まちの政治家は、こんなことしてます新人議員の活動日記

2004年6月12日(土)のフジノ
● 真実が分からなければ対策も取れない

 先日(6月10日)、厚生労働省が『人口動態統計』を発表しました。

 新聞各紙はいっせいに
 『出生率の低下』を報道しました。

 確かにそのトピックは大切です。

 けれども、僕にとってもっと切実だったのは
 『自殺してしまった方々の数』でした。

 発表によると、2003年中に亡くなった方の数は
 過去最多の3万2082人でした。

 ひどく痛ましく悲しい発表でした。

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 この国の『自殺によって亡くなった方の数』の統計は
 2種類あります。

 1つは、この厚生労働省による『人口動態統計』です。

 もう1つは、警察庁生活安全局地域課による『概要資料』です。

 フジノは、警察庁の資料の方が
 信頼性が高いと考えています。

 何故なら、厚生労働省の統計は
 毎年その数が警察庁の統計よりも少ないからです。

 (定説では、遺族をよく知っているかかりつけの医者たちは
  死亡診断書に死因として『自殺』と書くのを避けるから、
  と言われています)

 警察庁の資料の発表は今年もたぶん7月なので
 本当は一体どれほどの数になるのかは
 まだ分かりません。

 (警察庁のデータより) 
1998年 3万2863人
1999年 3万3048人
2000年 3万1957人
2001年 3万1042人
2002年 3万2143人
2003年 ?人

 97年までは2万人台だったのが
 一気に1万人も増えてしまったことでマスコミは大きく取りあげました。

 けれども、5年連続で3万人を超えてしまうと
 それが当たり前の状態に感じられているのでしょうか?

 今年、『人口動態』をもとにした記事で
 自殺の方を大きくとりあげたのは読売新聞くらいでした。

 毎年交通事故の3倍以上もの方々が
 亡くなっているのに、他紙はどうして報じないのでしょうか。

 問題は、深刻化しています。

 もっと実態をきちんと調べてほしいです。


● 横須賀市の場合

 昨年12月議会でフジノは
 一般質問で『自殺予防対策』を行いました。

 その時に、フジノがデータとして示したものを掲載します。

 (1)平成10〜14年の『自殺と交通事故による死亡者の比較』
           (神奈川県警のデータをもとにフジノが作成)

 (2)全国平均との比較
           (厚生労働省のデータをもとにフジノが作成)


 このまちも、とても深刻な状況にあります。

 一刻も早くできるかぎり全ての対策をとらなければいけません。



● 怒り

 守秘義務があるから、
 このまちに暮らしている方から受けた相談を
 フジノはここに書くことができません。

 けれども、本当にやりきれない、悲しい相談があります。

 今日、僕は1日休暇を取るつもりだったけれど
 ある方から電話で相談を受けて
 休暇はもうやめて
 すぐ事務所に戻ってきて
 徹底的に資料を読み込んで勉強をしています。

 昨日のこのコーナーで

 「1人のためだけには動けない」

 と書いたばかりですが
 この相談のカタがつくまでは
 議会での質問もフジノはやりません。

 とにかく法律を読み込んで
 いろんな事例を読み込んで
 救済の手立てを見つけなければ。

 この問題を解決できなければ
 次世代育成も精神保健福祉も語る資格が僕には無くなる。

 命を守りたい。


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 フジノ事務所の入っているアパートの前は
 路上駐車がしやすくて、いつも誰かが車を停めている。

 昼は宅急便だったり、営業カーだったり。
 そして夜はカップルが停めている。

 いつもはエンジン音なんて
 気にもならないんだけど
 今夜ばかりは不愉快でたまらない。

 夜中の2時13分、僕は法律を必死で読んでいる。

 そして同時に、さっき電話をくれた方が
 どんな気持ちで今、心細く過ごしているかを想っている。

 カップルが楽しそうにしているのも
 笑い声もエンジンの音も、ふだんの僕にはカンケー無い。
 腹を立てることでも何でも無い。

 だけど今は、その相談に対する怒りが
 やつあたりのように路上駐車で過ごしているカップルに対して
 向かっている。

 くそったれ。静かにしやがれ。















 ...なんて怒ってても勉強が進まないので
 冷静になるために
 このコーナーを更新してみました(笑)

 あててね。



2004年6月11日(金)のフジノ
● ホッとした...

 今日も、テレビの製作会社から
 取材申し込みが留守電に入っていました。

 ...身構えてしまった。

 また「窪塚くんのことを聞きたい」と言われるのかと思った。

 僕は先日このコーナーで書いた以上のことは知らないし
 誰にも何も話したくないし、
 特にマスコミに話すことは何もありません。

 恐る恐る留守番電話を終わりまで聞いてみると、

 全然違う件でした!

 「シングルファーザーについて調べています。
  フジノ議員のお話を聞かせてください」


 というものでした。

 そのテーマでしたら
 フジノの知っている限りの情報を全てお話したいと思いました。


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 僕はマスコミ業界で働いていた人間として
 「商品」として扱われる=「消費されること」が
 どれほど悲惨かをよく知っています。

 だから、マスコミに取材を依頼されても
 基本的に全てお断りしています。

 『政策』についてでは無い『僕個人』についての
 取材依頼の場合は、100%断っています。

 どーせ、茶髪の政治家だとか
 どーでもいいことを
 時間つぶしのワイドショーネタとしてとりあげるだけでしょ?

 そんなメディアの消費欲求には
 僕はつきあえない。

 マスメディアのみなさま、取材はお受けしてません。
 すみません。

 けれども、こういう大切な問題
 (例えば、シングルファーザーの現状など)については
 いくらでもお話したいと思います。

 政策についての取材であれば
 テーマによっては全面協力させていただきます。

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 ...と言いつつも、
 実は1冊だけ、

 ノンフィクションの取材を受けるかもしれません。

 ・議員が僕1人ではなくて信頼できる他の議員仲間と一緒である
 ・企画の内容も僕たちの宣伝では無くて後進のためである
 ・本当に信頼できそうなライターの方である

 こんな理由から。

 もしも実現したら、その時は秘密にします。
 会ったことも無い知らない人たちに
 これ以上知られるのはイヤだよ...。


● 『長井海の手公園』工事現場への視察

 今日は、請求代表者である
 一柳さん木村さん原島さん・フジノで
 『長井海の手公園』の工事現場を視察してきました。

 美術館もそうですけれど、
 フジノは徹底して毎週のように工事現場に通うつもりです。

 別に嫌がらせとかではなく
 んー、何のためだろうね...(笑)。

 ヴェルニー公園のカフェも完成までしつこく見守るつもり。

 ともかく、政治家にとって大切なことは
 ずっとそれを追い続けることだと思うんですね。

 別にそうしろと誰かに習ったわけでもないし、
 たぶん市役所の人には
 こういうことをすると嫌がられるんだろうなあと思うんですけど。

 とにかく視察に行きました。

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 現場に向かうと、僕たち4人だけかと思ったら
 市役所のみなさんがたくさんいらっしゃいました。

