ブックレット「おなかの赤ちゃんと家族のために〜赤ちゃんに病気や障がいが見つかった方へ」の初版が完成しました!/NPO法人親子の未来を支える会(FAB)のイベントへ(その1)

「NPO法人親子の未来を支える会」(FAB)のイベントに参加しました

今日は東京・両国で開かれた『NPO法人親子の未来を支える会』(略称『FAB』)のイベントに参加しました。

『FAB』のイベントに参加するのは8ヶ月ぶり2回目です。

今日参加することをフジノは本当に心待ちにしていました。

イベントは2部構成で、午前は『胎児ホットライン開設中間報告会』、午後は『-1才(うまれるまえ)の命への向き合い方を考える会』です。

「胎児ホットライン開設中間報告会・-1才(うまれるまえ)の命への向き合い方を考える会」チラシより

「胎児ホットライン開設中間報告会・-1才(うまれるまえ)の命への向き合い方を考える会」チラシより


イベントの概要は以下のとおりです。

午前の部『胎児ホットライン開設中間報告会』、午後の部『-1才(うまれるまえ)の命への向き合い方を考える会』の2部構成となります。

今年3月に「−1才の命に向き合うお手伝い 『胎児ホットライン』 設立へ」としてスタートしたプロジェクトは、その後2ヶ月間に、当初の目標の約2倍である4,032,000円のご支援を頂くことができました。みなさま本当に有難うございました。

(クラウドファンディング『Ready for』で募集したプロジェクトのコーナー)

300名を超える皆様方からご支援を頂いており、みなさまに直接お会いしてご説明・御礼をする機会を作らせていただきます。

クラウドファンディングでご支援いただいた方や、日頃ご寄付を頂いている方を招待し、ブックレット作成の裏側や、現在の胎児ホットラインの進捗状況も合わせてご案内する会となります。

同日午後には「ー1才(うまれるまえ)の命への向き合い方を考える会」を企画しました。

数々の命の現場をレポートされている河合蘭(出産ジャーナリスト)さん、日頃からグリーフケアに関わっている蛭田明子さんをゲストにお招きし、ご家族の葛藤や支援者の取り組みについてご紹介いただきます。

この冊子はイギリスで発行されているものをもとに、日本で初めて作成することを林代表ら『FAB』のみなさんが決意されました。

妊婦健診・新型出生前診断(NIPT)などの出生前診断を受けた妊婦さんと配偶者の方々にとって、大きな支えになるはずです。絶対に必要な冊子です。

3月に参加した時、ぜひご意見をくださいと言われてフジノはゲラをお預かりしました。

初版が完成したブックレット

初版が完成したブックレット


それから8ヶ月。

『FAB』のクラウドファンディングも目標額をクリアしてブックレット作成はついに初版完成に至りました。

今日はそのお披露目をかねた会だったのです。

今後も改訂を重ねていくから完成はないとはいえ、ブックレットの初版完成は本当に嬉しかったです!

現在『FAB』のホームページでは、この初版に限ってアンケートにお答えすると無料でダウンロードができるようになっています。

NPO法人親子の未来を支える会サイトより

NPO法人親子の未来を支える会サイトより


ぜひご関心のある方はリンク先からアンケートにお答えして、ブックレットをダウンロードして下さい。




(その2へ続く)

権力者が垂れ流す差別的な言葉に苦しめられるこどもたちを守る為に大人ができることは「まず知ること」です/「第25回AIDS文化フォーラムin横浜」の最終日でした

3日間にわたって開催された「第25回AIDS文化フォーラムin横浜」の最終日でした

一昨日に続いて、『第25回AIDS文化フォーラムin横浜』に参加しました。

「第25回AIDS文化フォーラムin横浜」

「第25回AIDS文化フォーラムin横浜」


3日間にわたるフォーラムも、ついに今日が最終日です。

「AIDS文化フォーラムin横浜」(3日目)会場前にて

「AIDS文化フォーラムin横浜」(3日目)会場前にて


午前は、講座『HIV感染者の分娩と未受診妊婦の問題』に参加しました。

HIV感染者の妊娠と未受診妊婦の問題

HIV感染者の妊娠と未受診妊婦の問題


この講座は、昨年に続いての参加です。

フジノにとって、ものすごく大切にしているテーマです。

『HTLV-1と妊娠』についての取り組みと同じく、『HIVと妊娠』についても今後もしっかり取り組んでいきたいです。

午後は、トークセッション『Ribbonを繋ごう in YOKOHAMA』に参加しました。

Ribbonで繋ごう in YOKOHAMA

Ribbonで繋ごう in YOKOHAMA

  • レッドリボン
  • オレンジリボン
  • イエローリボン
  • スプリンググリーンリボン
  • パープルリボン
  • レインボーリボン

それぞれの活動に取り組んでいる方々がトークセッションをしました。

あなたはそれぞれのリボンが何を表しているか、ご存知でしたか?

フジノにとってはどの活動も大切にしているテーマなので、こうしてそれぞれの活動をしている方々がつながっていくことがすごく嬉しかったです。

歴史をふりかえると、権力の側は、人々を常に分断しようとします。

それに立ち向かうには、『つながること』がとても大切です。

つながりは、大きな力になります。

今回のフォーラムのテーマは『#リアルとつながる』でした。良いテーマだなあと感じます。

バーチャルでつながるのも全然OKですし、リアルでも人々がどんどんつながっていってほしいと願っています。

全体会・閉会式

全体会・閉会式


そして、『全体会・閉会式』に参加しました。

『AIDS文化フォーラム』はどんどん全国へ広がっていっています。

今年はすでに5月に、佐賀で開催されました。

名古屋では、9月2日に開催です。

京都では、9月29日・30日に開催です。

そして陸前高田で、11月18日に開催されます。

閉会式の最後に、隣の席の人とみんなで手をつないで撮影をしました。

フジノは『AIDS文化フォーラムin陸前高田』を主催する方々と手をつなぎました。陸前高田では、11月18日に『AIDS文化フォーラムin陸前高田』が開催されます。

「すっかり報道されなくなりましたが、本当はまだまだ復興していない陸前高田を現地に観に来て下さい」

との言葉をいただきました。

陸前高田、とても行きたいです。

パニック障がい持ちのフジノは即答できず、悲しかったです(涙)

でも、それぞれの持場で、それぞれに与えられた役割を果たしていくことが大切ですものね。

お互いにがんばっていきましょうね!



ついにかずえちゃん(YouTuber)にお会いすることができました

『AIDS文化フォーラム』の魅力は、大きく2つあります。

第1に『学びの場として選びきれないくらい魅力的なプログラムがたくさんあること』です。

フジノにとって今回も本当に充実した『学びの機会』でした。

ここで学んだことがきっかけで、さらに掘り下げて文献や論文を漁って、当事者の方々から生の声を聴かせていただく大きなモチベーションになっています。

そして、横須賀市議会でのフジノの質問に直結していくことが多いです。

第2に『人とつながることができること』です。

今年のフォーラムでフジノが最もつながりたかった方が、かずえちゃん(YouTuber)です。

かずえちゃんを初めて知った人は、ぜひこちらの動画をご覧下さいね。




フジノは、初日の開会式の後で話しかけたかったのですが、たくさんの方が話しかけておられたのでいったん諦めました。

そして「今日こそは必ず!」と決心して、トークセッション終了後に思い切って声をかけさせていただきました。

3分間で『自己紹介』『何故かずえちゃんにかねてから関心があるか』『横須賀のセクシュアリティに関する主な取り組み』を伝える為に、数日前から何度も頭の中で練習してきたのですが、なんとかうまく伝えきることができたと思います。

かずえちゃんは、横須賀を訪れたことがあることを話してくれて、横須賀でのセクシュアリティに関する取り組みにも関心を持ってくれたようでした。

かずえちゃんとフジノ

かずえちゃんとフジノ


小中高校生たちの『将来やりたい仕事・なりたい職業』で大人気なのがYouTuberです。

フジノの親戚や、仕事を通じて出会うこどもたちも、けっこうYouTuberを目指している子が多くいます。

かずえちゃんは、まさにこどもたちの憧れの仕事=YouTuberをしています。

かずえちゃんの公式YouTubeチャンネル

かずえちゃんの公式YouTubeチャンネル


さらに、そのYouTubeの内容は本当に素晴らしいです。

セクシュアリティについて11年学んできたフジノですが、人の数だけセクシュアリティは様々です。

2008年のブログ記事に

「性的マイノリティなんて存在しておらず、性的バラエティだ」

と書きましたが、人はみな本当に様々です。誰ひとりとして同じセクシュアリティは存在しません。

だから、フジノはかずえちゃんのYouTube動画を観ては学んでいます。

フジノが生きている人生の中で出会える人の数は限られていますし、信頼してご自身のことを語ってくれる人に出会える機会はさらに少なくなります。

けれどもかずえちゃんの動画の中では、リアルな生の声がたくさん語られています。



















行政は、啓発事業という形で講演会を開いたり、リーフレットを作ったり、ポスター展示をしたりします。

横須賀市も市職員への研修・教職員への研修(新規採用された方をはじめ、複数の機会があります)・幼稚園や保育園や学童保育で働く方々への研修医療機関への研修などをはじめ、あらゆる形で理解を深める取り組みをしています。

けれども、年1回、たった2時間くらい、研修を受けたくらいでは理解なんて不可能なんです。

やらないよりは絶対やるべきですが、足りないのです。

だから、ぜひかずえちゃんの動画を週1本ずつで良いから、市職員のみなさんや教職員のみなさんや大人の市民のみなさまは観てほしいのです。

学んでほしいのです。

すでにこどもたちはYouTubeにもYouTuberにも慣れ親しんでいますから、かずえちゃんの動画も観ています。自然と学んでいます。

一方、大人たちの多くはテレビのバラエティで流れてくる誤った情報ぐらいしか知りません。

学んだことが無い為に、正しい情報を知りません。

だから、セクシュアリティのことを大人は学んでほしいのです。

自分のこれまでの価値観とは違うかもしれない、性的な多様性を知ってほしいのです。

今、国会議員たちが信じられないような言葉を撒き散らしています。権力者による差別に満ちた言葉が世間にあふれることで、こどもたちを追い詰めています。

今年はこどもたちの自殺が、増えるかもしれません。

フジノのこの予想は、当たる可能性があります。

2015年6月、アメリカの最高裁が同性婚は合憲であると判決を出し、アメリカ全土で同性婚が認められました。

その後、アメリカのこどもたちの自殺が減ったと言われています。

つまり、多様なセクシュアリティが肯定された=自らのセクシュアリティが肯定されたことによって、こどもたちは生きることを選べたのです。

今、日本ではその正反対のことを政治家たちが行ない、政党もそれを許しています。とても危険な状況です。

「こどもたちの自殺が増えるリスクが極めて高い状態にある」とフジノは感じています。

だから、無知で無能な為政者たちの言葉を、保護者が、教職員が、市職員が、蹴散らしてほしいのです。

こどもたちの命を守る。

その為にも、かずえちゃんが作ってる動画を少しずつ観てほしいのです。

楽しくて、明るくて、時に切なくて、とても分かりやすくて素敵な動画をたくさんたくさん作ってくれています。

ぜひ観てほしいのです。

ぜひ正確なことを知って下さい。

『知ること』は、ささやかだけれどとても大切なことです。

そして、垂れ流される差別・偏見・スティグマに苦しむこどもたちを守る為のバリアーに、あなたになってほしいのです。

今日はそんな想いをかずえちゃん本人に伝えることができました。

『AIDS文化フォーラムin横浜』主催者のみなさま、関係者のみなさま、今年もありがとうございました!



