議会では、こんなやりとりしています

動画で質問の様子をみることができます。
市議会HPの日程平成22年12月14日をご覧下さい。

2010年12月議会 本会議(12月14日)、議案への討論


127













 藤野英明です。

 議案第127号・行政組織条例の改正に
 反対する立場から討論を行ないます。



 行政組織条例中改正については
 総務常任委員会において
 12月8日・9日・14日と積極的な議論がなされ、

 市議会の判断を受けて市長が提案をとりさげ
 改めて議会の意思を汲んだ議案が提出されたことは
 評価されるべきだと思います。

 ただ、その再提案についても
 僕は異なる立場から反対している為、

 自らの立場を
 表明させていただきます。

 特に、本来、保健・医療・福祉の3つの政策分野は
 高次に統合された対応が必要であるにも関わらず

 あえて現在の『健康福祉部』を
 新たに『健康部』と『福祉部』の2つに分割することについて
 反対します。

 市長による提案の条文第1条と第2条に関する変更では
 『健康福祉部』を『福祉部』に名称変更をして
 新たに『健康部』を設置することとなっていますが

 実質的な意味合いとして
 僕はあえて『分割』と申し上げたいと思います。

 この分割によって当面は
 スムーズな事務執行に効果をあげたように見えるでしょうが

 より効果的な対応をすすめる為に
 必ず10年以内に
 再び統合せざるをえなくなるはず
です。

 改正する理由として

 福祉政策と健康政策を機動的に行なう組織体制にする為との
 説明がありました。

 確かに組織を細かく分ければ
 その個別の分野では機動力が高まるでしょう。

 つまり、福祉政策という枠組みの中での機動性、
 健康政策という枠組みの中での機動性は、高まるでしょう。

 しかし、本来、1人の人間が
 生まれてからやがて老いて死んでいくまで

 保健と医療と福祉という3つの分野は
 人の暮らしを支える上で深く関わっている
 本来は一体のものなのです。

 各分野の円滑な事務の執行という観点だけでは
 人の暮らしを守ることはできません。

 これをあえて分けて
 それぞれ別の部が所管するということは

 市民のみなさまへのサービス向上という観点から見ても
 組織デザインという経営の観点から見ても

 メリットよりもむしろデメリットの方が大きいと判断しました。

 福祉政策と保健医療福祉政策とは
 もはや現代において別の組織にして担当することは
 むしろ弊害があります。

 保健医療福祉政策という1つの政策領域として
 一体的に対応していくべきだと僕は考えています。



 横須賀市における保健医療福祉行政と
 市役所の組織のこれまでの変遷をふりかえると

 衛生行政を担当していた『衛生部』が
 昭和27年6月に機構改革によって『厚生部』と名称変更しました。

 この2年後の昭和29年2月に機構改革が行なわれて
 『厚生部』は再び『衛生部』に名称が変更されました。

 昭和53年、機構改革によって約20年続いた『衛生部』が
 新たに『保健衛生部』へと名称変更がなされました。

 さらに平成10年の機構改革によって
 『健康福祉部』に名称が変更となりました。

 それから11年が経って
 現在に至ります。

 こうした組織が姿を変えていくのは
 その時々の経済社会状況の変化によって
 市民ニーズも変化していくことに対して
 市役所としてよりきめ細かく迅速に対応できるように行なわれてきました。

 しかし、今回、保健医療政策と福祉政策を
 あえて別々の部署で対応しなければならないような
 経済社会状況の変化や市民ニーズの変化はあったでしょうか?

 ありません。

 それどころか、平成10年の機構改革から現在に至るまで
 むしろますます保健医療福祉政策に対する市民ニーズは

 一体的に対応すべきものとして
 高まってきているのではないでしょうか。



 民生常任委員会の所管事項に対する質疑において
 僕は今回の分割の必然性について
 健康福祉部長と議論をしましたが

 そこで健康福祉部長から得られた答弁は

 健康福祉部の職員人数が増加するにつれて
 マネジメントが困難になっており
 意思決定にも多大な時間を要する、というものでした。

 しかし、この問題点は、本来、
 健康福祉部に
 『福祉政策』を総括して担当する副部長職と
 『保健医療政策』を総括して担当する副部長職とをつくるだけで
 事足りたはずです。

 それによって、現在は煩雑になって不可能となっている
 保健医療福祉の3つの領域をより高次な観点から統括するという
 健康福祉部長の本来の役割を遂行していけば良いのです。

 今回の分割によって
 今まで健康福祉部長が担っていた役割を
 副市長が担うことになる訳ですが

 本来、副市長は市長と共に
 保健・医療・福祉を超えた全政策分野を俯瞰した
 より高次なトップマネジメントを行なうことこそが求められているはずです。

 改めて市長には、トップマネジメントとは何かを
 お考えいただきたいです。



 以上のことから今回の議案第127号は
 マックス=ウェーバーが言うところの
 『近代官僚制組織』のデメリットの部分をあえて生み出すものです。

 かつて平成10年に機構改革を行なって
 保健・医療・福祉に一体的に対応するべく1つの部に統合した
 原点に立ち返るべきです。

 以上のことから僕は
 本議案に反対します。


この議案はフジノと想いとは逆に議会で「可決」されました。

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