 日頃、勝手にどんどん1人で見学行ってしまうんですが
 やっぱり議員が複数名での視察になると
 こんな感じなのでしょうか。

 市役所のみなさん、雨の中、
 わざわざおつかれさまでした。すみません。

 さて、まずは道路の工事をしている現場の
 事務所に案内されて、工事全体の説明を受けました。

 配られた資料はこちら(その1)
 こちら(その2)

 その1が全体図です。
 その2は道路工事の説明資料です。

 
 今、川のところを
 幅を広げて
 『ボックス』という
 コンクリートを
 入れています。

 この『ボックス』の
 中を川が流れ
 上を道路が
 通るのです。

 ひととおり説明を受けた後は
 すぐに現場を見せてもらいました。

 これが
 『ボックス』です。

 人の大きさと
 比べてみると
 『ボックス』の
 大きさが
 分かるはず。

 この『ボックス』をクレーンでつりあげて
 そして川の部分に下ろしていきます。

 もちろん川底にはセメントの土台が作られています。

 地面の高さから
 川の底になる部分を
 見下ろしている構図です。

 下に見えているのが
 セメントの土台です。

 この上に
 『ボックス』を乗せます。

 赤い鉄骨は
 川の両脇の土手が
 崩れないように
 押さえているのですね。

 道路工事のために、長井の方々に
 畑をお借りして工事用具を置かせてもらったりしています。


 これが『ボックス』の中です。
 かつての川は、この中を流れることになります。

 そしてこの真上を道路が走ります。
 『長井海の手公園』を訪れる人はこの上を走るのです。

 左が木村さん
 右がフジノ。

 ここの工事は
 技術力によって
 かつては
 表に流れてた川が
 暗渠になって
 しまうんだなあ。
 という感想でした。 

 ここはもともと川のところを工事しているから
 そんなに強い印象は無かったんです。

 けれども『長井海の手公園』そのものの
 工事現場は、これはもう信じられないくらい変わり果てていました。

 僕自身、昔よく遊びに行ったんですけど
 久しぶりに行ったら、もう昔のおもかげは全く無かった。

 サッカーグラウンドどころか
 土地が原型をとどめていないんです。

 樹木は全くありません。

 以前に書きましたが
 広報よこすかに載った完成図を見た若いお母さんが
 「1度だけなら行ってみてもいいかな」と言いました。

 でも、過去のこの土地の写真と
 今掘り起こされまくっているこの土地の写真を
 並べて見せたら同じ感想を果たして言えるだろうか。

 僕らの大事なまちが破壊されている、
 という印象を僕は強く受けました。

 写真を撮る気にもなれませんでした。

 2枚だけ撮ったのが
 これらです。


 梅雨で雨が降っていたせいもあるけれど
 なんか悲惨な印象を持ちました。

 長井海の手公園建設地を
 工事前に訪れたことがある人なら分かるはず。

 長井の人ならみんな分かるはず。
 武山や林や太田和や須軽谷の人なら遊びに来たことあるはず。

 こんな風景ではありえなかった。


 最後の1枚がこれです。

 駐車場から歩いていかれるようにするための
 『ボックス』です。この上を道路が走ります。

 この巨大さは、この箱の上を2台の車が走れるくらい。
 箱の中は5mくらいあるんじゃないかなあ。

 こういうシロモノが
 やたらめったら土を掘りまくられては置かれてるんです。

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 沢田市長は、たぶん
 昔の長井を知らないんじゃないだろうか。

 長井海の手公園建設工事現場の
 工事が始まる前の姿を知っているのだろうか。

 もしも知っていたならば、
 『見晴らしが丘』なんてアトラクションをわざわざ作らなてもいいんだよ。
 長井は晴れた日には富士山が見える美しい土地なんだから。

 池なんて作らなくても
 目の前には本物の海があるのに...。

 分からない。

 本当に理解できない。

 ここに人工の公園を作って
 そこで人工の池にボートを浮かばせて
 何が自然と触れ合うだよ、と僕は強く嫌悪感を覚えます。


● 公務員の本分とは何か

 あと、批判覚悟でもう1つ、
 感じたことを書きます。

 この工事をやるために、
 市は畑をやっている人の土地を買収したり
 道路をつくるために家を立ち退いてもらったりするんです。

 僕は「それが市の仕事なのか」と強烈に思いました。

 『都市計画』という考え方が存在して
 まちは放っておくと
 無秩序に建物が建てられてしまうから
 計画をつくってそれに沿ってまちをつくらなければならない、という
 ある意味すごくゴーマンな考え方です。

 僕は都市計画の必然性自体が理解できないので
 だから建築家とか設計屋とは全く感性が合わないのでしょうね。

 だけど、ひとさまが住んでいる家に行って
 「すみません、道路つくるんで家を引っ越してくれませんか?」
 なんて、ヤクザじゃんよ。

 地元の方々が反対するのは当然だと思います。

 そこに暮らしていた人たちが愛していた樹木を切り倒して
 サッカーが好きな人が集まってたグラウンドをつぶして
 良質な黒土を掘り起こして
 それが『まちづくり』なんて本当に言えるのだろうか?

 市役所の仕事は
 最低限の行政サービスだけに限るべきだと僕は考えています。

 公園をつくることは大切だけれども
 70億円もかけてやるようなことは市の仕事じゃない。

 外部監査に反対したヤツらは
 ここに来たことあるんだろうか。

 僕の友達は、外部監査の署名をはじめた5月から
 どんどん車で工事現場に観にいってました。

 そして、現場から写メールで
 「フジノ、ひどい変わりようだよ!」とメールをくれたのでした。

 小さい頃、長井に遊びに来た仲間たちです。

 でも僕自身は「昔の記憶があるから行かなくていいや」なんて
 軽い気持ちでいたけれど、
 現場を見て激しく後悔してしまった。

 もう昔の景色なんて、存在していないんだもん。
 失われてしまうのならば、せめて目に焼きつけに行くべきだった。

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 公務員って、他人に愛される仕事のはずなのになあ。

 今でさえ市役所の職員から嫌がられているフジノだけど
 もっと嫌がられてもいいから本音を書きます。

 こんな仕事は市役所の仕事じゃないよ。

 地元の人に反対されて、それを説得しにいって、
 怒鳴られたりしながら、それでも市長がやるというから仕事だし
 何度も足しげく通ったりして説明をして...。

 市長ってひどいよな。

 自分が直接に行って、頭さげてくればいいのに。

 どうして部下にやらせるんだろう。

 市民に怒鳴られて頭下げてお詫びしてるところなんて
 父親なら絶対に子どもに見せたくないと思う。

 もっと誇りを持って仕事をしたいんじゃないだろうか。

 人によっては

 「フジノたちがぐだぐだ言っても時間が経てばみんな忘れる。
  公園ができて良かったという人が多くなる」

 って思ってる市職員もいるかもしれない。

 でも、それでいいのか。

 仕事って、そういうものなのかな。

 公務員は、確かに50年先を見て働くことも大切だけど
 だけど今生きていて暮らしている人に
 嫌な想いをさせることが
 本当に正しいことなんだろうか。

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 僕はこれまで政治家になって1年間、
 ずうっと福祉ばかりやらせてもらって
 健康福祉部・病院管理部・消防局・環境部・市民部くらいしか
 話したこともなかったし、
 他部門のことは
 仕事内容もあまり知らなかった。

