まちの政治家は、こんなことしてます


2011年7月29日(金)のフジノその3
● 蜷川幸雄さん・窪塚洋介くんの『血の婚礼』@にしすがも創造舎へ

 なんとか仕事を全て終えて、横浜・関内から西巣鴨へ向かいました。

 大規模修繕劇団の旗揚げ公演『血の婚礼』
 『にしすがも創造舎』の特設劇場へ観に行きました。

 3つの理由からです。

 (1)映画俳優としてリスペクトしている窪塚洋介くんの
   舞台俳優としての姿を目の当たりにしたかったから

 (2)廃校になった中学校を活用して劇場・稽古場として成功している
   にしすがも創造舎を実際に訪れてみたかったから

 (3)フジノが映画会社に勤務していた時代に
   フェデリコ・ガルシア・ロルカを取り上げた映画に関わったことがきっかけで
   彼の3大悲劇の1つである『血の婚礼』と出会い
   とても強い印象を受けていたので
   ロルカの作品をもとに蜷川幸雄さんが演出する
   蜷川バージョンの『血の婚礼』を観てみたいと感じていたから


 ちょうど昨日の夕刊に、演劇評が出ていました。
 とても高い評価を受けていますね。

 (2011年7月28日・毎日新聞より)

 会場である『にしすがも創造舎』
 廃校を利用した劇場・稽古場として、とても有名です。

 統廃合によって廃校になった学校を様々な形で活用する取り組み
 全国で進められていますが

 芸術を振興する取り組みの為に活用された
 初めてのケースが、ここなのです。

 2001年に閉校になった豊島区立旭中学校の校舎・体育館をそのまま残して、
 2004年8月に『アート・ファクトリー』としてオープンしました。

 2つのNPOが共同で管理運営しています。



 上の写真は、グラウンドのフェンスから校門に向かうところです。

 地下鉄の西巣鴨駅を出ると、すぐ目の前にあるので
 本当にすぐ分かりました。



 レンガの壁だったところには、作品の絵が描かれていました。
 これは作品ごとに塗り替えているのかもしれません。

 ここには、豊島区からの予算は、ほぼ入っていません。



 フジノが9年前からずっと訴えている
 「芸術・文化はハコモノからは生まれない」を象徴するような場所だと感じました。



 かわいいカフェもあります。

 開演時間まで教室やグラウンドで
 みなさんがくつろいでいるのがとても印象的でした。



 さて、この蜷川幸雄さんによる『血の婚礼』は
 スタートからラストまで雨が降り続けることでも有名です。

 でも、ここは体育館です。

 本来は、渋谷のbunkamuraのシアターコクーンが会場になるべきところを
 設備改修工事の為に休館されていて、こちらでの上演になりました。

 美術さん・大道具さんがいかにすごくても
 2時間にわたって体育館に雨を降らせ続けるなんて
 不可能ではないかとフジノは思っていました。

 あるいは「降ってもしょぼい雨なのではないか?」と。



 開演とともに場内が完全に真っ暗になると
 次の瞬間、雨が降りはじめました。

 その雨は、2時間ふりつづけたのでした。

 体育館であることを完全に忘れさせられる
 素晴らしい舞台美術と視覚効果でした。

 そして、窪塚くんをはじめとする出演者のみなさんは
 ずぶぬれになりながら演じ続けたのでした。

 ロルカの『血の婚礼』とは物語の根っこの設定は同じでも
 蜷川バージョンは全く別の作品に仕上がっていました。

 分かりやすさが好きなフジノにとって
 我を忘れて演劇の世界に没入してしまえる作品ではありませんでしたが

 そのせいで逆に冷静に俳優のみなさんの演技を
 じっくりと鑑賞することができました。

 窪塚洋介くんのことを『映画俳優』として
 ずっとリスペクトしてきました。

 素晴らしい才能を神様に与えられた
 同時代を生きる、数少ない本物の『映画俳優』の1人だと
 受け止めています。

 フジノは幼稚園時代から映画監督を夢見て
 大学卒業後は映画会社に勤務していた映画人間なので

 テレビドラマに出続けて消費され尽くしてしまうよりも
 映画だけに出てほしい

 1年に1本くらいの少なさで良いから
 作品を選んで意味のある映画だけに出演してほしい
 と願うタイプです。

 また、演劇はライブ体験として最も優れているとは言えども
 その瞬間その瞬間で消えていってしまう
 再現不可能性が本質のメディアです。

 『同世代の友人』としての窪塚洋介くんが舞台に立つことは
 あの『詩孫』の時も含めて「ぜひ楽しんでほしいなあ」と思えるのですが

 『同時代を生きる数少ない映画俳優』としての窪塚洋介くんには
 「1度きりの短い人生だから映画だけに生きてほしい」と
 僕はとても強く思ってしまいます。

 一方、映画は永遠にその演技がフィルムで残っていきます。
 だから、映画にこそ出演してほしいと願ってきました。

 でも、『舞台俳優』としての窪塚くんも
 とても素晴らしかったです。

 そして、『舞台俳優』としての窪塚洋介くんは
 『映画俳優』としての窪塚洋介くんと同じくらい魅力的でした。



 千秋楽の前日、そして金曜日の夜ということもあって
 完全に満席でした。

 にしすがも創造舎も、蜷川幸雄さんの『血の婚礼』も
 舞台俳優としての窪塚洋介くんも、とても良かったです。

 ハコモノ行政への批判も含めて
 こんな素晴らしい劇場に出会えたこともうれしかったです。

 『血の婚礼』公演は、さらに新潟、大阪、福岡で行なわれます。
 チャンスのある方は、ぜひご覧ください!



2011年7月29日(金)のフジノその2
● かながわ自殺対策会議へ/自殺対策は人と人とのつながりだから

 今日は、横浜・関内の産業貿易センターへ。
 2011年度では最初の『かながわ自殺対策会議』が開かれました。

 これは横須賀市が設置している
 『自殺対策連絡協議会』と同じ役割をしているもので

 神奈川県と3つの政令指定都市(横浜・川崎・相模原)が
 共同で設置しています。

 生きづらい社会を変えていく為に
 官民を超えた様々な団体(今回は26団体)でネットワークを作り
 活動をしています。

 フジノは毎回必ず傍聴することにしています。
 (前回の様子はこちらです)