産科でも精神科でもケアが不十分な精神疾患のある妊婦さんを守る為に、横須賀市は新たに相談先を記したチラシを作成しました/フジノの提案、実現しました

精神疾患のある妊婦さんを守る為に横須賀市は新たにチラシを作成しました

あまりにも嬉しかったので、ブログで報告する前に、お昼ごろにツイッターで先に報告してしまいました。

チラシ完成をお知らせした2017年9月のツイートより

チラシ完成をお知らせした2017年9月のツイートより


精神疾患のある妊婦さんに対して、産科でも精神科でもいまだケアが不十分な現状があります。

(*一部の産科・精神科のドクターは積極的に妊娠継続を支援してくれています。しかし、いまだ全市的な取り組みとは言えません)

そこで、フジノは

「医療機関が動かないならば横須賀市が積極的に支援すべきだ」

「横須賀市が積極的に医師会に働きかけてほしい」

今年2017年6月議会で提案しました。

その提案を受けて、すぐに3つの担当課(『こども健康課』『こども青少年支援課』『保健所健康づくり課』)が集まって検討した結果、チラシを作成することになりました。

完成したチラシ

完成したチラシ


横須賀市では作成したチラシをこのように活用していきます。

  • 母子手帳交付の時にお渡しします
  • 横須賀市ホームページに掲載します
  • 医療機関に配布します

作成してくれた担当課のみなさん、ありがとうございます!



改善の余地はありますが、まずは一歩前進です!

報告したツイッターには「いいね」を190も頂きました。

フジノとしては、まだ改善の余地があると考えています。

表現を穏やかにしてしまった為に、精神科に通院しておられた妊婦さんがこのチラシを読んでも

「良かった、これで相談できる先が見つかった」

と感じてもらえるか、やや疑問です。

もっとハッキリと明文化して

「精神科に通院中で断薬などで苦しさを感じておられる方ぜひご相談下さい」

と書くべきだったのではないかと感じています。

けれども今まで何も支援についての周知・啓発が無かったのですから、大きな前進です。

精神障がいの当事者であるフジノのまわりには、そして政治家として受ける市民相談の中には、妊娠をしたい精神疾患のある方・精神疾患のある妊婦さんがたくさんいます。

妊娠したいけれど、精神疾患・精神障がいの為に服薬しているせいで赤ちゃんに悪い影響が出ないか怖くて妊娠できない。

妊娠したけれど、精神科クリニックからは断薬するよう言われた。それ以外の手段を何も教えてくれないのでつらくてしかたがない。

(*一部のまともなクリニックでは緩やかな薬に変更したり、妊娠に悪影響の無い漢方薬をすすめてくれることもあります)

大半のメンタルクリニックや精神科病院では何もしてくれません。

一方、産婦人科では「精神的な問題はメンタルクリニックに相談してほしい」「精神科のクスリは赤ちゃんに悪影響だからすぐやめてほしい」と言われることがほとんどです。

誰も相談にのってくれない。苦しくて仕方がない。

そんな妊娠と精神疾患のダブルの苦しさに耐えかねて中絶をしてしまった方もいます。

流産・死産をしてしまった、という方もいらっしゃいます。

こんな悲しい現実を変えたいのです。

その為にも、行政の精神保健福祉部門と妊娠・出産・子育てに関わる部門とが連携をして、支援の必要な方に積極的にアプローチすべきだと考えています。

フジノにとって、精神疾患・精神障がいのある方々が妊娠・出産・子育てをできるのが当たり前の社会にすることは、30年前から変わらない願いです。

これからもこのテーマをずっと追い続けていきます。

市民のみなさま、どうかご意見をぜひいただけるとありがたいです。よろしくお願いします。



フジノが6月議会で提案した質問を紹介します

このチラシの実現につながった、フジノの6月議会での質問を改めて掲載しますね。

お時間の許す方はぜひご覧下さい。

フジノの質問

『精神疾患、精神障がいのある方々で妊娠をされた・出産をするという方々に対する相談窓口が欠けている』という問題に対して、保健所とこども育成部で協力して対応を行なうべきではないか、という観点から質問をします。
 
今お伝えしたとおりですが、精神疾患・精神障がいのある方々が妊娠をした際に、精神科のクリニックや精神科の病院からは、ただ即日、断薬、薬を止めることです。

断薬を求められて、おしまい。

産婦人科からは、「精神科のことはよく分からないから精神科に相談して下さい」と言われてしまう。

精神科クリニックや精神科病院に行って、そのこと(妊娠)をお伝えしても、実際みなさん御承知のとおりの3分治療の中では、妊娠のこと、断薬のこと、つらさのことに寄り添っていただけることはまずありません。

精神疾患そのもので御苦労されている方、そして本来であれば喜ぶべき妊娠を喜ぶことがなかなかできずに、断薬の苦しさや妊娠への不安から本当に多くの方々がお困りになっている。

例えばインターネットを調べると、そういう情報を当事者同士で、全然まちも違えば、制度も違う中で情報のやりとりをしているというのが散見されますが、組織的な支援あるいはネットワークを民間が行なっているといったことは聞いたことがありません。
 
そこで、こども育成部と健康部に伺います。
 
精神疾患、精神障がいのある方々の不安に寄り添い、妊娠継続につなげられるような相談支援に何らかの形で取り組んでいくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。



こども健康課長の答弁

 
各健康福祉センターまたは『はぐくみかん』内にありますこども健康課窓口におきまして、妊娠されると母子手帳の交付を行ないます。

その時に、保健師が面接などを行ないまして、既往歴ですとか、今の体調ですとか、妊娠をしてうれしかったとかとまどったとか、そういったことをひととおりお聞きします。

その中で、病気等がありまして支援が必要な場合は、地区担当の保健師が継続して支援をさせていただいています。



フジノの質問

地区担当の保健師・助産師のお話は承知をしております。
 
例えば急な不安に襲われた時に、電話をかけたならば、開庁している時は担当して下さっている保健師・助産師が必ずお話を聞いて下さると思うのですが、そうでは無い時間帯に何らかの支援というのはあるものなのでしょうか。



こども青少年支援課長の答弁

 
こども青少年支援課のほうで24時間行なっております『子育てホットライン』がございます。

横須賀市子育てホットライン


この中で、直接その場ですぐお答えするということはなかなか難しい部分もございますが、いわゆる傾聴の部分、それから具体的な翌日以降の相談窓口の御紹介と医療機関の御紹介とか、そういったものは24時間の『ホットライン』の中で対応させてもらっております。



フジノの質問

すみません。医療機関にはすでにかかっておられるので、産科とはつながっていて、そして精神科ともつながっているから断薬を求められているということで御不安になる。

そして、妊娠継続に対して恐怖感があるということで、医療の御紹介をしていただく必要は無い訳です。

これは決して揚げ足をとった訳ではなくて、その時その時の不安に寄り添っていただく組織的な体制を取っていただきたい、ということを申し上げております。

市役所が開いている時間帯に関しては、地区担当の保健師・助産師が担当して下さる。

5時以降は『子育てホットライン』が、ある程度までは聞いて下さる。

そういうことでよろしいでしょうか。



こども青少年支援課長の答弁

 
『ホットライン』の対応の中で、御相談内容によりまして、具体に地区担当の保健師なり『健康福祉センター』につなげた方が良いという判断があれば、翌朝なりにそういったところにつなぐということもしておりますので、できる範囲でもって対応はさせてもらっております。



フジノの質問

その瞬間の不安に寄り添っていただけるのか、ということをお聞きしております。

繰り返しますが、揚げ足をとっているのではありません。

翌朝つなげるという話ではなくて、その場で今つらいという時にお話を聞いていただけるのか。

そもそも本来は民間の精神科クリニック、そして産婦人科にもっと産科医・助産師が居て下されば問題ないのですが、本市は助産師支援ももうやめましたし、産科医への補助金もやめてしまった。

市長は「充足されている」という発想のようなのですが僕は全然そう思っていなくて、現場はやはり忙しくて、精神疾患のある妊婦さんのことなどは相手をしてやれないというのが現状だということが僕は分かりました。
 
そんな中で、「民間ができないことは行政がやるべきだ」というのが僕の発想なのです。

ですから、開いている時間帯は地区担当が担当して下さって、お話を聞いて下さる。

5時以降は、その不安に『子育てホットライン』で寄り添っていただけるということでよろしいのですね?、とお聞きしました。きっとそういうことなのでしょう。

ならば、もう1点お願いをしたいのは、ぜひこのことを周知していただきたいということです。

どの御相談をお聞きしても、どこに相談していいかなどというのは分からない訳です。
 
新年度から横須賀市は、出産をした妊婦さんに対しては産後うつのケアのために、出産後も『産婦健診』を2回無料にしてケアを行ないます。

産婦健康診査

産婦健康診査


でも、そこの部分ではなくて、妊娠中から不安を感じておられる方、精神疾患が無くても不安を感じておられる方はたくさんいらっしゃると思うのです。

そこにアプローチする為に

「精神的な疾患や障がいのある方々の御不安もぜひお聞きします」とアナウンスをしていただきたいと思うのです。

いかがでしょうか。



こども青少年支援課長の答弁

 
答弁が不的確ですみません。
 
夜間の時間帯のいわゆる傾聴、相手の方の不安を和らげるという部分でのお話を伺うということは、当然のことでありますが、させてもらっております。

かなり長い時間お話が続くと。それで、結果的に気持ちが和らいだという内容の報告も上がっておりますので、そういったことは『ホットライン』の時間の中でさせてもらっております。



フジノの質問

傾聴はしていただいている、それから長い時間じっくり話も聞いているということだったのですが、精神疾患がある方、精神障がいのある方、例えばパニック障がいを持ちながら妊娠をしたという方はめちゃくちゃたくさんいる訳です。

