横須賀市内で自殺未遂をした方を「市外へ救急搬送した件数」がゼロになりました/自殺未遂者支援

治療後のケアの必要性を考えれば、自殺未遂をした方々は市内で医療を受けられるようにしたい

自殺未遂をした方々が運良く発見・救急搬送されて、体そのものは治療によって回復しても、再び自殺をする確率は極めて高いことが知られています。

およそ10〜30人に1人は再び自殺をする、という調査結果も報告されています。

自殺へと追い込まれた背景には複数の要因があるのですが、それらの要因の解決に向けた支援が必要です。

そこで、横須賀市では救急救命センターと協力して、自殺未遂者支援を実施してきました。

救急救命センターに搬送された方々に、入院中からアプローチし、退院後の『生きる支援』を行なっていくのです。

しかしこの方法には、1つ大きな欠点があります。

横須賀市は『市内』の救急救命センターとの提携によって支援を実施しているので、もしも『市外』へと搬送されてしまうと、この支援の枠からこぼれ落ちてしまうのです。

『市外』へ搬送されることは、自殺未遂をした方々に限らず、どんな病気でも起こる一般的なことです。

そもそも救急救命センターに空きベットが無いケース(フジノ作成)

そもそも救急救命センターに空きベットが無いケース(フジノ作成)


119番通報によって救急車に来てもらえても、市内の救急救命センターのベットに空きが無い場合には、空きベットがある市外の病院へ搬送されることがあります。

治療後も入院が必要だが空きベットがなく市外に転院せざるを得ないケース(フジノ作成)

治療後も入院が必要だが空きベットがなく市外に転院せざるを得ないケース(フジノ作成)


また、治療を行なって入院できても、もっと症状の重い患者さんが搬送されてくればセンターにはベットが必要になります。

そこでひととおりの治療が終わっていれば、未遂をした方であっても、他の病院に転院していただくしかありません。この時、市内に空きベットが無ければ、市外の病院に転院せざるをえません。

こうして、横須賀市の自殺未遂者支援の仕組みからこぼれ落ちてしまうのです。



支援の枠組みから外れてしまうケースを出さない為のフジノの提案

フジノは、何とかして『市外への搬送によって未遂者支援の枠組みから外れてしまうケース』を無くせないか、と考えてきました。

そこで、こんな提案も市議会で行なってきました。

2013年6月10日・教育福祉常任委員会
question(フジノ)
自殺未遂者支援について、健康づくり課と地域医療推進課にあわせて質問します。

横須賀市では、自殺未遂者支援に非常によく取り組んでいただいています。

先日、関係病院、つまり自殺未遂をした方々が搬送される病院のメディカルソーシャルワーカーの方々と意見交換をする機会がありました。

救急車で搬送されて救急救命センターに来ても、残念ながら大半がセンターで受けられなかったり、あるいはセンターで受けても、すぐに横浜市等の市外の病院に転院せざるを得ないような状況がある。

その為、せっかく自殺未遂者支援の仕組みがあっても、関われない方も複数おられる、とのことでした。

そんな中、「どうか市立病院で1ベッドでいいから、自殺未遂者の方を受けられるようなベッドを確保できないだろうか」というお話をいただきました。

僕は「まさにそれはそのとおりだな」と思って、御提案をお聞きしました。

本市では、そういった実態を把握しておられるかということと、ベッドを確保することが可能なのか、健康づくり課長と地域医療推進課長に伺いたいと思います。

answer(保健所健康づくり課長)
今現在、横須賀共済病院と連携して『自殺未遂者対策』をやっておりますけれども、その辺のベッドの有る無しについては、健康づくり課としては情報として今まで頂いておりません。
answer(地域医療推進課長)
市立病院でそういった自殺未遂者用の為のベッドを確保できないか、という御質問だったと思います。

