まちの政治家は、こんなことしてます政治家フジノの活動日記


2008年7月20日(日)のフジノその1
● WRAP集中クラス2日目(午前)

 さあ、2日目のはじまりです。
 今日も千葉県市川市は快晴です。

 フジノの宿泊先ホテルから、
 会場であるNPOコンボまでは徒歩10分くらいです。

 千葉県市川市といえば、
 精神保健福祉の先進的なまちとして知られています。

 周囲をきょろきょろしても何かが見れる訳では無いのですが
 なかなか市川市に3日間も滞在できることが無いので
 思わずまわりを見ながら歩いてしまいます。

 (市川市の先進的な取り組みというのは、
  決して何かハコモノ施設があるとかいうのではなくて
  ソフト面での取り組みが重視されているので、
  周囲を見回しても何かが見えるということは無いのですね)

本八幡駅前は快晴

 2日目の午前のプログラムは
 次の通りでした。

     2日目(午後)
09:45〜10:00
 受付

10:00〜11:00
 チェックイン
 『安心できるための同意』の確認・追加、
 昨日の宿題、ファシリテーターの紹介

11:00〜
 リカバリーに大切なこと(3)
 「学ぶこと」

〜12:20
 リカバリーに大切なこと(4)
 「権利擁護」


 今日は、見学の方が1名いらしっゃいました。

 なんとその見学の方もまた、フジノがかねてからお会いしたかった
 精神保健福祉のすごい人なのでした。

 少しお話できる機会があったのですが、
 IPS(*1:フジノはこれに注目しています!)
 についてのDVDを頂いてしまいました。
 これも今、かなり話題になっているDVDなんです。

 『WRAP』も『IPS』も、これから必ず主流になっていく
 新しい精神保健福祉の取り組みです。

 こうした人的な出会いもまた、この集中クラスに参加した
 大きな意義の1つだと思いました。


 (*1)IPSとは、Individual Placement and Supportのこと。
  『働く』ことは、リカバリーの重要な要素であると捉えて、
  精神障がいのある本人の持つ可能性や長所にフォーカスをあて、
  自らの経験から学ぶ権利を尊重した
  個別就労支援プログラムのことです。


● チェックイン、安心できるための同意、ファシリテーター自己紹介

 まず、チェックインです。

 これは毎日行なわれることなのですが、
 これから参加者が今日1日のクラスに参加しやすくなる為の
 スタートの取り組みですね。

 最初に『安心できるための同意』の確認をみんなでしました。
 これは昨日も行いましたね。

 さらに、今日は新たに追加することを挙げてもらいました。

 例えば、今日は見学の方がいらっしゃいましたので
 新たに追加されたこととして

 ・見学者も『安心できるための同意』を守ること

 というものがありました。

 こういうことを1つずつ確認していくことで、
 誰もが安心して、そして楽しくクラスに参加していくことができます。

 こうした積み重ねを丁寧に行なっていくところが
 『WRAP』の大きな特徴だとフジノは考えています。

 みんなが元気を回復してハッピーになる為の
 プランづくりをやっていくクラスが安心できなかったら、
 それはウソですよね?

 そういう大切なことにとても忠実なのが
 『WRAP』のクラスなのだと思います。とても大切なことだと思います。

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 続いて、昨日の宿題の発表でした。

 『今日のクラスで作った自分の「元気に役立つ道具箱」の中から
  実際に1つ選んでやってみてください!』

 が、昨日の宿題だったのですが、
 クラスのみんながそれぞれに昨日行なった宿題について
 発表しあいました。

 フジノは、昨日記したとおりで
 クラスの仲間ともんじゃ焼きを食べたことをお話しました。

 やっぱり『WRAP』は実際に毎日やってみることが大切ですから、
 こういう宿題を出してもらったことも実践の良いきっかけで、
 とてもうれしかったです。

 宿題の発表をしたみなさんが楽しそうでした。
 これぞ、『WRAP』!と感じた瞬間でした。

 やっぱり、精神保健福祉には笑顔が無ければいけないですよね。

 精神病になったからって、暗くなる必要なんて何にも無いんです。

 誤解を恐れずあえて書くと、
 ただ『病気になっただけ』のことなんです。

 もちろん、医療や服薬などつらいこともたくさんあります。
 でも、それは他の全ての病気でも同じですよね。

 精神疾患があるとしても、
 それは病気になっただけのことなのですから、
 みんな元気でハッピーになる権利も義務もあるとフジノは信じています。

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 続いて、今日は新たに2人のファシリテーターが加わってくれました。
 『あんぼ』さんと『みどり』さんです。

 下の写真が、『あんぼ』さんです。
 お会いするのは2回目です。すごく理知的な方です。

ファシリテーターのあんぼさんとフジノ

 もう1人の『みどり』さんは、
 今回がファシリテーターとしてのデビューだそうです。
 すごい!

