妊婦健診にはHIV検査がありますが、妊婦さんは「偽陽性」で「陽性」と結果が出る確率が高いことを知っていて下さい/AIDS文化フォーラムin横浜(3日目)その1

「AIDS文化フォーラムin横浜2017」3日目も参加しました

おととい昨日に続いて、『AIDS文化フォーラムin横浜』に参加しました。

第24回AIDS文化フォーラムin横浜

第24回AIDS文化フォーラムin横浜


3日間にわたるフォーラムも、ついに今日が最終日です。

「AIDS文化フォーラムin横浜」会場入口にて

「AIDS文化フォーラムin横浜」会場入口にて


今日も気合いを入れて学びます。



講座「母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦〜」へ

フジノは、講座『母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦〜』に参加しました。

会場には60人くらいの参加者がつめかけ、ぎゅうぎゅうの満席でした。そのうち男性は8人くらいで、残りはみなさん女性でした。

「母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦」会場前にて

「母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦」会場前にて


この講座では、妊娠したお母さんからお腹の胎児にHIV感染する『母子感染』について、これまでと現状について学びました。

母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦〜

主催:認定NPO法人AIDSネットワーク横浜

『ハイリスク出産』の名医、聖マリの水主川純先生が、感染者の分娩、飛込み分娩、未受診妊婦の問題を語る。

それにしても、主催の『認定NPO法人AIDSネットワーク横浜』はすごいです。

毎年、『AIDSボランティア学校』という連続講座を開催しているのですが、今年でなんと25周年を迎えます(素晴らしい!)。

第25期AIDSボランティア学校・講演会の概要

第25期AIDSボランティア学校・講演会の概要


今年の10回連続講座のプログラムの『第5回』が、今日の『AIDS文化フォーラムin横浜』のこの講座にあたります。

聴きたい1つの講座だけ受講することもできて、こうして『AIDS文化フォーラムin横浜』ともコラボしていて、参加しやすくてすごく良い取り組みだと感じました。



妊婦健診の血液検査に「HIV」も入っています

『妊婦健康診査(妊婦健診)』では血液検査を行ないます。

血液型(ABO式、RhD式)、不規則抗体検査、血液一般検査、血糖の検査、血液生化学検査(肝・腎機能)、梅毒検査、B型肝炎、C型肝炎、HIV検査、風疹抗体、HTLV-1検査、トキソプラズマ抗体検査

上のリストのとおりで、HIVの検査も行ないます。

HIVも母子感染予防(お母さんから胎児に伝染することを防ぐこと)の対象になっているからです。

HIV感染、3番目の経路「母子感染」

HIV感染、3番目の経路「母子感染」


妊婦健診の対象項目になってからの歴史はまだ浅いです(2010年に血液検査の項目に加わりました)。

受診率
2000年 79.4%
2006年 95.3%
2015年 99.6%(最新データ)

けれども現在では、ほぼ全ての妊婦さんに検査が行われています。



どうしても知っていてほしいこと。実は、妊婦さんは「偽陽性」が0.1〜0.3%も出ます

今日のテーマからは外れるのですが、このブログを読んで下さっているみなさまにぜひ知っていてほしいことがあります。

それは「あらゆる検査に完璧・完全は無い」ということです。

ここでは妊婦健診の血液検査での『HIV』について詳しくお伝えしたいのです。

本当は『陰性』であるにもかかわらず、はじめの検査(スクリーニング検査)では『陽性』という結果が出てしまうことがあります。これを『偽陽性』と言います。

妊婦さんは一般の方々よりもHIV検査で『偽陽性』が0.1〜0.3%程度も出てしまうのです。

つまり、日本では妊婦さんが1年間に1000人〜3000人ほどHIV検査で『偽陽性』なのですが、『陽性』と反応が出る。

この1000〜3000人の中で、確認検査(≒精密検査)を行なった末に本当にHIV感染していると診断される人は、わずか50〜100人しかいません。

つまり、950〜2900人もの妊婦さんが妊婦健診の血液検査で実際はHIV感染をしていないのに「『陽性』の可能性があるので精密検査を受けて下さい」と言われているという現実があります。

ぜひこちらのパンフレットをご覧下さいね。

パンフ「妊婦HIV検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ」より

パンフ「妊婦HIV検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ」より


日本のお産の半分は診療所の開業医によって行なわれています。

そして、全てのドクターがHIVについて詳しい訳ではありません。その為、妊婦健診の血液検査の結果、『陽性』と出た時に『偽陽性』の可能性の説明ができないこともあります。