でも、薬がのめなくなった、産婦人科に行くバスにも乗れなくなってしまった、タクシーで行くのも本当につらい、などという相談を含め、めちゃくちゃいっぱいある訳です。

でも、薬をのむことはできない。

また、うつ病の人も本当に多いですし、統合失調症で妊娠される方もたくさんいる。

赤ちゃんを守りたい。それは当然の思いだと思うのです。
 
民間のクリニックが全く対応できていない中で、横須賀市は地区担当の保健師・助産師がいる。そして、『子育てホットライン』がある。

これを「精神疾患・精神障がいのある妊婦さんの話も聞きますよ」とアナウンスをしてくれないか、と提案を申し上げているのですが、いかがでしょうか。



こども健康課長の答弁

 
おっしゃるとおり、実際に個別の支援をしていたにしても、その周知がしっかりしていなければ、相談に乗れるのだよ、話を聞けますよ、ということが伝わらないと、実際に精神障がいをお持ちの妊婦さんはとても不安なお気持ちになると思います。

私たちも、母子手帳交付のときには全ての方の既往歴等、それから病歴等を見て、精神疾患のパニック障がい等々がある方については、症状の重さ軽さに関係なく、一度は必ず連絡をとらせていただいて、「困っていることは無いですか」とか、「病院のほうとの関係はどうですか」といったことは確認させていただくようにしています。

その中で、やはり不安感が抜けない場合には継続的な支援もさせていただいています。
 
ただ、そうは申しましても、話を聞いた時々で、そういう情報が頭に残る場合もあれば、すっと消えてしまう場合もあると思います。

その辺はどんな形でお知らせをしたらいいのか、まだぱっとイメージで湧きませんが、例えば『すかりぶ』ですとかホームページですとか、またはチラシといったものでしょうか、何かその方のお手元や頭の中に残るようなお知らせを考えたいと思います。



フジノの質問

今は、本市が行なっていただきたいという取り組みについて申し上げました。
 
加えて、医師会などにこういった話があったということをお伝えしていただけないでしょうか。

精神科医会も産婦人科部会も忙しいのは十分承知していますが、精神障がいがあろうと発達障がいがあろうと、そこにいらっしゃるのは1人の人間で、妊婦さんであることに変わりは無いと思うのです。

そうした方々が健康な妊婦さん、経産婦さんの中に埋もれて、ないがしろにされるということはあってはならないと思うのです。ぜひきちんと、まずは病院でしっかりお声を聞いていただけるようにしていただけないか。
 
保健所やこども健康課ができることは、やはり傾聴しかないと思うのです。

本来は、病院がまずしっかり対応するべきだと思うのですが、そういった声を医師会などにお伝えしていただけないかと思うのです。

いかがでしょうか。



こども健康課長の答弁

 
実は、私どものほうでは年に1度『周産期連絡会』というものを行なっておりまして、横須賀市の妊婦さんたちが主に出産する市内の医療機関ですとか、近隣の産婦人科または『こども医療センター』などと、その年々のお産の現状ですとか、それから病院に来られる方の課題ですとか、地域との連携といったようなことを話し合う機会を設けています。

その中でやはり話題に出るのは、精神疾患を持った方のケアはとても難しいということをお聞きしますし、地域のほうでもすぐに対応するのでぜひ御連絡をくださいということもお伝えはしています。

ただ、なかなかそれがうまくいっていない方もいらっしゃるということもお聞きしましたので、また改めてお伝えをし、連携をお願いしていきたいと思います。




妊婦健診にはHIV検査がありますが、妊婦さんは「偽陽性」で「陽性」と結果が出る確率が高いことを知っていて下さい/AIDS文化フォーラムin横浜(3日目)その1

「AIDS文化フォーラムin横浜2017」3日目も参加しました

おととい昨日に続いて、『AIDS文化フォーラムin横浜』に参加しました。

第24回AIDS文化フォーラムin横浜

第24回AIDS文化フォーラムin横浜


3日間にわたるフォーラムも、ついに今日が最終日です。

「AIDS文化フォーラムin横浜」会場入口にて

「AIDS文化フォーラムin横浜」会場入口にて


今日も気合いを入れて学びます。



講座「母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦〜」へ

フジノは、講座『母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦〜』に参加しました。

会場には60人くらいの参加者がつめかけ、ぎゅうぎゅうの満席でした。そのうち男性は8人くらいで、残りはみなさん女性でした。

「母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦」会場前にて

「母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦」会場前にて


この講座では、妊娠したお母さんからお腹の胎児にHIV感染する『母子感染』について、これまでと現状について学びました。

母と子を守る〜感染者の分娩・未受診妊婦〜

主催:認定NPO法人AIDSネットワーク横浜

『ハイリスク出産』の名医、聖マリの水主川純先生が、感染者の分娩、飛込み分娩、未受診妊婦の問題を語る。

それにしても、主催の『認定NPO法人AIDSネットワーク横浜』はすごいです。

毎年、『AIDSボランティア学校』という連続講座を開催しているのですが、今年でなんと25周年を迎えます(素晴らしい!)。

第25期AIDSボランティア学校・講演会の概要

第25期AIDSボランティア学校・講演会の概要


今年の10回連続講座のプログラムの『第5回』が、今日の『AIDS文化フォーラムin横浜』のこの講座にあたります。

聴きたい1つの講座だけ受講することもできて、こうして『AIDS文化フォーラムin横浜』ともコラボしていて、参加しやすくてすごく良い取り組みだと感じました。



妊婦健診の血液検査に「HIV」も入っています

『妊婦健康診査(妊婦健診)』では血液検査を行ないます。

血液型(ABO式、RhD式)、不規則抗体検査、血液一般検査、血糖の検査、血液生化学検査(肝・腎機能)、梅毒検査、B型肝炎、C型肝炎、HIV検査、風疹抗体、HTLV-1検査、トキソプラズマ抗体検査

上のリストのとおりで、HIVの検査も行ないます。

HIVも母子感染予防(お母さんから胎児に伝染することを防ぐこと)の対象になっているからです。

HIV感染、3番目の経路「母子感染」

HIV感染、3番目の経路「母子感染」


妊婦健診の対象項目になってからの歴史はまだ浅いです(2010年に血液検査の項目に加わりました)。

受診率
2000年79.4%
2006年95.3%
2015年99.6%(最新データ)

けれども現在では、ほぼ全ての妊婦さんに検査が行われています。



どうしても知っていてほしいこと。実は、妊婦さんは「偽陽性」が0.1〜0.3%も出ます

今日のテーマからは外れるのですが、このブログを読んで下さっているみなさまにぜひ知っていてほしいことがあります。

それは「あらゆる検査に完璧・完全は無い」ということです。

ここでは妊婦健診の血液検査での『HIV』について詳しくお伝えしたいのです。

本当は『陰性』であるにもかかわらず、はじめの検査(スクリーニング検査)では『陽性』という結果が出てしまうことがあります。これを『偽陽性』と言います。

妊婦さんは一般の方々よりもHIV検査で『偽陽性』が0.1〜0.3%程度も出てしまうのです。

つまり、日本では妊婦さんが1年間に1000人〜3000人ほどHIV検査で『偽陽性』なのですが、『陽性』と反応が出る。

この1000〜3000人の中で、確認検査(≒精密検査)を行なった末に本当にHIV感染していると診断される人は、わずか50〜100人しかいません。

つまり、950〜2900人もの妊婦さんが妊婦健診の血液検査で実際はHIV感染をしていないのに「『陽性』の可能性があるので精密検査を受けて下さい」と言われているという現実があります。

ぜひこちらのパンフレットをご覧下さいね。

パンフ「妊婦HIV検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ」より

パンフ「妊婦HIV検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ」より


日本のお産の半分は診療所の開業医によって行なわれています。

そして、全てのドクターがHIVについて詳しい訳ではありません。その為、妊婦健診の血液検査の結果、『陽性』と出た時に『偽陽性』の可能性の説明ができないこともあります。

「ぜひ総合病院に行って精密検査を受けて下さい」

とお伝えして終わり、ということも現実にしばしばあるそうです。

わが国ではHIV・AIDSに対する誤った情報や偏見が根強く残っています。

そのような中で、十分な説明が無いままに

「あなたは妊婦健診の結果、HIV陽性でした」

と言われて、ひどくショックを受ける妊婦さんが多いです。

「AIDSを発症して死んでしまうのではないか」とか「夫から見放されてしまう」と恐れて、ストレスフルな精神状態に追い込まれて孤立してしまう方もいます。

その後、妊婦健診に一切来なくなってしまう妊婦さんもいらっしゃいます。

夫に話した結果、結婚そのものがダメになってしまうこともあります。

そのような厳しい現実があるからこそ、全てのドクターが気をつけて説明をする必要があります。けれども同時に全てのドクターがHIVに詳しい訳ではありません。

そこでぜひみなさまに知っていてほしいのです。

妊婦健診におけるHIV検査の弱点

血液検査の結果、本来は陽性ではないのに陽性とでてしまう『偽陽性』が0.1〜0.3%ほどあります。

日本では1年間に1000人〜3000人ほどの妊婦さんが、『偽陽性』なのですが、『陽性』と結果が出ています。

確認検査(≒精密検査)を行なった結果、最終的にHIV感染していると診断される人は、わずか50〜100人しかいません。

さらに、HIV感染していたとしても絶望のどん底に落ちる必要はありません。

「これだけは知っておきたい 安心と早期発見のためのHIV検査」グラフィックインターナショナル(株)発行より

「これだけは知っておきたい 安心と早期発見のためのHIV検査」グラフィックインターナショナル(株)発行より


そうなんです。

親がHIV感染していても、赤ちゃんは『陰性』で産まれることができる時代になったのです。




(この記事は次の記事に続きます)



精神疾患のある妊婦さんを守りたいとのフジノの提案に横須賀市と医師会(産科医会・精神科医会)が勉強会をスタートしてくれました!/教育福祉常任委員会

精神疾患のある妊婦さんの妊娠継続を支援する為の新たな動きがスタートしました

本日の教育福祉常任委員会で、画期的な答弁を受けました!

