議会では、こんなやりとりしています


動画で質問の様子をみることができます。
市議会HPの日程平成20年5月13日をご覧下さい。

2008年臨時議会・本会議(5月13日)、市長への質問


























 <はじめに>

 おはようございます。
 藤野英明です。

市議会の本会議場の全景

 質疑を行なう前に、今回の『条例の制定の直接請求』に対して
 市民のみなさまにこころから御礼を申し上げます。

 わずか1ヶ月間で、有効署名数4万8661筆。
 素晴らしいと思います。

 また、無効となった3777筆も
 想いのこもった1筆に変わりは無く、
 誇りある5万2438筆だと受けとめています。

 直接請求は、地方自治法に定められている重要な制度であり、
 市民のみなさまの政治への直接参加こそが
 民主主義を発展させていく大きな力となります。

 そこで、僕は住民投票条例を今度こそ成立させたいと願う立場から
 議案第53号に関して、
 市民のみなさまが
 2度もの直接請求をせざるをえなかったその原因などについて
 大きく5点について市長に質問いたします。































 1.蒲谷市長の責任問題について


 (1)横須賀市制101年の歴史において、34代続く横須賀市長の中で
  わずか1期目の在任中に有権者から2度にわたって
  直接請求を出された市長はこれまで存在しているのか。


 まず最初にお聞きしたいのは、この点です。

 直接請求の根拠である地方自治法は
 1947年に施行されました。

 それから61年が経った現在、横須賀市長は34代目となります。

 <質問>
 この61年間で蒲谷市長以外に、
 わずか1期目の在任中に、有権者から2度にもわたって
 直接請求を出された横須賀市長はこれまで存在しているのでしょうか。

 お答え下さい。
































 (2)もしも(1)の答弁が「蒲谷市長だけしか存在しない」のであるならば、
  蒲谷市長は「政治家」として、ご自身の責任をどのようにお考えか


 何故こんなことを質問するのか。

 それは主権在民、市民が主役であるわが国において
 日頃は主権者である「市民」の信託を受けて
 政治家は「市民の代表」として活動をしています。

 にもかかわらず、
 主権者である「市民」みずからが直接行動を起こした
 「直接請求」が連続して起こっている今の横須賀市の状況とは、

 「市民の代表」として選ばれているはずの政治家にとって
 その「代表」としての機能の正当性が問われている
 重大な事態を意味している
からです。

 そもそも全国的に見て、
 住民投票を行なってほしいという市民の声が起こる事態とは、
 市長や市議会の決定が「民意」とかけ離れてしまっている時です。

 つまり「市民の代表」であるはずの政治家の決定に
 主権者である「市民」が納得していない時に起こるのです。

 さらに、わずか1ヶ月という短い期間に
 有権者の50分の1以上の署名捺印が必要という
 厳しい条件が課される直接請求に

 2度も市民を駆り立ててしまった蒲谷市長は
 「市民の代表」であるはずの市長としての政策判断が
 「市民」の想いと乖離してしまっているとはお考えになりませんか。

 この問題についてのみ、という限定の上ですが
 「不信任」を「市民」から突きつけられたに等しくはないでしょうか。

市民から市長への不信任ではないかと追及するフジノ

 <質問>
 直接請求を2度もこの短期間になされたという事実を
 蒲谷市長は「政治家」として、
 ご自身の「責任」をどのようにお考えですか。

 お答え下さい。


































 (3)2度に渡る直接請求が有権者から起こったことを、
  「米軍基地があることに常に向き合わざるをえない横須賀市の市長」として
  蒲谷市長はご自身の「責任」をどのようにお考えか。


