議会では、こんなやりとりしています


2003年・9月議会(9月16日)での一般質問






 藤野英明です。

 今回は、単に『若手の代表』としてではなく
 5万5116人の人々の想いを代表して質問をしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今回行う質問は、大きく分けて2つになります。
 第1は市長の説明責任について、
 第2に美術館問題についてです。




















 さっそく第1の質問に入ります。

 質問に当たって、まずこの質問の根っこにある
 いくつかの考え方を説明したいと思います。

 じゃっかん長くなりますが、
 必要な説明なので、ぜひよろしくお願いいたします。

 キーワードは
 自治体経営、最高経営責任者としての市長、
 経営責任、説明責任などについてです。

 かねてから沢田市長は、
 公務員であっても民間企業と変わらずに
 経営のセンスを持って仕事をしていかねばならない。
 市の行政も企業と同じく経営なのである、そう主張しています。

 沢田市長のこの『自治体経営』という考え方は
 とても多くの評価を得ており、
 講演会やセミナーで講師を務めたり、
 雑誌などからインタビューを受けたりもしており、
 僕も基本的に全く賛成しております。

 その自治体経営ですが、
 フツーの企業の経営とは異なる点があります。

 それは2つの性格を持っているということです。

 第1に、市役所という『組織の経営』と
 第2に、横須賀市という『地域の経営』です。

 つまり企業ならば
 会社という組織だけの経営を行えばよいのですが、
 市の経営では市役所という組織と同時に、
 まち全体の経営も求められているわけです。

 ですから、自治体経営、そういう観点に立つと、
 市長は2つの意味での経営者ということになります。

 まず、市役所という
  4000人の職員たちが働く組織の社長であるということです。

 同時に、このまちという43万人の市民が暮らす
 地域の社長でもあります。

 2つの意味で経営者なのです。

 したがって、市長は経営者として、
 職員に対しての経営責任と
 市民に対しての経営責任の
 2つの経営責任を持っているわけです。
 ここをまず覚えていてください。

 さらに、市長はこう述べています。

 最近の経営学では、
 企業のトップを最高経営責任者(CEO)と呼ぶのですが、
 市長はCEOとしての意識を持って
 リーダーシップを発揮していくことが何よりも大事だと言っています。
 まさにそのとおりだと僕も思います。

 市議会議員になってからの4カ月間、
 僕は市長の考え方を知るために
 市長の書いたあらゆる文章を読みました。

 そして、市長の基本的な考え方は
 かなり理解できたように思っています。

 その考え方には僕も共感することが多くあります。
 市長の考え方自体はとてもすばらしいと思います。

 しかし、考え方がすばらしいということと、
 それが現実に行動に移されているかということは
 全く別の問題です。

 その考えが実際に行動に移されているか、
 つまり実践されているかというと、
 僕はとても疑問を感じています。

 特に最もそれを感じるのが、
 市長の最高経営責任者としての『説明責任』についてなのです。

 説明責任は経営責任の1つであって、
 企業の世界ではもはや常識と言える考え方です。
 説明責任を果たさない企業は、
 市場からは一切評価されません。
 消費者や株主そして社員に対しても、
 よい情報であれ悪い情報であれ、
 きちんとその説明をする。

 何故ある計画を行うのか、どういう必然性があるのか、
 そういう説明責任を果たしてこそ、
 経営者は消費者や株主から愛され、
 そこに働いている社員からは尊敬を受けるわけです。