本日は教育福祉常任委員会でした

本日は教育福祉常任委員会でした


かねてからフジノは、

  • 精神疾患のある方々がこどもをもちたいけれど妊娠について悩んでいるのに十分な相談体制が無いこと
  • 精神疾患のある妊婦さんが産科からも精神科からも十分なケアが受けられず、妊娠継続が難しい現状があること

を問題視して、その改善の為の提案を行なってきました。

その結果、横須賀市は新たにチラシを作成して配布をスタートしてくれました。

2017年6月議会での提案を受けて作成したチラシ

2017年6月議会での提案を受けて作成したチラシ


この取り組みだけではまだ不十分ですし、何よりも行政だけが頑張っても意味がありません。

そもそもじかに当事者の方々と接する最初の場である、産科と精神科の医療機関が連携を強めていくことこそが不可欠です。

そんなフジノの想いが叶いました。

なんと、すでに8月から横須賀市と医師会(産婦人科医会と精神科医会)がこの問題について勉強会をスタートしたのです。

本当に嬉しいです。

その答弁を受けた今日の教育福祉常任委員会でのフジノの質問をご紹介します。

教育福祉常任委員会(2018年3月9日)での質疑

フジノの質問

 
妊娠を望む方にも、妊娠をしておられる方にも、パニック障害、鬱病、統合失調症などの精神疾患、精神障がいのある方々はたくさんおられます。

しかし、精神科では妊娠すれば、「即、断薬をせよ。相談は産婦人科でせよ」という対応をされて、産婦人科では「メンタルヘルスや断薬の不安などの相談は、精神科でせよ」という対応をされて、どこにも相談できずに苦しんでおられる方々が多数おられます。
 
そこで、昨年6月議会において、精神疾患、精神障がいのある妊婦さんに寄り添って、妊娠継続につなげられるような相談や支援に、まず行政が相談を受けていくこと、その取り組みを当事者の方々にしっかり周知していくことを提案いたしました。

この提案に対して、平成30年度、取り組みは何か行なっていただけるのでしょうか。

お答え下さい。

こども健康課長の答弁

6月議会の後に、こども健康課と、こども青少年支援課と保健所健康づくり課と、三者でこの件について、どのような支援をしていくかということの協議をいたしました。
 
1つは、妊娠中の困り事はぜひここに相談してくださいねというチラシを作成しまして、母子手帳交付のときにお配りしたり、またホームページに載せるということをいたしました。

2017年6月議会での提案を受けて作成したチラシ

2017年6月議会での提案を受けて作成したチラシ


そして、医師会の方にもお話をいたしました。

大変な御協力をいただきまして、先月、医師会の産婦人科医会と精神科医会と行政で、この周産期のメンタルヘルスについての勉強会を始めるに至りました。

平成30年度につきましても、この勉強会を継続して、まず地域で起こっていること、または行政の支援、各医療機関の支援、課題というのを1つにつなげていく『フローチャート』のようなものをつくっていこうかと。

また、産婦人科と精神科の連携についても、ここの場で議論をしっかりしていこうというような計画でおります。

フジノの質問

大変頼もしい御答弁をいただき、感謝しております。

特に平成30年度を待つまでもなく、既にスタートしていただいているチラシやホームページの掲載、そして母子手帳交付時にチラシもあわせてお配りすること、さらに医師会との勉強会のスタート、これはさらに平成30年度も継続していただけるということで、大変ありがたく思っています。

また、『フローチャート』が完成した暁には、ぜひそういった取り組みが、民間の診療所、医療機関に確実に使っていただけるように、ぜひ周知をしていただけるように、これからも働きかけていただきたいと思います。

すでに勉強会が立ち上がっていること、さらに連携の『フローチャート』の作成が企画されていることが明らかになりました!

本当に嬉しいです。

担当課であるこども健康課のご尽力に心から感謝しています。

そして、日々多忙であるにもかかわらず、勉強会をスタートしてくださった医師会の産科医会・精神科医会のみなさま、ありがとうございます。



30年前と変わらない現状を絶対に変えたいです

状況が許せば、どうかフジノも勉強会に参加させていただきたいです。

精神科の薬を服んでいる為に、そもそも妊娠を悩んでいる方はとても多いです。

また、妊娠前後に精神疾患・精神障がいを発症してしまい、妊娠を継続できないで苦しんでいる人の声もずっとお聞きしてきました。

なかなかドクターにはじかに届かない声を、フジノがお伝えしたいです。

いわゆる業界では、精神疾患のある妊婦さんのことをハイリスクな存在として『特定妊婦』と呼んだりします。

ある人から

「フジノさんは『特定妊婦』を増やそうというのか」

という心無い言葉をかけられたこともあります。

そういう視点しか持てない方が医療従事者におられるのが2018年の現実です。30年前と全く変わっていません。

30年前と書いたのは、実はこの問題についてフジノは10代後半からずっと関心があったからなのです。当時と状況はあまり変わりがありません。

この現実を変える為に、政治家としても今後もずっと取り組んでいきます。



2016年12月議会・一般質問

はじめに

藤野 英明です。

一般質問に立つフジノ


今回の一般質問で述べる出生前診断という単語は、妊婦健診も含む広い意味では無く、胎児に『先天的異常』、特に常染色体異常の中でも最も頻度の高いダウン症候群があるか否かを診断する『狭義の出生前診断』、具体的には絨毛検査母体血清マーカー試験羊水検査などを指します。

また、出生前診断で分かる病気・障がいは多数ありますが、今回はあえてダウン症候群にしぼって質疑を進めます。

知的障がいの1つであるダウン症候群の平均的な出生率は約1000人に1人ですが、妊婦の年齢が高くなるにつれて発生頻度が高くなっていきます。

妊婦の年齢と胎児がダウン症である確率

妊婦の年齢と胎児がダウン症である確率


妊婦が30歳になると700人に1人、35歳で300人に1人、40歳で87人に1人、45歳で16人に1人、というように。

「平成28年版・少子化社会対策白書」より

「平成28年版・少子化社会対策白書」より


我が国の初産の平均年齢は30才を超えて、毎年、晩産化している中で、出生前診断を受ける人とその結果を受けて人工妊娠中絶を選ぶ人が共に増えています。

横浜市大附属病院の調査では、300医療機関に調査した結果、胎児に何らかの異常が見つかったことによる中絶は、1985~89年は約800件でしたが、2005~2009年は約6000件と7.5倍に急増しています。

2016年4月25日・毎日新聞より

2016年4月25日・毎日新聞より


特に、新型出生前診断がスタートしてからこの3年間で胎児に障がいがあると確定した妊婦の94%が中絶をしています。

母体保護法・第14条

母体保護法・第14条


我が国が人工妊娠中絶を合法化したのは世界的にも早く1948年ですが、法律上、中絶を認める要件を『性暴力による妊娠』『経済的な理由』の2つに限定しています。

1970年代と80年代に、障がいがあることを理由に中絶を認めるいわゆる『胎児条項』を新設する改正法案が出されると

「障がい者を胎児の段階から抹殺する優性思想だ」

「本来生まれてくるべきでは無かった命として扱うことは現に生きている障がい者の存在そのものの否定だ」

といった激しい反対運動が起こりました。

その結果、現在でも母体保護法に『胎児条項』はありません。

しかし現実的には医療機関では法律を拡大解釈して人工妊娠中絶を実施しています。

このねじれは、障がいのある方・中絶を選択せざるをえない方の双方に深い傷をもたらす一因となっています。

一方アメリカでは、1973年に最高裁

「中絶は憲法の保障する基本的人権である」

と判決を出しました。

現在も中絶そのものへ賛否の論争は続いていますが、日本のように障がい者の権利と中絶が関連付けられることは、ほぼありません。

世界的にも、1975年の『国際婦人年世界会議』をはじめ、1980年に日本も署名した『婦人差別撤廃条約』や、1995年の北京で開催された『世界女性会議』においても

そもそもこどもを産むか産まないかは、国家が介入したり、法で規制すべき問題でなく、個人およびカップルの選択に任されるべきで『リプロダクティブ・ライツ』という基本的人権である、との価値観が確認されています。

僕自身の立場も申し上げます。

「長年の粘り強い議論の積み重ねの結果、現在では、女性が妊娠を継続するか否かを決定するのは女性の基本的人権の1つであると世界的に認識されている」

と僕は考えています。

また、

「障がいの有無によって生命が価値づけられるものでは無い。社会の環境さえ整えば、障がいの有無は人生の幸不幸にも、一切関係ない」

と考えています。

また、後程触れますが、ダウン症候群の方とそのご家族に行なった調査結果では、アメリカでも日本でも幸福度が極めて高い傾向があります。

「障がい=不幸」は大きな誤解です。

にもかかわらず、胎児に障がいがあるとの出生前診断を理由に中絶を選択せざるをえない方が我が国で多数おられることは、日本の障がい保健医療福祉があまりにも不十分な為に世間のイメージとして「障がい=不幸なこと」との誤解が蔓延してしまっていることが原因だと考えています。

我が国の福祉が改善されない限り、出生前診断によって中絶を選択せざるを得ない人は今後も増え続けるはずです。

しかし、ねじれや課題は放置されたままなので、我が国では障がいのある人々も、中絶をせざるをえなかった女性も、ともに深く傷つく現実が続くだろうと予想しています。

こうした現実を僕はこのまちだけでも変えたい、と強く願っています。

今回の質問もそのような長年の願いから行なうものです。

2016年12月議会で一般質問を行うフジノ


それでは質問に入ります。



1.10年以上前から市立うわまち病院で実施されてきた羊水検査の実施を一旦やめて、全市的に議論を行なう必要性について

(1)市長は羊水検査の実施を知っていたか。
 
11月18日、県内他市の議員と意見交換をしていた時に、そのまちの公立病院が新たに羊水検査を導入する条例改正を行なうにあたり、議員向けの説明資料で、『他都市の公立病院で羊水検査を実施している事例』として、本市の市立うわまち病院が記されていることを知りました。

他市の市議会配布資料で初めて「市立うわまち病院」が羊水検査を実施していた事実を知りました

他市の市議会配布資料で初めて「市立うわまち病院」が羊水検査を実施していた事実を知りました


かねてから出生前診断に強い関心を持ってきたものの、市立2病院は狭義の出生前診断を実施してこなかったと考えていた為、それを知り、非常に驚きました。

さっそく担当課に確認したのですが、国から本市に移管された平成15年にはすでに市立うわまち病院では羊水検査を実施しており、カルテの保存年限である10年間を調査したところ、現在まで11名が羊水検査を受けていました。

病院側が積極的に検査を勧めたことはなく、あくまで妊婦側から希望があれば断らないという形で検査を実施してきたのとのことです。

出生前診断は重要なテーマですが、これまで市議会に報告された形跡はありません。

市立病院の活動を報告する『病院年報』にも記載がありません。

(本来は毎年発行すべき「病院年報」です)

(本来は毎年発行すべき「病院年報」です)


こうしたことから議会の議事録にも、議論の記録はありません。

公立病院であるにもかかわらず、議会も行政も知らされず、病院関係者しか知らずに出生前診断を実施してきたとすれば大変な問題です。

そこで伺います。

【質問1】
市長は今回の僕の発言通告書が提出される前から、うわまち病院で羊水検査が実施されてきたことを知っていましたか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(2)羊水検査をいったん中止する必要性