 福祉や医療や環境の部門の人たちとは
 仮に意見が合わなくてもめたとしても
 お互いにダメージは無いんです。

 めざしているゴールは同じだから。

 福祉を良くしたい、医療を良くしたい、環境を良くしたい、
 そういうゴールは僕も市役所も同じなんです。

 だけど、その手段が違うから、衝突が起こるのですね。

 むしろ僕はその衝突をおもしろく感じていたりするし、
 市役所の職員さんと、政治家のたまごであるフジノとの
 アイディアくらべ=どっちがより良い政策を出せるかの勝負だと
 そう思いながら仕事をしてきました。

 だけど、美術館建設にしても
 長井海の手公園建設にしても
 平成町のホテル建設にしても
 あまりにも住民を無視しているし
 福祉とはあまりにも違いすぎてすごくかわいそうに思う。

 職員は、市長の命令のままに動くしかない。

 どれだけこのまちの借金を分かっていて
 おかしいと思っていても
 市長がやるといえばやらざるをえない。

 行きたくなくても「立ち退いてください」と
 住民に説得に行かないといけない。

 なんか部署によって、同じ公務員でも全く違うのね。
 すごくかわいそうだなあと思ったよ。

 これが僕の本音です。

 悪いのは、沢田市長。あなただ。

 本当に長井海の手公園なんて必要だったのか?



● 公務員の本分とは何か(その2)

 悩んだので、久しぶりに時間をつくって
 僕は自分の父親に相談をしてみました。

 おやじはもう定年していますが
 元警察官でした。

 おやじの口癖が僕は大好きでした。

 「暴走族のヤツらが『おまわり死ねよ!』とかふだんは言ってるけど
  事故を起こしたりした時に助けを求めてくるのは
  おれたち『おまわり』なんだよ。

  言いたい人たちにはいくらでも文句を言わせておけばいいんだよ。
  だけど、いざという時には絶対に必要になるのは、
  市民の力になるのは、おれたちなんだよ」

 あらためてこの言葉を聞かせてもらって
 「やっぱりそれでいいんだよな」と思いました。

 僕は、この言葉を信じています。

 たまたま先日、新しく消防局長になられたNさんと
 副局長のHさんにお話を聞かせていただきました。

 すごく勉強になる話ばかりで、うれしかったです。
 消防の歴史、お2人の若い頃の仕事の話、
 いろいろ聞かせてもらいました。

 うちのおやじと同じで、
 やっぱりこれが公務員の本当の姿だよな、と感じました。

 消防局だって、無ければそれが理想な訳です。
 でも、本当に困った時には必ずこの人たちがいてくれる。

 これが公務員の本分なのだ、と僕は信じています。

 丸5年間の民間企業勤めをして
 僕自身も今、特別公務員という立場になりました。

 世の中は公務員批判がすさまじいですが
 それでも僕は
 「公務員という仕事は本当はすごいんです」と思っています。

 誇りを持っていい。そんな仕事だと思っています。

 別に警察や消防じゃなくてもそうです。
 生活保護の担当でも、高齢者の担当でも、青少年課でも、
 上下水道局でも、緑政部でも、財政部でも、総務部でも同じはず。

 他人のために生きて
 そしてお給料がもらえる。

 公務員って本当はすごいんです。

 それがどうして
 こんなことになってしまったんだろうか。

 何度考えても
 民間企業出身のフジノにとっては
 答えは毎回同じになってしまう。

 トップがいけないのではないのか?

 何故あんなに横山・前市長の借金を批判していた
 改革派だった沢田市長が
 平成町にホテルつくろうとしたり
 美術館をつくろうとしたり
 長井海の手公園をつくろうとしているのだろう。

 何度考えても理解できないし、
 やっぱりトップの責任だと思う。

 まちづくりはけっこうだけど
 もっと地べたにはいつくばって現場の声をもっと聞いて欲しい。

 このまちに暮らしている人たちはもっと切実ですよ、市長!

 やるべきことはいつもたくさんあるけど
 少なくとも、公園や美術館じゃないはずです。

 部下が誇りを持って働けるようにしてあげてください。
 お願いします。たった1度だけの人生なんだから。



2004年6月10日(木)のフジノ
● マラソン、再開

 6月議会が終わったので、
 再びフジノは『マラソン』に戻ります。

 前にも書いたのですが、
 議会がある時期の方がラクなんです。

 本会議や委員会は
 ふだんとは少し違う疲れが出ます。

 例えば、こんなことです。

 ・僕の発言は、僕が死んでからも永久に議事録に残りつづける。

 僕が議会で発言する時には
 過去の議事録をたくさん読むわけです。

 そうすると、読むに堪えない発言もあれば
 さすがすごいなあと思う発言もあるんですね。

 だから、僕の10年後や20年後に
 後に続く若手たちのためにも
 きっちりした発言を残しておいてあげたいといつも思うのです。

 そういう責任の重さは、ひしひしといつも感じていて
 精神的にとても疲れることはあります。

 体力的には、確かに
 議案の読み込みや原稿づくりで徹夜の連続なので疲れますが
 終わってしまえばそんなことは
 学生時代のテスト前と同じ。たいしたことない。

 むしろ、ふだんの問題意識の束をやっと議会でオープンにできる、
 こころにたまった人々の想いを市長にぶつけられる、
 という意味では、原稿づくりは僕自身には救いの作業かも。

 そんな訳で、議会が開催されている期間は
 ふだんとは少し違う疲れが出ますけど
 まだマシな気がします。

 むしろ議会が無い時期の方が
 終わりが無くて苦しい苦しい日々が続きます。


● 児童相談所へ行きたかった理由

 さて、そんなマラソンのスタートは
 昨日の福井記念病院でした。

 そして今日は、横須賀児童相談所へ行ってきました。

 ここには、どうしても行かねばならない理由がたくさんありました。

 1.フジノは「横須賀に児童相談所を移管すべき」が持論だから
 2.横須賀は児童虐待が非常に多いまちだから
 3.横須賀は不登校が非常に多いまちだから
 4.横須賀は自殺が非常に多いまちだから