 国の『自殺対策推進会議』も同じ日時で重なって開かれて
 フジノはどちらに行くべきかとても悩みました。

 国は今、5年に1度の
 『自殺総合対策大綱』の見直しの大切な作業をスタートさせています。

 数回かけて各省庁から取り組みの成果を
 ヒアリングしていて、とても重要です。

 一方、今日の『かながわ自殺対策会議』では
 新たなテーマも特に無くて、重要な議論もありません。

 それでも、あえてフジノはこちらを選びました。

 『かながわ自殺対策会議』は年2回しか開かれません。
 「その場に毎回必ずフジノが居ること」が重要だと判断しました。

 神奈川県という枠組みの中に
 横須賀市が入っていることになっていますが
 実際には違います。

 神奈川県という『組織』と
 横須賀市という『組織』という2つの組織があって
 全く別のものですから、働いている方も違えば、考え方も異なります。

 横須賀市の自殺対策にかかわっている人間(この場合はフジノ)が
 この場にいつも立ちあって、全てを見て聴いて、
 意見があればしっかりと伝えることが必要なのです。

 神奈川県の担当者、横浜市の担当者、
 川崎市の担当者、相模原市の担当者がここにはいますが

 自殺対策の4県市全ての関係者の方々とフジノ自身が
 お互いの顔と名前が分かるようになって
 つながっていくことが必要なのです。

 この数年間で4県市の自殺対策に関わる多くの方々と
 関わりをもてるようになってきました。

 どのまちにはどの方がいてどんな活動をしているのか
 少しずつ分かるようになってきました。

 こうしたコミュニケーションを継続して持っていくことが
 遠回りに見えても必ず自殺対策のネットワーク化の実現に近づきます。

 実際、今日も会議が終わった後に
 相模原市、川崎市、横浜市の担当者の方々が
 フジノに声をかけに来て下さいました。

 フジノからもNPOで活動していらっしゃる方々や
 今まで座長を勤めて下さった
 横浜市大の平安先生に声をかけさせてもらいました。

 半年に1度しかない2時間の会議と
 会議の後の数分間のささやかな会話であったとしても

 数少ない自殺対策に関わる有志の方々と
 つながりを強く広げていくことはものすごく大切だとフジノは考えています。

 何故ならば、自殺対策に必要なことは
 最終的には「人と人とのつながり」だからです。


● 学校への出前講座が少しずつ実施数が増えています

 今日の会議でフジノが重要だと感じた内容を
 いくつか紹介します。

 『原因・動機別経年グラフ』

 この4年間、自殺へと追い込まれた原因・動機の中で
 『経済生活問題』が明らかに増えています。

 自殺対策に関わるみなさまに
 改めてこの点を強く意識していただきたいと願っています。


 かねてから導入を目指してきた学校への出前講座ですが
 ゆっくりではありますが、実施した学校がいくつか報告されました。

 <神奈川県>


 <横浜市>


 <相模原市>


 <私立の学校>


 実施していく中で、良いところも悪いところも見えてくるはずで
 改善しながら実績を積んでいくことが大切です。

 この出前講座は『かながわ自殺対策会議』メンバーが
 プログラムづくりから教材まで全て担当しているのですが

 それでは負担が大きすぎるのではないか
 ともフジノは感じています。

 『かながわ自殺対策会議』メンバーが