 まだまだ全国でファシリテーターは30人くらいしかいないので
 本当に貴重な存在だと思います。

 いつかフジノもファシリテーター養成講座を
 受けられる機会があるといいなぁ。


● リカバリーに必要なこと(3)「学ぶこと」

 さて、チェックインが終わると
 ついにセッションに入っていきました。

 2日目の最初は、

 リカバリーに必要なこと(3)「学ぶこと」

 です。

 学ぶこと、というのは、
 希望や夢に向かって歩き始めた時にどんな情報を得たらいいか、
 ということですね。

 リカバリーに必要なことは、まず「希望」ですね。
 昨日のクラスでみんなで自分の「希望」は何かを挙げてみました。

 それから次に、その「希望」を実現する為に
 「自分に責任を持つこと」は何だろうかと考えてみました。

 そしたら、次の段階は、「希望」を実現するために必要な
 自分にとって必要な情報を学ぶことですよね。


 まず、ファシリテーターのみんなが
 どんなことを『学ぶこと』として考えて実行しているかを
 紹介してくれました。

 それから、クラスみんなでそれぞれのアイディアを
 出していきました。

 ここでも集中クラスで挙がったことは紹介できませんので
 フジノが活動日記用に作った例を書いてみますね。


 ・睡眠の大切さを学んだ

 ・上手な整体師さんがいる場所を探した

 ・恋愛で傷つきすぎないことを学んだ

 ・自分の行動パターンを変えることを学んだ

 ・みんなで協力しあうことを学んだ

 ・親のありがたさ

 ・病気が悪化したら強い薬を飲む

 ・リラクゼーション

 ・インターネットでWRAPについて調べてみた

 ・過食しないで良い方法を学んだ

 ・お金の管理のしかたを学んだ

 などですね。

 学ぶこと、というと何か特別なことを
 新しく学ぶというイメージがあるかもしれません。

 でも、そうではなくて、『WRAP』はいつも
 自分の元気を取り戻してハッピーになる為のものですから

 『学ぶこと』というのも、
 あくまでも自分の為に必要なことを学ぶ訳ですね。

 これも特にワークシートみたいなものは無かったのですが
 自分が記入してみる時には、
 自分の「希望」と対応して「学ぶこと」を書いてみると
 わかりやすいのかな、と思いました。

 例えば、フジノが集中クラスで実際に書いた「学ぶこと」を
 自分の「希望」に対応させて書くと、こんな感じです。

 
「希望」 「学ぶこと」
・他人のリカバリーだけでなく自分のリカバリーを信じたい ・今回のWRAP集中クラス3日間をやりとげる。

・実際にWRAPに毎日とりくんでいく。
・父の意識が戻って、母や家族みんながまた幸せになれるようにみんなの元気を取り戻せるようにがんばりつづけたい ・父の病状を専門書を読んだりドクターに意見を求めて、しっかりと現実を把握すること。

・どんな病院がリハビリテーションをしっかり行なっているのか、くちこみ情報をどんどん探す

・家計を圧迫している治療費を少しでも下げる為に、使える制度にどんなものがあるかを調べてみる。

・母や家族が元気でいられるように、同じように介護体験のある方々がどんなふうにメンタルヘルスをキープしているのか、教えていただく。

・元恋人を自死によって亡くしたことをいつか肯定的に受けとめられるようになりたい ・臨床心理士さんとカウンセリングを続けていく中で、人が生きること・人が死ぬということ、についての洞察を自分なりに深めてきた。

・そもそも自殺という行為のメカニズムを徹底的に学んで、情緒的な受け止め方ではなくて、あくまでも現実的に分析可能な行為として学んでいく。

 こんな感じです。

 フジノの場合、「学ぶこと」がまだうまく落とし込めないでいます。

 でもまあ、集中クラスの中だけで完成させるのが
 『WRAP』ではありません。

 これから、集中クラスの3日間を終えた後も
 1つずつじっくりと新たに考え直したり、追加していったりしながら

 自分にとって「希望」を実現していく為に
 どんなことを学んでいったら良いのかも

 じっくり考えていこうと思いました。


● リカバリーに大切なこと(4)「権利擁護」

 午前中の最後は、

 リカバリーに大切なこと(4)「権利擁護」

 でした。

 権利擁護、って、福祉業界では大切なキーワードですが
 ひとことで言うならば、

 誰もが人らしく生きる権利を持っているけれど
 なかなか守られていない現実を変えていくこと

 ですね。

 精神障がいがあるとしても、
 当然のことながら
 誰もが元気でハッピーに暮らす権利があります。

 もうかつてのように精神障がいがあるというだけで
 「危険人物だ」「怖い」というような反応は無くなってきましたが

 それでも(思春期に最も発病しやすい統合失調症をはじめとする)
 精神疾患について学校教育の中でさえ教えない中で

 なかなか精神障がいについて
 まわりの人々に理解がすすんでいるとは言えません。

 ちょっと理解がすすめば、まわりの対応もかわって
 障がいのある本人もまわりにいる人々もハッピーになれるのに
 なかなか残念です。

 例えば、うつ病にかかると、
 心身ともにとても疲れやすい状態になります。

 精神疾患とは脳の病気ですから
 うつ病にかかっているということは、
 脳が激しく悲鳴をあげている状態な訳ですね。

 だから、

 「39度くらいの熱が出ているのと同じように
  何もせずに布団で寝かせてあげてほしい」

 と、僕はよく伝えます。

 でも、世の中には誤解があふれていて

 「うつ状態なんだったら、遊びに行ったりとか
  楽しいことすれば気がまぎれていいんじゃないの?」

 と(悪気は無くてむしろ善意から)
 家族や友人が気晴らしみたいに外出に誘ってくれたりします。

 でも、本人は39度の高熱の中で
 さらに外出してぐったり、うつは全く治りません。
 それどころか悪化してしまったりします。

 それでも、抑うつ状態だと、なかなか他人のお誘いを
 断ることができないんですね。

 そこで『WRAP』では、あらかじめ
 「これは自分の権利ですよ」と記しておくことで

 まわりの人々に自分が元気でいられる為の
 『権利』を守るために、記しておくことになっています。


● 「権利擁護」って何でしょう?

 リカバリーにとって大切なこと、として
 権利擁護って特別な感じがしてしまいますか?

 でも、すごく合理的な感じなんですね。
 『希望』から順番に見ていくと分かると思います。

 (1)自分の『希望』って何だろうか、挙げてみる。

 (2)自分の『希望』を実現する為に、
  自分が行なうべきこと(『責任』)ってどんなことなのだろうか、
  挙げてみる。

 (3)自分の『希望』を実現するために
  自分が行なうべきこと(『責任』)って一体どんなことなのかを考えたり、
  どうすればよいのかを知るために『学ぶ』ことは何だろうか、
  挙げてみる。

 (4)まわりの人たちにも、知っておいてほしい
  大切な自分の権利を挙げておいて、知ってもらう(『権利擁護』)。

 そう、元気になるには、自分1人だけではなくて
 まわりの人の協力も不可欠なのですね。

 それは仕事でも何であっても同じですよね?