 2〜4に書いた出来事は
 「つながっている」と僕は確信しています。

 虐待も不登校も自殺もつながっている、と僕は考えているのです。

 そして、この現状を変えるためには
 あらゆる機関がネットワークを組んで
 全力で立ち向かわなければならない。

 このネットワークの1つに
 児童相談所は絶対に欠かせない大きな存在だと僕は思うのです。

 そんなことが根っこにあったのですが、
 実は忙しさにかまけて
 行くと決めてから
 半年以上も行かれませんでした...。

 そしたら先日の『民生委員・児童委員大会』
 児童相談所のK所長に

 「来る来るって言いながら、フジノくん、全然来ないじゃん!」

 とついに指摘されてしまい(ごめんなさい!)
 「議会が終わったら絶対にすぐに行くぞ」と決めたのでした。

 そして、ついに念願かなって
 今日、行ってきました。

児童相談所を訪れたフジノ





● 児童相談所へ

 行って良かったと思いました。

 僕の中の問題意識は
 まちがっていなかった、と思いました。

 しかし、その一方で
 僕の問題意識はまだ甘かったことが分かりました。

 事態はもっと深刻な状況だと思いました。

 それをK所長に伝えると
 こう答えました。

 「私は『非常事態』だと思ってるよ」

 まさにそのとおりだと思いました。

 こどもをとりまくこのまちの現実は
 非常事態と言っても決しておかしくは無いと思いました。

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 朝9時半からお昼12時半まで3時間、
 K所長につきあっていただいて、びっしりとお話をうかがいました。






 すさまじいネグレクトの現場写真を見せてもらい
 これがこのまちで今この瞬間も起こっている現実なのだ
 と改めて思いました。

 説明資料もたくさん用意していただいて
 ものすごく宿題をいただきました。

 今ある児童相談所は
 神奈川県の児童相談所なのですけれども
 横須賀市はこれから自前で児童相談所を持つ予定です。
 (平成18年度に移管する予定)

 僕は、K所長や
 県の児童相談所のメンバーのみなさんが
 市にそのまま移行してくださるのではないかと勝手に思っていました。

 けれども、そんなことはまだ分からないのですね。

 だから、もしも横須賀市だけでやるのならば
 オープンまでには
 本当にすさまじい量の宿題が
 たくさんあるのですね。

 それこそ、市の職員は
 県の児童相談所にどんどん出向させてもらって
 ノウハウを1年間だけでも学ばせてもらうべきだと僕は思います。

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 しかし、児童相談所の方々は
 本当に少ない人数で
 めちゃくちゃ働いているというのが実感です。

 毎日、毎晩遅くまで、働きどおしな感じです。

 それでも「子どもたちのためだから」と
 がんばってくれているのです。

 負けないようにおれもがんばらなければ、と思いました。


● やらねばならないこと 

 児童相談所を訪れた報告が
 とても散漫な文章なのは
 実は、僕自身がまだ消化しきれていないからなのです。

 児童相談所のしている仕事を
 ここに書くことはすぐできます。

 でも、それを伝えることに意味があるとは思えないのです。
 仕事の内容は、県のHPを見てください。書いてありますから。

 それよりも、僕が感じた危機感を共有してほしい、と思うのです。

 うまく伝えられないのに
 危機感だけあおっても良くないのは分かっています。

 けれども、ヤバイ、というのを感じるんです。

 今はK所長をはじめとする所員のみなさんが
 ものすごくふんばってくれていて
 だからまだ何とかギリギリのところで
 問題の件数は多いけれども食い止められている。

 でも、何かのきっかけで
 岸和田や横浜のように大きな事件が起きてしまうな
 そんな不安感が僕にはあるんです。

 児童相談所の仕事は
 虐待への対応だけではありません。

 けれども、子どもたちへの虐待について
 今は最も切実に取り組まなければならないと実感します。

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 子育てのことで悩んだりしたら
 どんどん相談してくださいね。

 それから、子どもについ手をあげてしまうこともあれば
 子育てや暮らしに疲れ切ってしまうこともあるはずです。

 そんな時には、どんどん相談してくださいね。

 児童相談所だけでなく
 横須賀市にはいろいろなメニューがありますからね。

 ぜひ使ってください。


● 痴呆を持つ方を、自宅で介護している方々の集まりへ

 毎月1回おこなわれている
 『痴呆性高齢者介護者の集い』に参加させていただきました。

 ここにはどなたでも参加できます。

 自宅で介護をしている方の
 ぐちやこころの苦しみを自由に語ることができる場。

 話しながら、涙を流される方もいます。

 けれども、誰もそれをおかしいと思う人はいません。
 みんな同じようにつらい想いを体験したことがあるからです。

 市の保健師さんが
 司会・聞き手としていてくれるから安心なことに加えて
 自宅で介護をしてこられたOBさんたちが
 継続して参加して下さっているので
 本当に良い場になっています。

 かれこれ1年間、なるべく毎月参加させていただいているのですが
 毎回ものすごく感じること・考えることがあります。

 それは、愛情についてです。

 人は、他人のために自分を捨てることができる。
 ボロボロになっても愛情でのりきることができる。

 そんな想いを毎回感じます。

 物欲に満ちた薄っぺらい世の中に見えるかもしれないけど
 そんなことはない、と感じます。

 人は愛情のために
 命をかけることができるものなのだとつくづく思います。


● 一緒に視察へ行きましょう

 今日の児童相談所には
 僕のスタッフと一緒に行きました。

 スタッフと勝手に僕が呼んでいるだけで
 お給料もゼロ。月に2回ほど、一緒に視察に行ってもらっています。

 個人としては行かれない場所であっても
 政治家フジノと一緒なら行かれる場合がたくさんあります。

 問題意識というと大げさですけれど
 「ここにずっと見学に行きたかった」みたいな場所がある方は
 連絡してください。一緒に行きましょう。

 ただ1つ、宿題があるのだけ
 あらかじめ覚悟してもらえれば(笑)。

 一緒に行ったレポートを書いてもらいたいのです。
 もちろん強制ではありません。

 僕1人だけが視察に行ったのでは
 感じ方・考え方が1種類だけになってしまいます。

 だから、一緒に行ってくれた方には
 終わった後に意見を聞かせてもらって
 文章にも残してもらいたいのですね。

 そんな訳で、行きたいところがあれば
 あるいはフジノの活動スケジュールを見てみて
 「あっ、一緒に行きたいな」「参加してみたいな」というのがあれば
 気軽に連絡してください。

 メールはこちらです。


● 体が1つしかないのが悔しい

 昨日、ある方から
 「フジノくん、個人的にボランティアをしてあげてほしい人がいるの」と
 お願いされました。

 お話をうかがうと、確かに誰かが
 ボランティアとしてその環境に入るべきだと思いました。

 けれども、それは僕ではありえないのです。

 公人でなければいくらでもボランティアに行きます。

 でも、今の僕は
 年額1000万円を税金でいただいていて
 1人のために動けるわけでは無いのです...。

 24時間しか無いから
 可能な限り多くの時間を働いて
 少しでも困っている人のためになるように『政治家』として働く。

 これが僕の仕事なのです。

 だから、心苦しかったのですがお断りしました。

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 昔からの親しい友達が
 僕の仕事ぶりに不安を感じていて
 わざと映画に誘ってくれたりします。
 (しかもわざと楽しいヤツだけなの。『キューティーハニー』とかね)