 児童生徒に直接に接点を持つことも大切だとは思いますが

 より早く有効な成果を目指すのであれば
 外部のリソース(社会資源)を活用することも必要だと思います。

 学校におけるメンタルヘルスリテラシー教育の導入
 長年にわたって実践している
 大島巌先生(日本社会事業大学)のチームなどに
 委託をしても良いのではないかと思います。

 これは後日、必ず提案してみたいです。



2011年7月29日(金)のフジノその1
● 『議会報告会』の総括を行ないました

 今日は『議会報告会等準備会』でした。

 フジノは無所属を代表して
 この『準備会』のメンバーになっています。

 2週間にわたって市内5ヶ所で行なった議会報告会ですが
 今日のミーティングではその『総括』がテーマです。



 広報のやり方や資料の作成などをはじめ
 あらゆることを話しあいました。

 今後もっと良い報告会にしていく為にも
 市議会メンバー全員に
 今回の感想や改善点の提案を提出してもらうことにしました。

 正式に提出する『報告書』も完成させて
 次回でこの『準備備会』もラストとなります。

 フジノにとって、過去9年間の政治家生活でこの準備会ほど
 メンバー全員のモチベーションが高いチームはありませんでした。

 このチームならばいろいろな改革をみんなで進めていけるはず。
 まだみんなで活動するチャンスはありますので、今後も楽しみです。


● アンケート結果から

 さて、各会場で参加者のみなさまに書いていただいた
 アンケートを受け取りました。

 フジノなりにまとめてみました。

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 男性=64.2%
 女性=35.8%

 6:4で男性が多いですね。
 男女比は5:5が理想ですが、6:4でも良いと思います。


 年代別にみると、予想通り

 2ケタを超えたのは、60代、70代、50代でした。
 50代以上を合計すると82%を占めています。

 すでに横須賀市は
 高齢化率は25%を超えている超高齢社会なので
 どのようなイベントを開いても参加者はこうした傾向が続くはずです。

 しかし、政治はいつも
 マイノリティの声に耳を傾けなければいけません。

 20代〜30代の若い世代は投票率も低く、
 10代にはそもそも選挙権がありません。

 こうした世代の声を市政に反映させる為には
 4年に1度の選挙だけではなく、
 議会報告会などのあらゆる機会にアクセスできるようにしたいです。

 例えば、前回の議会報告会で
 フジノが勝手に試行した
 USTREAMでのインターネット生中継をはじめ、

 今回もフジノは勝手に試行していたのですが
 ツイッターでのリアルタイム発信、
 質疑応答にツイッターからの声をピックアップすることなど

 自宅を出られなくとも、仕事帰りの電車の中からでも、
 あらゆる場所からアクセスできるように
 議会報告会のシステムを変えていきたいです。

 続いて、今回の議会報告会の『満足度』についてです。

 「少し満足」「満足」「大変満足」を足すと
 合計77%にのぼりました。

 議会報告会が「(実質的に)初めての開催」ということもあって、
 みなさんのハードルが低かったからなのではないかと
 フジノは気を引き締めて考えるようにしています。

