スタッフの活動日記


2004年1月28日(土)Sさんのレポート
● 動物管理所にて

 今日は、保健所の動物管理所に視察に行ってきました。

 動物管理所とは、狂犬病予防法に基づいて
 「犬を抑留する施設を作らなくてはいけない」ということで
 建てられた施設です。

 昭和40年代にできた動物愛護法に基づき
 負傷動物の保護・収容なども行われていました。

 他には迷い犬・野良犬・持ち込まれた犬猫などを抑留し、
 必要ならばガス室にて犬猫をと殺処分する、
 という仕事もあります。

 また、持ち込まれた犬猫の里親を探す、ということもしています。

 私は保健所に連れて行かれた犬猫の行く末を
 この目で見てみたいと思い、
 今回視察に同行させていただきました。

 前日まで、

 「動物管理所では地獄絵図のような光景を見て、
  きっとその日から
  食事をおいしく感じることはもうなくなるだろう」

 と、覚悟して行きました。

 現に、当日いろいろなお話を聞かせていただいた
 保健所の生活衛生課長のSさんに

 「動物管理所は楽しい場所ではありませんよ。
  きっとショックを受けられますよ」

 と、前もって釘を刺されていましたので、
 アポイントをとった日から約1週間、
 視察日のことを考えると食事ものどを通らないことがありました。

 しかし、真実を見れば
 問題点なり解決策なりが見えてくる、と思い、行ってきました。

-----------------------------------------------

 入るとすぐに事務所になっていて、
 机が4つ並んでいました。

 なんだか職員室のような雰囲気の
 清潔感のある事務所でした。

 ガラスのドア(上の写真の左端)の向こうは
 犬がいる部屋です。

 鉄格子の犬小屋が両側に並んでおり、
 全部で4つありました。

 泣き声のうるさい犬専用に
 ガラス張りでできた防音の犬小屋もありました。



 部屋の1番奥にあるステンレス製の四角い箱が、
 最後の日に入るガス室です。



 ここに入ってガスが噴出されると1〜2分で絶命します。
 その間、犬は苦しむそうです。



 ただし、ここに来たすべての犬が命を落とすわけではなく、
 飼い主が現れたり、
 ボランティア団体が引き取ってくれたり
 里親がもらってくれたりと、助かる命もまた多いようです。

 少しでも多くの命を助けるために、
 職員さんたちも必死で里親を探したりしています。

 子犬の場合はほぼ100%里親が見つかり、
 成犬でも里親やボランティア団体が引き取ってくれたりして、
 ここで命を落とす犬は
 年間で50頭ほどだそうです(猫の場合はもっと多い)。

 しかし、地方ではこんな数ではなく、
 もっとたくさんの命が強制的に消されています。

 それは、感情移入をする暇がないほどだそうです。
 本当に毎日1つずつ部屋を移動していき、
 最後の日(4日目)には
 ガス室送りになるそうです。

 都会(横須賀を含む)では
 犬よりも深刻なのは猫のほうで、
 現在横須賀市の保健所の方たちが
 うちうちで外猫対策の話し合いを月に1度行っているそうです。

 そして来年度からその外猫対策の話し合いが
 正式に発足するそうです。

 地道ながら着実に進めている仕事ぶりに感心させられました。
 私も見習わなくてはならないと、痛感しました。

 この日、1頭の犬がいたのですが、
 きっとこの子もボランティア団体なり
 里親さんが引き取ってくれると思います。
 (飼い主さん、早く見つけてあげてください!
  震えながら待っていましたよ!)



---------------------------------------------------

 今日ここで見たものとは、
 それは職員さんたちの熱心な気持ちでした。

 「迷惑施設」と言われ、
 下水処理施設内に仮住まいをせざるを得ない仕事に
 誇りと先輩方に尊敬の念を持ち、
 動物たちを愛し、
 どうにか命を助けることは出来ないかと真剣に取り組む姿でした。

 こんなに懸命に命を救おうとしているのに
 一方でガス室に送らなくてはいけないときもある。
 それはとてもやりきれないと思います。

 こんなに頑張って里親を探したり、
 対策を練ったりしているのに。

 次に頑張らなくてはいけないのは、
 私たち一般市民だと痛感しました。

 1度家族としてペットを迎え入れたら、
 生涯その動物の命が尽きるまで
 飼い主としての責任を果たす。

 子犬や子猫が生まれて困るなら避妊手術をする。

 もっと他に私たちが出来ることは一体何だろう?
 と考えさせられました。

 新しい家族として犬や猫を欲しいと思ったとき、
 ペットショップに行く前に、
 ブリーダーさんを探す前に、
 保健所で新しい飼い主が現れるのを待っている犬猫がいることも、
 頭の片隅に入れておいてください。

 彼らは純粋に人を信じていて愛しています。
 裏切られてもまた人を愛すことをやめることができない彼らを
 私たちが助けなくてはいけないのではないでしょうか?


→はじめのページに戻る