議会では、こんなやりとりしています


動画で質問の様子をみることができます。
市議会HPの日程平成23年11月29日をご覧下さい。


*後日談 2012年予算議会において、
質問1(3)と同じ想いを持つ市民の方々から請願が出されました。
こちらをご覧下さい)

2011年12月議会・本会議(11月29日)、市長への質疑

 藤野英明です。よろしくお願いします。

 1.放射能からこどもたちの健康と安全を守るための
  本市の様々な取り組みの必要性について


 (1)高い濃度の放射性物質を含む側溝汚泥等が
   学校敷地内に放置された問題の原因究明について


 本市は6月末から市立学校の空間線量を測定しましたが
 いずれも線量が低く安心していたところ
 実はその影で大きな問題が起こっていました。

 ねぎしかずこ議員が
 市内の放射線量を測定して回っておられたのですが

 10月25日、鶴久保小学校の道路に面した校庭から
 毎時0.75マイクロシーベルトの高い線量が測定されたのです。

 このねぎし議員の測定によって発覚したのが
 夏休みの学校清掃後に側溝汚泥などが野ざらしにされていた問題です。



 8月25日に教育委員会から出された通知に基づいて
 各学校は放射性物質が集まって溜まりやすい
 側溝や雨どい等の清掃を行ないました。

 しかし発生した汚泥等の処理方法の周知が十分でなかった為に
 放射性物質に関する基礎的な知識の研修の機会も無いまま
 用務員の方々はいつもの清掃の延長として行ない

 鶴久保小学校をはじめとする複数の学校において、
 放射線量の高い汚泥や落ち葉などが集められて
 ブルーシートなどをかけられることも無いままに

 校庭のすみやビオトープの中など、こどもたちが日常的に接触しうる場所に
 2ヶ月にわたって野ざらしにされていました。

 この過ちによって、本来ならば避けることができた
 被曝(外部内部とも)をこどもたちが受けた可能性があります。

 放射性物質に関する対応の主管課は市民安全部ですが
 市民安全部と教育委員会が連携して
 正確な知識に基づいた対応を指示していれば、
 このような事態は起こらなかったのではないでしょうか。

 そこで市長に伺います。

 (質問)
 再発防止の為には原因を必ず検証すべきですが、
 どこに問題があったと市長は分析しているのでしょうか。

 お答え下さい。




 (2)放射性物質・測定機器・除染などに関する
  正確な知識を学ぶ機会を設ける必要性について


 放射性物質などの基礎的な知識が無いままに行動することで
 例え善意に基づいた行動であっても、
 逆に被曝リスクを高めてしまうことが起こりえます。

 例えば、公園や道路の側溝などを清掃して下さる
 町内会やボランティアの方々が

 放射性物質の特性や適切な除染の方法を理解していなければ、
 今回の鶴久保小学校で起こったことと同じ事態を起こしえます。

 したがって、放射性物質の基礎的な知識をはじめとして
 測定機器の使い方や適切な除染の方法などについて
 学ぶことができる機会を市として設ける必要があります。

 保護者や児童生徒をはじめ、
 広く市民のみなさまを対象にした講演会の開催などはもちろん、

 市民安全部だけでなくあらゆる部局の市の職員の方々への研修、
 学校の教職員、用務員をはじめ、
 学童保育や市民開放している体育館の利用者の方々、
 地域スポーツチームなどの学校関係者などに対しても
 広く啓発を行なうべきです。

 地域での清掃などに協力してくださっている
 町内会の方々やボランティアの方々にも啓発が必要です。

 そこで市長に伺います。

 (質問)
 このような正確な知識を学ぶ機会を設けて
 あらゆる関係者に広く啓発すべきではないでしょうか。

 お答え下さい。



 (3)市が行なっている除染の基準値を引き下げる必要性について

 市立学校での放射線量の再測定では
 地表高1cmで毎時0.59マイクロシーベルトを超える線量が
 検出された場合には除染を行なっています。

 この除染の基準値を設定した理由は
 市長が10月27日付けのブログで説明をしていますが

 「1日8時間校庭での活動を210日間続けた場合に
  1ミリシーベルトに達する線量」

 という計算に基づいている、とのことです。

 そして、0.59を下回った場合は
 そこで、0.3、0.4といった値が検出されても除染対象から外しています。

 しかしこれではこどもたちの被曝リスクを
 完全には減らせていません。

 1年間で1ミリシーベルトを超えないようにするというのは
 校庭での210日間だけではなく
 給食から体内に取り込むものや
 毎日の暮らしの全てから取り込んだ放射線量の積み重ねです。