 今まで、市議会全てのメンバーが
 どんどん外へ打って出るということがなかったこともあって
 とても新鮮に映ったのだと思います。


 ただ、フジノ自身は「大成功だった」と繰り返しているとおり、
 内容的に十分に満足していただけるものを提供できたとも思っています。

 「あまり満足できない」「満足できない」「全く満足できない」については
 アンケートの自由記入欄からその理由を分析してみました。

 今後の開催に向けて、レベルアップしていく為に
 とても参考になります。ありがたいです。

 そして、最後は「議会報告会を何で知りましたか?」という
 問いへの回答です。



 やはり『広報よこすか』が圧倒的に多いのですが
 ここで注目すべきは『その他』です。

 『その他』の中には
 『Yデッキでのチラシ配り』からというものもありました。

 やっぱり効果は高かったなあと思います。
 本当にトライして良かったです!

 今後も市議会全員が各駅に出向いて
 街頭キャンペーンを行なうことは続けていきたいです。

 さて、ここから先は『自由記述』です。


 <追浜コミュニティセンター>



 <衣笠コミュニティセンター>



 <西コミュニティセンター>




 <ヴェルクよこすか>




 <浦賀コミュニティセンター>


 いやあ、本当に参考になります。

 全国の改革派議会では
 すでに何度も議会報告会が開催されているのですが

 今回いただいたような感想や意見は
 そうした各地の報告会で初期に出たものと共通していました。

 こうしたプロセスをどこの議会報告会もたどりながら
 どんどんレベルアップしていくのです。

 市民のみなさま、必ず横須賀市議会の議会報告会も
 もっともっと良くなっていきますから、待っていて下さいね!

 開かれた議会を目指して活動を続ける横須賀市議会は
 もっともっと成長していきます。

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 *おまけ*

 浦賀コミュニティセンターの議会報告会で
 フジノはパワーポイント操作を担当していたのですね。



 そのノートパソコンがインターネットに接続できていたので
 市民の方からご質問をいただくたびに

 がんがんインターネットを駆使して
 スクリーン上に回答に該当する情報を表示していたのですが

 それを市民アンケートで褒めて下さった方がいらして
 フジノはすごくうれしかったです。
        ↓



 こういう細かなところまで見て下さって
 評価までしていただいて、本当にありがとうございました!

 これからもがんばっていきますからね!



2011年7月28日(木)のフジノ
● 『自殺対策』をテーマに黒岩県知事と“対話の広場”へ

 今夜は、横浜・日本大通りの神奈川県庁へ。

 新しい神奈川県知事として黒岩祐治さんが就任してから
 初めての対話の場が開かれました。

 県の広報では、下のように紹介されています。

 「いのち輝くマグネット神奈川」を実現するための
  重要な施策や事業について、
  知事が直接県民の皆さんと意見交換を行う
  『黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川』を開催します。

  第1回目である今回は、先日行われた知恵袋会議で意見が出された
  自殺を防ぐ社会づくりをテーマに、
  県民の皆さんのご意見をいただきたいと思います。
  ぜひご参加ください」

 今回のテーマは

 『かながわの「いのち」を守る−自殺を防ぐ社会づくり−』

 でした。

 政治家としても個人としてもフジノにとって
 自殺対策はこの身を捧げているライフワークです。

 しかも、今年4月の県知事選挙でフジノは
 黒岩候補に投票をしました。こころから期待しています。

 だから、どうしても参加したかった。

 先着100名に限定されていましたので
 フジノは応募の日付になった夜中0時に申し込みました。

 けれども、県のHPにある申し込みのコーナーでは
 日付が変わった0時の段階ではまだ申し込みが受理されなくて

 翌朝まで30分おきに県HPを開いては
 申し込みフォーマットの送信を試したのでした。
 (結局、朝9時半か10時くらいに受理されました)

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 会場は神奈川県庁の3階大会議室で
 100人の定員でしたが、もっとたくさんの方々が来てたように思います。

 参加者の中にはフジノと同じように
 長年、自殺対策に取り組んできた方々がいらっしゃいました。

 自死遺族の立場の方、未遂を繰り返されて相談をお聞きした方、
 自殺対策のNPOで一緒に活動してきた方など
 最近お会いできていなかった方々とも再会できました。

 スタートの18時30分に黒岩知事が登場して
 神奈川県の自殺による犠牲者の方々の統計的な傾向
 県が新たに策定した『かながわ自殺総合対策指針』などについて
 説明がありました。



 けれども、説明は短めに終わって
 対話=意見交換にすぐに移りました。

 これはとてもいいことです!