 もう僕から友達を誘って
 どこかに出かけるなんてことは
 やめてしまいました。

 家族ともほとんど過ごせる時間がありません。

 けれども、それも立候補する時にあきらめました。

 それぐらいの覚悟で政治家をしています。

 だから、1人のためだけに
 僕がボランティアをするということはかなり難しいのです。
 24時間しかないから。あと3年間しかないから。

 費用対効果のカンケーで
 今、僕にしかできないことをやらせてください。

 僕は政治家なので
 政治家としてしかできない仕事をさせてください。ごめんなさい。

 どなたか良いボランティアさんが
 見つかるといいですね...。



2004年6月9日(水)のフジノ
● 10円の重み

 2週間に1度ほど、電話をくれる方がいます。

 その方は、いわゆる『中途障がい』のある方です。

 人生の途中で障がいを持つことを
 『中途障がい』という呼び方を福祉業界ではしています。
 (僕はこういう呼び方が大キライです)

 働く意欲はあるのに
 その障がいがあることによって職業に就くことができずにいます。

 年齢も僕よりも若くて、素敵な女性です。

 その方は、決まって公衆電話から
 僕のPHSに電話をかけてきます。

 そして、ダダダッと駆け足で用件を伝えると
 電話を切ってしまいます。

 1度、「何故そんなに急いで話すのですか?」と
 僕は尋ねてみました。

 そうしたら返ってきた答えは...。

 彼女は、働くことができないので
 生活保護を受けているのです。

 家に電話も無いそうです。

 (だから僕が何度も電話番号を聞いても教えてくれないし
  「僕からかけますから」と言っても首をふるばかりだったのです)

 そして、あっという間に電話を切ってしまう理由は

 「公衆電話から電話をかけてるのですが
  10円でも少なくしたくて節約しているんです」

 とのことでした。

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 だから、外でお会いした時には
 たくさんゆっくりお話ができたのに
 電話ではいつも大急ぎなのですね...。

 人それぞれに人生があって
 悲しみがあって
 だから僕は
 ふだん他人のことを深く尋ねない性格なのですね。

 けれども、こうやって何気なく聞いてしまって
 そこに込められていた想いを知り、改めて気が引締まりました。

 10円の重みを感じました。

 僕は、こういう方々に信じてもらって
 そして政治家をしています。

 絶対に裏切りたくない。

 いつもその覚悟を忘れずに働く決心でいます。


● 福井記念病院を見学しました

 今日は、福井記念病院を見学しました。

 福井記念病院とは、
 三浦半島地区の3大精神科病院の1つです。

 (残りは独立行政法人久里浜アルコールセンター湘南病院です)


 精神保健ボランティア6期生『ろっきー』のいつもの仲間たちと
 さらに先輩方のグループ
 (『ドーナッツ』『うらら』『さくらの会』)も加えて
 総勢20名での見学となりました。

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 さて、まずは客観的な描写からいきましょうね。

 三浦市と横須賀市のあいだ、
 畑と自然に満ち溢れた風景の中を入っていくと
 そこに病院はあります。

 武山育ちのフジノにとっては当たり前の景色なのですが
 武山以外にお住まいの方に言わせると
 「環境が良いから静養にはいいですね」だそうです。

 なんか福祉施設が
 開発されていない土地(田舎)に建てられるのは
 僕は個人的に大キライです。

 理由は「社会と隔絶されているから」です。

 イタリアなんかでは精神病院を全て解体して
 ふつうに町中で診ていくのが当たり前、という
 改革を行なっている訳です。

 だから、「いい環境(つまりド田舎)に建ってますね〜」という感想は
 僕はもう聞きたくない、と思いました。

 土地が安かった、周囲の反対運動なんかも少ない、
 という理由で田舎的な場所に建てられるのでしょうけれども
 まちのど真ん中にフツーにあるのが
 僕は望ましいと思います。

 そして、いつかはイタリアのように
 全ての精神病院を解体するのが僕の夢です。

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 おっと、すっかり客観的な描写から離れてしまいました(笑)。

 玄関のまわりには
 開放病棟に入院中の方やデイケアに通う方々が
 思い思いに自由に過ごしていらっしゃいます。

 
福井記念病院のマスコット、ナオくん  病院で
 飼われている
 とてもかわいい
 ワンコがいます。

 名前は
 ナオくんです。

 みんなに
 愛されています。

 さて玄関をくぐると、まず外来があります。

 僕たちは2班に分かれて、見学をしました。

 まず地下へ。
 地下は、痴呆を持つ高齢の方々の病棟でした。
 入るときにはカギがかかっていて
 入院している方が自由には出られないようになっています。

 ぐるっとまわれる回廊型になっていました。

 部屋にはみなさん居らず、
 テレビが観られる大きなロビーにいました。

 「なるべく日中は部屋にいないように
  みなさんに呼びかけているんですよ」とのことでした。

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 1階に戻りました。

 外来を通り抜けたところに
 1枚のドアがあって、そこから先は『閉鎖病棟』です。

 ここにはカギがかけられています。

 ただし、このカギのついた扉はふつうの木製です。
 さらに、扉の向こうでは開放病棟と変わらない病室が
 広がっています。


● 開放と閉鎖について

 さて、『開放』病棟と『閉鎖』病棟について
 少し説明をさせてください。

 僕にとって『閉鎖病棟』=『悪の象徴』でした。

 それは具体的な体験にもとづいています。
 市内にある某病院は
 閉鎖病棟が非常にひどいものでした。

 そこでは、窓には鉄格子がはめられ
 入り口は重い鉄の扉でできているのです。
 もちろんカギがしめられています。

 僕は入院した方に手紙を毎日送り続けました。
 入院した方も僕に手紙を毎日送り続けました。

 しかし、それらは「送る」「届ける」と約束をしたくせに
 病院によって握りつぶされ
 実際は1通も届けられなかったのです。

 それを知ったのは、数ヶ月が過ぎた頃でした。

 お互いに来ると信じた手紙が来ないのですから
 とても切なく苦しい日々でした。

 こういう最低なことをする病院が
 今もこのまちで
 平気な顔をして
 医療の名前のもとに人権侵害をしているのです。

 この不愉快で最悪な想いを体験したのは僕だけではなく
 『ろっきー』の仲間の中にもいます。

 だから、この病院は日常的に
 こういう人権侵害をしているのだと断言できます。

 今もそうだと思います。

 こういう実体験があるフジノですから
 政治家になったら
 この病院の鉄格子をぶっ壊すのが目的の1つでした。

 さらには『閉鎖病棟』を全て無くすことも大きな目的でした。


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 しかし、『本当の意味での閉鎖病棟』は
 こんな某病院みたいな
 医療ですらない
 ロクでもないものでは無いのです。