明治以来「産めよ増やせよ」を国策に富国強兵をすすめ、1948年には爆発的に増えた人口を抑制する為に中絶を合法化し、進めるなど、我が国では妊娠・中絶は『女性の権利』とはほど遠いものでした。

さらに富国強兵・経済成長に貢献しない障がい者は排除すべきとの『優生思想』も広く流布されました。

こうした歴史を持つ上に、我が国では中絶が合法の一方で刑法には今も堕胎罪があるなど法制度にもねじれがあり、生命倫理、胎児の権利、女性の権利など様々な課題があり、わが国では出生前診断とその結果による中絶に対して国民のコンセンサスは得られていません。

もちろん本市においても市民的なコンセンサスはありません。

こうした状況下で、約10年でわずか11名といえども市立うわまち病院が羊水検査を実施してきたことは勇み足です。

さらに羊水検査には流産を起こすリスクがあります。

また後ほど述べますが、現在の支援体制では不十分です。

この3つの理由から、羊水検査を一旦中止すべきです。

そして、公立病院として今後も検査を続けるべきか否か、続けるならどのような体制が望ましいか、本市全体で1度議論をすべきです。

特に、市内で障がいのあるこどもを産み育ててきた親の会の方々とは、積極的に意見交換・議論をする機会を持つべきだと強く提案します。

そこで伺います。

【質問2】
羊水検査の一旦中止、全市的な議論の必要性などについて市長はどのようにお考えか、お聞かせ下さい。


(→市長の答弁へ)

2.今後も羊水検査を継続するならば、検査を受けることを迷っている段階から妊婦・配偶者らを支援する体制づくりを行なう必要性について

  
すでに自らの立場を述べたとおりで、僕はただ「羊水検査をやめろ」と批判しているのではありません。

今の日本はすさまじく情報過多の社会で、妊婦らは圧倒的な量の出生前診断の情報にさらされています。どれが正しくどれが誤っているか、個人では判断できません。

インターネット上には営利目的の出生前診断の広告があふれており、日本の学会が定めたガイドラインは完全に無視され、年齢制限なし、医師の紹介状も不要、採血する医療機関をワンクリックで予約してその血液を海外の宛先に送れば、検査結果だけが送り返されてきます。

インターネットで積極的に出生前診断を広告している某企業サイトより

インターネットで積極的に出生前診断を広告している某企業サイトより


こうした検査法には妊婦を守る体制が一切ありません。

一方、出生前診断は『妊婦の心理面』や『胎児との愛着形成』に大きな影響を与えることが分かっています。

儲けだけが目当てで妊婦の心身を一切守らない『出生前診断ビジネス』に対して、責任ある公立病院こそがしっかりとした情報提供体制と安全・安心を担保する支援体制を構築した上で、検査を行なうべきだと僕は考えています。

前問で議論の必要性を訴えましたが、もしも一定のコンセンサスが得られた時には、本当の意味で妊婦を守る体制を構築した上で検査を再開することこそ、うわまち病院の役割だと考えています。
 
そこで本市が羊水検査を継続するならば、現在の在り方への疑問点や改善すべき点を指摘します。

(1)検査希望者について

現在、うわまち病院では、羊水検査は希望者が全員受けられます。

「出生前に行なわれる遺伝学的検査および診断に関する見解」より

「出生前に行なわれる遺伝学的検査および診断に関する見解」より


【質問3】
日本産科婦人科学会が定めた『出生前に行なわれる遺伝学的検査および診断に関する見解』の7つの実施要件に限定するといった条件を一切つけていないのは何故でしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(2)日帰り検査について

検査そのものの危険性をもっと重視すべきです。

そもそもダウン症候群の新生児は約1,000人に1人の割合で生まれますが、羊水検査による流産の割合はそれよりも高く約1,000人に3人です。

検査は10分ほどで終わるとは言え、当日には出血や羊水漏れや子宮収縮が起こることもあり、妊婦と胎児の安全の為、さらにカウンセリングも実施する為に、1泊2日を推奨している病院もあります。

【質問4】
一方、うわまち病院では日帰り検査を実施してきました。

施術実績も少ない中で、日帰り実施で、胎児と妊婦の安全を確実に守れると断言できるのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


出生前診断について質すフジノ


出生前診断は、胎児の命や家族の運命を左右する、非常にセンシティブな検査です。

そこで日本医学会『医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン』では

「出生前診断には、医学的にも社会的および倫理的にも留意すべき多くの課題があることから、検査、診断を行なう場合は日本産科婦人科学会等の見解を遵守し、適宜遺伝カウンセリングを行なった上で実施する」

と定めています。

また、日本産科婦人科学会『出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解』でも

「出生前に行われる遺伝学的検査および診断は、十分な遺伝医学の基礎的・臨床的知識のある専門職(臨床遺伝専門医等)による適正な遺伝カウンセリングが提供できる体制下で実施すべきである。また、関係医療者はその知識の習熟、技術の向上に努めなければならない」 

と定めており、実施においては両者を遵守しなければなりません。

遺伝カウンセリングとは、検査を受けるべきか迷っている段階から検査後まで一貫して情報提供と心理・社会的支援をする為に臨床遺伝専門医として認定を受けた医師、もしくは大学院に設置された専門コースで養成された認定遺伝カウンセラーが行ないます。

検査の意味や限界などの説明、診断される病気について、同じ病気を抱える人たちの現状やサポート体制を伝えることで誤解や情報不足による不安を解消し、妊婦の心のケアをしていきます。

特に中絶手術後は精神的なダメージや母体への負担が大きく、精神的な問題は1度のカウンセリングや薬の処方では完治できない場合がほとんどの為、専門家による長期的な関わりが必要です。

しかし全国的な人材不足の為、カウンセリングをせずに出生前診断を行なっている施設が多い現状があります。

(3)臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラー新規雇用の必要性

うわまち病院にも臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーがいません。

両学会が求める専門家が不在のままの検査実施は、支援体制として不十分です。

そこで伺います。

【質問5】
臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーを早急に新たに雇用もしくは養成して、十分な支援体制を構築すべきではないでしょうか。お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(4)遺伝カウンセリング実施機関の紹介

現在、うわまち病院では遺伝カウンセリングが受けられないので「希望があれば」遺伝カウンセリングを受けられる医療機関を紹介している、とのことです。

けれどもそのような消極的な姿勢では妊婦を守ることはできません。

【質問6】
ガイドラインを守り、妊婦らの精神的なケアや支援、適切な情報提供の為に「必ず」遺伝カウンセリング実施医療機関に紹介する方針へと変更すべきではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(5)結果判明までの期間中の支援体制

羊水検査は結果が出るまで2〜3週間ほどかかります。

この期間の妊婦の精神的なストレスは極めて高いことが知られています。

【質問7】
結果が出るまでの期間、うわまち病院では妊婦に対して誰がどのような支援を行なっているのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(6)検査結果の伝達時の体制

【質問8】
検査結果は直接伝えているとのことですが、染色体異常との結果が出た時には、妊婦・配偶者に対して具体的に誰がどのように結果を伝えているのでしょうか。

また、結果を聞いた妊婦らの精神的なショックの受け止めや支援はどのように行なっているのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(7)横須賀版受容ネットの立ち上げの必要性

羊水検査は妊娠第16〜17週に実施することが多いのですが、一方、人工妊娠中絶が可能な時期は第22週までなので、検査結果が出てからわずか2〜3週間で大きな決断を迫られることになります。

その為、妊婦の孤独感は極めて強いものがあります。

妊婦・配偶者の不安に寄り添って、どのような疑問にも応え正確な情報を提供し得る体制が必要です。

僕はその一助として、妊婦をはじめ、支援に当たる産科医療従事者に、ダウン症候群のあるこどもたち、その成長、家族の心理、本市の療育体制・障がい福祉サービスの現状などをリアルに知っていただくべきだと考えています。

2011年のアメリカの複数の研究から、障がいのある本人兄弟姉妹に行なった調査の結果、本人の99%が「日々の生活が幸せだ」と答え、きょうだいの97%と親の99%が「ダウン症の家族を愛している」と答え、家族の幸福感の高さや人生の充実感、物事を本質に即して考える傾向などが報告されています。

「Having a son or daughter with Down syndrome:Perspectives from mothers and fathers」より

「Having a son or daughter with Down syndrome:Perspectives from mothers and fathers」より


さらに、発言通告書を提出した11月24日の朝日新聞1面で、日本で初めて行なわれた当事者への調査結果が報じられました。

2016年11月24日・朝日新聞より

2016年11月24日・朝日新聞より


厚生労働省の研究班によるとダウン症候群の人の9割以上が「毎日幸せ」と感じているとのことでした。

世間一般に漠然と持たれている「障がい=不幸」「障がいのある子どもを育てることは苦しい」といった出生前診断を受ける根拠となったイメージは多くの場合、事実とは異なっていると日米の研究結果が示しています。

こうした本当の姿を知ってもらう為に、『障がいのあるこどもたちの親の会』の方々に依頼して、生の声に触れる機会を本市がシステムとして提供すべきです。

福岡市に素晴らしい先進事例があります。
1999年、ダウン症候群のこどもを持つ親と福岡市立子ども病院や市内の産科医ら専門家が『ダウン症等受容支援ネットワーク福岡(略称・受容ネット)』を立ち上げました。

「受容ネット」HPより

「受容ネット」HPより


親の会と連携して、地域でダウン症候群の告知を受けた妊婦・母親がいると聞けば、希望によって話をしにいくピアカウンセリングシステムを作り、福岡市全域をほぼカバーしています。

本市も『受容ネット』の横須賀版を作るべきです。

障がいに対する世間の画一的なイメージしか持たないままに人工妊娠中絶に追い込まれるのではなく、妊婦らが現実の姿に基づいて将来のイメージを持った上で判断できる機会を提供すべきです。

そして、うわまち病院の妊婦に限らず、本市の妊婦は誰でも『横須賀版受容ネット』の支援を受けられるようにすべきです。

そこで伺います。

【質問9】
市長はこの提案をどうお考えでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(8)市立病院と市役所各部局との連携の必要性

支援に当たる産科医療従事者に、日ごろから療育・障がい福祉の現状を正確に知っていただくべきです。

こども育成部こども青少年支援課や療育相談センター、教育委員会支援教育課などは、こどもたちが生まれた後の療育体制を知ってもらう為に、福祉部障害福祉課などは、障がい福祉サービスや様々な制度について知ってもらう為に、積極的に情報提供すべきです。

さらに、療育相談センターや特別支援学校の見学や顔の見える関係づくりの機会も積極的に提供すべきです。

【質問10】
市長はどのようにお考えかお聞かせ下さい。


(→市長の答弁へ)