 今回の質問作成にあたり、
 僕は本市の戦後の歴史を記した文献を何冊か読んでみたのですが

 米軍基地を抱える本市では、
 歴代の横須賀市長はみな常に苦悩の連続で
 時には理想や信念を捨てざるをえず、厳しい判断を迫られてきました。

 例えば、革新系市長と言われた長野正義市長が
 空母ミッドウェイの横須賀母港化を認めざるをえなかったことは
 まさに苦汁の決断であったと感じました。

 そもそも「横須賀市長」という立場に就くことは、
 他の市町村長とは決定的に異なっています。

 それまで強く抱いていた自分の理想や信念を自ら裏切って
 政府や米軍の意向に従属させられかねない危険性が常に存在しています。

 政府や米軍から浴びせられ続ける有形無形の圧力から
 市民を守る為にどの代の横須賀市長も
 闘い続けなければならないのです。

 さて、そもそも通常型空母のみの継続配備を
 選挙公約としていた蒲谷市長は、

 原子力空母の横須賀母港化問題について
 政府と米軍に対して全身全霊を賭けて闘ったのでしょうか。

 少しでも多く市民の安全と利益を守る為に
 明らかに原子力空母の為としかいえない
 横須賀港の浚渫工事を許可しないなど
 考えられる全ての、取りうる全ての手段を講じたと言えるでしょうか。

 もしも蒲谷市長の取り組みが
 苦悩の中で決断を迫られてきた歴代の横須賀市長たちと比べて
 全身全霊をかけたものだと市民に受け止められるほど
 鬼気迫るものであったならば

 その姿に「市民の代表」として闘ってくれたと感じて
 2度にもわたって直接請求が
 起こることは無かったはずだと僕は感じました。

 <質問>
 常に米軍基地問題と向き合わねばならない「横須賀市長」として
 蒲谷市長はその「責任」を十分果たしたとお考えでしょうか。

 市長の考えをお聞かせ下さい。




































 2.現在までの本市の安全対策の問題と今後の在り方について


 質問(1)

 今回の住民投票条例案の最大の特徴は
 原子力空母の横須賀配備に対する「安全対策」について
 現状で十分かどうか市民の判断を聞く、という点にあります。

 ここで、あえて市長に申し上げたいのは
 そもそもこのような問いが含まれていること自体が

  現在に至るまで市長が取り組んできた
  「安全対策」についての様々な取組みでは
  市民に安心を与えることができていない


 ということを示しています。

安全対策の問題性について追及するフジノ

 市長はこれまでいくつもの「安全対策」を挙げてきました。

 どんな些細な変化でも米軍は本市に情報提供するという通報体制をはじめ、
 既存のオフサイトセンターの活用や
 モニタリング体制の強化や
 アメリカ軍との防災訓練の実施など多岐にわたっています。

 けれども、本当にそれらの「対策」が
 「市民の不安を取り除く安全対策」になっているのでしょうか。

 むしろ、そうした「対策」は
 市民には受け容れられていないのが現実ではないでしょうか。

 例えば、僕がまちに出て市民の方とお話をしていると、
 「ヨウ素剤を全戸配布してくれ」という声を聞きます。

 僕は、管理面の問題や誤飲による副作用の問題があって
 全戸配布は難しいのだとお答えして、
 いざという時には迅速に配布できる準備ができているとお伝えしても
 決して安心してくれる方はおりません。

 <質問>
 現在進めている「対策」のうち必要なものはさらに進めるのは当然ですが

 同時に改めてこの直接請求を機会に
 市民のみなさんが本当に求めている「安全対策」とは一体何なのかを
 市民の声に今一度、虚心に耳を傾けるべきではないのでしょうか。

 市長の考えをお聞かせ下さい。






























 質問(2)

 先ほど述べたように今回の条例案では
 「安全対策」について現状で十分かどうかを問うていますが
 これが意味することは、もう1点あります。

  市長が現在まで行なってきた「安全対策」の
  「情報提供・広報」の取組みでは
  市民の不安を解消・払拭できるものでは無かった


 ということではないでしょうか。

 例えば、原子力空母の安全対策に対する市民説明会を行いました。
 昨年の広報よこすか11月号でも「安全対策」を特集しました。

 <質問>
 けれども、こうした取組みでは
 市民のこころには届かなかったのではないでしょうか。
 それとも現状で十分に市民に届いていると思いますか。

 市長の考えをお聞かせ下さい。































 質問(3)

 必要があれば文部科学省の専門家に意見を聞けるからとか
 具体的な資料や検証データが無いファクトシートに
 安全だと書かれているからだとか
 そんな空疎な言葉では誰ひとりも安心させることはできません。