 今は『権利擁護』という訳語があてられていますが
 きっといつかもっと分かりやすい言葉に変わるかも知れません。

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 さて、集中クラスにお話を戻しますね。

 まず、ファシリテーターはどんなことを
 『権利擁護』として考えて記して実行しているかを
 紹介してくれました。

 それから、クラスみんなでそれぞれのアイディアを
 出していきました。

 ここでも集中クラスで挙がったことは紹介できませんので
 フジノが活動日記用に作った例を書いてみますね。 

 ・自分のペースで物事を進めていく権利

 ・分からない時に「分からないです」と言える権利

 ・自分の気持ちを伝えなくても良い権利

 ・自分を思いやる権利

 ・時にはマジメすぎずサボっても良い権利

 ・休む権利

 ・完璧ではなくていい権利

 ・できませんと言える権利

 などですね。

 フジノが実際の集中クラスで記した『権利擁護』は
 次の通りです。

 ・仕事柄、テンションが高いのだろうとイメージで見られるけれど
  僕のテンションはいつも低いのが本当なので、テンションが低くある権利

 その他にもきっとたくさんあると思うのですが
 この日はクラスのスケジュールがきつめに進行していたので

 フジノは1つだけ考えたところで、午前中が終わりました。

 あとは家に帰ってからじっくり考えてください、
 ということになりました。

 権利擁護、って、本当に大切なことです。

 この『WRAP』を折に触れて見てみることで
 例えば僕であれば、

 「テンションが低くてもいいよね」

 と、再確認できる訳です。
 僕が僕らしくあることができる時に元気は回復してきます。

 ムリヤリにテンションが高くあることよりも、
 元気に生活できることの方が僕には大切です。

 そんな意味でも、やっぱり『権利擁護』は
 リカバリーに大切なことですね。


● 今日も緊張してる

 お昼休みの直前にファシリテーターから

 「これでもう集中クラスが半分終わりました」

 って言われました。

 確かに言われてみると1.5日が終わった訳で、
 3日間の集中クラスもあと半分となりました。

 でも、

 「すごーい!」と喜ぶよりは
 「まだ半分なの...」っていうのが本音でした。

 やっぱりすごく緊張するから。

 フジノは集中クラスを自分自身が体験しながら
 横須賀でも実際に開催する為に自分自身を実験台にしています。

 やっぱりどうしても2日目が体的には
 いちばんキツくなってしまうかもしれないですね。

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 お昼休みは昨日と同じで
 セブンイレブンのおにぎりでお昼ごはんをすました後は、
 近所の公園でストレッチしました。体がガチガチなのです...。

お昼ごはんの後のストレッチ

 でも、午後からはついに『WRAP』のメインへと
 クラスが進んでいきます。すごく楽しみです!



2008年7月19日(土)のフジノその3
● WRAP集中クラス1日目(午後)その1

 1日目の午後のプログラムは
 次の通りでした。

     1日目(午後)
13:00〜13:50
 元気に役立つ道具箱

13:50〜14:00  休憩
14:00〜14:50
 リカバリーに大切なこと(1)
 「希望」

14:50〜15:00  休憩
15:00〜15:50
 リカバリーに大切なこと(2)
 「自分に責任を持つこと」


15:50〜16:00
 まとめ


 1つのセッションが50分という短めの時間で、
 必ず10分間の休憩が入ることが本当に助かります。

 これからWRAPに参加する方々の中には

 「体力的に3日間も持つだろうか?」

 と、心配されている方々もいらっしゃると思います。
 フジノも申し込み書類にハッキリと「心配です」と書きました。

 でも、こうして小まめに休憩がありますし、
 大丈夫ですからね。
                         

● 元気に役立つ道具箱

 さあ、午後の最初のセッションは、
 『元気に役立つ道具箱』です。

 『WRAP』って一体どんなもの?

 という方々は、この辺から少しずつ見えてくると思います。

 あなたが良い気分でいるために、
 元気を出すために、
 ふだんあなたはどんなことをしていますか?

 ファシリテーターの2人の説明の後で
 さっそくクラスのみんなでワークシートに書き込んでみました。

 下の写真がフジノの書いた実物です。

元気に役立つ道具箱

 フジノがいい気持ちになれる時とかテンションが上がるのは
 例えば、こんなことをしている時です。

 ・映画館へ行く

 ・楽しい単純な映画を観る

 ・海のそばのカフェ(例えば、かねよ食堂やBEE−DOG)に行く

 ・実家で飼っている猫たちと過ごしにいく

 ・バイクに乗って夜風にあたる

 ・野良猫を探しながら、散歩をする

 ・大好きな美容院(miclinkですね)に行く

 ・マンガを読みながらコーラを飲んでポテトを食べる

 ・松崎ナオさんのライブに行く

 ・育てている植物を眺める

 とかです。まだまだ、もっとたくさんありますね。

 こうした事柄を、元気がある時に、
 改めてたくさん書き出してみるんです。

 ふだんからどんどんそれを読み返してみたり
 目に付くところに貼っておくと、

 「ちょっと調子が悪いなぁ...」とか
 「なんかテンションが上がらないよ...」という時に

 『元気に役立つ道具箱』をパラパラとめくってみて

 「おっ、そうだ。ちょっと映画館にいってみよ」

 とか

 「バイクに乗ってちょっと出かけてこようかな」

 とか

 「ああ、最近は野良猫さがしの散歩もしてないな。行ってこよう」

 と、なる訳ですね。

 本当に心身ともに疲れきってしまっている時って
 自分が何をしたいのかさえ分からなくなってしまうことがあります。

 そんな時に

 どうしたら自分が気持ちよくなれるのか、
 どういう時に自分がハッピーになるのか、

 いつでも思い出せるようにしておけるというのは
 元気回復につながる行動を起こせますよね?