 急性期の症状が激しい時期の患者さんの多くには
 『本当の医療的な意味での閉鎖病棟』でしか
 対応できない時期がある
のです。

 『本当の医療的な意味での閉鎖病棟』を無くしてしまう、
 というのは現在の日本ではまだ不可能だと思います。

 僕がめざすべきことは
 腐りきったニセモノ医療をやっているような
 『ニセ閉鎖病棟』をぶっ壊すことであって
 『本当の医療的な意味での閉鎖病棟』を無くすことではありません。

 さて、福井記念病院に話を戻しますと
 『閉鎖病棟』の入り口に鍵をかけることで
 『治療空間の確保』を行なっています。

 さらにその奥の部屋ではカギは無くて
 自由に部屋と部屋を移動することができますから
 『生活空間の開放化』は図られているわけです。

 本来は、これがフツーの姿だと思います。

 それを聞いて、少しだけ安心しました。

 ただ今日は、閉鎖病棟の中は
 見せてもらうことができませんでした。

 当然のことながら、プライバシーの問題があります。

 けれども、何とかして
 この閉鎖病棟の中の部屋の1つ1つについても
 見なければならないと僕は思いました。


● 開放病棟へ

 2階にあがると、そこは開放病棟でした。

 ここは入り口の扉もカギはかかっていないので
 自由に外出をすることができます。

 入院中でも、ちょっと外出をして
 近くのコンビニで買い物をすることもできます。

 開放病棟というのは
 病院の出入りも自由ですし、電話や手紙のやりとりも自由です。

 この『開放病棟』の動きが
 全国的なブームになったのは1970年代のことです。

 それまではどこも『閉鎖病棟』ばかりだったのです。
 日本って本当にひどい国ですよね。

 その頃、すでにイタリアでは
 精神病院の解体をすすめる改革をしていたのに。

 ともかく、『開放病棟』での治療の方が
 治療効果が高いということで
 今では日本全国の病院で『開放病棟』が当然になっています。

 ちなみに福井記念病院では

 ・病院全体:298ベッド
 ・閉鎖病棟: 86ベッド
 ・隔離室  :  8ベッド(内4ベッドはカメラつき)
 ・開放病棟:114ベッド
 ・差額開放: 40ベッド
 ・痴呆病棟: 50ベッド

 という構成になっています。

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 みなさんに知ってほしいのですが
 こんな統計があります。

 日本の全ての病院の入院患者総数:約140万人
 このうち精神病院の入院患者総数:約34万人

 つまり、
 日本の入院患者の4人に1人は精神病の患者さんなのです。

 たぶん、こういう事実が知られていないから
 ほとんどの人々は精神的な病に関心があまりなくて
 事件が起きてマスコミで報道されると
 まるで『精神病』=『異常者』みたいな偏見を持つんですね。

 こういうデータから見える事実(4人に1人ですよ)を意識すれば
 このまちにある某病院のような
 ひどい『閉鎖病棟』を持つ病院が存在していることを
 誰もが許せないはずなのです。

 あなたはそんな病院に入院したいですか?

 だから、僕はしつこく
 この某病院が改善されるまで大声をあげていきます。


● 隔離室の必然性と、それでも揺れてしまう感情について

 病院内の見学を終えると
 その脇にある『リハビリテーション棟』に向かいました。

 それにしても、
 どうしてもフジノみたいに『閉鎖病棟』に恨みがあると
 必要不可欠とは分かっていても
 頭にくるものがあります。

 『リハビリテーション棟』に向かう時に
 病院の脇を通るのですが
 『隔離室』を外側から見ることができるのですね。

 隔離室を外から見ると、窓には鉄格子がついている

 『隔離室』というのは、
 本当に体調が悪くなってしまった方のためにある部屋です。

 自傷他害、という業界用語があるのですが
 「自分を傷つけてしまう」
 「他人を傷つけてしまう」
 こういう状態に追い込まれてしまっている方には
 隔離室での治療が効果を持つことがあります。

 自分を傷つけてしまう、という言葉はやわらかいですけれど
 リアルに書けば、全力で自殺しようとする訳です。

 医療スタッフは絶対にそれを止めなければいけない訳ですから
 隔離室でカメラモニターでチェックをすることになります。

 これは命を守るための行為ですから
 必要なものだと言えるのです。

 けれども、どうしてもフジノのような
 ネガティブな原体験を持っている人間にとっては
 窓にこんな鉄格子がついていること自体がどうしてもイヤなんです。

 人の感情というのは難しいですね...。


● リハビリテーション棟

 さて、精神的な病にかかった方々は
 クスリによってだいぶ調子が良くなるのですね。

 そしたら、次に大切なのは
 リハビリテーションなのです。

 誰だって、骨折したら
 手術して骨がつながったとしても
 次はリハビリをしますよね?

 精神病も全く同じことです。

リハビリテーション棟

 このような建物があって、
 映画を観ていたり、陶芸をしていたり、料理をしていたり、
 病院の外での暮らしに少しずつ戻っていくための
 リハビリテーションをおこなっています。

 このデイケア、というのは
 本当に大切なものです。

 ちなみにフジノは大学時代に
 勝手に都内のメンタルクリニックにお願いをして
 1年の時からデイケアに無給研修生として雇っていただきました。

 デイケアから学ぶことは本当に多くて
 今でも僕の大学はデイケアだった、と痛切に思います。

 中央の保健所でもデイケアがありますから
 精神的に調子を崩した方で
 例えばうつ病で会社をしばらく休んでいた方で
 まだ会社に行くのは不安だなあという方は
 デイケアをぜひご利用下さいね。


● 地域にひらかれた病院をめざして

 さて、この後『援護寮』を見学して
 最後にみんなで集まって、質疑応答をさせていただきました。

 援護寮の食堂で質疑応答

 『ろっきー』のみんなからも
 先輩方のグループからも積極的な質問がたくさん出ました。

 みんな、何とかして
 精神的な病を持つ方々の、何かお手伝いができないか、
 という気持ちを持っているのですね。

 福井記念病院では
 現在、ボランティアは受け付けていないのですが
 10月におこなわれる秋まつりに「出店」をボランティアでしてみては
 という提案をいただきました。

 楽しみです。

 きっとこのメンバーは
 やると思います。

 病院は第1の目的は治療ですけれども
 精神科の病院というのは
 同時に、地域に対してひらかれていなければならない、という
 大切な目的を持っていると僕は考えています。

 こういう出店がきっかけになって
 少しずつ地域にひらかれていくきっかけになるといいなと
 思いました。

 『ろっきー』のみなさん、今日はおつかれさまでした。
 見学を受け容れてくださった福井記念病院のスタッフの方々、
 ありがとうございました。

 ボランティアセンターの担当者のHさん、いつもありがとうございます。

 そして何よりも
 見学でお邪魔してしまってご迷惑をおかけした
 治療中のみなさまに、こころからのお詫びと
 感謝を申し上げたいと思います。

 どうかお大事になさってください。
 ありがとうございました。


● ご意見をください

 さて、今日はわずか2時間の見学だったので
 駆け足にならざるを得ませんでした。

 運の良いことに、実は僕のスタッフには2人も
 この病院に勤めていた人が居ります。

 だから良い面も悪い面も
 大体のことは分かっています。

 けれども、働いた側の声ではなくて
 ここで過ごしたことがある方の声をぜひ聞かせてください。

 僕の年下の友達でも1人、
 ここでの入院体験を持っている人がいますけれども
 できるだけたくさんの声を聞くことが大切だと信じています。

 ぜひメールください。

 お待ちしています。

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 やっと議会が終わりましたので
 これから9月議会が始まるまでは徹底的に勉強します。

 どうかたくさんの声を聞かせてください。

 よろしくお願いします!