(9)中絶を選択せざるを得なかった方々のケアの重要性

出生前診断に基づいて人工妊娠中絶を選択した妊婦の罪悪感や孤独感や悲嘆はとても強く、他の死産や人工死産の方の集まりにも一切参加できず、しっかりとケアをしなければ長期にわたり深刻なダメージを受け続けるとの研究報告がすでに多数あります。

また、中絶手術を受けた女性がその経験を同じ立場、ピアの女性と語り合う場が不可欠ですが、僕は必死に探したものの日本では1カ所しか見つけられませんでした。圧倒的に支援の機会が足りません。

そこで市長に伺います。

【質問11】
検査後に人工妊娠中絶が実施される可能性も踏まえて、グリーフケアなどの支援体制づくりが必要ではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)

3.女性の選択権(リプロダクティブ・チョイス)を確立することと障がいのある人の尊厳が守られることが両立する 社会の実現を目指す必要性について

(1)全ての妊婦が出生前診断で葛藤することに市立病院への「遺伝科」設置で対応すべき

ダウン症候群以外にも現在すでに様々な病気・障がいの診断が可能となっていますが、医学の進歩で今後はさらに多くの病気が出生前に診断されるようになります。

その結果、遠くない将来に遺伝学的検査によって、全ての妊婦が出産するかしないかの葛藤に巻き込まれる可能性が極めて高いと言えます。

ドイツが国内1,500ヶ所に設置している妊娠葛藤相談所のように、出生前診断で陽性の判定を受けた方が相談できる公的な場の設置が早急に必要だと僕は考えています。

【質問12】
そこで、出生前診断と遺伝カウンセリングのプロで構成される『遺伝科』を市立病院に新たに設置すべきだと僕は提案します。

市長の考えをお聞かせ下さい。


(→市長の答弁へ)


【質問13】
また、病院管理者とも管理運営協議会等でぜひ意見交換をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(2)リプロダクティブライツ、チョイスを実践できるまちへ

中絶が基本的人権といえども、権利を行使したからといって喜びや充足感はありません。

あくまでもその時その女性にとって産むことよりも中絶がましな選択肢にすぎなかっただけです。

そしてそのリプロダクティブライツ、チョイスは、様々な情報提供や遺伝カウンセリングなどの手厚い支援のもとであくまでも本人の自己決定としてなされるべきです。

しかし日本では、女性の選択権や意思決定権がいまだ確立されているとは言えず、妊娠、出産、中絶も妊婦本人の意思だけでなく、配偶者や婚家に対する配慮や周囲の有形無形の圧力によって意思決定せざるを得ないことが多い、と僕は感じています。

【質問14】
市長はどうお考えでしょうか。

もしも同感であれば、どのような対策が必要とお考えでしょうか。お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(3)産むと決意した妊婦を守り、こどもが健やかに育てる社会へ

社会福祉が貧困なこの国で、診断を受けても「産みたい」と望む妊婦を本市は心から祝福し、全力で守らねばなりません。

そして産まれた子どもは本市全体で健やかに育んでいかねばなりません。

その為にも政治・行政が療育と障がい福祉の体制をさらに充実させ、差別や偏見の除去を徹底的に行なうことが不可欠です。

【質問15】
その為に市長はどのように取り組んでいくのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)

市長の答弁

ご質問、ありがとうございました。

まず、私自身の立場を申し上げておきますと、女性個人の選択肢は用意されるべきだと考えていますが、一方でこれが『マス・スクリーニング』と呼ばれる社会の選択につながるようなことがあっては断じてならないと、そういう立場から答弁をさせていただきます。


【答弁1】
まず、うわまち病院で平成15年から羊水検査を実施していたことを承知していたのか、というご質問をいただきましたが、私は今回初めて知りました。




【答弁2】
次に、うわまち病院で羊水検査を今後も続けるべきか否か、本市全体で一度議論してはどうか、というご質問をいただきました。

うわまち病院では羊水検査の問い合わせがあった場合、目的・方法・リスク・結果等について丁寧に説明し、家族で話し合われたうえで、希望される方にだけ実施をしています。

これまで通り、丁寧な説明をしたうえで、希望される方には検査を実施していきたいと思います。




【答弁3】
次に、日本産婦人科学会の7つの実施要件に限定していないのは何故か、というご質問をいただきました。

うわまち病院では、この7つの実施要件に該当しない方が希望した場合には、学会の実施要件に該当しないことを丁寧に説明しています。

ただ、それでも検査を受けたいと希望された場合には、お断りできないと考えています。

なお、これまで該当しない方に対して検査を行なったことはありません。




【答弁4】
次に、日帰りでの羊水検査の安全性について、ご質問をいただきました。

うわまち病院では妊婦と胎児の安全性を第一に、検査を行なってからしばらくは病院内で安静にしていただき、その後、超音波検査をして異常が無いことを医師が確認してから帰宅していただいています。

また、帰宅後、少しでも異常を感じた場合には、すぐに対応できるようにしています。




【答弁5】
次に、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーを新たに雇用し、充分な支援体制を構築すべきではないか、というご質問をいただきました。

臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーの雇用については、取得している医師が少ないことから難しいところですが、うわまち病院でも産婦人科の医師だけで無く、必要に応じて小児科の医師のサポートも受けて支援にあたっています。

また、希望があれば臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーが在籍している医療機関を紹介しています。




【答弁6】
次に、ガイドラインを遵守し、適切な情報提供の為、必ず遺伝カウンセリングを紹介する方針に変更すべきではないか、というご質問をいただきました。

うわまち病院では、ガイドラインについて充分に説明をした上で、臨床遺伝専門医等がいないことをご理解いただいています。

その際、臨床遺伝専門医等を希望される方には、専門医が在籍している医療機関を紹介しています。




【答弁7】
次に、検査結果が出るまでの期間、うわまち病院ではどのような対応をしているのか、というご質問をいただきました。

うわまち病院では検査を受ける前に充分な説明を行なっていますが、不安等により医師に聞きたいことがある場合には、いつでも病院まで連絡するよう伝えています。




【答弁8】
次に、染色体異常という結果を具体的に、誰がどのように伝えているのか、またその精神的なショックに対し、どのような支援をしているのか、というご質問をいただきました。

うわまち病院では、これまでに染色体異常という検査結果は出ていません。

今後、そのようなケースが生じた場合は、担当医が検査結果を伝えることになりますが、ご本人やご家族に対しては、担当医をはじめ病院職員により丁寧な対応を心がけて支援にあたります。




【答弁9】
次に、妊婦さん、配偶者が障がいに対する現実の姿に基づいて将来をイメージできる機会を提供すべきではないか、というご質問をいただきました。

妊婦の皆さんが、障がいに対する画一的なイメージに捉われない判断を行なう為に、本市としてどのような支援が可能であるか、研究してまいります。




【答弁10】
次に、産科医療従事者に、療育・障がい福祉の現状を知ってもらう為、療育体制・障がい福祉サービス等の制度について、積極的に情報提供すべきではないか、というご質問をいただきました。

妊婦さんや配偶者の不安を解消する為に、産科医療従事者が本市の療育体制・障がい福祉サービス制度などを正確に理解しておくことは大切であると考えています。

本市では発達支援に関する制度や相談機関を紹介するガイドブックを各医療機関に送付するなど情報提供を行なっていますが、さらなる積極的な情報提供に努めてまいります。




【答弁11】
次に、今後は人工妊娠中絶が実施される可能性も考えた上でのグリーフケアなどの支援体制づくりが必要ではないか、というご質問をいただきました。

出生前診断の直後から、妊婦さんは混乱と不安の中で決断を迫られる上、中絶を選択した場合は、赤ちゃんとの別れを体験しなければなりません。

そのような苦しみに寄り添い、支えてくれるサポートは重要であり、医療機関などで行なわれるカウンセリングと一体的に支援することが望ましいと考えています。




【答弁12】
次に、市立2病院に遺伝科を設置してはどうか、というご質問をいただきました。

遺伝科を設置する為には、臨床遺伝専門医を確保し、設備を整えるだけでなく、研究も行なえるような大学病院等の専門性の高い病院でなければ難しいと考えています。






【答弁13】
(市長、答弁せず)




【答弁14】
次に、女性の選択権の現状と対策についてご質問をいただきました。

妊娠や出産などの意思決定は、女性の今後の人生に重大な影響を及ぼすものであり、配偶者や家族はその女性の意思を支持し支え続ける存在であるべきだと考えています。

しかし、残念ながら周囲の様々な憶測や心配が、結果的にご本人にとって圧力となってしまう現実があることも承知をしています。

これは社会全体の問題であり、すぐに解決できるものでは無いと思いますが、正しい知識の普及啓発と、サポート体制の構築を目指すことで、妊婦さんやご家族の皆さんを孤立させることの無い地域社会を実現させていくことが必要と考えています。




【答弁15】
次に、療育体制と障がい福祉体制をさらに充実させ、差別や偏見を徹底的に除去する為の取り組みについて、ご質問をいただきました。

障がいのある子どもが、差別や偏見を受けること無く、充実した療育、福祉体制の中で成長していくことは、大変重要だと考えています。

また、障がいのある子どもが健やかに成長していく為には、ひとりひとりの市民が障がいに対する理解を深めることが何より重要であると考えています。

本市では一般市民向けの講演会を開催したり、ガイドブックを作製するなど、障がいに対する啓発活動を行なっていますが、障がいのある子どもたちが差別を受けることなく成長できるよう、制度と市民の意識づくりに努めてまいります。

以上です。

フジノの再質問

市長、御答弁ありがとうございました。
 
ただ、御答弁いただけていない質問がいくつかありますので、まず先にその確認をします。
 
全市的な議論をしていくべきではないかという点について、どのようにお考えでしょうか。

また、特に『親の会』と議論・意見交換をすべきという点についてはどのようにお考えでしょうか、お聞かせ下さい。

市長の答弁

全市的な議論というのを、何をもってできたかできないかというのは、なかなか定義することは難しいと思いますし、こういった倫理的な側面のある案件についての議論というのは、実はなかなか終わりを見出すのも難しいというふうに思っています。
 
ですので、市としてはこれまでどおり丁寧な説明をした上で、希望される方に検査を実施していきたいというふうに考えています。
 
また、もう1ついただいたのが、様々な当事者の方の意見を聞くべきではないかというお話ですが、『障害児・者の親の会』などさまざまな意見はぜひ聞いていきたいというふうに思います。

フジノの再質問

それから、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー新規雇用あるいは養成の必要性については、つまり新規雇用するのかしないのか、養成するのかしないのか、これはどちらなのでしょうか。