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 WRAP集中クラスで初めて
 実際にワークシートに自分で書き込んだのが
 この『元気に役立つ道具箱』でした。

 クラスのみんなでお互いの『元気に役立つ道具箱』を
 発表しあってみると、

 「ああ!自分もそれで元気になれる!」

 とか

 「へぇ、それを自分も1回やってみようかな」

 ということもたくさんありました。

 この1時間で、ぐっと『WRAP』が身近になりました。


● WRAP集中クラス1日目(午後)その2

 午後の2番目のプログラムは
 リカバリーに大切なこと(1)「希望」についてでした。

 ところで、

 『リカバリー』って何かを語ると1冊の本になってしまう

 と、フジノは書きましたが
 おすすめの本があります。

 『ビレッジから学ぶリカバリーへの道
  〜精神の病から立ち直ることを支援する〜』

 マーク・レーガン著
 前田ケイ監訳

 金剛出版、2005年、1680円

 ぜひ読んでみて下さいね。


● リカバリーに大切なこと(1)「希望」

 さて、集中クラスでのお話に戻ります。

 『あなたにとっての「希望」とは何ですか?』

 ということが、テーマです。

 リカバリーに限らず、希望をクリアに持つことは
 人が生きていく上でとっても大切です。

 絶望に落ち込んだ時、重い病気にかかった時、
 様々な転機に追い込まれてしまった時、
 人は、積極的な行動を取る事がなかなかできなくなってしまいます。

 けれども、もしも「希望」を持つことができたら
 それはあなたの大きな力となって
 人生を良い方向に導いてくれるエネルギーになるでしょう。

 政治家としてもフジノは
 このHPでしつこく『希望』について語ってきました。

 まさに、リカバリーにおける「希望」も同じです。

 自分のなりたい姿、
 これからどういう風に生きていきたいか、

 これをクラスでは
 みんなで書き出してみました。

 まず、ファシリテーターの方々から
 エピソードと共に「自分はこんなことを書いています」という
 紹介がありました。

 それから、みんなでそれぞれの『希望』を述べあいました。

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 集中クラスで挙げられたことは
 ここに記すことができませんので、

 例えば、こんな感じです、というフジノが造った例を記します。

 ・クスリの量を減らしたい

 ・海外に行きたい

 ・幸せになりたい

 ・いろいろな本が読みたい

 ・アトピーを治したい

 ・車がほしい

 ・感動することを忘れないでいたい

 ・変わらず家族と仲良くしたい

 ・温泉旅館にゆっくり泊まりたい

 ・笑って死ねる人生が送りたい

 などなどですね。

 「希望」は「夢」と置き換えても良いかもしれない、
 というお話がファシリテーターからありました。

 あるいは、「目標」と置き換えてもいいかもしれないですね。

 ここで記した「希望」を
 いつでも読み返せるようにすることで

 自分がなりたい姿、自分が生きたい方向、
 自分の人生を前に歩き出す方向がクリアに見えるようになる
 と思います。

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 ちなみに、フジノが集中クラスで
 本当に書いたものは、とても「夢」とか「目標」という感じの
 ポジティブなものではありませんでした(涙)。

 ・元恋人を自死によって亡くしたことを
  いつか肯定的に受けとめられるようになりたい

 ・他人のリカバリーは信じられるのに
  自分のリカバリーは信じられないので
  こころの底から自分自身のリカバリーを信じられるようになりたい

 ・政治家に転職してからすっかり失われてしまった
  友達に囲まれてふつうに楽しく暮らせる日々を取り戻したい

 ・父の意識が戻って、母や家族みんながまた幸せになれるように
  みんなの元気を取り戻せるようにがんばりつづけたい

 ・大切な猫を安楽死させてしまったことを
  いつか飲み込めるようになりたい

 ・病気を治して飛行機に乗れるようになって、
  せっかく招かれたロスアンジェルスとブリストルに行きたい


 かなり正直に、書いてみました。
 とても「痛い」感じの内容ですよね...。

 でも、このリアルな正直さが『WRAP』には必要なのです。

 今回、フジノはHP読者のみなさまに
 『WRAP』を知ってほしくてあえて個人的なことを記しました。

 クラスの他のみなさんが挙げた「希望」は
 いろいろなものがありましたが、
 フジノみたいにネガティブなものは
 あまりありませんでした。

 でも、自分個人にとっての本当の『希望』って
 みんな他人に聞かれたらとても胸が苦しくなるようなことを
 たくさん抱えているのだろうなと思うのです。

 『WRAP』に大切なことは他人と比べることではありません。

 あくまでも、自分の人生の主役に自分自身がなること、です。

 『WRAP』もたとえ他人のサポートを受けながらも作っても
 究極的には、自分だけの『WRAP』なのですね。

 だから、誰かに見せる訳では無い『WRAP』ですから
 作る時には徹底的に自分自身のこころに素直になって
 取り組んでいくことが大切です。

 自分にとって本当の『希望』でない限り、
 自分は動けないですよね?

 ●

 という訳で、午後の2時間目は終わりました。


● WRAP集中クラス1日目(午後)その2

 午後の最後のプログラムは
 リカバリーに大切なこと(2)「自分に責任を持つこと」についてでした。

 ファシリテーターから

 「リカバリーに大切なことが4つ挙がっていましたが
  1つずつみんなバラバラじゃないんですよ。

  全部つながっているんですね。
  例えば、まず、この(1)と(2)のつながりはこんなです。

  あなたはこの集中クラスを通じて
  まず『希望』を持ちました。

  じゃあ、次にその『希望』の実現の為に自分には何ができるだろうか、
  と考えて、行動してみること。  
 
 それが『自分に責任を持つこと』ですね」

 あるいは、

 「人のせいにしない」とか
 「どうせ自分は〜だから」と言わないで

 希望を実現する為に、
 自分自身ができることをやってみようと思うこと、とのことでした。


● リカバリーに必要なこと(2)「自分に責任を持つこと」

 それでは、どんなことが『自分に責任を持つこと』でしょうか。

 まず、ファシリテーターはどんなことを
 『自分に責任を持つこと』として考えて実行しているかを
 紹介してくれました。

 それから、クラスみんなでそれぞれのアイディアを
 出していきました。

 ここでも集中クラスで挙がったことは紹介できませんので
 フジノが活動日記用に作った例を書いてみますね。


 ・朝起きて、朝食をとる。

 ・ごはんをつくること。

 ・他人を批判しない。

 ・週1回は部屋そうじをする。

 ・具合が悪い時には必ず頓服薬を飲む。

 ・あいさつをする。

 ・自分を傷つけない。

 ・ふとんをあげる。

 ・勇気をもって断る。

 ・きちんと睡眠をとる。

 ・自分の体調管理をする。

 ・1人で抱え込まないで友達に相談する。

 ・遅刻をしない。

 ・健康診断を定期的に受ける。

 ・1日1回は笑う。

 などですね。

 責任、というと激しいイメージがあるかもしれませんが
 こういう基本的なことがらに責任をもっていつも実現していくことは
 実はかなり難しいことだとフジノは考えます。