 前の松沢県知事はせっかくのタウンミーティングの場でも
 自分の主張ばかり一方的に話して
 声なんて聴こうとせず
 全く意見交換ではありませんでしたから...。

 今回、テーマが自殺対策だということもあって
 「インターネット中継に顔が映っても構わないかどうか」も
 事前に参加者全てに確認してくれて、座席も分かれていました。

 本来は当たり前のことなのですが
 こういう配慮がなされないことも多いのですね。



 黒岩知事のブレーンとして『知恵袋会議』というのがあるのですが
 今日はそのメンバーも知事と一緒に参加しておられました。

 柔道金メダリストの山下泰裕さんもメンバーの1人なのですが
 実は、彼が自殺対策を重視すべきだと
 発言して下さったおかげで
 この第1回目のテーマが『自殺対策』に決まったのです。

 だから、フジノは山下さんにも深く感謝しています。

 今日の様子は、Ustreamによって
 インターネット生中継をされて、録画でも観ることができます。
 (1時間20分すぎのところでフジノも発言しています)
     ↓

Video streaming by Ustream
 わずか1時間半の場ですから
 なるべく政治家であるフジノは発言を控えて
 市民のみなさまにどんどん発言をしてもらおうとガマンしてきたのですが

 時間も終わりに近づいた頃、他の方の発言もひと段落したので
 フジノも挙手をして発言しました。



 フジノはこんなことを発言しました。






 ここまでの議論を踏まえてですね、
 例えば、私は行政をあずかる立場になっていますけどね。

 じゃあ、こんなことをやってくれというようなことが
 もしあればいかがでしょうか。




 知事、今日はこういった場を作って下さってありがとうございます。

 そして山下さん、自殺について発言して下さって
 本当にありがとうございます。

 横須賀市で市議会議員をしております藤野英明と言います。

 10年前に恋人を自殺で亡くして
 弔い合戦みたいな気持ちで
 自殺対策の仕事をする為に政治家をしています。

 全国の地方議員で作っている
 『地域の自殺対策を推進する地方議員有志の会』というものの
 立ち上げも行ないました。

 今、知事から具体的な提案があればということだったのですが
 1点、具体的なこととして、予算の提案をさせてください。

 2006年に、ここにもいらっしゃる多くのみなさんの力で
 自殺対策基本法を国会で成立させることができたのですが

 本当に全国の市町村、財政が厳しい中で
 自殺対策への取り組みができずにきました。

 それが平成21年度に国が補正予算で
 『地域自殺対策緊急強化基金』というのを作って、

 100億円しか予算はないのですが
 各都道府県を通じて全国の市区町村に10分の10が国の負担で
 つまり、一般財源の負担なしで
 市区町村が自殺対策をすることができました。

 これで本当に全国で少しずつ自殺対策が進んできました。

 例えば、僕の暮らしている横須賀市では
 自殺未遂をされた方々、救急救命センターに運ばれた方々を
 保健所の保健師さんたちがアフターケアというんでしょうか、
 ずっとその後も追いかけて生活支援をしている。

 先ほど知事のお話にもあった
 一般のかかりつけ医の方と精神科のドクターが
 かなりお互いに交流をする『G−P連携』というのをやっていたりする。

 こういうふうなことができているのも
 『地域自殺対策緊急強化基金』というのがあったからです。

 ただこれ、3年間の限定の予算である為に
 今年いっぱいで終わってしまいます。

 横須賀市はこういう取り組みで成果が出てきて
 彼女が亡くなった年には100人台だった自殺が続いていたのが
 今、80人台でようやく下がってきている。

 そこで、今年いっぱいで終わってしまうこの『緊急強化基金』を
 ぜひ知事から国に対してまず継続をするように
 強く要望していただきたいんです。

 これをやると全国で多くの自殺対策に取り組んでいる仲間たちが
 本当に助かると思います。

 そしてもしも仮にこの要望が国に対して通らない時も
 神奈川県だけは、県独自の財源で
 市町村を見ていただきたいと願っています。

 よろしくお願いします。






 今の『自殺対策緊急強化基金』については
 神奈川県としても「継続するように」ということを
 毎年国に要望しているというところです。

 今日の成果として
 継続を要求していきたいと考えています。





 黒岩知事、継続を要求していくと
 明確に言い切りました!

