2011年3月22日・議案への討論(一般会計の当初予算案への反対討論)

一般会計の来年度予算案への反対討論

藤野英明です。

討論に入る前にひとことだけお許しください。

震災によって犠牲になられた方々に対してお悔やみを申し上げると共に、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。

また、吉田市長を筆頭に、消防局・市民安全部をはじめとする全行政部署が、市民のみなさまの暮らしを守る為に不眠不休で活動に尽力して大変なご苦労を続けておられることにこころから感謝を申し上げます。

さらに、市議会の先輩・同僚議員のみなさまが繰り返される余震や停電などへの不安や恐怖の中で暮らす市民の方々を支援する為に、朝も夜も無く、走りまわっておられることにも改めて深く敬意を表します。

それでは、議案第16号「平成23年度横須賀市一般会計予算」について反対する立場からの討論を行ないます。

すでに、3月3日に本会議場で行なった市長への質疑を通して、来年度予算案に僕が反対する理由についてはすでにみなさまにご理解いただけるものと思います。

危機的な本市財政において、限られた財源の中で何に優先順位をつけるかが大切です。

いのちと暮らしを守ることに今は最優先すべきであって、不要不急の施策は可能なかぎり廃止・凍結すべきです。

残念ながら、この当たり前のことが来年度予算案の中では実行されていません。

3つの例を挙げたいと思います。

まず第1に『ハコモノ3兄弟』についてです。

芸術劇場・ソレイユの丘・美術館は来年度わずか3施設だけで14億4225万6000円もの赤字を出します。穴埋めには税金が使われます。

吉田市長に質疑を行ないましたが、これら巨額の税金の無駄遣いにどう対応していくのか、リーダーシップを発揮する姿勢が全く見えませんでした。

約15億円もの税金をもっと別の使い道をすればもっと多くの方々が救われるはずです。

第2に『新たにサッカー場を建設すること』についてです。

土地購入と建設費用で14億4050万円をかけることになります。

さらに市長との質疑でもいくつもおかしなことが明らかになりました。

例えば、すでに横須賀市内に設置されている

はまゆう公園サッカーグラウンドがクレーコートだから雨天になると試合が中止になってしまうから

としながら

その今あるサッカーコートを人工芝の張替えによって対応すれば良いのに何も検討せず、いくらになるのかの試算さえ行なっていなかったことです。

この答弁1つだけで、まず建設ありきで進められた無計画な計画であることがはっきりしました。

さらには、完成後の管理運営費用のシュミレーションも行なっていない。

ふつうの民間企業が何か新しい取り組みを始めるときに、売上も費用も試算しないなんてことは絶対にありえません。

どうしても今作るべき必然性はありません。

サッカー場はいざという災害時には防災拠点として役立てる

と市長は言いますが

すでに横須賀市内には、十分な広さの公園が設置されていて、神奈川県内の市では1位の面積を確保しています。

防災拠点にするという言葉も後付けに過ぎません。

15億円もの費用をかけるならばもっと直接的な効果の出る防災対策に使うべきです。

例えば、障がいのある方々の施設や高齢の方々の福祉施設への耐震補強化を積極的にすすめるべきではないでしょうか。

すでに佐原に買ってしまった約3万平方メートルに及ぶ土地も震災で被災された方々の為に仮設住宅を建設すべきです。

市営住宅の活用なども提案されていますが、被災地の方々が全国にバラバラに暮らすことの弊害はすでに阪神大震災で明らかになっています。

3万平方メートルもの土地は、約1000~2000世帯、つまり、まちひとつをそのまま受け入れることができる広さです。

被災者の方々の為に提供することとすべきではないでしょうか。

それこそが市民のみなさまに喜ばれるあり方ではないでしょうか。

第3に『ヤングテレホンよこすかの廃止』についてです。

若い世代の心理的なケアやサポートが必要であるにも関わらず、24時間365日の対応をはじめてから3年も経っていない『ヤングテレホンよこすか』を廃止してしまいます。

このような取り組みこそ今、優先して行なうべきです。

それを「県が似たような取り組みをしている」とか「年齢制限をしていない横須賀こころの電話があるから」とか理由にもならない理由で廃止してしまうことは、まちがった行政改革の象徴です。

僕がこれまで予算案と向かい合う時にいつも考えてきたことは

自殺対策と精神保健福祉施策を推進していかなければならない。
その為には財源が必要だけれど、本市の財政はとても厳しい。

だから、その財源を生み出す為にハコモノをはじめとするあらゆる税金の無駄遣いをカットしていくのだということでした。

今回、震災を通じてその想いはさらに強まりました。

本日閉会することになる予算議会ですが、開会期間中に過去最大にして最悪の震災に見舞われました。

そして3月11日の震災を境に大きく市民のみなさまの想いは、はっきりと変わったことを感じています。

それは、毎日暮らしている当たり前の生活のすばらしさ、電気や水道がふつうに出ることの便利さ、そもそもいのちがあって生きていかれることの尊さを明確に意識されている方々が圧倒的に増えたということです。

街頭に出ればたくさんの若い人たちが募金活動を行なっていて被災地への支援物資を送ろうという活動にも大きなうねりのように物資が集まっています。

そんな中、たとえこの来年度予算案が成立したとしても単にこのままの中身で執行することはできないはずです。

もっと苦しんでいる人やもっと困っている人の為にもっと税金の使い道を考えてほしいと市民の方々は願っています。

身の丈を超えた借金をしてハコモノをつくるのではなく、人と人とがお互いに助けあう中で元気に生きていかれる、そんなまちに横須賀はなるべきです。

少なくとも市民の方々はすでにその方向へと歩み始めています。

その為にはこうした予算のあり方では対応できません。

したがって、議案第16号に反対します。

先輩・同僚議員のみなさまにはどうかご理解いただけますようお願い申し上げまして、これで僕の討論を終わります。