 自分の元気の為に自分に責任を持つことで
 フジノが集中クラスで実際に書いたものはこんなです。

 ・必ず寝る。

 ・必ずめしを食べる。

 ・着替える。

 ・外に出てみる。

 これは一部なんですけど、
 「そんなの当たり前のことじゃん?」と思われるかもしれません。

 でも、連日の徹夜や仕事が忙しすぎるとフジノは
 もう全く寝なくなって、食事をとらなくなって、
 Yシャツだけ変えて同じスーツを何日も続けて着てしまいます。
 逆に、事務仕事ばかりの日が続くと全く外に出なくなってしまいます。
 (もともとバイクで移動なので、歩くことも少ないのです)

 だからこそ、連日の徹夜や仕事が忙しすぎる時でも
 自分自身で責任を持って、必ず眠る時間を作る。
 3食しっかりと食べる。

 ふだんのように、1日着たスーツは陰干しして
 次の日は同じのを着ないで、別のスーツを着て外出する。

 事務仕事の連続の日でも、朝30分くらい散歩してみる。
 休憩時間を作って、近所の公園に行ってみる。

 こういうことを必ず自分自身に責任を持って行なうことで
 自分の元気が生まれてくるのは、事実ですよね。

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 このセッションでも特に記入用のワークシートは無かったのですが
 先ほど書いた『希望』に対応する形で書いてみるのが
 とても分かり易いと思いました。

 例えば、紙の左側に『希望』を書き出してみます。
 そして、紙の左側に『自分に責任を持つこと』を対応して書き出すのも
 分かり易いかもしれません。

 フジノの場合だと、こんなですね。

 
「希望」 「自分に責任を持つこと」
・他人のリカバリーだけでなく自分のリカバリーを信じたい ・今回のWRAP集中クラス3日間をやりとげる。

・集中クラス終了後も継続してWRAPにとりくんでいく
・転職以来すっかり失われてしまった友達とふつうに楽しく暮らせる日々を取り戻したい
・どれだけ忙しくても2〜3日に1回は友達に電話する。

・お互いの忙しさに配慮しながらも、毎月1回くらいは遊びに行けるようにしてみる
・父の意識が戻って、母や家族みんながまた幸せになれるようにみんなの元気を取り戻せるようにがんばりつづけたい ・父の意識を取り戻すためには医学的なリハビリテーションが必要なので、リハを受け続けられるように治療費を家族全体で作る(収入が増やせないなら、家計の支出を徹底的に減らして医療費にまわす)。

・転院先さがしで家族みんなが疲れきってしまわないように、転院先さがしは僕に一元化して、家族それぞれがバラバラに探さない。

・みんながまた必ず元気になれる、という気持ちを忘れないようにする

・病気を治して飛行機に乗れるようになって、せっかく招かれたロスアンジェルスとブリストルに行きたい ・いま受けている治療では無い、別の治療方法も受けてみること。

・すっかり止めてしまった英会話の勉強を再開すること。

 この日の集中クラス終了時に参加者の方から
 『希望』と『自分に責任を持つこと』も
 ワークシートで書き込める方式のほうがやりやすいと思う、という
 意見が出ていました。

 『WRAP』も『WRAPクラス』もこれで完成!
 というガチガチの形式は無いので
 次回のクラスでは
 もしかしたらワークシートに書き込むようになっているかもしれません。

 いずれにしても、大切なことは

 『リカバリー』の為に
   ↓
 『希望』を分かりやすく書き出して、いつも意識すること。
   ↓
 その『希望』の実現の為には何をすればいいのか、
 『自分が責任を持つこと』も書き出してみて、実行してみること。

 この流れを忘れないことが
 今日の午後のクラスの大切なことでした。


● 昔ながらの精神科医療と、僕が信じる『リカバリー』

 (ここで書くことは、集中クラスでのお話とは関係ありません。
  フジノが日頃考えていることです)

 昔ながらの精神医療では、
 精神障がいのある方々が再発したり入院してしまうのは
 ストレスにさらされているからであって

 精神科医療の専門家やスタッフたちは、
 「可能な限りストレスから離れるように」と、すすめてきました。

 「ストレスが、発症・再発の原因だ」としてきたのです。
 確かにそうかもしれません。

 けれども、本当の現実社会では
 いつもストレスから解放されているなんてことはありません。

 たとえ退院しても、たとえ服薬を続けていても、
 必ずまた誰もが絶対にストレスにさらされるんです。

 他人とのコミュニケーションを行なえば行なうほど、
 ストレスは当たり前のようについてきます。

 でも、人として楽しく生きていくには
 他人とのコミュニケーションが不可欠です。

 ストレスから避けろ、という人々は
 他人とは関わるな、と言うのでしょうか。それは変です。

 病気は治っても、人としてハッピーじゃないですよね?