 基本的な説明はここで終わりにして、質問に移ります。



























 まず、『市民に対しての説明責任』についてです。

 僕は、現在のままでは足りない、
 市長はみずからの言葉で
 もっと市民に積極的に語りかけるべきだ、強く思います。

 そう思う根拠として、
 1カ月にわたって行われた美術館トークでの
 市長の対応を挙げたいと思います。

 前回の議会から、
 美術館問題はたくさんの新聞で取り上げられたり、
 読者投稿欄でも何通も投書があったり、
 まちの人々の関心を強く引きつける大きな問題でした。

 そのためか、市長も
 美術館トークが行われる前の7月1日の記者会見では、
 「都合がつけば出席したい」と言っていました。

 そして、市民に対しても
 「説明すればよくわかってもらえると思うのです」と
 自らおっしゃっています。

 この発言を聞く限りでは、
 経営トップとしての説明責任について、
 市長はよく理解されていると思います。

 トップとして自らが説明の場に来て
 説明責任を果たそうと考えていたのだと思います。

 しかし、実際には市長は1度も来なかったわけです。

 美術館トークが始まって2回が過ぎた
 8月1日の記者会見では、
 一変して、

 「出席については時間的に難しいと思います。
  教育長以下皆で一生懸命やっていますから、
  任せたいと思っています」と、

 スケジュールの都合を盾にして
 部下に任せてしまっています。

 それでは、市長はどれほど忙しかったのだろうかと、
 美術館トークの日の市長のスケジュールを
 秘書課に情報公開請求いたしました。

 美術館トークが行われていた日の
 19時から20時半のスケジュールを読み上げたいと思います。

 7月29日、所用にて東京都内に外出。
 7月31日、都内の出張先から帰宅。
 8月4日、公務を終えて自宅で過ごす。
 8月5日、夏休み。
 8月7日、川島幸雄前市議会議員退任感謝の会に出席。
 8月15日、公務を終えて自宅で過ごす。
 8月18日、夏休み。
 8月25日、公務を終えて自宅で過ごす。
 8月26日、都内の出張先から帰宅。
 8月27日、所用にて横浜市内へ外出。

 以上が美術館トークの夜の市長のスケジュールです。

 市長このスケジュールをうかが限りでは、
 せめて1日だけでも来ることはできなかっただろうかと
 悔やまれてなりません。

 なぜなら、美術館トークでは
 たくさんの市民の方々が市長の出席を願っていました。
 本当に心待ちにしていたと思います。

 まちの人々が求めていたのは、
 経営トップである市長の
 生の声による説明責任を果たすことだったのだと
 僕は信じています。

 この計画に対する疑問がわき起こる中で、
 市民が求めていたのは、
 その疑問にみずからの言葉で答える市長の姿、
 市長の声、つまり説明責任を果たす経営トップ、
 リーダーの姿を求めていたのだと思います。

 見直しを求める市民が毎回とても多い中で、
 設計者である山本理顕さんご自身が
 実際に美術館トークの場に出席されていたのが
 とても印象的でした。

 みずからの設計ですから、
 我が子を思う気持ちだったのではないかと、
 その気持ちを僕はおしはかりました。

 けれども、今回の美術館計画は、
 市長、あなたが心から願った計画のはずです。

 経営トップである市長としても、
 あなた自身が美術館トークに出席をして、 
 その想いを語るべきだったのではないでしょうか。

 まさにこの美術館トークでの市長の対応が、
 現在の経営トップである市長自身が行うべき
 市民に対する説明責任のなさを示しているように感じています。

 ここで市長に質問です。

 1.美術館建設問題で
   5万5000人もの見直し署名が集まるということは、
   十分な説明責任が果たされていないということではないのか。

 2.市長みずからが
   美術館トークに参加して計画を語らなかったことは、
   経営者としての責任放棄ではないのか。

 3.5万5000人もの署名に対して、
   「多様な価値観がある」としか発言しないということは、
   説明責任の放棄ではないか。

   多様な価値観を持つ時代だからこそ、
   説明責任を果たして、1人でも多くの理解を
   得るべきではないのか。

 4.美術館問題に限らず、
   市民に対して市長からの語りかけが全くない現状を、
   経営者としての市長は
   説明責任を十分に果たしていると認識しているのか。

 5.横浜市や平塚市や神奈川県をはじめとする
   他の都市では、
   市長や県知事がみずから
   積極的に市民への語りかけを行っているが、
   なぜ横須賀市長は行わないのか。

   また、市長みずから語りかける仕組みを
   今後つくっていく意思はあるのか。


 以上5点について明確に答えてください。




























 次に、『市の職員』に対する説明責任についてです。

 市民に対しての説明責任と同じで、
 現在の横須賀では、
 経営トップとしての市長が市役所の一般の職員に対して
 直接話しかけるという機会も全くありません。

 唯一市長の考え方を知ることができる媒体として、
 市役所のホームページの中に
 『市長の窓』というコーナーがあります。

 けれども、これは
 雑誌に載ったインタビューや
 『広報よこすか』に載せたエッセーや記者会見などを
 改めて載せているだけです。

 職員に語りかけているという性質のものではありません。

 また、部長会が月1回行われており、
 管理職クラスは生の市長の声を聞くことはできますが、
 全職員のほんの一部である部長クラスに語るだけでは、
 命令は行き渡るかもしれませんが、
 市長のビジョン、
 市長の熱意、
 市長の息づかい、
 市長のまちづくりにかける意気込みは
 全く伝わってきません。

