議会では、こんなやりとりしています


動画で質問の様子をみることができます。
市議会HPの日程平成22年11月29日をご覧下さい。

2010年11月臨時議会・本会議(11月29日)、市長への質疑






 藤野英明です。よろしくお願いします。

 本日、市長から5つの議案が出されましたが
 人事院勧告に基づいて本市職員の給与を引き下げようとする2つの議案、
 第101号と第103号に関連して、市長に質問します。



 人事院勧告に基づいて職員の給与を改定することは
 毎年くりかえされてきた慣例ですから

 職員にも比較的受け入れられやすく
 人件費をカットする為の口実としてはとても便利です。

 しかしこれは『経営』という観点から見れば
 とても安易で、無策でしかありません。

 財政危機における「人件費は単にカットすればそれで良い」という
 現在の全国的な傾向に対して

 「それでは人財を最大限に活かすことにはならない」

 と僕は考えています。

 そこで、この質疑を通して、
 「今回」の議案の賛否の判断の根拠とすると同時に
 「今後」の本市の人事・給与政策の在り方について
 議論を始めるきっかけとしたいと考えています。



 それでは質問に入ります。
























 1.本市の給与政策の在り方について。

 提案された2つの議案は、
 8月10日に人事院によって出された勧告に基づいて
 本市の職員給与を減額しようとするものです。

 人事院勧告に基づく職員給与の改定は
 本市では、毎年、無批判に繰り返されてきました。

 しかし、この改定の方法に
 経済合理性や何らかのプラスの効果があったのでしょうか。

 表面的には、人件費を圧縮することができたように見えても
 例えば財政全体を『経営』という観点から
 プラスの効果と
 マイナスの効果を比べてみて
 本当にプラスの効果が上回っていたのでしょうか。

 もしそうでないならば、本市はこのやり方を変えるべきです。



 そもそも国家公務員の給与に対する人事院の勧告という制度が
 経済合理性のあるものかを改めて検討すべきです。

 今年も勧告と共に人事院総裁が談話を出しました
 この中で、勧告の効果について次のように述べています。

  「国家公務員の給与に係る人事院勧告は
   国家公務員法に規定する『情勢適応の原則』に基づき、

  経済・雇用情勢などを反映して決定される
  民間給与に準拠して行なわれます。

  それに基づいて公務員給与を決定することは
  国民の理解を得られる適正な給与水準を確保するものとして
  定着しております。

  公務員給与を適切に決定することは、
  職員の努力や実績に的確に報いると共に

  人材の確保にも資するものであり、
  組織活力の向上、
  労使関係の安定などを通じて
  行政の効率的、安定的な運営に寄与するものであります」

 本当でしょうか?

 この談話の前半部分と後半部分は
 論理的に全くつながっていません。

 公務員の給与は民間企業に準じた金額にするという情勢適応の原則と
 職員の努力や実績に的確に報いるということとは
 全く無関係です。

 情勢適応の原則についてですが
 市場原理が適用されないように見える公務員の給与の金額について
 国民に理解を得やすいように設定した基準の
 ひとつの在り方にすぎません。

 特に、厳しい経済社会状況のもとでは
 バッシングを受けやすい公務員の給与の金額について
 国民のなんとなくの理解を得られる『理屈』に過ぎません。

 むしろ、職員の労働による成果や
 積極的な工夫や努力による改善などの効果とは無関係に
 給与政策を放棄して一律の基準をあてはめるものです。

 これでは人事院総裁の言葉とは全く逆で
 職員がいくら努力しようとも
 どれだけ実績をあげようともインセンティブは何もなく
 そうしたの努力や実績に的確に報いるどころか
 全く無関係に給与が決まるということです。

 この談話1つとっても、人事院勧告の持つ効果は見えませんし

 そんなあいまいなものに基づいて本市が給与改定を繰り返すことは
 1人1人の労働者の心理的な効果という観点からも
 正しいとは言えないはずです。

 人材確保にも有効だとは言えませんし
 組織活力の向上どころかモチベーションの低下をもたらし、
 ひいては、行政の効率的、安定的な運営をも妨げかねません。



 さて、こうした観点に加えて、
 新しい時代の地方政府の経営という視点に立った時、

 全国一斉に横並びで職員給与の改定を続けている現状は、
 地域主権の確立を目指すべき地方政府の立場としても
 誤りだと僕は考えています。

 それぞれの地域の現状に基いて
 それぞれの地方政府が
 独自に定めるべきものだと僕は考えています。

 地方公務員法では給与について
 3つの原則が定められていますが

 それらは決して地方政府独自の判断を
 禁止しているものとは読めません。

 職員のモチベーションを的確に高めていく、
 組織のパフォーマンスを向上させていく、
 その為に柔軟な給与政策を取るべきことの方が
 全体の奉仕者である
 公務員の本分を生かすことではないでしょうか。



 さて、本市についてに話を移しますが、
 残念ながら吉田市長は
 これまで本市の給与政策はいかにあるべきかを
 その目指す効果や根拠を示して具体的に語ったことはありません。