 勇気をもって自分自身の病気に立ち向かって
 自分が自分の人生の主役としてハッピーになろうとすればするほど
 ストレスは当たり前のようについてきます。

 ストレスが無い社会(ストレスフリー)というのは
 現実の世界にはありません。

 そして、僕たちが生きているのは現実の社会です。
 病院の中で暮らしているのではありません。

 ケアをする、という言葉は素晴らしいのですが
 同時に、病気や障がいのある方々から責任を奪ってしまうのでは
 人間らしい暮らしでは無くなってしまいます。

 だからこそ『リカバリー』では、病気や障がいのある無しに関わらず
 自分自身が責任を持つことを掲げています。

 また、専門家に対しては
 「ストレスを避けるのではなくリスクをサポートする」という
 アプローチが求められています。

 これがフジノの信じている『リカバリー』です。
 自分が自分らしく生きられてハッピーになる為のもの。


● 今日の「まとめ」

 さて、話を集中クラスに戻しますね。
 毎日、クラスの終わった後には10分間ほどの『まとめ』をします。

 ファシリテーターとクラスのみんなで

 「今日のクラスがどうだったか」

 「良かったことは何か?」

 「改善したいことは何か?」

 を挙げていきました。

 クラスで実際に挙がったことは書けませんので
 あくまでもフジノが造った例なのですが

 (良かったこと)

 ・体調を崩しながら今日を迎えたけど、丸1日のりきることができた。

 ・今まで独学だったWRAPを初めてクラスを受けられて、
  ますます希望がわいてきた。

 ・みんなで最初につくった「安心できるための同意」のおかげで
  安心してクラスに参加することができた

 ・いろいろな人の意見を聴くことができてとても良かった

 ・初めて自分の気持ちを文章に書き出してみたら
  すごく整理ができて、とても良かった


 (改善したいこと)

 ・緊張しすぎて、なかなか発言できなかった。
  明日のクラスでは発言したい。

 ・クーラーがききすぎてるので温度を上げてほしい。

 ・『WRAP』の専門用語が出てきた時は説明をしてほしい。


 このような感じでした。


● 今日の宿題

 そしてさらに、宿題が出ました。

 今日の宿題は

 『今日のクラスで作った自分の「元気に役立つ道具箱」の中から
  実際に1つ選んでやってみてください!』

 でした。

今日の宿題

 いいですよね〜。

 宿題っていうとイヤな記憶しかありませんが、
 WRAPクラスでは宿題さえもワクワクしますね。

 元気になれる為に自分ができることをやってきてください、
 ってことだから、何をやろうか考えるだけで楽しくなってきます。

 ちなみに宿題としてフジノが何をしたかというと

雪だるまさんとフジノ@もんじゃ焼き

 クラスの仲間と『もんじゃ焼き』を食べに行きました!

 上の写真は、左が『雪だるま』さん、右がフジノ。
 下の写真は、左が『海月』さん、右がファシリテーターの『ねてる』さん。

海月さんとねてるさん@もんじゃ焼き

 フジノの『元気に役立つ道具箱』の中には

 ・おいしいごはんをみんなで食べること

 というのがありまして、まさにそれを宿題として実行できました。
 すごくハッピーになって、元気が出てきました。

 『WRAP』は書くだけじゃなくて、実行してこそ、ですね。
 ここでもまたその効果を実感したのでした。

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 こうして、『WRAP集中クラス』1日目が終わったのでした。

 それからフジノはホテルに戻って、
 改めて今日のクラスをふりかえってみました。

 やっぱり『WRAP』の可能性って
 すごく大きい。

 日本全国に広めたい、という考えはまちがっていない。

 そう思いました。



2008年7月19日(土)のフジノその2
● WRAP集中クラス1日目(午前)その2

 1日目の午前中のプログラムは
 次の通りでした。

    1日目(午前)
10:30〜12:00
 チェックイン
  ・名前
  ・期待すること
  ・警告しておきたいこと

 安心できるための同意

 ファシリテーターの自己紹介

 WRAPの概要
12:00〜13:00 お昼休憩


● チェックイン!

 まず、毎日必ず行なうチェックインです。

 これはクラスをはじめるにあたって
 緊張をほぐしたり、参加しやすくするためのものだと思います。

 初日のチェックインは、
 まず参加者みんなが『自己紹介』をしました。

 このクラスを通じて自分の名前は、前回も書いたとおり、
 このクラスで呼ばれたい名前です。本名でなくてOKです。

 フジノの場合は、そのまま『フジノ』ですね(笑)。

 続いて、WRAP集中クラスに参加するにあたって
 『期待すること』をそれぞれ話しました。

 例えばフジノは、

 (1)独学で学んできたWRAPを
   ファシリテーターの方々とクラスのみんなと一緒に
   3日間、無事に終えられること

 (2)リカバリーをこころから信じられるようになりたいこと

 を期待していることとしてお話しました。

 次に、クラスのみんなに『警告しておきたいこと』を
 それぞれが述べました。

 警告、っていうと重い言葉になっちゃいますが
 参加者のみんなが安心してこのクラスに参加できるように、同時に
 自分自身も安心して参加できるように、
 あらかじめ伝えておきたいことを、お話します。

 例えばフジノの場合、

 緊張して前の日もほとんど眠れなくて
 クラスのあいだにたくさんアクビをしてしまうかもしれないけれど、
 アクビすると他人の話にフジノが興味を持ってないと
 受け止めてしまう方もいると思いますが
 そういう意味では全くなくて
 単に寝不足のアクビなのです、

 と、お話しました。

 これをクラス参加者みんなでお互いに
 伝えあって、確認をしました。


● 安心できるための同意

 続いて、『安心できるための同意』をみんなで挙げていきました。

 これは、クラスに参加している誰もが
 安心してリラックスした状態で参加しつづけられるように

 あらかじめ、そして気づいたことがあるたびに、
 全員で約束しあうことがらです。

 例えば、フジノの場合ですと

 ・仕事のカンケーでケータイの電源は切らないで
  バイブにしておくのを許してください

 ・クラスのあいだも仕事の電話の為にクラスを出て行くことがあります

 ・もともと体調不良だったのに加えて
  寝不足と緊張がひどいので
  途中で休息の為にクラスを出て行くかもしれません

 などをお話して、クラスのみんなの同意を得ました。

 同意してもらったことは、その後は批判を受けることなく
 行なうことができます。

 他にはどんなものが『安心できるための同意』の例かというと、

 ・人が意見を言っている時はさえぎらない

 ・誹謗中傷は絶対にしない

 ・発言をする時は手をあげて発言をする

 ・ムリに発言をしようとしなくていい

 ・飲み物や食べ物は自由に飲んだり食べたりしていい

 ・トイレも自由、ただし出入りは大きな音を立てないように

 ・クラスの中での発言は、外部にもらさない

 ・お互いの個人情報は漏らさない

 などです。

 (これはあくまでもフジノが勝手に造った例であって
  実際のクラスで挙げられたものではありません)