 フジノはこの言葉を聴いて、すなおに
 「この人に投票して良かった、間違ってなかった」と感じました。

 発言して本当に良かった!



 8時を少し過ぎたところで終了。
 閉会後も黒岩知事のもとへ多くの方が集っていました。

 フジノも黒岩知事にお渡ししたかった本を持って
 ごあいさつに向かいました。

 その後、山下泰裕さんともお話をすることができました。

 黒岩知事も山下さんもお2人とも
 本当に自殺対策を最優先の課題だと考えていることを
 改めて感じることができました。



 これから、フジノたちは政府にも『緊急強化基金』の継続を
 求める活動を行なっていくのですが

 県知事という大きな味方を得られて
 本当に良かったです。

 全国の自殺対策の関係者のみなさま、
 継続を目指してどうか一緒にがんばっていきましょうね!


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 (後日談)

 翌日の神奈川新聞がこの対話の広場を報じてくれました。

 記事の中でとりあげられている2人のご遺族の方は
 どちらもフジノと深く関わりのある横須賀の方です。

 こうした公開の場で、あえて自らの想いを語ったいただくことは
 なかなかできないものなのですね。

 それを、こうして語っていただける。

 これが横須賀の自殺対策を進めることができた
 大きな原動力の1つだとフジノは考えています。

 もっともっと多くの方々が
 『語ることのできない死』という呪縛から解放されていかれるように
 その日までは僕たちが語り続けていくのです。

 自殺は、決して『語ることのできない死』ではありませんからね。


 (2011年7月29日・神奈川新聞より)



2011年7月26日(火)のフジノ
● 中下大樹さん『悲しむ力〜2千人の死を見た僧侶が伝える30の言葉』

 昨日、中下大樹さんが新しく出版した本を
 フジノ宛に送ってきて下さいました。

 『悲しむ力〜2000人の死を見た僧侶が伝える30の言葉〜』



 中下大樹さんと初めて出会ったのは
 『反貧困世直し大集会2010』でした。

 その1ヶ月後に、フジノもとりあげていただいた
 雨宮処凛さんの著作が出版されました。

 『生きのびろ!〜生きづらい世界を変える8人のやり方〜』

 これを読んでみると、中下大樹さんもとりあげられていたのです。

 つまり、『生きづらい世界を変える8人』の1人として
 中下さんとフジノが同じ本にどーんと掲載されたのですね。

 『生きのびろ!』の裏表紙には、
 イラストになったフジノがいます。

 フジノの右側にいるのは、雨宮処凛さん。
 上にいるのが中下大樹さんです!


 まさに同世代ということもありましたし、
 この出会いにとても親近感を覚えました。

 東日本大震災で延期になってしまったものの、
 中下さんが企画・運営を行なっている
 『自殺と貧困から見えてくる日本Vo.2集会』のパネリストに
 フジノを推薦して下さって、依頼をいただきました。

 これほどまでに増加してしまった自殺による犠牲、
 無縁社会・孤独死などの言葉で語られる無数の死、

 さらに東日本大震災後の今、
 ますます中下さんの存在がこの国に求められていると
 フジノはつくづく感じます。

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 頂いた本は、さっそく一晩かけて読ませて頂きました。

 本を読む時いつもフジノは蛍光ペンを引いて
 さらに蛍光ペンを引いたところだけもう1度読んでいって

 そこで再び印象に残ったところに付箋を付けて
 繰り返し読むようにしていますが

 この『悲しむ力』には、たくさんの付箋がつきました。

 ぜひみなさまも、機会があれば
 読んでみていただきたいです。

 中下さん、本当にありがとうございました!



