まちの政治家は、こんなことしてます


2011年6月30日(木)のフジノ
● 介護職等による「たんの吸引」「経管栄養」の実施の検討会へ

 今日は東京・新橋にある『航空会館』へ。

 『介護職員等によるたんの吸引等の実施のための
  制度の在り方に関する検討会(第8回)』

 を傍聴してきました。

 『たん吸引』『経管栄養』は
 医師・看護師だけが行なうことを許されている『医療行為』なのですが

 現実的には、介護職員の方々は
 これらをすでに実施しています。

 (そしてフジノはこれを正しいと考えています)

 「医療行為だから医療職しかやってはいけない」という法律と
 「医療行為であれど介護職もやらざるをえない」という現実との
 大きな『みぞ』を埋める為に

 つまり、介護職員の方々がこれらの行為を
 違法ではなく実施できるようにする為に

 どのような制度の改正を行なうべきなのかを議論している
 厚生労働省老健局による審議会です。



 フジノは毎回必ずこの検討会を傍聴しています。
 (理由はこちらをご覧ください)

 去年7月に第1回目が開かれたので、
 フジノがこの審議会を追い続けてまもなく1年になります。

 1年間にわたってこの審議会を追い続けてきた中で
 今日は最も違和感を覚えました。

 2週間前の6月15日、国会で『改正介護福祉士法』が成立して

 来年4月1日からは正式に『たん吸引』『経管栄養』を
 介護福祉士等が実施できるようになりました。


 (画像:改正介護福祉士法のうち、関係している部分)


 けれども、『検討会』がスタートすると
 このことに対して、多くの委員から批判が続出しました。

 「制度の在り方を検討するのが私たちの役目なのに
  厚生労働省から法改正の前に私たちに説明が無かった」


 というのが、委員の怒りの理由です。

 そして、約2時間の会議の時間のほとんどが
 この意見についてばかりになってしまいました。

 委員のみなさんにとっては
 メンツが潰された形かもしれませんが

 『たん吸引』『経管栄養』実施の介護職等への解禁を
 家族の立場としてずっと求めてきたフジノにすれば

 改正法が成立したことは
 喜ぶべきことであって

 厚生労働省による事前の説明が無かったことは問題でも
 大切な検討会で「事前説明が無かったこと」ばかりを騒ぎ立てるのは
 あまりにも時間がもったいないです。

 (画像:検討会の様子)


 法改正がなされたとはいっても
 法律には大雑把なことしか書いてありません。

 正式には9月に公布される予定の『厚生労働省令』に
 具体的なことが書き込まれなければいけません。

 厚生労働省令の中身が『後退』したものであれば
 法改正だけされても『前進』したとはいえません。

 だから、委員のみなさんには省令の策定に向けて
 議論すべきことをしっかりと議論してほしいとフジノは感じました。

 結局、今回の検討会ではわずかな時間しか議論ができず
 改めて次回(7月)の検討会で議論を行なうことになりました。

 予定では、次回がこの検討会のラストです。

 わずか2時間の検討会で
 省令案の策提案までたどり着けるのか、心配です。

 次回もフジノは検討会に立ち会って、
 議論の行方をしっかりと見つめてきます。




2011年6月27日(月)のフジノその3
● ガスタービンによる発電のしくみ

 (その2から続く)