「ぜひ総合病院に行って精密検査を受けて下さい」

とお伝えして終わり、ということも現実にしばしばあるそうです。

わが国ではHIV・AIDSに対する誤った情報や偏見が根強く残っています。

そのような中で、十分な説明が無いままに

「あなたは妊婦健診の結果、HIV陽性でした」

と言われて、ひどくショックを受ける妊婦さんが多いです。

「AIDSを発症して死んでしまうのではないか」とか「夫から見放されてしまう」と恐れて、ストレスフルな精神状態に追い込まれて孤立してしまう方もいます。

その後、妊婦健診に一切来なくなってしまう妊婦さんもいらっしゃいます。

夫に話した結果、結婚そのものがダメになってしまうこともあります。

そのような厳しい現実があるからこそ、全てのドクターが気をつけて説明をする必要があります。けれども同時に全てのドクターがHIVに詳しい訳ではありません。

そこでぜひみなさまに知っていてほしいのです。

妊婦健診におけるHIV検査の弱点

血液検査の結果、本来は陽性ではないのに陽性とでてしまう『偽陽性』が0.1〜0.3%ほどあります。

日本では1年間に1000人〜3000人ほどの妊婦さんが、『偽陽性』なのですが、『陽性』と結果が出ています。

確認検査(≒精密検査)を行なった結果、最終的にHIV感染していると診断される人は、わずか50〜100人しかいません。

さらに、HIV感染していたとしても絶望のどん底に落ちる必要はありません。

「これだけは知っておきたい 安心と早期発見のためのHIV検査」グラフィックインターナショナル(株)発行より

「これだけは知っておきたい 安心と早期発見のためのHIV検査」グラフィックインターナショナル(株)発行より


そうなんです。

親がHIV感染していても、赤ちゃんは『陰性』で産まれることができる時代になったのです。




(この記事は次の記事に続きます)



県内初、HTLV-1母子感染予防対策の研修会が開かれました!/フジノの提案、実現しました

HTLV-1の母子感染予防対策の研修会が開かれました!

今日は、こども育成部の主催で『HTLV-1』についての研修会が開かれました。

『HTLV-1』の研修を行なったのは神奈川県内では横須賀市が初めてです。

これは、快挙です!

国内で100万人を超えるキャリアがいるHTLV-1を撲滅する為の第一歩がついにスタートしました。

フジノが6月議会で提案したことが早くも実現したこともうれしかったのですが

HTLV-1によって発症するATL・HAMで苦しい日々を送っておられる方々に、ようやく明るいニュースをお伝えすることができたのが、何よりも本当にうれしかったです。

聖マリアンナ医科大学の山野嘉久先生

聖マリアンナ医科大学の山野嘉久先生


講師を勤めて下さったのは、聖マリアンナ大学の山野嘉久先生です(フジノと『NPOはむるの会』をつないで下さった方です)。

かねてから山野先生は

「フジノさん、横須賀市で取り組みがスタートするならば、私自身が講師として必ず伺いますからね」

と、おっしゃって下さっていました。

わが国のHTLV-1総合対策を推進する主要メンバーである山野先生自らが、横須賀市にならば講師として来て下さるとおっしゃっていることをこども育成部にも伝えたところ、正式に講師としてお願いすることとなりました。

こうして今日が実現したのですね。

タイトルは、『HTLV-1の母子感染予防対策について』です。

HTLV-1の母子感染予防対策についての研修

HTLV-1の母子感染予防対策についての研修


研修には、新生児訪問を担当している嘱託の助産師さんや横須賀市の保健師のみなさんら合計36名が参加してくれました。

HTLV-1の感染ルートとして、最も大きな割合を占めるのが『母乳による感染』です。

まずは母子感染対策をしっかりと行なうことから始めて、新たなキャリアを増やさないことを目指すのが有効です。

その為には、現場で妊婦さんに向き合う方々に理解していただくことが何よりも大切です。

厚生労働省は総合対策の取り組みとして、啓発のポスターやHPを作っていますが、妊婦さんたちと毎日接しておられる現場の方々に正しい知識と適切な対応方法を身につけていただくことが何よりも効果的です。

さらに今後は、助産師会や医師会の協力をえてより多くの助産師・産科医のみなさんにも研修に参加していただくことが必要だとフジノは考えています。

研修の様子

研修の様子


わが国では、昨年12月末にようやくHTLV-1総合対策がスタートしました。

しかし、国による号令はかかったものの、地方政府による動きは全くスタートしていません。

例えば、全国の都道府県は『HTLV-1母子感染対策協議会』を新たに立ち上げなければならないのですが、神奈川県は、今も設立の気配が全くありません(*)

かつて自殺対策基本法が国会で成立してからも長い期間にわたって全国で全く動きが無かったのと同じ構図です。

あの時、フジノたちは

「国が動かなくても県が動かなくても、横須賀市が先頭を切って動けばいいのだ」

と訴え続けて、そして、県よりも先にあらゆる取り組みをスタートしてきました。

その結果が今、良い形で少しずつ表れてきています。

だから、HTLV-1対策についても同じです。

たとえ県が動かなくとも、現場に最も近い存在である市が動くべきなのです。

今日まさに横須賀市は取り組みをスタートしました。フジノはこうした横須賀市の動きをこころから誇りに感じます。

この動きをさらに広げるとともに、継続的な息の長い活動にしていきたいです。

山野先生、そして研修に参加して下さったみなさん、今日は本当にありがとうございました!

(*)9月に設立されたとのことです。