 1年間は365日ですから365日で積算すれば
 被曝量は年間1ミリを超えてしまいます。

 また、これは外部被曝の場合しか想定していません。

 側溝汚泥などが野ざらしになって放置された結果
 乾燥した土ぼこりになってこどもたちがそこを歩いたり走ったり
 泥だんごを作って遊んだりすれば、口や鼻から吸い込んでしまいます。

 その時に起こることは外部被曝ではなくて内部被曝です。

 外部被曝と内部被曝による影響の強さの違いは
 もはや説明するまでもありません。

 つまり、こどもたちの内部被曝リスクを考えれば、
 検出された値が0.1違うだけで除染をしないという
 現在の対応では不十分です。

 そこで市長に伺います。

 (質問)
 毎時0.59マイクロシーベルト以上の値が検出された場合には、
 その地点を含む一連の側溝土砂や落ち葉なども
 例え0.59マイクロシーベルトより低い値であっても
 一括して除染の対象とすべきではないでしょうか。

 お答え下さい。



 (4)除染により埋設した土などを学校敷地内から
  早急に移動させる必要性について


 11月18日現在で36小中学校ろう学校の
 再測定と除染を終えていますが

 除染の方法は、最終的な処分先が決まるまでの処置として
 学校の敷地内に埋設しています。

 けれども、そもそも学校の敷地内に埋設することに
 保護者の理解は全く得られていません。

 また、埋設するまでの保管場所や埋設した場所について
 その対応は各学校によってバラバラです。

 立入禁止の表示やロープを貼って
 こどもたちが入らないように対応しているのは

 『市の指示』ではなく、
 危機意識の高い『校長先生の独自の判断』によるものです。

 8月26日に原子力災害対策本部が発表した
 『市町村による除染実施ガイドライン』では

 「埋め立てた場所が不明にならないよう、市町村において
  埋め立てた土地の位置や保管の方法を記録するとともに
  覆土が掘り返されることが無いよう、
  土地の所有者などに対する注意喚起をお願いします」

 と注意が促されているにも関わらず、本市では実施されていません。
 この問題について3点うかがいます。



 ア.学校敷地内への埋設は「仮置き」であることの確認。

 市民のみなさまからの問い合わせに対して
 教育長は「処分先が決まるまでの仮置きだ」と明言していますが、

 一方、市長は公的な場で
 そのように発言したことはありません。

 (質問)
 敷地内への埋設はあくまでも「仮の対応だ」と
 市長にも明言していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 お答え下さい。


 イ.埋設場所の統一的な管理対応を取る必要性について。

 8月26日に文部科学省と日本原子力研究開発機構が発表した
 『学校などにおける放射線測定の手引き』において

 「当面の対策として囲いや作を設けて立ち入りを制限する等の
  措置をとることは、被曝を抑制する観点から有効である」

 と記してあります。

 しかし、先程も申し上げたとおりで、現状では対応が学校ごとにバラバラです。

 (質問)
 主管課である市民安全部が教育委員会と連携して、
 埋設場所へこどもたちや近隣の方々が立ち入ることの無いように
 全ての学校で統一的な対応を取るべきではないでしょうか。

