議会では、こんなやりとりしています


沢田市長から、1回目の回答








 まず、私が提唱する『変革への行動力』とは
 どういう決心を意味するのか
 というお尋ねです。

 私は、今このことを申し始めたわけではありません。

 ほぼ10年前、初めて市長になったときに、
 挑戦、変革、創造−チャレンジ、チェンジ、クリエーションという
 Cで始まる3つの言葉をスローガンとして、
 組織文化の変革や諸システムあるいは施策などの見直しを
 これまでずっと行ってまいりました。

 そして今日、変革の勇気と創造の知恵をもって、
 大胆にして細心かつ綿密に判断し行動する、
 それが変革への行動力だと、そのように思っています。

 そして、実際にさまざまなことをやってきました。

 時間の関係上、数え上げ始めますと切りがありませんので
 省略をいたしますけれども、
 さまざまにこれまでやってきたことを見直して、
 かなり多くの人の反対もありましたけれども、
 やめた事業も随分あります。

 そういうことも含めて変革への行動力と、
 そのように申しているところであります。

 用意した原稿にはたくさん書いてありますけれども、
 時間の関係もありますから省略して、
 またいずれゆっくりとお話しする機会もあろうかと思いますので、
 それに譲りたいと思います。









 次に、横須賀らしさとは何かとのお尋ねがありました。

 私も、海と山に恵まれた自然環境というのが
 横須賀の最も大きな魅力だと、そのように思っています。

 しかし、それは単にこれまであった自然を守るだけではなくて、
 自然と人間との共存共生という考え方で、
 保全すべきは保全し、活用すべきは活用する、
 そのことによって
 横須賀らしい独自性を生んでいくことが必要ではないかと、
 そのように思っています。

 現在の収蔵作品のうち、
 横須賀に生まれ、育ち、住んだ本市ゆかりの深い画家、
 例えば朝井閑右衛門、青山義雄、島田章三、谷内六郎、
 そういった人たちの作品がたくさんあります。

 その多くは本人または遺族から寄贈されたものであります。

 そのほかにも著名な画家のすぐれた作品があります。

 それらは、前市長時代から長い時間をかけて、
 財政をにらみながらこれまで収蔵してきたものでありまして、
 それは、購入したり寄贈を受けたりして、
 ただしまっておくために買ったわけではなくて、
 それらは市民共有の財産ですから、
 市民の皆さんがいつでも見られるようにすることが、
 当時から目標としてあったわけであります。

 そうしたすぐれた郷土ゆかりの人たちの
 作品を鑑賞することによって、
 市民は改めて、
 こんな立派な画家が本市から出たのかということで、
 その作品を見ることによって
 改めて郷土の誇りを感じることができるわけでありまして、
 それがまさに横須賀らしさではないでしょうか。

 そして、それを持続的に後世の市民に伝えることによって、
 横須賀らしさを将来に向けても続けていきたいと、
 そのように思っています。










 3つ目に、
 観音崎の自然破壊をしてまで美術館をつくるのかと、
 それによって入り込み客が減るではないかと、
 そういう御所見でありました。

 大規模な公園というのは、
 公園施設として法律でも認められているのですが、
 レストハウス、宿泊施設、美術館、
 博物館、トレイン、展望台、池、噴水、花壇などの施設をつくり、
 公園としての付加価値を高めることが多いのであります。

 観音崎公園についても、
 県は既に「青少年の村」や「花の広場」、
 自然博物館などを設けており、
 市の美術館も重要な公園施設の一部と位置づけています。

 自然との共生に留意し、移植可能な樹木は移植し、
 新たに樹木を植栽し、森の雰囲気をつくり、
 海の見える森の中の美術館というたたずまいとなるように
 再整備を図っていく考えであります。

 観音崎公園が、美術館の建設により
 芸術文化的な付加価値を加え、
 公園としての魅力が高まって、
 交流人口がふえることが期待できると、そのように思っております。









 次に4問目ですが、
 観音崎を建設予定地として選ぶ上で、
 特定少数の人の希望が反映されたのではないか
 とのお尋ねがありました。

 観音崎を建設地と定めたのは、
 既に平成8年度、
 「特色ある美術館基本構想策定委員会」で候補地検討を始め、
 平成9年度に
 「特色ある美術館基本構想委員会・候補地委員会」によって
 決定されたものであります。

 予定地の走水園地は、
 国から無償貸与されること、
 数十億円もかかるであろうと思われる
 土地取得費がかからないということ、
 それを建物の建設費に回せること、
 必要な敷地面積を確保できること、
 海と緑の景観に恵まれていること、
 観音崎という知名度を利用できること、
 その他さまざまな利点があり、
 非日常的な空間で心地よい時間を過ごすという
 美術館にふさわしい立地場所として選ばれたものであります。