2011年7月22日(金)のフジノその2
● 生活保護制度の有期化に反対する座り込み@厚生労働省の応援

 永田町での『たん吸引等の制度の在り方検討会』が終わると、
 次は、霞が関へ大急ぎで向かいました。

 厚生労働省前で10日間にわたって座り込みをしている
 沖元かおるさんを応援しにいきました。

 1ヶ月ほど前、フジノ事務所の留守番電話とファックスに
 メッセージが残されていました。

 『生活保護制度の有期限化に反対する為に
  厚生労働省前で10日間のハンガーストライキ(断食)をします』


 ファックスを読んで
 フジノは「おお!」と驚きました。

 障がいのある方々がわずか3名で
 この真夏の炎天下の下で
 10日間にわたって
 水と塩だけのハンガーストライキを行なうというのです。

 無謀な試みですが、
 率直に、こころを動かされました。

 (画像:沖元さんが厚生労働省前に掲げているパネル)


 生活保護制度は、この国の社会福祉の
 最後のセーフティネットです。

 憲法で保障されている
 人として生きていく権利を守る為に作られました。

 この20年にわたって、経済社会状況が厳しくなっていく中で
 たくさんの方々が最後のセーフティネットへと追い込まれました。

 現在は、戦後のあの厳しい困窮状態を超えて
 過去最も多い受給者数となっています。

 こうして生活保護を受けざるをえない方々が
 急激に増えていったことに対して

 財政が厳しい地方自治体では
 生活保護を受ける人の数を減らして財政負担を減らす為に
 窓口で申請を受けられないように拒否する水際作戦が行なわれてきました。
 (=これは憲法違反です)

 さらに、昨年秋には
 財源論の観点から大阪市長らが

 「生活保護を受けられる期限をつくるべきだ」

 と強く訴えました。

 政府もそれを受け容れる形で
 総額抑制(=減らす)の為の検討をしています。

 早ければ8月には生活保護法改正案が出されます。

 フジノは、この『生活保護制度の有期限化』に反対しています。

 厚生労働省はつい6年前(平成17年)から、
 生活保護を受けておられる方1人1人の暮らしに対応する形で
 『自立支援プログラム』をつくるという取り組みを
 全国で始めたばかりです。

 (画像:フジノが持ってる厚生労働省からの通知)

 フジノはこの厚生労働省の通知が出る前から
 自立支援プログラムの導入を応援してきて

 横須賀市議会でもフジノは
 「可能なかぎり1人1人の暮らしに寄り添ったサポートを」と訴えてきました。

 それが、この取り組みの成果も出てこないうちから、
 1人1人の暮らしに寄り添わないで一律に期限を作るなんてことは
 政治の無策としか言いようがありません。

 間違っています。

 これまでも、そして先日の市議会でも
 「横須賀市は有期限化を訴えるべきではない」と述べました。

 今回、国の対応が全く納得できないのは
 非公開で制度の見直しを進めていることです。

 だから、FAXを送ってくれた方のことは何も知らないままですが
 「同じ想いだから絶対に応援しなければ」と
 フジノは直感で思いました。

 ただ、前もって電話で1度お話しした時に
 「どうかハンガーストライキだけはやめてください」とお願いをしました。

 こうして今日フジノは、厚生労働省へ向かったのです。

 (画像:厚生労働省前の沖元さん)


 3名で行なうはずだったハンガーストライキは、
 方向性の違いで、沖元さん1人きりになってしまっていました。

 他の2人は、厚生労働省前でメガフォンを使って
 大きな声で「有期限化に反対!」とやりたかったそうです。

 でも、沖元さんはそれは違うのではないかと感じたそうです。
 穏やかに対話を通じて語り合うことが大切ではないかと。

 フジノもこの考え方にとても賛成です。

 厚生労働省の中で審議会が開かれた時に
 ビルの外で右翼の街宣車やデモがシュプレヒコールをやっていると
 審議会の議論が聞き取れなくなってしまったりして、すごく残念に感じます。

 大声で主張を訴えるのは方法としては「あり」ですが
 時と場合によって使い分けるべきです。

 生活保護制度については世間に大きな誤解があって
 「働ける人がラクをしている」と決めつけて怒っている市民の方々も
 たくさんいらっしゃいます。

 そんな人々にメガフォンで「有期限化に反対!」と叫んでも
 フジノも聴いてもらえるとは思えません。

 (画像:沖元さんが座り込みの合間に書いておられる日記から)