 お答え下さい。

4

 ウ.埋設した土のう袋を早急に学校敷地外に移す必要性について

 2008年に日本原子力研究開発機構が発表した
 『埋設処分における濃度上限値評価の為の外部被ばく線量換算係数』
 によれば

 埋設するにあたって土をかぶせる覆土が30cmになれば
 98%の放射線を遮蔽する効果があるとされています。

 しかし、研究でそう報告されていても
 保護者・教職員をはじめとする学校関係者の方々の本音の想いは

 最終的な処分場が決まるまで学校敷地内へ埋設しておくことでは無く、
 こどもたちが決して接触する可能性が無い
 学校の外の別の場所に一刻も早く移すことです。

 例えば、高い放射線量が検出されている下水焼却汚泥を
 下町浄化センターに保管していますが

 「学校で出た土の量はこれだけしか無いのだから
  下町センターへ移して欲しい」

 という声がとても多いです。

 不安の気持ちが消えない、という想いに
 僕たち政治・行政は寄り添って応える必要があるはずです。

 しかし、この問題は教育委員会だけで決められることではなく、
 上下水道局や市長部局の部局を超えた判断が必要です。

 そこで市長に伺います。

 (質問)
 仮置きとして学校敷地内に埋設されている土のう袋を
 早急に学校敷地外へ移す為に市長の決断が求められていますが、
 市長はどのようにお考えでしょうか。

 お答え下さい。




 (5)可能な限り全ての情報をオープンにする必要性について

 市長は8月10日付けのブログにおいて、このように記しています。

   私は、原発事故による「安全」の基準や原因の解決は、
   国や東電の仕事だと考えていますが、
   市民の皆さんに的確な情報提供を積極的に行うことで
   「安心」をお届けすることはできるのではないかと考えています。

 かねてから市長は
 「安全は届けられないが安心は届けたい」
 「的確な情報提供が安心を届ける最善の策だ」
 と繰り返してきました。

 それにも関わらず、鶴久保小学校から始まった
 一連の市立学校での再測定・除染のスケジュールについては
 一切公表せずにきました。

 再測定の場に立ち会いたい、
 除染の現場に立ち会いたい、

 という保護者の願いを無視して、
 いきなり市職員が学校に再測定に現れたことを知った保護者の方々が
 携帯やメールで必死に連絡を取り合って
 知らせ合う状況になってしまいました。

 まるで何か都合の悪いことを隠そうとしているのではないかと
 あらぬ不信感を市民のみなさまに持たせてしまいました。

 何故あらかじめ発表できないのか、全く理解できません。

 市長ご自身がおっしゃってきたように
 市民のみなさまの不安を拭い、信頼を高める為には
 事前に可能な限り全ての情報をオープンにすべきです。



 昨日28日本市が出したプレスリリースでは
 市内公園33ヵ所の放射線量の再測定を始めたと発表されましたが
 これについてもスケジュールが事前に全く発表されていません。

 また、これから本市は全ての幼稚園・保育園についても
 再測定と除染を行なう訳ですが

 再測定にあたっては可能な限り、必ず事前に情報を公開すべきです。
 そして、希望する方の立ち会いを認めるべきです。

 そこで市長に伺います。

 (質問)
 市民のみなさまに「安心を届けたい」と市長が本気で考えているならば、
 スケジュールを含めたあらゆる情報をオープンにすべきではないでしょうか。

 お答え下さい。




 2.市民自らの手で測定できる体制づくりへの支援の必要性について

 (1)放射線量測定機器の市民への貸出の必要性について

 すでに全国の多くの自治体で、
 市民向けに操作法の研修を行なった上で
 放射線量測定機器の市民への貸出が行なわれています。

 その目的は2つあります。

 第1に、市民のみなさまが
 ご自宅やご近所の身近な気になる場所を自ら測定することで
 放射線量の正確な実態を把握できるようになります。

 実態を把握できれば現実的な対策も取れるので
 無用な不安を解消することができます。

 第2に、市職員による測定だけでは
 広大な面積に対応するマンパワーとして限界がある中で
 市民のみなさまの協力を得られれば

 実態把握がよりスピーディーにできるようになり、
 きめ細やかな放射線量の監視体制の強化ができるという
 大きな効果が得られるのです。

 だからこそ、全国で測定機器の貸出が広がっているのです。
 そこで市長に伺います。

 (質問)
 本市でも早急に放射線量測定機器を
 市役所や行政センターに増台配備して、
 市民のみなさまへの貸出を行なうべきではないでしょうか。

 お答え下さい。




 (3)食材などを持ち込んで測定ができる
  市民放射能測定所の設置の必要性について


 9月議会で僕は、食物を介した内部被曝からこどもたちを守る対策として
 給食用食材などの放射性物質を毎日測定できる体制づくりを提案しました。

 それを受けて本市では、東京大学大学院・早野龍五教授の
 『給食一食まるごとセシウム検査』方式を全国に先駆けて実施しました。

 本当に教育委員会はよくがんばってくれました。

 本市の取り組みは政府に大きな影響を与えましたし
 今では多くの自治体が『横須賀方式』を取り入れるようになりました。



 改めて申し上げますが、その量はともかく、
 放射性物質はいずれ必ず検出されるだろうと申し上げてきましたが
 やはり、実際そのとおりになりました。

 11月27日に行なった最新の検査では
 11月21日から25日の4日分の提供給食の測定結果において
 放射性セシウム137が0.48ベクレル/kg検出されました。