 天然ガスコンバインドサイクル発電所である
 この『横須賀パワー』の施設は、大きく3つの部分に分かれています。

 左側が『管理施設』、真ん中が『発電施設』、右側が『排熱施設』です。




 フジノたちはまずこの『発電施設』のメインである
 『ガスタービン』の中に入りました。

 下の図で、赤く丸で囲んだところです。



 『天然ガス・コンバインドサイクル』は
 2回の発電をするのですが

 まず1回目の発電をここで行ないます。

 燃料は、僕やあなたの家で使っている都市ガスと同じ
 天然ガスです。圧縮した空気とガスを燃やします。

 当然ながら放射能はありませんし、
 燃やした後も放射性廃棄物も出てきません。

 仕組みは、

 ジャンボジェット機の翼についているエンジンが地面に置いてある

 というイメージです。

 航空機のエンジンの世界3大メーカーの1つである
 ジェネラル・エレクトリック社(GE)が

 ジェット機が空を飛ぶ仕組みを
 そのまま発電に応用したものなのですね。

 この技術力の高さが、
 原子力発電よりも圧倒的に勝っている理由の1つです。

 ガスコンバインドサイクル発電では
 このガスタービンが
 毎分3000回(毎秒50回)という高速回転をしています。 

 かたや、原子力発電所として日本最大の出力を持つ
 新潟の柏崎原発の6号・7号でさえ、
 蒸気タービンの回転数は毎分1500回転です。

 つまり、原子力発電では
 ガスコンバインドサイクルの半分以下しか
 タービンを回転させられません。

 これがそのまま発電能力の差を示しています。



 繰り返しますが、燃料に危険性はありません。
 使われているのは、空気と都市ガスだけです。

 まず、空気をコンプレッサーで圧縮して
 燃焼室に送ります。

 そこに燃料である都市ガスを吹き込んで燃え上がらせます。

 すると、燃えたガスが高温になって急膨張して
 勢いよく噴射していきます。

 巨大な飛行機を空に飛ばすこの大きな噴射力を使って
 タービンの羽根にぶつけて回転させて
 発電させるのです。

 ジェット機が空を飛ぶ噴射力を
 そのまま発電に応用したのです。



 フジノたちも『ガスタービン』の建屋に入りました。

 福島第一発電所の事故があってから
 建屋(たてや)という単語には
 『危険な場所』というイメージがフジノの中で刷り込まれてしまいました。

 でも、このガスタービンの建屋は
 危険とはかけ離れています。

 仮に都市ガスが漏れたとしても、僕たちの家のガス漏れと同じです。
 だから、原子力発電のような厳重な安全対策は不要です。



 上の写真で一柳議員が触れているのがガスタービンです。
 この覆いの中を実際にタービンが回転しています。

 建屋の中を歩くのに防護服はいりませんし
 室内はじゃっかんうるさいものの、一歩外に出れば静かです。

 「これがクリーンエネルギーか」と実感させられました。



 さらに、ここから出た『熱』を使って
 蒸気タービンによる2回目の発電が行なわれます。

 ガスタービンと蒸気タービンの
 2つの組み合わせ(コンビネーション)によって

 ガスコンバインドサイクル発電(=複合型発電)の
 高い効率が生まれます。

 次回はそれを説明します。

 (その4へ続く)



2011年6月27日(月)のフジノその2
● 電気とは命がけで作るものではない

 (その1より続く)