 そこにおいて、
 人々は心の豊かさを感じることができるであろうと、
 そのように思っています。









 5番目に、
 中核市である横須賀のまちづくりという観点から
 美術館建設は本当にふさわしいのか、
 そもそも美術館を建設するその必然性はあるのか
 とのお尋ねがありました。

 よその中核市が美術館を持っているから本市もつくるのだ
 というような考え方ではありません。

 中核市になるはるか前から、
 本市は将来の美術館を目標にして、
 営々と収蔵品を集め、あるいは寄贈を受けて
 これまで来たわけであります。

 多くの中核市が美術館を持っているから、
 むしろ横須賀市は、美術館を持たないことが横須賀らしさではないか
 という御所見であるならば、
 多くの都市が持っている運動公園とか博物館とか、
 あるいは公民館とか、その他もろもろの施設を
 本市がこれからもつくらないということが
 横須賀らしさということをおっしゃるのでしょうか。

 そうだとすれば、
 市民の広い意味での福祉の向上は望めないということになります。

 そもそもお尋ねしたいと私は思うのは、
 美術館についてどういう哲学なり思想なりを
 持っていらっしゃるのかということをまず明らかにした上で、
 今回の美術館について批判されたらいかがでしょうか。










 次に、財政についてお尋ねがありました。

 単年度の収支均衡を妨げる要因は
 どこにあると考えるかということであります。

 これは、全国の約3200余の自治体が
 予算編成に当たって指針とする地方自治体全体の予算、
 都道府県、市町村を含めた全体の予算とも言うべき
 地方財政計画というものを国が策定し、
 それを多くの自治体は参考にして、
 みずからの予算を編成するということにしているわけです。

 その国が地方財政計画を策定する段階で、
 既に単年度収支が均衡していないというのが実態です。

 それゆえ、国はもう金がないから、
 各自治体で借金をして、
 赤字地方債を発行して収支のバランスをとるようにというのが、
 今の地方財政計画の内容になっているわけであります。

 現在、経済財政諮問会議などにおいて
 三位一体の改革の検討が行われておりますが、
 地方の歳出に見合った適正な「税源移譲」が
 地方分権の趣旨に基づいて実行されていない、
 国から地方へ必要な税源が移譲されていない、
 そのことが地方財政全体の
 大きな財政上の問題点となっているわけであります。










 次に、美術館建設費と運営経費など
 すべての支出が財政運営に与える影響をどのように考えるか
 とのお尋ねであります。

 本市は、平成8年から行財政改革に着手して以降、
 財政体質を改善するとともに、
 効率的な事業の推進と市民サービスの向上に努めてきました。

 改善策の主なものは、
 外部委託の推進、民間活力の活用、
 組織の見直しと適正な人員配置、
 市債の繰上償還や、より低利の地方債への借りかえなど、
 経常経費の抑制に大きな効果が出ました。

 財政構造の硬直性の度合いを示す
 経常収支比率を見ますと、
 県内19市のうち、
 本市以外の都市を平均してみますと、
 年々急速に悪化している中で、
 本市は対照的にその経常収支比率が、
 平成6年度決算ではほぼ89%で、
 19市のうち悪い方から2番目だったのです。

 それが、平成13年度決算は83.66%へと著しく改善し、
 いい方から7位というように改善をされてきているわけであります。

 そのほか、YRPなどに企業誘致を進めることによって、
 YRPだけでも年間30億〜40億円の増収を見ているなど、
 さまざまな努力をこれまで行っているわけであります。

 また、年度間の財源調整のための基金、
 すなわち蓄えの状況で見ても、
 平成13年度末で 199億円であり、
 県内でもトップクラスであります。

 このように、苦しい状況下においてもさまざまな工夫をして、
 財政体質の改善に努めてきているわけであります。

 美術館の建設に当たっては、
 そういうこれまでのさまざまな財政改善の努力の中で、
 将来見通しも考えながら、
 適切な規模のものを建設して、
 長年、美術館の建設を目標としてきた、
 その結果として定められた基本計画を実現して、
 市民に対する約束を果たそうということであります。










 次に、御質問のような御質問でないような
 お話があったのでありますが、
 美術館を欲しいというのは、
 43万人のうちわずか何人であるというお話で、
 それ以外は全部、美術館を望まないのだと、
 そういう意味だとすれば、それは間違いであります。

 私も市長選挙で9万人の支持を得ましたけれども、
 その9万人の多くは、
 美術館について私が公約として、約束として
 市民に提示している事柄について賛成を得られているということを
 私は信じております。

 以上でお答えとさせていただきます。


市長の回答に対して
フジノの反撃(再質問)はいかに!?

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