 教育委員会は
 政府が出荷停止措置を取っていない食材のみを使って
 こどもたちに給食を提供しているにもかかわらず
 実際には、給食食材にも汚染があることが明らかになりました。

 しかし、こうしてしっかりと測定を行ない続けることで
 内部被曝の実効線量を把握することができると共に

 原因をすぐに追及して対策を取ることができることから
 長い目で見れば、必ず内部被曝予防につながります。

 そこで、次に横須賀市が取り組まなければならないのは
 学校給食以外の食材についても
 その汚染の実態を市民のみなさまが測定できる仕組みを作ることです。

 スーパーや八百屋・肉屋などで食材にベクレル表示を行なっている所は
 僕が知る範囲では市内にはまだ存在していません。

 一方で全国を見ると、NPOや自治体が測定器を設置して
 市民のみなさまが食材を持ち込んで測定できる
 市民放射能測定所が増えてきました。

 毎日食べているお肉や野菜や飲料水などから
 どれくらいのベクレル摂取をしているのかを知る為には

 使用料を支払ってもかまわないので
 食品の放射線量を測定できる場所を身近に設置してほしい
 と望む声が本市でも増えてきています。

 こどもたちと、これからこどもたちを産むことになる方々の
 健康を守るためにも汚染の実態を把握できる仕組みが必要です。

 そこで市長に伺います。

 (質問)
 保健所や健康安全科学センターなど市民のみなさまにとって身近な場所で
 市民が食材を持ち込んで放射性物質の測定をできる体制が
 必要ではないでしょうか。

 お答え下さい。




 3.東京電力に対して求める損害賠償の検討状況と今後の対応について

 の質疑は、先程ねぎしかずご議員への市長答弁において
 県市長会による政府への意見書の提出をはじめ、
 安全確認費用を東京電力へ請求するという
 明確な方針が確認できましたので、割愛します。




 4.市の在るべき姿勢として「現場を訪れること」の必要性について

 9月1日に行なわれた山城議員の一般質問において
 天然ガスコンバインドサイクル発電所に関する市長の答弁が
 実際の姿とかけ離れた内容の答弁に疑問を感じた僕は

 9月20日の一般質問において、
 市長及び担当部局は実際に現場を視察して答弁を作ったのか
 と質しました。

 市長は「敷地の外から眺めたのみ」との趣旨の答弁を行ないました。

 現場を観ないでイメージで答弁を行なったことは
 市議会での質疑への答弁作成の姿勢として極めて不誠実です。

 それに加えて、原発事故以降の脱原発の短期的に効果の高い手段として
 全国的に注目されている天然ガスコンバインドサイクル発電所が
 すでに本市に存在しているという優位性にも関わらず

 そこから学ぼうという姿勢が無いことは
 市の在るべき姿勢として極めて問題だと僕は指摘しました。

 改めて市長に伺います。

 (質問)
 9月議会での問題提起を受けて、その後、市長または担当部局は
 この発電所を実際に視察に訪れたのでしょうか。

 お答え下さい。


                       

 5.セクシャルマイノリティとされる方々への支援について

 僕は9月議会での一般質問において、
 いわゆるセクシャルマイノリティとされる方々への
 理解と支援を求める提案を行ないました。

 その中で、いわゆる性的マイノリティとされる方々が
 公的機関とNPOという信頼感のもと、
 同じ仲間が安心して集うことができるコミュニティースペースとして

 NPOと神奈川県が協働して2007年に横浜に開設した
 『かながわレインボーセンターSHIP』を具体例として取り上げました。

 それを受けて本市はさっそく11月16日に
 『かながわレインボーセンターSHIP』への視察を実施
しました。

 この迅速な対応を行なったことを僕は高く評価しています。



 こうした研究成果をもとにして
 具体的な支援へと乗り出すことを期待しています。

 そこで市長に伺います。

 (質問)
 セクシャルマイノリティとされる方々への支援について
 『かながわレインボーセンターSHIP』への視察も含めた
 その後の検討状況はどのようなものでしょうか。

 お答え下さい。


 以上で僕の1問目の質問を終わります。



市長の答弁は後日掲載します。


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