 電気はいのちがけで作られる。
 電気は大きな犠牲によって作られる。

 今までフジノはそんな風に考えてきました。

 でも、それは完全に間違っていたことが分かりました。

 ガスコンバインドサイクル発電所『横須賀パワーステーション』への
 今回の視察で分かりました。

 「電気とは命がけで作るものではない

 ということです。



 福島第一原子力発電所がひきおこした深刻な災害を見るにつけても
 大きな犠牲を払ってようやく電気が作られていると
 誰もが感じたはずです。

 そもそも東日本大震災が無くとも
 繰り返されてきた原子力発電所の事故によって

 放射能による被曝の恐怖を
 いつもこころのどこかでみんな感じていたはずです。

 さらに、毎年の定期点検の為に2000〜3000人もの労働者の方々が
 被曝をさせられています。

 ここまで大きな犠牲を払ってまで
 原子力発電所が無ければ日本の電力は足りないのだ

 と思い込まされてきました。



 また、原子力発電所だけでなく
 水力発電所についても
 発電には多大な犠牲が払われるものだというイメージが
 フジノにはこびりついています。

 日本最大の黒部ダムについては
 映画『黒部の太陽』や『プロジェクトX』などのドキュメンタリーで
 知っている方もたくさんおられると思います。

 黒部ダム建設には513億円もの巨額の費用をかけて
 7年間で述べ1000万人もの作業員が必要となり、

 過酷な労働状況の中で
 171人もの方がいのちを落としました。

 黒部ダムだけでなく、全国でダムを建設する為に
 多くの山や村が水の底に沈められました。

 こうして

 「電気とは大きな犠牲によって初めて作られるもの」

 というイメージが刷り込まれて
 フジノの中では固定化されていました。

 でも、現実は、全く違うのです。



 福島第一原発の1号機は46万kwです。

 黒部ダムの水で発電している『黒部川第四発電所』の出力は、
 最大で33万5000kwです。

 けれども、こんな小さな『横須賀パワーステーション』の出力は
 フル稼働ではない今でも23万9700kwです。

 原子力を使わなくとも、巨大なダムを造らなくても
 これだけの電力を発電できるのです。

 黒部ダムの流域面積は202.9平方キロメートルに対して
 ここの敷地はわずか1万5741平方メートルと
 数百分の1しかありません。

 横須賀の片隅にあるこんな小さな発電所なのに
 生み出される電気の出力は
 日本最大の黒部ダムにひけをとりません。

 そして、いのちの犠牲もゼロです。

 建設工事においても誰も亡くなっていませんし、
 今日まで5年間の運転期間においても事故ゼロです。

 原子力発電所のように危険な物質を使ったり、
 水力発電所のように自然や村を人工の湖に沈めて作ったり、

 そんなことをしなくても、電気は十分に作れるのです。

 建設コストも圧倒的に安い。
 安全性も極めて高い。CO2排出も少ない。

 今の原子力発電を国策として進めてきたシステムの中では
 僕たちは思考停止になり、他の選択肢を見ないできてしまいました。

 でも、現実は全く違っていたのです。

 電気はもっと「安全」に「安く」つくれるし、
 「環境に負荷のかからない」方式があるのです。

 それをフジノは今回、学びました。


 (その3へ続く)


2011年6月27日(月)のフジノその1
● 脱原発・再生可能エネルギー移行の大きなカギがすでにあった!

 今日は、横須賀市浦郷へ。

 『脱原発社会を考える議員連盟(脱原発議連)』のメンバーで
 視察に向かいました。

 脱原発を進めて、再生可能エネルギーへと移行するまでの
 即戦力としてとても期待できる発電システムを見てきました!

 それが、ガスコンバインドサイクル発電所、
 『横須賀パワーステーション』です。



 ここは2006年から発電をスタートして
 もう5年が経っているのですが

 恥ずかしながらフジノは
 この存在を全く知りませんでした。

 下の地図を見てもらうと分かりますが
 浦郷のスパークのすぐそば、深浦ボートパークのすぐ目の前です。

 フジノにとって、追浜は生まれ故郷で
 まさに目と鼻の先という感じの場所に発電所が作られたのに
 今回、『脱原発議連』をスタートさせるまで
 全く知りませんでした。



 『横須賀パワーステーション』の発電量は
 なんと23万9700kwです。

 (これはフル稼働ではありません)

 しばしば、原子力発電所1基で100万kwと言われますが
 実は、こんなに小さな発電施設で
 原発の4分の1も発電可能
なのです。

 さらに、建設費用は140億円です。

 ハコモノ3兄弟の長男である『横須賀芸術劇場』を建設するのに
 339億3000万円も借金をしている横須賀市ですが

 こんなムダな税金の使い道をしていなければ
 ガスコンバインドサイクル発電所を自前で2基
 (50万kw=原発1基の2分の1の発電量)も作れていたことになります。



 オープン以来ずっと黒字のこの『横須賀パワーステーション』ですが
 毎年の運営コストは3億円だそうです。

 ハコモノ3兄弟の次男である『横須賀美術館』は
 赤字を毎年3〜4億円も出しています。

 東日本大震災を経験した今、これまで以上に
 税金の使い道は『いのち』を守ることを最優先にすべきです。

 さらに、地方政府のエネルギー政策として
 今後は自ら発電所を自前で持つことも必要だと痛感しています。

 その上で、何よりも脱原発を強く押し進めていくべきですが
 今日この施設を視察して「これはいける!」と強く確信しました。

 脱原発にフジノは自信を深めました。

 詳しくは、次回以降、報告していきます。


 (その2へつづく)

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