大好き、横須賀
(海が好き!)


2002/08/02
 名前さえ無い場所  〜南下浦町松輪〜



南下浦町松輪の海岸から観た夕陽




 親しくしている高校生たちが
 三浦の雨崎という海岸でキャンプをしていると聞きました。

 「そうだ。いきなり行って、驚かせてやろう!」

 ふと思いたった僕は、バイクに飛びのって出発したのです。
 上町から衣笠、武山、須軽谷、三浦海岸、剣崎。

 彼らが本当に居るのかも確かめず、
 雨崎という場所がどこなのかも、ちゃんと知らないまま。

 でも僕は、こういうのが大好きなのです。

 いきなり物事を決めてどんどん突っ走っていくことだとか
 確実なことが何にも無くても進んでいくことだとか
 人を驚かしたりすることだとか、
 そういうことが
 なんかとても大好きなのです。


 武山あたりで1度、ストップ。
 参加者の1人、Oくんに電話してみました。

 フジノ「ねえ、今日さ、雨崎に居るの?」
 Oくん「いますよ。フジノさん、来てくださいよ!」
 フジノ「たまたま近くにいるから、気が向いたら行くかもしれない」

 ふうん、とか、気が向いたらね、なんて言いつつも
 実は行く気満々(笑)。

 実際にキャンプしていることが確認できて、
 より気合が入ったのでした。


 だけど、ここからが苦難の道のりでした。
 彼らの居場所がほんと全く見つからなくて...。


 きっとそうとうな岩場をのりこえたところにあるんだろうな。

 そこで、剣崎のあたりから江奈湾までのあたりを
 ひたすら砂浜の行けるところギリギリまで
 バイクで入っていき、
 あとは海岸を走りまくって探しました。

 気がつくとこんなことを1時間近く繰り返していました。
 暑かったし、汗だらけでした。

 カッコ悪いけど、場所をちゃんと教えてもらおうかな。

 そう思って僕のPHSを見ると、圏外...。
 連絡は取れない。

 行くとはひとことも言わなかったし、彼らも来るとは思ってないだろ。

 もう夕陽もどんどん落ちていくよ。
 しかたない。あきらめようかな...。


 そうして、走り回るのをやめた僕は
 やっとまわりの景色をおちついて見ることができました。

 目の前では、夕陽がどんどん沈んでいくところでした。

 前はこうやって夕陽が沈むのを
 よく見たよなあ。

 もう彼らに会えなかったとしても、
 これが見れたから、いいのかもしれない。

 夕陽が沈むのを見届けた僕は、バイクへと引き返したのでした。


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 この街で暮らしていると、
 毎日のこととしてこんな風景に出会うことができる。
 自分さえ望めば、
 ちょっとだけ足をのばせば
 いくらでもこんな夕陽が見られるのだ。

 たとえば僕の場合、
 上町の事務所からだってほんの20分ぐらい。
 それだけのことでこんな景色の中に身を浸すことができる。

 そして別にこの場所は、
 夕陽の名物スポットでも何でも無い。ただの岩場だ。

 三浦市役所に海岸の名前を尋ねても
 「名前は無いですね。住所は松輪ですけれど」
 ただの岩場でしかないのだ。

 だけど、そんな名前さえ無い場所にも
 いくらでも美しさがある。

 僕たちは、とても恵まれた世界に生きていると思う。
 平和で、美しくて、そして幸せで。


 僕はずっとこの街で暮らしていきたいな、と改めて思いました。
 いつまでも、いつまでも。



 (後日談)
 
失意のままに三浦を離れて、自宅で休んでいた僕のところに
 参加メンバーから電話が入ったのでした。
 今度はちゃんと近くのバス停でまちあわせて
 そしてキャンプへと合流できました。
 最初に出発してから、3時間も後のことでした。
 カッコわりー!最初から場所を聞いて行けば良かったよ〜。
 でも楽しかったです(笑)



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