市長の答弁

遺伝科の設置ということが難しい中では、養成をするということもなかなか難しいと思っています。

フジノの再質問

それから、遺伝科の設置について、病院管理者とも意見交換をしてほしいということについてはどのようにお考えでしょうか。

市長の答弁

そもそも遺伝科の設置ということについては、臨床遺伝専門医等を確保して設備を整え、また研究的なバックアップも必要になる中で、横須賀市では難しいと思っています。

ですので、こういったことについて管理者と相談をする予定はありません。

フジノの再質問

それでは改めて再質問に入ります。
 
まず、羊水検査が市立病院であるうわまち病院で実施されてきたことを、市長もそして議会人である僕も知らなかったということは、大変に残念なことだと思います。
 
そこで、ぜひ市長に申し上げたいのは、このようなことが2度と無いように、あくまでも公立病院ですから議会も行政も全容をきちんと知ることができるように、病院とも意思疎通を図り、情報提供に努めるよう要請をしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

市長の答弁

羊水検査については、当然何らかの形でみなさんが情報にアクセスできるようにしておくべきだったと思っていますが、ただ全ての検査、いろいろな検査手法も日進月歩で進んでいますので、それを変更のたび求めるというのは難しいと思います。

フジノの再質問

市長、全ての検査を求めている訳では決してありません。

このような社会的な議論が起きているような検査などについては、報告すべきというふうに受けとめています。

改めてお考えをお聞かせください。

市長の答弁

こういった情報にはアクセスできるようにしておくべきだったというふうに思っていますし、これからはそのように改善したいと思います。

フジノの再質問

今回の質問で最も僕が重視しているのは妊婦の健康を守ること、そして胎児も当然守ることです。

その中で、様々な検査方法、出生前診断方法がありますが、羊水検査は大変侵襲的であります。

侵襲的というのは少し言葉が難しいですが、羊水を取る為に針を使っておなかに穴をあける、つまり母体に傷をつけるという意味で侵襲的という言葉を使っています。

そして、流産のリスクがある。
 
ですから僕はできる限り羊水検査をやりたくない。

やらざるを得ないならば、遺伝カウンセリング体制をとったり、日帰りではなくて、せいぜいどんなに短くとも1泊2日は安静をとるべきだというふうに考えています。
 
そんな中で、羊水検査を今までどおり実施するという判断を市長がされた。

つまり「中止しない」というふうにお答えになったというのは、僕は無批判に継続するというお答えに聞こえてしまいました。

妊婦・胎児を守る立場に立てば、一旦中止するべきではないかというふうに思いますがいかがでしょうか。

市長の答弁

私としては、検査方法として当然リスクはあることは承知していますが、すでに確立しているものですので、特段中止する必要性というのは感じていません。

フジノの再質問

本当に確立されているものとお考えですか。

先ほどおっしゃったマススクリーニングには僕も大反対ですが、新型出生前診断がきちんとした遺伝カウンセリング体制のもとで行なわれてその件数が増えていく。

こちらは針で穴をあけたりしませんから、非侵襲的検査というのですけれども、非侵襲的検査が増えていくほど、羊水検査のような侵襲的検査、流産のリスクがある検査は減っていく傾向があります。

羊水検査のような危ない検査はなるべくやらないほうが良い。

市長は、さっきマススクリーニングの問題について指摘されて、僕も全く同感ですが、ただマススクリーニングで行なわれている手法の1つであるNIPTなどは、きちんとした体制で行なえば、羊水検査自体の数は減っていく訳です。

ですから、しっかりとした体制を持って検査も実施していくことで、母体にダメージが少ないやり方ができるのではないかというふうに考えています。

そうした研究が何も無いまま、一旦立ちどまることもないまま無批判に、国立病院から市立病院に移管された後も、議会にも市にも報告がないままに取り組みが進められてきた検査を一旦とめて、リスクとメリット、それから支援体制をしっかり考えるべきだというふうに僕は訴えているのです。

改めて市長のお考えをお聞かせ下さい。

市長の答弁

新たな検査体制等が、あるいは検査手法等が可能かどうかということの研さんも含めて、病院の中では取り組まれるべきだというふうに思っていますが、ただやはり選択の1つとして、そういった検査を受けたいという患者が来たときに、しっかりと対応できるようにしておく必要があると私は考えています。

フジノの再質問

それを公立病院があえて行なわなければならない理由は何でしょうか。

市長の答弁

当然市としてそれを用意しておく、そういった選択肢を用意しておくということです。

フジノの再質問

それでは僕がインターネット上にあふれていると批判したものと大して変わりないというふうに感じます。

公立病院の役割は、徹底して守ることではないですか。

特に小児医療など難しいものについては、市の繰出金も出していますし、公立病院が行うべきことは、議論の分かれている羊水検査をすることではなくて、まずは母体を守ることだというふうに受けとめています。

希望があるから行なうというのは、医療者のおごりだと私は考えています。技術がある、できるから行う、それはあってはいけないことだと思います。

公立病院ですから、行政、議会がコントロールできる病院です。その病院がこのようなやり方を無自覚に行なっているとすれば、それは市民サービスではありません。

もう1度市長のお考えをお聞かせください。

市長の答弁

現場の医師が無自覚に行っているかどうかというのは、私は今回確認することはできませんでしたが、基本的にはガイドラインというものを十分に説明した上で、その後の市として対応できること、できないことということについても説明をした上で、検査を受けるかどうかという話をしていますので、私としては不十分なまま羊水検査を行なっているというふうな環境にあるとは思っていません。

フジノの再質問

ガイドラインを御説明した上で、市のできないことも説明しているというふうにおっしゃいましたが、まず現状ガイドラインが守られていないのです。

遺伝カウンセリングもできていません。

その中で、市がこれを続けることは、聞かなくてもこれは医療者の無自覚なおごりだと私は思います。
 
今回質問をあえてしているのも、日本ダウン症協会は、あらゆる出生前診断に反対もしていません。

長い歴史の中でいろいろな意見を議論してきました。

けれども国としては議論を避けて、逃げてきた。母体保護法と刑法の間にはねじれがある。

こうしてずっと議論を先送りしてきたせいで、多くの妊婦の方々、障がいのある方々が苦しんでいる。

せめて横須賀だけでも議論を先送りせずに、一定程度のコンセンサスを得られるようにすべきだと思います。
 
先ほど、どこまで議論をすれば議論したことになるかわからないとおっしゃいました。僕も正直わかりません。

けれども、今うわまち病院で行なわれています。

羊水検査というのは、基本的には中絶も視野に入れた上で行なう検査のことを指しています。

たとえ妊婦の方がそうではないとおっしゃったとしても、頭の中には必ずそれがあるものです。

子どもの健康な姿を見たいという思いの裏には、健康でなかった場合には人工妊娠中絶も視野に入れるというのが羊水検査です。
 
ですから、それがこのまま今うわまち病院で行なわれているということを、一旦立ちどまって、本市はそれを公立病院が行なうべきなのかということを議論すべきだと思います。

少し足を伸ばせば、横浜市立大学附属病院にはNIPTもできる、きちんとした取り組みができる大きな病院があります。県立こども医療センターで遺伝カウンセリングも受けられます。

けれどもあえて身近なうわまち病院で行なう必要性があるとしたら、充実した支援体制があり、自分がふだんから受けている産科医師や助産師の方や看護師の方々からアドバイスを受けられるから受ける、初めてそのとき公立病院が行なう意義があると思うのです。
 
けれども、今全くそういう議論がないままに、妊婦が希望したら行ないます、説明はしたけれども十分な支援体制もありません、でも妊婦は必死だからとにかくやってくださいと言われたら行なう、それは市長、無責任です。

ぜひお考え直しいただきたいと思いますがいかがですか。

市長の答弁

私としては、丁寧な説明をこれまで心がけてきたからこそ、10年間で11名という患者の数だったのだろうと、これは想像ですけれども思っています。

私としても、そうした認定遺伝カウンセラーのカウンセリングを受けたいという話があれば、少し足を伸ばしていただく必要がどうしても出てきてしまいますが、そういった医療機関を紹介するべきだというふうに思っています。

ですので、11名の方も何らかの事情があったのだろうというふうに推測しますし、そうした中で市としての選択肢を用意しておくことは、やはり大事なことではないかというふうに思っています。

フジノの再質問

丁寧な説明だったから11名だったのでは、決してありません。

まず、第4次医療法が改正されるまで、病院において広告をすることは極めて限定されていました。

また、横須賀市立うわまち病院のホームページのどこを見ても、羊水検査について記述があるところを見つけることはできません。また、病院年報を見ても見つけることができません。

今回、たまたま他の市の行政が調べて、そして他都市事例として調査したから分かっただけのことで、この他都市が調べなかったら永遠に分からなかったと思うのです。

知らなかったから受診した人数も少ないだけ、知られていないから受けている人が少ないだけなのです。

市長、これはまずいです。

丁寧な説明をしたから11名だった訳では決してないと思います。

中には丁寧な説明をした結果、思いとどまった方もいるかもしれませんが、これは広告宣伝していないからです。

他の民間病院では、羊水検査をしている場合には謳っています。
 
そして、逆にこのような11年間で10名しか施術実績がないのに、その中でおなかに穿刺を差し込む、流産のリスクがあるような検査を続けることは、道義的にも許されるとは思えないのです。

それを選択肢として用意するのが市のあるべき姿だと、市長がお考えだとしたら、それは市長が「子どもが主役になれるまち」とおっしゃっていることとは全く反すると思うのですがいかがですか。

市長の答弁

ここは本当に推測の中での議論になりますけれども、妊婦、特に初産ともなれば、あるいは例えば高齢出産等になれば、自分のおなかの子どもの状態というのが気になっていく。

そうした中で、時代的にはさまざまな情報があふれて、自分が今妊婦健診で通っている医療機関が、そういった羊水検査等の検査を行なっているかというのは、当然気になる話だというふうに思います。
 
そうした中で、うわまち病院としては、希望があれば相談に乗って、できることできないことを整理した上で患者にお示ししてきていますから、そこまで道義的に批判を受けるような体制で実施しているとは、私は思っていません。

フジノの再質問

我が国が署名している婦人差別撤廃条約ではこううたっています。

「個人及び夫婦は、子どもの数、出産間隔を自由かつ責任を持って決定し、そのための情報と手段を持つ権利を有する」

これはつまり仮に産むにせよ、産まないにせよ、適切な情報提供体制そして真に社会的支援体制がなければならないということを、世界的に約束したという条約だと受けとめています。そして日本政府もこれに署名した。
 
