議会では、こんなやりとりしています


05/06/14更新
2005年・6月議会での討論「はまゆう山荘の廃止」「無料譲渡」
































 藤野英明です。よろしくお願いします。

 議案第94号
 「平成17年度横須賀市一般会計補正予算第1号」に反対し、

 議案第96号「横須賀市民休養村条例廃止について」に
 賛成する立場から

 2つの議案への討論を一括して行ないます。
                              

 まず、先に議案第96号
 「横須賀市民休養村条例廃止について」に
 賛成する理由を述べます。

 そもそも、横須賀市民休養村(通称「はまゆう山荘」)は
 現在の子ども育成部青少年課にあたる
 市民部青少年課が長く担当してきた観光旅館施設でした。

 青少年課による子ども会の
 ジュニアリーダー育成プログラムの1つとして
 はまゆう山荘を利用した倉渕村の豊かな自然の中での体験は
 一定の意味があったとは思います。

 しかし、ジュニアリーダー体験者たちの話をうかがってみても
 「はまゆう山荘」でのプログラムの記憶は乏しく、
 わざわざ群馬の「はまゆう山荘」で行なった必然性は無い
 という意見が多くありました。

 つまり、「はまゆう山荘」は、
 単なる「市民向けの観光宿泊施設」なのだと言っても
 決してさしつかえありません。

 さて、市長が今回の議案を提案した理由は、
 昭和56年から友好都市提携をしてきた群馬県倉渕村が
 平成18年に高崎市へ編入合併されることをうけて、
 これまでの友好の証として
 はまゆう山荘を合併前の倉渕村に無料で譲渡する、
 というものです。

 しかし、市長の提案理由とは全く異なる2つの理由から、
 この「はまゆう山荘」の廃止は当然のことであり
 むしろもっと早く成されるべきであったと、僕は考えます。

 第1に、交流が目的とは言えども
 観光旅館業務などは
 そもそも地方自治体が成すべき仕事では無い
からです。

 第2に、はまゆう山荘の担当部署である
 子ども育成部青少年課にはもっと大切な
 解決すべき青少年の問題が山積みである
からです。


 当時の詳しい経緯は残念ながら調べ切れませんでしたが
 群馬県倉渕村と友好都市としての交流の証として

 土地は倉渕村から無償で借り受けて
 建物は横須賀市の税金を14億円かけて建設されました。

 さらに平成14年度には
 2908万円をかけてリニューアルされています。

 地上2階、地下2階の鉄筋コンクリート造りの建物には
 宿泊室、大浴場、食堂、64畳の宴会用大広間、
 50人が入れる会議室があります。

 さらに敷地内には、駐車場、オートキャンプ場、
 バーベキュー小屋、和風居酒屋、テニスコートが2面あります。

 まず考えるべきことは、

 何故、こんなに豪華で、こんな立派な
 観光ハコモノ施設を作らねばならなかったのか、


 ということです。

 友好を深めるには相手の土地を訪れること、という
 単純な発想だったのでしょう。

 しかし、横須賀から泊まりにいくことで
 地元の方々との友好は本当に得られたのでしょうか。

 「はまゆう山荘」をジュニアリーダーとして
 訪れた経験のある方々の感想は最初に述べたとおりです。

 また僕自身は31年間このまちに暮らしてきましたが
 倉渕村との友好都市提携を結んできたことも知らなかったし、
 倉渕村の住民の方々に知り合いは誰もいません。

 議員になってから、友好都市の存在を知って
 三笠公園で毎年開催される産業祭りに
 倉渕村から野菜を売りに来ているのに気づく程度でした。

 友好の証が「はまゆう山荘」、という発想自体に
 すでに誤りがあった、と強く思います。

 また、さらに、現在は不況が長引き、
 かつてはどこの民間企業も
 この「はまゆう山荘」のような
 保養所や宿泊施設を所有していたのですが、

 今ではそれらは不良債権でしかなく
 手放しているのが当たり前の状況になっています。

 地方公共団体の成すべき仕事とは、
 民間企業では赤字になるため決してできないけれど
 どうしても必要とされる公共性の高い事業を行なうことであり、

 「はまゆう山荘」のような宿泊や観光の事業は
 そもそも民間企業が行なえる、行なうべきものであり
 横須賀市が行なうべき事業ではありません。

 そういった原則を無視して
 交流の美名のもとに宿泊施設を建設して

 本来対応しなければならない問題が山積みの
 青少年課の業務を増やしてきてしまいました。

 今年度終了後には青少年課の職員が
 1名この業務から解放されるとのことです。

 大切な人員である職員を一刻も早く優先順位の低い
 はまゆう山荘の事業から解放して
 青少年に蔓延する薬物への対応などを始めとする
 より優先順位の高い業務に取り組ませるべきだと思います。

 以上のことから、「はまゆう山荘」を廃止する
 議案第96号には強く賛成します。

 ●

 ついで、議案第94号
 「平成17年度横須賀市一般会計補正予算第1号」への
 反対理由を述べます。

 これは、はまゆう山荘の倉渕村への譲渡、
 つまり「はまゆう山荘」を無料で倉渕村へあげてしまう
 加えて5年間分の運営費6600万円をあげてしまうという
 内容を含んでいます。

 友好の証、という美名のもとに
 約6億円もの横須賀市民の資産・税金を倉渕村に明け渡すのは
 問題があると考えます。

 先日行なわれた民生常任委員会で
 現在の「はまゆう山荘」の資産としての価値を尋ねたところ、
 平成16年8月1日現在で
 5億3800万円とのことでした。

 5億3800万円もの資産を
 ただで譲り渡すのは明らかにおかしいと思います。

 この金額は、倉渕村から土地を無料で借りているなどの
 諸条件を考慮した上で不動産鑑定を行なった結果が
 5億3800万円とのことでした。

 つまり、実際は支払っていない
 倉渕村への土地の借地代を考慮に入れての
 資産価値が5億3800万円という金額なのだと
 僕は受けとめました。

 さらに補正予算で
 5年間の運営費用6600万円を
 財団法人倉渕ふるさと公社に支払うとのことなので、
 合計すると横須賀市民の資産と税金を
 6億400万円も渡してしまうことになります。
 先ほども述べたとおりで「はまゆう山荘」は
 子ども育成部が所管する施設ですから
 もしも6億400万円を
 子どもの為のもっと別の目的に使えたとしたら、
 例えば、全国的に増やすべきだと叫ばれている児童福祉司を
 児童虐待、ネグレクトがすさまじく多い
 この横須賀市で増やすことができれば
 どれほど大きな効果をあげられることでしょうか。

 廃止そのものには大いに賛成するところですが、
 何故はまゆう山荘を無料で明け渡し、
 なおかつ運営費用を5年間分も支援しなければならないのか、
 合計6億円もの横須賀市民の資産に対して
 あまりにも軽々しい交渉だったのではないのかと
 憤りを感じます。

 1億円でも2億円でも、適正な価格を計算して
 倉渕村には「はまゆう山荘」を有償で譲り渡すべきです。

 以上のことから議案第94号
 「平成17年度横須賀市一般会計補正予算第1号」には
 強く反対します。

 議案第94号には反対し、議案第96号には賛成します。

 ぜひ先輩、同僚議員の皆さんにも
 同様な対応を取っていただけますようお願いして、
 討論を終わります。

 ありがとうございました。


議案96号「はまゆう山荘の廃止」は可決されましたが
議案94号「無償でゆずる上に6600万円もあげてしまう」ことは
フジノの反対もむなしく賛成多数で可決されてしまいました。

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