 そして、フジノの事前のお願いどおり、
 『ハンガーストライキ』はやめて
 『座り込み』に変更になっていました。ホッとしました。

 沖元さんひとりがいのちをかけて闘うのではいけない。
 全国の同じ想いの人たちがみんなで立ち上がらなければ。

 沖元さんはフジノと同じように精神疾患があります。

 雨宮処凛さんが書いてくれた本(フジノが出ています)を読んで
 この人ならば分かってくれると思ってフジノに連絡をくれたそうです。

 (画像:沖元さんの活動日記から。フジノについて記述がありました。感謝)


 フジノも沖元さんと一緒に座り込みをさせていただきました。

 そして、全くの初対面でしたので
 しばらくの間、お互いのことを話しました。

 お昼ごはんの時間帯だったので、
 ものすごく多くの官庁カンケーの方々が僕たちの前を通ります。

 ネガティブな反応が来るのかと思っていたのですが
 厚生労働省の職員の方々をはじめとして、みんな優しかったです。

 歩みをゆっくりにして僕たちを眺めていくのですが
 それも決して好奇なまなざしではなくて
 足を止めてくれてプラカードをちゃんと読んでいってくれる人もいました。

 やっぱり沖元さんの「叫びでは無くて対話を」路線は
 正しかったのだなあと感じました。

 (画像:座り込みをする沖元さんとフジノ)
 

 先ほどフジノは「世間には生活保護に誤解がある」と書きました。

 ごく一部のアルコール依存症の方が
 生活管理がどうしてもうまくいかなくて

 生活保護費が出たとたんにお酒を飲んでしまう(これは病気です)、
 そんな姿を見た市民の方の多くが

 「こっちは毎日必死に働いているのに
  朝っぱらから生活保護の奴が酒をのみまくってふざけるな!」と。

 でも、フジノが知っている
 生活保護を受けている99%以上の方々は全く違います。

 税金から生活保護を受けていることを『恥』のように感じていて
 いつもみなさん「申し訳ない」と感じて、必死に節約しています。

 下の沖元さんの活動日記を読んでみて下さい。

 フジノが出会ってきた
 生活保護を受けておられる多くの方々と同じように
 まわりの人々への気遣いであふれています。

 (画像:厚生労働省前に1日立っている警備員の方々をねぎらう記述)


 毎朝早くからこの『座り込み』のために
 都営地下鉄に乗って霞が関まで通っている沖元さんは

 すさまじい通勤ラッシュの中を毎日通わざるをえない
 サラリーマンの方々に対しても
 やわらかなまなざしで見つめています。

 (画像:


 フジノは、こころから願っています。

 何よりも、生活保護を受けられる期間に
 制限を設けるなんてまちがったことは絶対にやめるべきです。

 そして、市民のみなさまの中にある
 生活保護に対する誤解が解消されることを願っています。

 世の中が不況になって、経済社会状況が不安定になると、
 歴史をひもとくと、いつの時代も人々は
 自分よりも弱い人へ怒りのほこさきを向けます。

 市民のみなさまが生活保護を受けている人々へ
 怒りの感情を抱いているのは、残念ながらまちがった感情です。

 あなたも、生活保護にいつだってなりうるのです。
 それなのに、どうして怒りを抱くのでしょうか。

 それは誤解からです。

 景気が全く上向かない日本経済の中で暮らす市民のみなさまは
 生活保護を受けておられる方々と同じ、弱い立場です。

 むしろ、つながらなければいけない。手を組まねばならない。

 フジノは今日、沖元さんの厚生労働省前『座り込み』に参加して
 改めてその想いを強くしました。

 フジノが取り組むべきことは2つ。

 (1)まちがった生活保護制度の抜本改革をストップさせること。

 (2)弱い立場の方々同士が憎みあうのを解消すること。


 これはフジノだけで実現できることでは到底ありえません。
 ぜひ、全国の政治家・福祉関係者のみなさまにもお願いしたいです。

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 沖元さんは『座り込み』をあと6日間続けます。
 どうか全国のみなさま、応援と激励に向かってくださいね。

 フジノもできればもう1日行きたいと考えています。

 沖元さん、どうか最終日までがんばってください!


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