 実際、市民の方々よりも多くの情報に接しているはずの
 市議会議員である僕自身も
 現状では不安の方が強く
 安全対策が十分とはとても感じられません。



  ・これまで市長が行なってきた「安全対策」の取組みが
   市民に受け容れられていない。

  ・また、その情報提供・広報の取組みも
   市民の不安を解消できていない。


 こうした現実を真摯に見つめた時、
 住民投票を行なうか否かの以前の問題として蒲谷市長は

 全ての市民の不安を解消するために、
 今後、市長が「安全対策」として行なう全ての取り組みについて

 その対策の実現に向けた詳しいスケジュールを公開すると共に
 その対策を取ればどれだけ安全を守れるのかという具体的な効果について、
 改めて全てを徹底的に明らかにすべきではないでしょうか。

 それは誰もが腹の底から納得できるという意味での
 誠実な情報公開を行うということです。

 <質問>
 今後の安全対策の在り方について、
 市長の考えをお聞かせ下さい。














































 3.凶悪な米兵犯罪の続発が、今回の署名数が1万人以上も増加した
  1つの原因ではないのか


 住民投票条例案が1度否決されたという不利な条件の中で
 今回の署名数が前回を1万人以上も上回ったことは
 「民意」の表れとして、非常に注目すべきことです。

 さて、今回の署名数が圧倒的に増えた原因を
 蒲谷市長はどのように分析しておられますか。

 もちろん署名を集めた市民のみなさまの
 熱心な活動によるものですが

 それだけではなく、米兵による凶悪な犯罪が
 繰り返しこのまちで続いているからだと僕は分析しています。

米兵犯罪の続発が署名激増の原因の1つではないかと追究するフジノ

 かつて蒲谷市長はくりかえし、

 「アメリカ軍をみな犯罪者のように扱うのは差別だ」、
 「むしろ愛すべき隣人として扱うべきだ」、

 という趣旨の発言を繰り返してきました。

 また、

 「横須賀市民の間には米兵犯罪を原因とする
  体感治安の悪化は無い」

 との趣旨の答弁もしました。

 しかし、市長の認識が甘かったということは
 すでに現実が証明しています。

 例えば、僕は昨年11月29日に一般質問で
 「防犯体制を強化しなければならない」と警告しましたが
 市長は「強化する必要は無い」と答弁しました。

 そして、そのわずか3日後に米兵が
 2人の女性を暴行するという事件が起こったのです。

 原子力空母の母港化によって、横須賀にやってくる
 アメリカ軍の兵士や軍属がさらに増えることは
 市民であれば誰もが直感的に知っています。

 原子力空母の横須賀配備と共に
 凶悪な米兵犯罪も増えるのではないか。
 もうこれ以上、米兵による凶悪犯罪はイヤだ。

 そんな不安や体感治安の悪化が
 原子力空母による米兵・軍属の増加を嫌った市民による
 署名数の増加につながったとは思いませんか。

 3月19日に汐入で米兵が強盗殺人を起こしたことは
 記憶に新しいと思いますが

 この時には蒲谷市長もそれまでとは明らかに違うトーンで
 「一部の不心得者の行為では済まされない問題」だ
 と発言しています。

 <質問1>
 署名数の増加の原因には凶悪な米兵犯罪への
 市民の不安や体感治安の悪化があったのではないでしょうか。
 市長の考えをお聞かせ下さい。

 <質問2>
 また、署名数が増加したことは
 本市が現在行なっている米兵犯罪への防止策が弱く、
 市民全体には支持されていないことも示しているのではないでしょうか。

 あわせてお答え下さい。


































 4.蒲谷市長は横須賀市民とさらに積極的な対話を
 くりかえし行なうべきではないか


 2005年の横須賀市長選挙において
 当時の候補者は全員が通常型空母の配備継続を訴えていたので
 蒲谷市長に投票した人もそうでない人も
 市民全体の想いとして、原子力空母に反対していました。

 もちろん蒲谷市長も、通常型空母の継続配備を
 選挙公約として、当選しました。

 さて、現在はマニフェスト選挙の時代であり、
 選挙公約とは市民との重大な契約です。

 しかし蒲谷市長は、原子力空母の配備容認へ方針を転換し
 市長の公約を信じて投票した有権者をはじめ、
 横須賀市民を置いてきぼりにして、その重大な契約を一方的に破りました。