 参加者の方々から挙がった発言は
 どんどん模造紙に書かれていきます。

 そして、いつでも参加者のみんなが見えるように
 クラスの壁に常に貼りだしておきます。

 この『安心できるための同意』をみんなで確認することで

 初めて顔をあわせたクラスのみんなが、
 WRAP作りという1つの目的のもと、

 安心して参加できるように
 環境を整えることができます。

 この同意の確認は、最初だけではなくて
 午後の最初のプログラムの前ですとか、2日目の最初とか、
 あるいは進行方法で確認したいことができた時とか
 常にふりかえってみんなで守る約束です。

 新たに付け加えることも
 もちろんOKです。


● ファシリテーターの自己紹介、リカバリーとWRAPの11

 次に、ファシリテーターの自己紹介でした。

 前回書いたとおり、今日のファシリテーターは
 『ねてる』さんと『こば』さんのお2人でした。

 お2人ともに、これまでに歩んできた人生について
 お話をしてくれました。

 ここに記すことはできないのですが、
 2人とも本当にすごいなぁ、
 とフジノはこころの底から感じます。

 エリートだとか年収が高いとか、
 そういうくだらない価値のお話ではありません。

 人は生きていく中で、つらいことや大変なことに出会った時に
 その体験をいかにくぐりぬけてまたハッピーになれるか。

 つまり、『リカバリー』という価値についてですね。

 いつもいつもしつこくフジノはしつこく書いていますが、
 ファシリテーターさん1人1人がフジノにとって
 『リカバリー』を象徴している、と感じるのです。
 その意味で、2人ともすごいなあとこころからリスペクトします。

 僕もいつか2人のようになりたい、と感じました。

 と書いてしまうと、ファシリテーターは特別な人間のように
 読んでいる方々は感じてしまうおそれがありますが

 お2人に限らず、ファシリテーターの方々は
 みなさん、ふつうの方々です。

 精神障がいによって服薬を続けている方もいれば、
 依存症に苦しんだ方もいらっしゃいます。
 いろいろな方々がいます。みんな、ふつうの方々です。

 唯一、異なるのは、ファシリテーターとして
 『リカバリー』ということを深く理解しており、
 希望やハッピーに向かっていつも進んでいこうという生き方を
 実践していること、かもしれません。

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 次に、『WRAPの概要』について
 ファシリテーターから説明がありました。

 どんな歴史的経緯があってWRAPが生まれたか、
 WRAPの中心的人物であるメアリーエレン・コープランドさんのこと、
 などなどです。

 (これらはすでに過去のこのコーナーで記しましたので省略します)

 さらに、

 『リカバリーに大切なこと』

 として、

 ・希望

 ・自分に責任を持つこと

 ・自分のために権利擁護すること

 ・サポート

 この4つがありますよ、と説明されました。
 (この具体的な中身は、午後のプログラムでした)



 そして、『WRAPに含まれるもの』として
 次の7つが説明されました。

 ・元気に役立つ道具箱

 ・日常生活管理プラン

 ・引き金に気づき、対応するための行動プラン

 ・注意サインに気づき、対応するための行動プラン

 ・調子が悪くなってきている時のサインに気づき、
   対応するための行動プラン

 ・クライシスプラン

 ・緊急状態を脱したときのプラン




● WRAPは『絶対のもの』ではありません

 そうだ、フジノが書いていないことがありました。

 そもそもWRAPはこんな風に役立ちます。

 ・できる限り、ハッピーな気持ち、楽しい気持ちでいること

 ・困難な感情や行動を自分自身で理解して、元気になるための
  行動プランをつくること

 ・調子がとても悪くなり、判断することや安心できなくなったときに
  周りの人にやってもらいたいことを伝えること

 などです。

 フジノがWRAPに関心をもったきっかけは
 精神障がいのある方々にもっとハッピーになってほしい、
 リカバリーを実践してほしい、という想いからでした。

 でも、精神障がいに関するリカバリーだけでなく、
 もっと全人的な、いろいろな出来事、

 ・仕事をはじめる、転職する

 ・学校に通う

 ・引っ越し

 ・男女のつきあいを始める、あるいは別れる

 ・人間関係上の問題に対処する

 ・こどもが生まれる

 ・悪い習慣をやめる

 ・病気や年老いた家族の面倒をみるとき

 ・新しい関心ごとを試してみるとき

 などにも役立ちますし、使うことができます。

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 けれども、WRAPは万能薬や絶対的なものではありません。
 これだけが正しい、なんてものではありません。

 WRAPは現在あなたが利用している
 治療プログラムを『補完するもの』であって

 あなたが現在利用している治療プログラムに
 『とってかわるもの』ではない

 ということの説明がありました。
 また、

 WRAPは
 自分が
 自分のために
 自分の作りたいときにプランを作るということ

 ですとか

 あなたのWRAPを作れるのは
 あなただけです


 ということが説明されました。

 そして、大切な『リカバリーの価値と倫理』について
 説明がありました。

 でもこの説明はフジノの能力ではできません。
 ぜひ、ファシリテーターの方とともに
 こうしたクラスを受けてみていただけたらいいなと思います。

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 ふぅ〜。ここまでで午前中です。

 お昼ごはんを食べて、フジノは近所の公園でストレッチ。



 午後もがんばります!


 (続きます)


2008年7月19日(土)のフジノその1
● WRAP集中クラスへ出発!