● すさまじいアクセス

 実は、このHPへの『1日のアクセス数』が
 6月7日(月)に新記録(自己新です)を達成しました。

 1万5422アクセス、ありました。

 すさまじいな...。

 この7日間では、1日平均1万230件です。

 今、この文章を打っているのは
 真夜中の3時21分なのですが
 この時間帯で
 今日は既に1314件もアクセスがあります。

 みんな、夜更かしは体に良くないので
 ぜひやめてください。

 何でまたこんなにアクセスがあるのだろうか。

 7日って、窪塚くんの出来事の翌日だから
 それでみんなアクセスしたのかな...。

 僕はアクセスが多ければ多いほど
 市民のみなさんに情報が伝わってうれしいのですけれど
 これだけ多く観られているとすごく変な感じがします。

 かつては市役所の人が
 観ている人の50%を占めていたのですけれど
 今ではわずか7.4%まで下がりました。

 市役所の人もまた観て下さいね。
 そして、意見交換をどんどんやりましょうよ。

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 明日は、児童相談所の見学です。

 久々に僕のスタッフと見学!
 うれしいな。

 午後は、痴呆を持つ高齢者の方々を
 自宅で介護されているご家族のための集まりに参加します。

 もうずっと休みなしなので
 体力的に厳しいのですが
 もう少し全力を尽くしてがんばります。

 みなさん、おつかれさまでした。

 梅雨でどうか体を壊さないように
 気をつけてくださいね。

 ではでは。



2004年6月8日(火)のフジノ
● あらゆることに納得がいきません

 外部監査を求めた署名活動について
 残念ながら、否決されるという結果に終わってしまいました。

 しかし、昨日の時点で
 否決されるという情報が入っていました。

 僕が納得できないのは
 それに対する
 『請求代表者』側の態度です。

 5人の代表者がいましたが、
 何故、最後まで市民の想いを実現させるべく
 最善を尽くさなかったのか。

 ここに強く疑問が残りました。

 僕は請求代表者としても
 1人の議員としても
 この『外部監査』を求める声に最後まで応えるべきだと思いました。

 それが本会議での討論につながっています。


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 美術館問題の時もそうですが
 リーダーには責任があります。

 その責任を果たせなかった時に

 「しかたがないよ。今の議会の多数派はこうなんだから」

 と、それで終わらせるのは
 市民への裏切りだと僕は思います。

 責任逃れだと思います。

 少なくとも、署名をしてくれた方々は
 「何かが変わる」ことを信じて署名をしてくれたはずです。

 それなのに、誰も責任を取ろうとしないことに
 僕は納得ができないし、
 そういう姿勢は政治への信頼を失わせます。

 美術館問題については
 フジノがリーダーとして自覚して活動してきましたし
 それに対する責任もきちんと取るべきだと決心してきました。

 今回は、どうなのでしょうか。

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 2回の署名活動をつうじて
 僕が学んだものは

 絶対に市民の期待を裏切ってはいけない

 というものでした。

 僕は、他の議員とのカンケーが崩れてもかまわないけれど
 市民との約束を裏切ることだけは耐えられない。

 これも2回の署名活動をつうじて
 強く自覚したことでした。

 だから、今回の長井海の手公園問題について
 僕は全く納得がいっていません。

 外部監査に対する
 反対派の根拠の弱さについては言うまでもありませんが
 賛成派の在り方についても
 僕は強い不快感を覚えています。


● ヤジを飛ばすのが政治家の仕事なのか

 毎回、本会議場で
 フジノが演説をおこなうとヤジを飛ばすヤツがいます。

 何度も書いたとおりで
 僕は壇上から顔を見ながら話していますから
 誰がヤジを飛ばしているのかも
 ハッキリと見えています。

 今日も激しいヤジを何度も受けました。

 政治家として恥ずかしくないのか。

 おまえは1000万円も議員報酬をもらっていながら
 質問もしないでヤジを飛ばしてばかりいる。
 それがおまえの仕事なのか。

 壇上から、ヤジを飛ばしているそいつに向かって
 何度そうマイクをつうじて言おうと思ったことか。

 恥を知れ、と言いたいです。

 僕の意見に納得ができないのであれば
 発言を求めて壇上でやればいい。

 それができない弱虫なヤジ議員は
 政治家の資格が無い。

 何故なら、議論をすることを放棄しているからだ。

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 かつて、僕も名前をつらねて
 議員提案で『住民投票条例案』を提出しました。

 それに対して、反対討論として
 内藤議員が壇上にあがり
 痛烈な批判を僕たちの提案に対して行いました。

 僕も激しく批判されました。

 けれども、内藤議員の演説後に
 僕は拍手をしました。

 「これぞ議論だ」と心の底から思ったからです。

 ある提案がある、それに対して賛成反対の討論がある、
 そして採決がおこなわれる。これが在るべき姿です。

 だから、正々堂々と議会のルールにのっとって僕たちに反論をした
 内藤議員に心から拍手を送ったのです。

 これが議会の在り方のはずです。

 どれだけ厳しく批判されようとも
 発言通告に基づいて
 壇上からおこなわれた発言には、僕は敬意を払います。

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 ヤジしか飛ばせない、質問をしない、
 そういう政治家は本当に仕事をしていると言えるのか。

 激しく疑問を感じます。


● 自分にも納得がいかない

 今日、傍聴に来ていた方々と
 本会議が終わった後にお茶をしにいきました。

 その時、ある方が言いました。

 「今日、傍聴して良かったのは
  ヤジが聞けたことでした。本当にあんななんですね」

 その方は、今日ヤジを飛ばしていた人の名前を覚えていて
 まわりの人たちに教えたい、と言っていました。

 僕は自分のことを
 「悔しい、情けない」と思いました。

 傍聴に来てくださった方を
 『議論』で惹きつけられず
 『ヤジ』におもしろさを感じられてしまうとは...。

 僕の未熟さを痛感しました。

 くだらないヤジなんかに負けないような
 魅力のある議論を行なうために
 必死に努力を重ねていかなければならないと強く反省しました。


● 1つだけ、納得できたこと

 今日、唯一良かったことは
 (実質的には原子力空母NO!である)意見書
 全会一致で採決されたことでした。

 かねてから、この問題には
 オール横須賀で立ち向かわなければならない、と書いてきました。

 市長が要請書を出した。

 そして、議会も全会一致で意見書を出した。

 こうして、横須賀市としての
 ハッキリとした姿勢を国に対してうちだせたと思います。

 これでも国がアメリカを止められないようなことがあれば
 今度は住民投票を行なうべきだと考えています。


 