 経営のトップとして、
 職員のやる気を高めるためにも、
 一般の職員に対して
 市長が生の声で直接語りかけるべきではありませんか。

 この町の近くの自治体には
 いくつものお手本があります。

 例えば、神奈川県知事の場合はこうです。

 30代までの職員を対象にして、
 週1回程度の割合で
 若手職員と朝食会を行っています。

 喫茶店で熱く語り合う県知事と若手職員の姿が
 朝早くから見られるそうです。

 あるいは、横浜市長の場合はこうです。

 横浜市長は、市民の方々や職員の方々と
 市長室で一緒にお昼ごはんを食べながら語り合う場を設けています。

 『カレーランチミーティング』という名前で、
 市役所の一般職員と
 月1回以上の割合で語り合い、
 市民の方々とも月1回以上の割合で語り合っています。

 あるいは、平塚市長の場合はこうです。

 『テーブルトーク』という名前で
 職員とじかに語り合う機会を
 8月は5回も行っています。週1回以上の割合です。

 また、『市民と市長の夏のいどばた会議』という名前で、
 市民の方々とも3回にわたって
 ひざを交えて対話をしています。

 市長、ぜひ横須賀でもこのような仕組みをつくって、
 積極的に説明責任を果たしてください。

 月1回の部長会だけでなく、
 職員全体に語りかけるのも、
 最高経営責任者としての市長の説明責任です。

 日々多様化する市民のニーズに対して、
 職員は自分の価値観や倫理観と照らし合いながら、
 まちの政策について
 迷いながら業務を果たしていることも多いと聞きます。

 例えば障がいを持つお子さんを持つ職員さんがいます。

 その方自身も
 親として「もっと福祉に力を入れてほしい」と感じています。

 その方に対して、市民の方が
 「何故もっと福祉に力を入れないで
  美術館づくりなのか」
 という批判の声を、窓口で聞かされる。

 この職員さんは
 やりきれない気持ちでいっぱいだそうです。

 そんな時に、
 経営トップである市長自身が、
 もしも自らこの計画の必然性を語っていたならば、
 職員さんもトップの言葉を信じて
 自信を持って市民の方々の声に対応できたのではないでしょうか。

 市長が自分の経営ビジョンや
 その時々の問題を
 自分の言葉で職員に対して語りかけることで、
 そんな職員の方々の迷いをなくしてあげるべきではないでしょうか。

 前回の議会で、市長は僕に対して
 「十分にひざを突き合わせて話そう」とおっしゃいました。

 しかしながら、ひざを突き合わせて話すべき相手は
 僕ではないと思います。

 この町に暮らしている
 フツーの市民の皆さんです。

 そして、この放送を聞いているであろう
 毎日頑張っている市役所の一般の職員さんたちではないでしょうか。

 (注:一般質問は、市役所内でテレビ中継されているのです) 

 そこで市長に質問です。

 1.市の一般職員に語りかける機会が全くない現状に対して、
   市長はこのままでよいと考えているのか。

   これで社員である職員を
   納得させられていると経営者として感じているのか。

 2.他都市では積極的に果たされている
   市長から職員への生の言葉での語りかけの仕組みづくりを、
   今後市長は行う意思があるのか。


 以上、はっきりと答えてください。






















 最後に美術館問題について質問をします。

 5月30日に
 市長とこの問題でここで質疑をしました。

 その場で述べたとおり、
 見直しを求める署名活動を2カ月半にわたって
 行なってきました。

 そして、先日
 5万5116名にものぼる署名を
 市民の方々とともに
 市長に提出いたしました。

 けれども、市長は
 「見直しを行わない」と断言されましたが、
 これだけのこの署名を受けて
 現在はどう考えているのか、
 単刀直入にこの点をお聞きしたいと思います。


 以上で
 私の第1回目の質問を終わりにします。


フジノの質問に対して
市長の答えはいかに!?


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