にも講演会があったり、それから景品を提供したりというような予算が計上されていましたが、そちらの部分については良いと思うんです。

そういった、例えば、ご自身が持っておられる万歩計を示していただいたらポイントを付与する。ポイントに応じて景品を提供する、と。

そういったことが2万人に至るのが『総合創生戦略』(案)の中で、言われたことであって、アプリをここまで反対されているのに無理に作ることでは、僕は、無いというふうに思っています。

そのような価値観から改めて伺います。

どうしてもアプリを作りたいんでしょうか。



市長の答弁

今回これをご提案させていただいているアプリ事業は、『健康マイレージ制度事業』は、若い世代にもですね、継続的に健康づくりというものを意識づけし、かつ行動変容につなげていく。

そういった意義があるというふうに認識をしています。

ですので、ただ、代替の手段もぜひこれからいろいろ検討していきたい、というふうに思っていますが、今の段階では、こういった事業を提案させていただいた立場としては、ひとつの効果的な手法ではないか、というふうに考えています。



フジノの再質問

分科会質疑を蒸し返すつもりはないと申し上げましたが、1点だけご指摘させて頂きますと、今回の『横須賀市健康マイレージ制度事業』で、ターゲットとしている若い世代、まさに生活習慣病になる前の『運動していただきたい世代』をターゲットとしている訳です。

けれどもこの世代は関心がある方はすでに、僕自身もそうですが、 ウェアラブルの加速度計をつけたり、スマートフォンで、自分で計測をすでにやっている。

そこをさらに...もう、検索をすれば、ウォーキングアプリ・運動アプリは何千・何百と出てくる中で、『横須賀市があえてやる必然性』というのは全く見当たらない。

そういう意味では、僕はこの事業は横須賀市が取り組むべきものではないし、そして『凍結』ではなくて、きちんと『廃止』をすべきだというふうに考えています。



フジノの再質問

続いて、『日本版DMO設立準備事業』についてです。

僕は「何故、本市は『三浦半島魅力最大化プロジェクト推進事業』(三浦半島DMO連携事業)に参画しなかったのか?」とお聞きしました。

それに対して、「県が申請した中には、横須賀市の分の金額も含まれている」というお話しでした。

つまり、横須賀市も『三浦半島魅力最大化プロジェクト』の中のメンバーの一員だ、ということでよろしいでしょうか。



市長の答弁

それで結構です。



フジノの再質問

そうなると、実は大変、疑問を感じざるを得ません。

県が、横須賀市も含めた三浦半島の各市町の分も申請をしている。

けれども、各市町も独自で同じタイトルで申請をしている。そして、『採択』をされている。

何故、他のまちは、県がやっている、申請しているにも関わらず、各市町は申請をしたんでしょうか。しかも同じタイトルで。



市長の答弁

観光担当部長から答弁をいたします。



観光担当部長の答弁

神奈川県が、横須賀市を含む三浦半島4市1町と連携して動いてきました『魅力最大化事業』。

これを(県が)今回の申請に上げていくと、『加速化交付金』を取っていく、ということは承知をしておりました。

その際に、それぞれの市でまた連携して行う事業があれば、その中で一緒に申請が出来るという仕組みということも知らされてはおりましたが、知らせをいただいた時点で、横須賀市、この中で行なう事業。適当な事業というものがですね、見いだせなかったということがひとつあります。

例えば、海を使った、海岸を使ったマッピング事業というようなものが統一で提案をされたんですけれど、それが横須賀市全部の海岸がですね、それをやってもあまり意味のあることではないというふうに判断をいたしまして、それで、それぞれの連携する各種の事業というものには参画をいたしませんでした。

ただですね、この形が全部ひとまとまりになって、そして『三浦半島DMO連携』というような形で申請が行なわれていたということは、実は承知をしていなかったというところでございます。

この中に、横須賀市の今単独で行っている『DMO』、これがそのままこちらに組み込めるかどうかというような、そういう検討はしませんでしたし、横須賀が『DMO』を単独でやっていく、と。

市域でまず単独でやっていくという方針がありますので、そこを主眼として、今回単独で『DMO』の申請をした、というようなことです。

すみません。

もう一度補足で説明いたしますと、県が中心になり、周りの市が共同企画する、というその内容につきましては、『健康マイレージ』をみんなでやらないか、というようなそういう提案も実はしております。

ただそれは、実現をしませんでした。

そういった中でですね、『DMO』については先ほども言いましたように、横須賀市単独で申請をしている、というような状況です.



フジノの再質問

三浦半島の4市1町(横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町)、そして神奈川県、観光協会、鉄道会社などで構成している『三浦半島観光連絡協議会』というものがあります。

この会長は、どのまちのどなたでしょうか。



市長の答弁

横須賀市長である私が務めています。



フジノの再質問

ちょうど、部長からお答えいただいたご答弁によると、神奈川県がまず、この『三浦半島魅力最大化プロジェクト推進事業』を申請するということは承知していた。

けれども、他市町が独自に、さらに追加で『三浦半島魅力最大化プロジェクト推進事業』を申請するとは知らなかったというご答弁がありました。

しかし、横須賀市は三浦半島の観光を推進していくリーダーじゃないですか。

なんでそんな情報が入っていないんですか。



市長の答弁

こちらについては、本当にもっとよく連携するべきであった、とそのように認識をしています。



フジノの再質問

三浦半島全体の観光を引っ張っていくべき会長である横須賀市長が、残念ながら情報から除け者にされて、そして、事業も単独で申請をして、しかも『不採択』とされた。

横須賀市議会は、本気で観光立市を実現するために条例まで作った。

けれどもこれで本当に横須賀市、三浦半島全体を観光で盛り上げていこうと、そんなことが実現できるのか、たいへん疑問に感じました。

そして『横須賀市健康マイレージ制度事業』についても、それから『日本版DMO設立準備事業』についても、僕は本末転倒なことがたいへん多いんじゃないか、というふうに考えています。

健康になって頂く為のやり方はたくさんあります。

そして横須賀市、三浦半島全体の観光を進めていくやり方はたくさんあります。

それらを実現していくためには、まさにこの『交付金』の申請要綱、交付要綱に書いてあったように、広域で連携をしたり、それから先駆性を持った取り組みをやっていかなかったら絶対に無理なんだ、というふうに僕は思っています。

『不採択』というのはたいへん不名誉なことでしたが、これを機会に、横須賀市の取り組みの在り方を完全に見直して、そして本当に事業効果が高い取り組みというのは何なのか。

そして制度設計はどういうふうにしていくべきなのか。

例えば交付金申請をするにはどのような手順を、誰とどのように調整をしていくのか。

そういったことをしっかり認識して、そして取り組んでいっていただきたいと思います。

以上で質問を終わります。

ありがとうございました。



後日追記:神奈川新聞が報じてくれました

この緊急質問に関する顛末を神奈川新聞が報じてくれました。

2016年3月26日・神奈川新聞より

2016年3月26日・神奈川新聞より