 例えば、平成21年第3回定例会において
 高橋敏明議員との質疑において、

 「本市が慣習としてきた職員給与の人事院勧告に準じた
  取り扱い方式を今後も継続するのか、
  それとも破綻状況にある厳しい財政事情を勘案して 
  本市独特の判断で決めていく方式をとるのか」

 との質問に対して、
 地方公務員法第24条第3項の「均衡の原則」を挙げて

 「今後も基本的にはその手法で行いたい」

 と答弁しただけです。

 何故その前例踏襲の手法を行なうことを吉田市長が選んだのか、
 その効果や目指す方向性などの説明が全くなされていません。

 例えば、昨年の給与改定はどんな効果があったのでしょうか。
 給与を減額したことで具体的に何か効果が得られたのでしょうか。

 そこでまず市長にうかがいます。


 (質問1)
 (1)市長はそもそも職員給与の在り方について
  どのようにお考えでしょうか。

  市長の給与政策についての考えをお聞かせ下さい。


 (質問2)
 (2)昨年の「人事院勧告に基づく給与改定」の根拠として、
  地方公務員法における給与についての3原則の1つである
  「均衡の原則」を市長は挙げましたが、それは何故なのでしょうか。

  特に「均衡の原則」を重視する理由は何でしょうか。
  その効果として何を目指しているのでしょうか。

  また、今回の給与改定の議案もまた
  この「均衡の原則」がその提案根拠なのでしょうか。




 (質問3)
 (3)地方公務員法で記されている3原則の1つには
  第24条第1項「職務給の原則」があります。

  そこには職員の給与とは
  その職務と責任に応じて決めるべきだとされています。

  一般的に見て民間企業であろうと無かろうと
  この原則こそが誰もが腑に落ちるものではないでしょうか。

  むしろこちらの原則をより重視して、
  つまり、その職務と責任に応じて
  職員の努力や成果に連動した給与制度の構築こそ
  目指していくべきではないでしょうか。

  これは同時に、かつて沢田市長がスタートさせた
  人事制度改革をさらに進めていく進化・
  深めていく深化をさせていく上で
  最も重要だと僕は考えています。

  それは従来の横並びの均衡を重視した
  「人事院勧告に基づく給与改定」とは対極的な政策と言えますが、

 市長はこうした取り組みの必要性をどのようにお考えでしょうか。

 本市の給与政策の在り方について
 以上の3点についてまずお答えください。































 2.昨年の臨時議会での議論を受けて、本市の対応について

 さて、ここからは昨年の給与マイナス改定の際になされた議論について
 その後どのような対応がなされたかをうかがいます。

 昨年も今回と全く同じ形で臨時議会が招集されて
 本会議と委員会が開かれて、議論がなされました。

 その審議において、総務・教育両常任委員会では、
 3つの影響についての指摘がなされました。

 第1に、努力や成果などとは無関係に
 給与改定が繰り返されることが
 職員のモチベーションに与える影響について。

 第2に、度重なる職員給与のマイナス改定が
 本市経済に与える影響について。

 第3に、職員給与のマイナス改定が
 市民税の税収に与える影響について。

 これら3つの影響について、
 昨年、市としては
 具体的な検討をしていませんでした。

 そこで答弁において総務部長は

 「複合的な影響についての指摘を受けたので、
  単に人事院勧告に準拠するということではなく、
  今後はきちんと市の中で議論した上で進めていく」

 との主旨の答弁を行ないました。
 極めて誠実でまっとうな答弁だと感じます。



 大切なのはこうした議論が昨年あったにもかかわらず
 今年も全く同じマイナス改定を提案してきたことです。

 提案をしてきたならば、昨年出された3つの論点についても
 推測や検証がなされた上でクリアできているはずです。

 今回、本市はどのような検討や議論を行ない、
 具体的にどのような対応を行なったのかを伺います。




 (質問4)
 (1)これまで本市が進めてきた人事制度改革の方向性とは正反対に、
  一人一人の職員の努力や成果とは全く無関係な形で
  毎年こうして給与改定がなされることが、
  職員のモチベーションに与える影響について、
  どのような検討がなされたのでしょうか。

  また、負の影響が起こりうると判断したのであれば、
  どのような対策を講じたのでしょうか。 


 (質問5)     
  (2)度重なる職員給与のマイナス改定は、
  本市の経済にどのような影響を与えているのか、
  その経済効果について調査を行なったのでしょうか。

  もしもマイナスの影響、つまり
  消費活動が抑制されることによる景気へのインパクトなどが
  推論されるのならば、

  本市が進めてきた緊急経済対策の効果も
  減殺されうるのではないでしょうか。


 (質問6)
 (3)本市職員も市民税を納めている市民であり、
  その給与がマイナス改定されれば、
  当然ながら本市の市民税の税収にも影響が出ることが
  推測されます。

 昨年はこの影響額の調査がなされていませんでしたが、
 今回の給与改定にあたってはあらかじめ影響を精査したのでしょうか。

 そして、その影響は具体的にいくらになるのでしょうか。

 以上3点について、お答えください。

 これで僕の1問目を終わります。



 (画像:市長からの答弁を質問者席で聴くフジノ)



市長の答弁は後日掲載します。

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