当然、我がまちにもこの条約の網というのはかかっている訳です。

そして羊水検査をやっているということは、もう既にこの条約の中で書かれている取り組みに、横須賀市もかかわりを持っているということなのです。

羊水検査はパーフェクトな検査ではありませんし、それをさらに支援体制が十分でないまま行なうというのは、許されるべきことではないというふうに思っています。
 
市長は、認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医を養成しないというふうにおっしゃいました。

この理由は何故ですか。何故こうした存在を養成しないのでしょうか。

僕が少し調べただけでも、臨床遺伝専門医は市内5カ所の病院、診療所にいらっしゃいます。

何故、民間の診療所・病院ができることが、これだけ高い医療の質を誇るうわまち病院にできないのでしょうか。

市長の答弁

遺伝科というものの設置があって初めてこういった総合病院での臨床遺伝専門医等の威力が発揮されるというふうに思っていますが、遺伝科の設置には大きなハードルがあると思っていますので、結果としては臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーの養成もすることはない、というふうに思っています。

フジノの再質問

遺伝科の設置が前提だからというのは、どなたがお決めになったことですか。

市長ですか。それとも病院管理者との何か話し合いを持ってお考えになったことですか。

市長の答弁

遺伝科の設置は難しいというのは、私も答弁調整の中で状況を把握して、これはなかなか難しいというふうに判断いたしました。
 
また、臨床遺伝専門医の医師そのものがやはり少ない。県内でも今は69人しかいない。

認定遺伝カウンセラーとなるとさらに県内では10人しかない。

そういう状況下で、こういった医師の方の確保というのは難しいだろうという認識です。

フジノの再質問

理解できません。

うわまち病院には全国で2カ所しかないがんに対する治療機器を導入したりしています。先進的な取り組みをしてきたのが市立うわまち病院です。

機器を買うのは簡単ですけれども、医療は人であるはずです。
 
そして、今県内の臨床遺伝専門医の数と認定遺伝カウンセラーの数をおっしゃっていただきました。

この状況は僕ももちろん承知しております。

認定遺伝カウンセラーは2014年11月現在、全国レベルで見ても161人、確かに大変少ないです。だからこそ横須賀はやるのではないですか。
 
求めている人がこのまちには必ずいます。

そして、横浜やあるいは遠くの町へ、これは羊水検査に限らず、様々な検査、出生前診断をしてから、また全然知らない、かかりつけ医ではない産婦人科に行ったりして、そしてそこで遺伝カウンセリングを受ける。

わずか2週間の中で、自分のこれまでの妊婦健診や来歴を一切知らない人にゼロから全てをお話しして、わかってもらって、そこで中絶するか否かを決めるなどということは、普通はできないです。
 
そして、僕は必ず遺伝カウンセリングができる機関を紹介する方針に変えよというふうに申し上げましたが、それもしないというふうに、多分お答えいただいたのではないかと思っています。

何故そのような無責任なことが言えるのかが全く理解できません。
 
必ず出生前診断を受ける人の数は増えていきます。実際問題として増えています。

そのような状況の中で、後追いではありますが、横須賀市立うわまち病院が専門的な支援体制をつくっていくことこそが、市民への選択肢として提供するにふさわしいのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

市長の答弁

現状では臨床遺伝専門医がいないこと、認定遺伝カウンセラーがいないこと、そういったこともつまびらかにお話ししていますし、そういった医療機関が横浜市内を初め県内には5病院あるというようなことも情報提供していますので、私としては今、例えば遺伝科の設置であるとか、あるいは臨床遺伝専門医の雇用ということよりも、そういったさらに専門性の高い医療機関への御紹介ということのほうが妥当なのではないかと思います。

フジノの再質問

そのような姿勢は、母子ともに、妊婦、胎児ともに守っていくという姿勢とはとても受けとめられず、大変残念です。

今後もこの問題についてはお話をぜひ続けていきたいと思います。
 
支援体制の確立については平行線なので、唯一歩み寄れるかもしれないダウン症候群の方々の現実の姿を知ってもらうことについて、改めて意見交換、議論したいというふうに思います。
 
こうした姿を知ってもらうことの重要性は、先ほど御答弁いただきました。

どのようなことができるか研究したいというふうに御答弁いただきました。

どのような支援ができるかを研究するに当たって、ぜひ福岡の受容ネットを調べていただきたいというふうに思いますがいかがでしょうか。

市長の答弁

調べてみたいと思います。

フジノの再質問

そして調べるだけではなくて、今も横須賀市は障がいのある方に理解を求めるガイドブックをつくったばかりですし、そうした啓発はさらに進めていくことになると思うのです。

ただ本はただの本でしかなく、ホームページに掲載している情報は、ただのホームページに載っている情報に過ぎません。

実際にお子さんを育ててこられたお母さん方の、産んだ、育てたお母さん方の生の声や幸せそうな姿を、実際にピアの立場として妊婦の方やお母さんに会って、そして声を聞いてほしい。そういう場もぜひ作ってほしいというふうに思うのです。

そこも視野に入れて、先ほど『親の会』との意見交換はしていただけるということだったので、ぜひそういった提案が議会であったのだということも投げていただきたいのですがいかがでしょうか。

市長の答弁

やはり療育や福祉の体制の中で、先輩と言っていいと思うのですが、先輩保護者の方の意見というのは、大変プラスになると私も思っています。

現状は様々な支援団体がある中で、そういった先輩保護者の方へのアクセスがしやすい時代になってきていますけれども、ぜひ障害児・者の親の会の皆さんなどにもお話を聞いてみたいと思います。

フジノの再質問

いや、アクセスは全くできないです。

みなさんの周りで、今度妊娠した、子どもが生まれるという人に、障がいのある方々と実際にしゃべったことがあるという生の体験を持っているかどうか、ぜひ聞いてみていただきたいのです。

今、学校で児童・生徒の皆さんは、障がいのある児童・生徒の方と接する機会がふえているかもしれませんが、今、親になる世代の方々は、どこまで実際に接した経験があるのか、まずその時点から怪しいです。
 
加えて、同級生として育っただけではなくて、自分の子どもとして持つ、そして一緒に暮らしていく、そういう声を聞く機会などある訳ないではないですか。

アクセスしやすいと言いますけれども、それはさっき申し上げたホームページやインターネットで見られるというだけなのです。

ですから生の声を聞く機会をぜひ設けてほしいと申し上げているのは、そういう意味なのです。
 
ですから、繰り返しになりますが、『親の会』のみなさんに、生の声を、ピアとして、市長がおっしゃったように先輩として聞ける場をぜひつくってもらえるように投げかけていただけないかというふうに思うのです。

『受容ネット』みたいな正式な存在にならなくても結構です。

横須賀市は出生前診断を受けた方には、受けたいと思っている方には、必ず親の会のみなさんの声を聞ける場を提供しますというような形を、ぜひ作っていただきたいと思っているのです。

これは僕の構想に過ぎませんが、市長、改めて答弁をお願いします。

市長の答弁

少し議論がかみ合わない理由はよくわかったのですが、私は出生後であれば、障害のあるお子さんが出生された御家族の方々の受容のプロセスというものは、地域全体で守らなければいけないですし、『親の会』等ともつなげなければいけないし、つなげやすい環境は整っているという思いで、私は答弁いたしました。
 
ただ、議員の質問は出生前のお話ということでしたが、どういう形でそれをやればいいのかというのは、極めて難しいと思いますので、まずは本当に『親の会』のみなさんの御意見を聞いていきたいというふうに思います。

フジノの再質問

最初にみずからの立場を申し上げたとおりで、女性の基本的人権であるリプロダクティブライツ、そしてチョイスは守られるべきだと思っています。

そして同時に、障がいのある人々の生の姿を知っていただけば、人工妊娠中絶をする人も減るのではないかというふうにも思っております。
 
その上で、生の声、生の姿をあらかじめ知っていただいて、そもそも出生前診断を受けるのか否かを悩んでいる状態からアプローチできるように、ぜひしていただきたいというふうに思うのです。
 
ほとんどの妊婦は、子どもがおなかにできたということの喜びの中にあって、そして健康であるといいというような気持ちで出生前検査を受けると思うのですが、その後、陽性あるいは染色体異常があるといったときに、あらゆる混乱の中に追い込まれます。

そのときにサポートする体制を、横須賀市が提供しなくてどうするのでしょうか。

病院に任せきりにするのは絶対に良くないというふうに思います。
 
そして公立病院を持っていて、療育も行なっていて、障がい福祉も行なっていて、そして子育て支援、生涯を一貫した療育から障がいに関する体制をとり始めた横須賀市だからこそできる支援というのがあると思うのです。

ぜひそこを研究し続けていただきたいと思うのですがいかがでしょうか。

市長の答弁

出生前診断についての研究はぜひ進めていきたいと思います。

しかし、やはり留意しなければいけないのは、決して出生前診断の件数が増えるのは良いことではないというふうには思っていて、私としては妊娠当初から、お子さんをつくるというところから、その子どもを受け入れるプロセスというのを大事にすべきだというふうに思っていますので、生まれてきたお子さんがどういう状態か、それをどう受け入れていくかといったプロセスについて、特に行政として寄り添う必要性を強く感じてはいます。

けれども、出生前診断ということをいたずらに広げる、そういった選択肢がたくさんあるということは、やはり倫理的な問題がすごく多く取り巻くところだというふうに思います。ぜひそのあり方については、市としても研究は進めていきたいと思います。

フジノの再質問

市長のナイーブな御回答の一方で、現実はインターネットで出生前診断と入れればいくらでも広告が出てきます。

それをつぶせる、対抗できるのは公立病院です。

公立病院の産科がしっかりとした体制をつくって、そのようなインターネットなど絶対に使わないのだというふうに、妊婦の方、配偶者の方にわかってもらうことです。

僕は、出生前診断自体が増えること自体は構わないと思っています。

それは先ほど申し上げた婦人差別撤廃条約にも書かれている女性の権利ですから。
 
僕はそうではなくて、出生前診断を行なた、障がいがあるとわかった、でも障がいがあってもなくても関係ない、幸せに育てていける、幸せな暮らしができるのだという生の姿を知ってもらいたいと思っているのです。

それが無いままであれば、市長のおっしゃるようにただ中絶が増えるだけだから出生前診断は行なわないほうがいいというふうな話になります。

僕は、改めて公立病院が出生前診断をやる意義・意味を考えてほしいと思います。
 
子どもにも選ばれるまちを市長はうたっています。その中に障がいのある子どもが必ず入っていてほしいと願っています。

その意味で、ぜひ今回の質問は、最初の一歩だと思っています。

これからも命の倫理観について、もちろん議論していきたいですし、そして女性の基本的人権を守っていくことについても、議論を深めていきたいと思いますので、これからもぜひ議論をさせていっていただきたいと思います。

以上で質問を終わります。ありがとうございました。