議会では、こんなやりとりしています


市長の答弁に対して、再質問(その1)






















 市議会が議論の場になって
 本当にうれしいと思っております。

 市長、誠実な御答弁を本当にありがとうございます。

 まず第1の質問についてのお答え、
 今年も約36〜38の事業を削減されたということは
 私も知っております。

 ご苦労が大変あったことと存じ上げております。

 ぜひその変革への行動力を
 美術館にも使ってください。

 さて、市長から逆に御質問のございました
 『美術館に対する哲学』です。

 美術そのものは誰にとっても必要です。

 必要だけれども、芸術は美術も含みますが、
 ハコモノでできるわけではありません。

 ブルースあるいはヒップホップは
 貧しいまちから生まれて世界的な文化になりました。

 谷内六郎さんは、
 美術館があったから芸術家になったのではないはずです。

 福祉の充実のためにも美術は必要です。

 知的障がいを持っているお子さんにとっても
 美術は大切な療育の1つです。

 例えば、数日後に、
 学童保育に通っているお子さんが描かれた絵の
 展覧会が行われます。

 そういう意味でも、お子さんにとっても、誰にとっても、
 美術は本当に必要なものです。

 けれども、福祉を充実させる、その目的を果たすことなく、
 今は美術館をつくるべきではない、それが僕の哲学
です。



























 さて市長、今いただいたお答えでは、
 今、美術館をこのまちにつくらなければならない、
 そういう必然性が残念ながら全く伝わってきませんでした。

 市長、聞いてみてください。

 京浜急行の汐入駅の鉄橋の下には
 ホームレスの方が暮らしています。

 彼は27年間ペンキ職人として働いてきたのですが、
 不況のせいで失業いたしました。

 彼は僕にこう言います。

 「まさかおれがホームレスになるなんて思いもしなかった。
  仕事があるならすぐにでも働きたい」

 市長、僕は彼に頼まれました。

 「美術館づくりなんかとめてくれ。
  そんなことに金を使うなら景気を直してくれ」

 そう言われました。

 あるいは、市長あなたは学童保育の現場に行ったことがありますか。

 そこは子どもたちが成長していく上で
 本当に大切な施設です。

 そこで働いている職員の方々は、
 仕事の責任はすさまじく重い。
 けれども給料はひどく安く、
 社会保険などの保障もほとんどありません。

 働いている人たちはみんな、
 子どもたちへの情熱だけで身を削りながら、
 何の保障もないままに働いています。

 あるいは、市長、
 精神障がいを持つ方々の作業所を訪れたことがありますか。

 ある作業所を訪れて、僕が一緒に働いていると、
 そこには壁に穴があいていて、すき間風が入ってきました。

 心の病と闘いながら一生懸命に働こうとしている、
 そんな方々のための大切な場所が作業所です。

 その大切な場所にはいつもすき間風が入ってくる。

 けれども、直すお金なんてありません。

 このすき間風をとめられないままに、
 『福祉のまち、横須賀』を目指している横須賀市のはず。

 それが彼らのことを無視して、
 今、美術館をつくろうとしているのですか。

 そして市長、平坂上の障害者福祉センターのことは、
 あなたも本当によく御存じだと思います。

 いわゆる知的障がいや体の障がいを持っている
 幼い子どもたちのために、とてもとても大切な療育の場所です。

 けれども、このセンター・マザーズは
 とてもとても狭くて、
 もっと広い場所で療育を受けさせてあげたいと、
 お母さん方も職員の方も、だれもがみんな思っています。

 市長、あなたも思っているはずです。

 このまちにとってすぐやらなければならないのは、
 マザーズを広い場所に移すこと、
 そういう長年の課題があるのに、
 それを実現させる前になぜに美術館づくりなのでしょうか。

 最後に市長、このまちも高齢化が進んでおります。

 だんだんと体が不自由になってしまったり、
 転んでしまったり、痴呆の症状が進んだりして、
 もう御家族の方も介護で疲れ切ってしまっている。

 そして、特別養護老人ホームなどの施設には入りたい、
 そう願っている人々がたくさんいます。

 けれども、施設に入りたくても入れない。

 いわゆる待機をしている高齢者の方々の数は、
 これは僕の友達から聞いた話なのですが、
 1つの施設当たり何と300人にも上ると言われています。

 市長、市内のすべての特養が満員で、
 そのすべての施設で、
 1つの施設当たり300人もの人々が
 入所したくて列をつくっているのです。

 今この瞬間も待っている、この人たちを無視して、
 どうして今、美術館なのですか。

 こういう人たちの顔を思い浮かべるとき、
 僕には美術館をつくる理由をどうしても説明することができません。

 自分の暮らしを生き抜いていくことがまず精いっぱいの人々に
 美術館に行けと言うことはできません。

 市長、あなたはどういう言葉で
 その人たちを納得させることができますか。

 僕にはできません。
 どんな言葉も思い浮かびません。

 市長、どうかこの質問にお答えください。

 今、市長、あなたの目の前にホームレスの方がいるとします。
 厳しい労働条件で働いている福祉の現場の方がいるとします。
 障害を持ちながら暮らしている人々がいるとします。
 あるいは、施設にも入れずに寝たきりで、
 今この瞬間もいる高齢者の方がいたとします。

 あなたの目の前にいらっしゃるその方々に対して、
 市長あなたは、今、
 このまちに美術館をつくらなければならないという必然性を
 どうやって説明するのでしょうか。

 みんなが納得する答えを聞かせてください。

 それでもし納得のできる答えをいただけたら、
 僕はみんなのところへ持って帰ります。

 そして、ホームレスの方や、福祉の現場の方や、
 障がいを持っている方や、高齢者の方々みんなに、
 納得してもらえる答えを話すつもりでいます。

 ですから市長、その答えをぜひ僕に下さい。


 第2番目の質問を終わりにします。(拍手)


フジノの再質問に対して
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