 昨夜は眠れない上に、お腹が痛くて目が覚めてしまいました。
 けれども、けさの千葉県市川市の天気は快晴です。



 かなり余裕をもって出発したのですが、道に迷ってしまいました。
 地図を見て道に迷ったことなんて無いのに、
 ほんと緊張してたんだなあ、と思います。

 会場である『NPO地域精神保健福祉機構(通称:コンボ)』
 (事務所の場所が新しくなって広くなりました!)に
 ようやく到着しました。



 「誰も知っている人は居ないんだろうなあ」

 と、ものすごく緊張していたのですが
 会場に到着すると

 これまで『WRAP』関係の研修で出会ってきた方々が居て
 久永さんをはじめ、みなさん話しかけてきて下さって、
 フジノはとてもホッとしました。

 下の写真は、らっぴん事務局の武田さん。



 6月に研修の申し込みをした時からフジノはずっと体調が悪くて
 参加自体に不安が強かったのですが、
 今日まで武田さんにはとてもサポートしていただきました。

 とっても優しくて親切な方です。

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 そういえば、昨日はまちがえて書いてしまったのですが、
 『WRAP in Ichikawa(らっぴん)』が主催するクラス、というのは
 今回が初めてだったのですね。

 いつも、全国各地に『らっぴん』のファシリテーターさんが招かれて、
 そこでクラスを開催しているのであって、

 『らっぴん』が主催してきたのではなくて
 今回が初めての試み、しかも3日間の集中クラスは初めてだそうです。

 さあ、3日間のWRAP集中クラスの始まりです!


● WRAP集中クラス1日目(午前)の様子その1

 (*注意)はじめに

 ここから先に記してあるものは、
 全て『フジノ』の受け止め方や考え方です。

 主催して下さった『WRAP in Ichikawa(らっぴん)』
 ファシリテーターの方々とのクラスでのやりとりを
 フジノが誤解したり聞き逃したりしていることも
 たくさんあると思います。

 あくまでもフジノの目というフィルターを通した
 WRAPクラスの様子を
 みなさまにご紹介させていただく、というものです。

 本当ならば、ぜひみなさま自身にWRAPクラスを
 実際に体験していただきたいなと考えています。

 正確では無いことも書いてあるかもしれませんので、
 どうかそれを承知していただいた上で、お読み下さいね。


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 まず、クラスの環境は
 下の写真のような感じでした。

 正面に、パワーポイントをプロジェクターで映し出すスクリーンと、
 マジックでどんどん書き込む為の模造紙が貼られたホワイトボード。

 クラスをすすめていくファシリテーターは今日は2名、
 ファシリテーターとクラス参加者をサポートしてくれるサポーターが3名、
 そして、クラス参加者は約15名でした。



 部屋の後方には、飲み物と食べ物が置かれたコーナーがあって
 参加者は自由に飲んだり食べたりすることができます。

 参加者は、このクラスで呼ばれたい名前
 (もちろん本名じゃなくてOKです)を記したネームプレートを
 自分の席と、首からもさげて、お互いに名前を分かりやすくしています。

 1人1人にファイルが配られました。



 このファイルには、
 クラスのあいだに使ったパワーポイントがプリントアウトされたものや、
 実際に『WRAP』をクラスの中で書き込んでいくものや
 『リカバリーの価値と倫理』についての資料などが
 とじこまれています。


● WRAPとリカバリーの関係、ファシリテーターの重要性

 『WRAP』そのものは、決して難しい作業はいらなくて
 エンピツとノートさえあればOKなのですね。

 ものすごくカンタンに説明してしまえば、

 リカバリーに大切な5つのこととWRAPの6つのプラン、
 合計11のことをノートに自分で書くだけで
 完成です。

 さらに言えば、
 『WRAP』は1人で作ってしまうこともできるかもしれません。

 でも、フジノが1番オススメなのは

 訓練を受けたファシリテーターの方々と一緒にクラス形式で
 『リカバリー』や『WRAP』について学んで

 クラス参加者のみんなと
 いろいろな意見交換をしながら作る、

 というものです。

 その上で、クラスが終わった後の
 ふだんの日常生活の中で

 どんどん自分のWRAPを
 新たに書き加えたり削ったりしながら
 より実用的なものにしていくのがいいかな、と感じています。


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 何故なら、『WRAP』は単にノートに記入していけば完成、
 というものではなくて、

 『WRAP』の根っこにある『リカバリー』ということを
 こころから深く理解した上で作ることが
 本当に重要だと思います。

 『リカバリー』をこころから信じる、理解する、ということが
 『WRAP』そのものを現実に実用性の高い
 本当に深いものにしてくれるからです。

 これは、『WRAP』を紹介するものにしばしば書かれていますが
 実際に今日1日を終えてフジノが感じたことです。

 これまでも独学で『WRAP』について学んできたのですけれども
 今日1日目のクラスを終えた今の方が
 たくさんの文献を読むよりも
 全然クリアに見えてきた、と感じるのです。

 だから、より実用的で深い『WRAP』を作る為には、
 訓練を受けたファシリテーターの存在が
 とても重要で不可欠だと思います。

 何故なら、ファシリテーターの存在そのものが
 『リカバリー』を象徴している、とフジノは感じるからです。

 『リカバリー』というのは、直訳すれば『回復』ですが
 精神保健福祉の世界では単なる『回復』とは異なっています。

 フジノにとっての『リカバリー』とは

 自分が自分を理解した上で
 人間らしい、活き活きとハッピーに生きていくこと、

 みたいな感じです。

 『リカバリー』の定義、というのは
 それだけで1冊の本になってしまうのですが

 人それぞれの『リカバリー』の受け止め方があると思います。

 そして、繰り返しになりますがフジノにとっての『リカバリー』とは
 まさにファシリテーターの方々がそれを象徴していると感じています。

 (ちょっと分かりづらい文章でごめんなさい。
  でも、今のフジノの能力で書ける説明はこれが限界です。
  本当は体験してもらえば、直感的にご理解いただけると思います)

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 今日のファシリテーターは、お2人でした。

 1人目は、増川『ねてる』さん!



 かねてから僕は『ねてる』さんが大好きなのですが

 その理由は、まさに『ねてる』さんの存在が
 僕にとっては『リカバリー』や『WRAP』を象徴していると感じるからです。

 2人目は、『こば』さんです!



 『こば』さんと『ねてる』さんのコンビは
 ファシリテーターの養成講座の同期ですごく息もあっていて、
 ぜひ横須賀にもこのコンビでお招きしたいなあとフジノは思います。


 (続きます)

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