2004年6月7日(月)のフジノ
● 明日、いくつかの決着がつきます

 明日の議会で、
 いくつかの件について決着がつきます。

 (1)原子力空母の母港化に反対する意見書
 (2)長井海の手公園の外部監査を求めている件

 この2つが6月議会のそもそもメインではありませんが
 僕にとっては
 とても大きな意味を持っています。

 時間のある方はぜひ傍聴に来て下さい。


 


2004年6月6日(日)のフジノ
● みなさまへ

 どの立場から語りだすべきかを悩んだために
 この文章を載せるのに数時間かかってしまいました。

 窪塚くんのことについてです。

 あなたにお願いがあります。

 まず、どうか落ち着いて下さい。
 マスコミの情報にふりまわされないでください。
 テレビを消して、ニュースを食い入るように観るのを休憩してください。

 インターネットの掲示板で垂れ流される
 あらゆる誹謗中傷から
 離れてください。

 そして、深呼吸をして下さい。

 信頼できる相手がいれば、その人に電話をかけて
 今の不安な気持ちを伝えてみてください。

 大丈夫。

 必ず大丈夫だから、深呼吸を。


● 『自殺予防』を最大の公約とする政治家として

 僕のところへ電話やメールで何人もの方から
 不安や心配の声が届けられました。

 窪塚くんは、このまちにとって
 僕たちの世代や
 僕たちより若い世代にとって、
 ヒーローであり、カリスマであり、大きな存在です。

 でも、自然体で気軽に会話もしてくれる
 すごく身近な存在です。

 TSUTAYAで見かけたり
 朝の野比海岸で出会ったり
 中央のクラブで踊ってたら隣にいたり、
 近所の犬を毎日なでてくれる、そんなフツーの存在。

 だから、僕のまわりには
 彼と会話したことがある人がたくさんいるし
 僕自身もそうです。

 そんな存在に対して起きてしまったこの出来事に
 あなたが大きなショックを受けているとしたら
 それはとても自然なことですし
 とても理解できることです。

 あるいは、あなた自身で無くても
 あなたのまわりに
 深刻に不安を感じている人々がきっといるはずです。

--------------------------------------------------

 政治家としての僕が何よりも恐れているのは
 『群発自殺』(注)が起こることです。

 もちろん彼は生きています。

 けれども、これだけ親しみを感じていた方への出来事に
 すさまじいショックを受けている人が
 たくさんいるはずです。

 そんな人々に対して
 マスメディアとインターネットが与えるマイナスの影響は
 とても大きいです。

 『物事の単純化』
 『センセーショナルな報道』
 『その出来事や手段をあまりにも詳しく報じる』
 『繰り返し報道する』

 こういうマスコミのやり方は
 全部とても最悪です。

 (1)彼に対して強いシンパシィを抱いている人々
 (2)もともとこころにいろいろな問題を抱えている人々

 にとっては、ひどい動揺をきたす原因となってしまいます。

 どうか、ネガティブな条件から
 身を守ってください。


 あなた自身や、あなたのまわりにいる方々を守ってください。

 繰り返しますが
 悪意に満ちた情報から1度離れて
 深呼吸をして、親しい人や信じられる相手と今の気持ちを
 話してみてください。

 大丈夫だから。


● フジノ個人としての想い

 映画会社に勤めてきた人間として
 僕は、俳優としての窪塚くんを強くリスペクトしてきました。

 彼と話した時にまず僕が伝えたことは
 彼の出演した映画がとても好きだということでした。

 また、5才しか違わない近い同世代として
 僕は、個人としての窪塚くんにとても共感してきました。

 世界観や物事に対する愛情や
 政治に対する発言や
 仲間を大切にするその姿勢が大好きです。

 仕事ぶりも、個人としての彼も、どちらも僕はとても好きです。

 いろいろなメディアによるバッシングも
 有名人に対するやっかみや嫉妬心から来ているような
 ほとんどがくだらないものだと感じてきました。

 横須賀をおもしろくするために
 いつか一緒に仕事するはずだと信じてきましたし、
 今日の出来事が起こってしまった今も
 変わらずにそう確信しています。

 そんなふうに彼のことを感じているので
 このニュースを聞いた時には安否が分からなかったので
 心配でたまりませんでした。

 事故かそうでないのか
 原因は何なのかを
 マスコミは最初から推測で報じてきましたが
 そんなの絶対に他人に理解できるはずが無いんだよ。

 だから、僕自身はそれを考えるのは
 絶対にやめようと決めました。

 とにかくマスコミの情報に
 流されないようにしよう、と強く思いました。

 とにかく無事を祈りました。

-------------------------------------------------

 わずか数時間のうちに
 マスメディアは早くも推測でいろんなことを書いています。
 インターネットは便所の落書きを垂れ流しています。

 大麻への発言をとりあげて誹謗中傷するヤツら。
 結婚や家族のことをとりあげて無責任だと書くヤツら。

 おまえらに何が分かるんだ。

 どんなことが原因であれ、
 どんなことが理由であれ、
 僕は彼のことを責めるヤツらを、今は絶対に許せない。

 苦しんでいる人々に
 何故もっと苦しみを与えようとするんだよ。

 そういう風潮は明らかに間違っている。

 個人としての僕は、
 静かに彼の回復を祈りたい。

 公人としての僕は、
 これから彼がどんなに重い障がいを持つことになろうとも
 それを支えていかれるまちにする努力を続けるだけだ。

 とにかく、今は
 彼が生きてくれていることを知って、ホッとしています。

 どうか生きつづけてください、と強く願っています。

 どうかみんなも
 同世代の大切な仲間を見守ってあげてください。

 祈ってください。





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(注)『群発自殺』とは、ある人物が自殺行動に及んだ場合、
 精神的なつながりの強かった他の人々にも
 自殺行動が引き起こされる現象です。
 青少年の自殺の1〜5%を占めるとされています。

 群発自殺予防のための取組みは
 すでにアメリカでは1980年代から研究されており
 疾病管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)の
 『自殺予防のためのCDC勧告案』が特に知られています。

 自殺とは、群発自殺に限らず
 予防することができるものです。

 こころに苦しい想いを持つ方は
 相談できるところはたくさんありますので
 どんどん利用してください。

 いのちの電話  保健所(精神保健班)  精神保健福祉センター


 

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