4月からうわまち病院では救急救命センターを開設しましたけれども、現在は20ベッドです。

その中で特定の為に1つ空けておくということは難しいかなと思います。

1ベッドがあったことで救える命というのもありますので、状況の中で、空きがあれば、受け入れることはあるかと思います。

けれども、自殺未遂者支援用に必ず1ベッドをあけておくということは、運用上難しいかなと思います。

question(フジノ)
僕の質問から地域医療推進課長はイメージを共有して下さり、ありがとうございます。

僕は、精神科のドクターも常駐しておられるようになったこともあってうわまち病院をイメージしていたのですが、現状の救急救命センターは20床しか無い厳しさというのも承知しております。

今後の検討課題として、ぜひ研究していただけないかと思っております。

ぜひ御検討をお願いいたします。

自殺未遂だけでなく全ての怪我や疾患の重症度の高い方の為にベットは使うべきものであり、自殺未遂に限定した目的ではベットをキープすることはできない、という答弁でした。



2013年の市外への搬送がゼロ件になりました

それから半年が経った先日、最新の統計データが発表されました。

この問題について良い変化がありましたので、報告いたします。

下の横須賀市消防局が公表した最新のデータ(2013年・医療機関別搬送人員)をご覧下さい。

『自殺未遂』で救急搬送された132名がどこの病院へ搬送されたかを示したデータです。

横須賀市消防局消防・救急課「医療機関別搬送人員」より

横須賀市消防局消防・救急課「医療機関別搬送人員」より


『市外』へ搬送された方々はゼロになりました!

これは、

  1. 2013年は、自殺未遂をした方々が前年より21%減少したこと
  2. 2013年4月から、うわまち病院の救急救命センターがスタートしたこと

による成果だとフジノは分析しています。

特に、この4年間、自殺未遂によって救急搬送された方々の数は減少し続けているのですが、これは横須賀市による支援の効果が現れてきたのだと思います。

そもそも救急救命センターに空きベットが無いケース(フジノ作成)

そもそも救急救命センターに空きベットが無いケース(フジノ作成)


こうして『市外』に搬送される方がゼロになったということは、未遂者支援を進めていく上で『こぼれ落ちてしまうケース』を無くしていくことにつながります。

とても良い結果につながることだとフジノは嬉しく感じます。



次は「市外への転院」を把握する必要がある

その一方で、こちらの②のケースについては統計データそのものがありません。

治療後も入院が必要だが空きベットがなく市外に転院せざるを得ないケース(フジノ作成)

治療後も入院が必要だが空きベットがなく市外に転院せざるを得ないケース(フジノ作成)


今後の対策として、フジノは『市外への転院を把握する方法』や『市外へ転院した未遂者の方々への支援策』などを考えていきます。

全国の自殺対策関係者のみなさまへ

ここで報告したデータですが、今まではこのデータに関心を持つ人は、たぶん市内では数名(フジノと消防局と救急救命センターの方々くらい)しか存在しませんでした。

でも、ものすごく大切なデータです。

自殺対策には、いくつものいくつもの細かな取り組みが必要です。

今回報告したような取り組みも、自殺対策の重要な対応の1つです。

全国の自殺対策にかかわる有志のみなさま。どうか、あなたのまちの救急搬送のデータをぜひ調べて下さい。

国もようやく未遂者支援の取り組みをスタートさせていますが、細やかな調査や対策を実施できるのは現場に最も近いみなさまです。

ぜひあなたのまちのデータを把握して、あなたのまちの対策に活用して下さい。

どうかよろしくお願いします!



横須賀市が自殺未遂へと追い込まれた方々の支援をスタートします!

自殺未遂へと追い込まれた方々の支援がスタートします!

