議会では、こんなやりとりしています


第1問目(その2)




























 第2に、美術館の建設予定地である
 観音崎という土地がなぜ愛されているか、その理由を分析して、
 美術館をつくることが本当に正しいのかを
 質問したいと思います。

 観音崎の一体どんなところが愛されているか、
 データから分析した結論はこうです。

 観音崎の魅力も横須賀の魅力と同じく、
 その自然のすばらしさにあります。

 なぜそう分析できるかを説明いたします。
 経済部からいただいた数字です。

 観音崎には、有名な4つの観光スポットがあります。
 観音椅灯台、海水浴場、自然博物館、
 そして観音崎公園です。

 それぞれを訪れた人の数を
 平成14年(1番新しいデータです)で見てみましょう。

 小学校でも遠足で訪れる、
 最も観音崎を象徴しているような観音埼灯台。
 ここには昨年5万3,430人が訪れました。

 次に海水浴場です。
 夏の海水浴だけでなく、それ以外の季節でも、
 バーベキューや磯遊びで1年を通して人気の海水浴場、
 ここは3,860人でした。
 これは約4カ月半の数字なので、
 1年間に直すと約1万人が訪れたことになります。

 それから、行ったことのある方はご存じですが、
 眺めのよい庭がある自然博物館はどうでしょうか。
 ここは1年間で2万5,805人が訪れています。

 そして最後に観音崎公園です。
 ここには何と1年間で226万9,444人もの人が訪れています。
 厳密には、観音崎公園の中に
 ほかの3つのスポットも含まれていて、
 全体で観音崎公園と呼んでいるのですけれども、
 公園を訪れても、象徴である観音椅灯台を見ない人が
 215万人もいるわけです。

 海水浴もバーベキューも自然博物館も見ないのです。
 つまり、226万人もの人が観音崎を訪れている理由は、
 灯台でもなく、海岸でもなくて、
 自然があふれているあの公園にこそあるのです。

 その自然のすばらしさこそが観音崎の魅力です。
 愛されている理由なのです。

 それなのに、その自然を壊して美術館をつくることが
 本当に正しいのでしょうか。


 美術館基本計画に書かれている美術館の目的の1つとして、
 横須賀を訪れる人をふやすことが挙げられています。

 けれども、美しい自然を破壊してまでも
 美術館建設を観音崎で進めることは、
 実は観音崎本来の魅力を損ねてしまうのではないか、
 訪れる人々を逆に減らしてしまうのではないか、
 僕はそう考えています。

 観音崎が愛されている理由がその自然にあるならば、
 市長、あなたはそこに美術館をつくることが
 本当に正しいと思いますか。ぜひお答えください。

 美術館基本計画の中には、
 まちを愛する心のあらわれが美術館をつくる背景だ
 とありますけれども、
 まちを愛する心のあらわれは、
 実は美術館をつくらないことではないかと僕は思います。




















 第3に、建設予定地である観音崎を選んだ理由について
 納得できない点があるので、質問したいと思います。

 観音崎を美術館の建設予定地として選ぶときに、
 谷内六郎さんの絵を寄贈されたことが
 理由の1つであると言われています。

 これは平成11年3月25日の第1回定例会、
 都市問題調査特別委員会などで言われています。

 谷内さんは観音崎にゆかりがある、
 だからその絵を寄贈するに当たって観音崎を美術館にしてほしい
 という要請があった、そういう意味ですか、市長。

 この美術館計画は、
 美空ひばり記念館のような、ある1人の記念館ではありません。

 ある1人の記念館ならば、
 その人にゆかりのある土地を選ぶべきでしょう。

 けれども、この美術館の計画は
 三浦半島全体にゆかりのある美術のための
 美術館であったはずです。

 しかも、50億円以上かけて行われる
 43万人の市民全体にかかわる美術館のはずです。

 そこに少数の方の希望が反映されてしまう、
 それは正しいことなのでしょうか。

 市長、ぜひこの点をはっきりとお答えください。


                 

















 第4に、中核市である横須賀のまちづくり
 という観点から質問をします。

 「40万都市にとって美術館は都市のステータスである」、
 あるいは「中核市は皆、美術館を持っている」、
 こんな趣旨の発言が
 これまで市の関係者の答弁に見られます。

 しかし、これはとてもおかしな発言です。

 なぜならば、これからの地域づくりの課題というものは、
 「よそ並み」にすることではなく、
 「よそと違う」地域の個性と魅力をつくることにある、
 そう市長も述べているからです。
 平成11年第1回定例会です。

 そもそも、この横須賀市が中核市というものに移行したのは、
 決してステータスなんかをめざしたのではなくて、
 より地域に根差した、
 よりきめ細かい行政のサービスを行うこと、
 そしてそれを通じて横須賀らしさを発揮したい、
 そう市長が考えたからだと僕は受けとめています。

 それならば、美術館の建設に対して、
 美術館はステータスである、
 横須賀以外の中核市にはみんな美術館があるから、
 そういう発言は絶対にありえてはいけない、
 そういう発言だと僕は思います。

 中核市とは、普通の市に比べると、
 より個性と独自性を発揮できるはずです。

 ですから、中核市本来の意義に立ち返ると、
 美術館の中身がいかに個性的であっても、
 そもそもの美術館をつくること自体が
 横並びの発想で個性に欠けるものだと僕は思います。

 個性を発揮するチャンスが与えられた
 中核市である横須賀市に
 美術館をつくることが本当にふさわしいのか。

 あえて美術館をつくらないことこそ、
 中核市としての横須賀市の個性を発揮することではないのか。

 市長、ぜひ中核市という観点から、
 美術館の建設についてその必然性をお答えください。

 (質問は続きます。次のページへ)


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