 今ふりかえっても「あっという間」の方針転換でした。

 いつのまにか市長は口癖のように
 現実路線として「安全対策」を成し遂げることこそが
 最大の責務である、と述べるようになりました。

 しかし、本来ならば、蒲谷市長は
 これほど重大な方針転換をするにあたって

 自ら辞職して
 原子力空母配備の容認に対して
 その是非を選挙によって市民に問うべきでした。

 ご自分の後援会などでは説明をしたのかもしれませんが
 かつての通常型空母のみの配備という
 選挙公約を信じて投票した有権者は
 今も全く方針転換に納得できていないのが現実ではないでしょうか。

 マスコミ報道によって今年8月から
 原子力空母が横須賀を母港にするという状況は
 あたまでは理解できたとしても、

 今からたった3ヵ月後に本当にこのふるさと横須賀に
 長年の市是として拒否してきた原子力空母がやってくるということを
 こころからのみこめている市民はいるのでしょうか。

 誰も納得なんかできていません。
 だからこそ、直接請求が起こったのです。

政治とは対話の繰り返しだと力説するフジノ

 政治とは妥協だ、と言われます。
 民主主義というのは徹底的にお互いの意見を話し合って
 お互いの主張を述べて、お互いに譲り合って、
 そして、一致できる妥協点を探して、そこをめざすのです。

 しかし、蒲谷市長は、この問題については
 市民と向き合わず、徹底した対話をせずに
 現在に至ってしまいました。

 <質問>
 2回もの直接請求という事態を引き起こしたのは
 ひとえに蒲谷市長がこの問題について市民との徹底的な対話を
 しっかりと行なってこなかったからだ、と僕は考えています。

 たとえ今からでも市民とさらに積極的な対話を
 徹底して繰り返していくべきです。

 この点について、市長の考えをお聞かせ下さい。































 5.住民投票の「対象事項」の基準に対する、蒲谷市長の現在の見解について

 質問(1)

 住民投票の対象事項を具体的に挙げていくことを「ポジティブリスト」と呼び、
 対象事項としてそぐわない事項を挙げていくことを「ネガティブリスト」と呼びます。

 昨年第1回臨時議会で僕は市長に質疑を行なって

 ポジティブリストとネガティブリストをそれぞれ例として挙げて
 蒲谷市長なりの見解を示してほしいと申し上げました。

 それに対して市長は「第26次地方制度調査会」の
 平成12年10月答申をあげて「引き続き検討中である」として
 明確な答弁を避けられました。

 にも関わらず、前回も今回も
 住民投票に関する条例案に付した市長の意見書では

 憲法第73条第2号を引き合いに出して
 原子力空母の配備に対する地元住民の意思を示すことは
 住民投票になじまないとしています。

 しかし憲法第73条第2号は「国の役割」を規定しているだけで、
 「住民投票の対象」を具体的に制限しているものではありません。

 憲法にも地方自治法にも
 住民投票によって原子力空母の配備に
 地元の市民が意思表示をしてはならないとは記されていません。
 安全対策の可否を示すことについては言うまでもありません。

 何故、市長がこの対象を住民投票になじまないとするのか
 その根拠となる基準が理解できません。

 その為にはぜひ蒲谷市長がお考えになる
 ポジティブリストとネガティブリストを示してほしいのです。

 しかし、今回の答弁では「調査会の答申」などではなく、
 政治家であり地方自治体の長である
 蒲谷市長ご自身の持論をぜひお答えください。

 <質問>
 蒲谷市長が考える住民投票の対象事項の
 「ポジティブリスト」と「ネガティブリスト」とは何か、
 可能な限り「個別」かつ「具体的」に列挙してお答えください。



























 質問(2)

 もしも前問の答弁を明確に示すことができないのであれば、
 それは、

 「住民投票の対象とは、その時々の市長が恣意的に決められるものだ」

 と市民に受け止められかねないと僕は思います。

 つまり、「自分に都合の悪い時はやらないのだ」
 言われてもしかたがないと思います。

 市長はこの点について、どうお考えでしょうか。
 お聞かせ下さい。



 以上で1問目を終わります。



市長の答弁は後日、掲載します。

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