自殺予防対策をメインの政策とする政治家フジノにとって、『自殺未遂』へと追い込まれた方々への支援は、重要な課題です。

このまちでは、自殺対策への様々な取り組みが先進的に行われています。

例えば自殺対策関係者のネットワーク組織づくりや、広報・啓発活動にはかなり力を入れてきましたし、自死遺族の方々への支援にも取り組んできました。

しかし、残念ながら、『自殺未遂へと追い込まれた方々への支援』だけは、初当選した2003年からずっと提案を続けてきたのですがほとんど実現してきませんでした。

今フジノ自身が憶えているだけでも、本会議では03年12月、06年5月、06年9月、09年3月、委員会では05年12月と、様々な角度から具体策を提案してきました。

なかなか動き出せない『自殺未遂へ追い込まれた方々の支援』は、いつもフジノにとって重要な課題として存在してきました。

昨年のタウンニュース紙(09年3月)『市政展望』でのインタビューでも

今後は、自殺未遂をした方の再発防止に取り組み、さらに自殺対策の専門窓口を設置、コーディネーターを配置したい。

と答えています。

さらに過去の活動日記を見ても、数ヶ月に1度は必ず「未遂者対策が必要だ」「全く不十分だ」と記しています。

けれども、ようやくみなさまに『大きな進展』を報告できます!

それは

『自殺未遂者対策検討会』の設置と開催

です!



未遂へと追い込まれた方々の『生きる支援』に向けて

自殺未遂へと追い込まれてしまった方々が救急で搬送される時こそが、再発を防ぐ為の最大の危機介入のタイミングなのだから、救急と、搬送先の病院や救急救命センターと、保健所とが搬送された直後から連携してサポートできる体制を作るべきだ

と訴えてきました。

この『自殺未遂者対策検討会』はそうしたフジノの提案がほぼ実現した形です(具体的にはこちらこちらをご覧下さい)。

実現までに6年もかかってしまいましたが、率直にうれしいです。

この対策検討会は『自殺対策連絡協議会』の分科会としての位置づけです。

対策検討会メンバーは、

自殺対策連絡協議会から、委員長である大滝先生(湘南病院副院長)と、副委員長であり県立保健福祉大学の長雄順教授、

さらに、医師会の救急部会長である江畑先生、横須賀共済病院の救急救命センターの鈴木センター長、同センターの山形看護師長、精神科の柴田部長、医療相談室の中田室長、

横須賀市消防局の消防救急課から牛尾課長、事務局は保健所健康づくり課です。

現在の横須賀市の精神科救急における主要な方々がほぼ入っており、フルメンバーと言って良い顔ぶれです。

第1回目の検討会は、今月14日に開催されました(PDFファイルでのプログラムとメンバー表はこちら)。

この対策検討会は横須賀市の自殺と自殺未遂の実態についてのリアルな実態が検討される場でして、

事例の報告の内容などは個人が特定されかねない情報がとても多いので、一般的な傍聴は基本的に不可です。

また、同じ理由からいくつかの資料についてはフジノはここには掲載いたしません。

けれども、リアルな実態からしか本当に有効な対策が打ち出すことはできません。

対策検討会は今年度中(3月末まで)はもう1度開催される予定です。

そこでは、『自殺未遂者ケアフローチャート』案が正式に決定される予定です。

フローチャート案その1

フローチャート案その1


なんとか亡くならずにすんだ未遂の方々に対して、搬送先の病院やセンターに入院している時点でご本人の同意が得られたならば、保健所の精神保健福祉相談員がすぐに訪問をさせていただきます。

未遂に追い込まれた方々の体の傷は回復したとしても、そのまま同じもとのストレスフルな生活環境へと戻っていけば再び自殺へと追い込まれかねません。

そこで保健所の精神保健福祉相談員が問題のある状況を解決する為に、必要な専門機関に責任をもってつなげさせていただくのです。

こうして、本人(ご家族も含めて)の生活環境の困難や問題を解決していくことで再発を防いでいくのですね。

全国的に有名な岩手県の高度救急救命センター方式とほぼ同じ方法を、横須賀市の場合は、市と民間病院とが協力して行なう予定です。

こうした取り組みがついに横須賀市で行なわれることは、フジノは政治家として活動してきて本当に良かったと感じています。

まだ具体的な実践に向けては解決しなければならないことがありますが、自殺未遂へと追い込まれてしまった方々への支援は必ずスタートします。

1人でも多くの方の救われるべきいのちが本当の意味で守られることをこころから願っています。