2016年12月議会・一般質問

はじめに

藤野 英明です。

一般質問に立つフジノ


今回の一般質問で述べる出生前診断という単語は、妊婦健診も含む広い意味では無く、胎児に『先天的異常』、特に常染色体異常の中でも最も頻度の高いダウン症候群があるか否かを診断する『狭義の出生前診断』、具体的には絨毛検査母体血清マーカー試験羊水検査などを指します。

また、出生前診断で分かる病気・障がいは多数ありますが、今回はあえてダウン症候群にしぼって質疑を進めます。

知的障がいの1つであるダウン症候群の平均的な出生率は約1000人に1人ですが、妊婦の年齢が高くなるにつれて発生頻度が高くなっていきます。

妊婦の年齢と胎児がダウン症である確率

妊婦の年齢と胎児がダウン症である確率


妊婦が30歳になると700人に1人、35歳で300人に1人、40歳で87人に1人、45歳で16人に1人、というように。

「平成28年版・少子化社会対策白書」より

「平成28年版・少子化社会対策白書」より


我が国の初産の平均年齢は30才を超えて、毎年、晩産化している中で、出生前診断を受ける人とその結果を受けて人工妊娠中絶を選ぶ人が共に増えています。

横浜市大附属病院の調査では、300医療機関に調査した結果、胎児に何らかの異常が見つかったことによる中絶は、1985~89年は約800件でしたが、2005~2009年は約6000件と7.5倍に急増しています。

2016年4月25日・毎日新聞より

2016年4月25日・毎日新聞より


特に、新型出生前診断がスタートしてからこの3年間で胎児に障がいがあると確定した妊婦の94%が中絶をしています。

母体保護法・第14条

母体保護法・第14条


我が国が人工妊娠中絶を合法化したのは世界的にも早く1948年ですが、法律上、中絶を認める要件を『性暴力による妊娠』『経済的な理由』の2つに限定しています。

1970年代と80年代に、障がいがあることを理由に中絶を認めるいわゆる『胎児条項』を新設する改正法案が出されると

「障がい者を胎児の段階から抹殺する優性思想だ」

「本来生まれてくるべきでは無かった命として扱うことは現に生きている障がい者の存在そのものの否定だ」

といった激しい反対運動が起こりました。

その結果、現在でも母体保護法に『胎児条項』はありません。

しかし現実的には医療機関では法律を拡大解釈して人工妊娠中絶を実施しています。

このねじれは、障がいのある方・中絶を選択せざるをえない方の双方に深い傷をもたらす一因となっています。

一方アメリカでは、1973年に最高裁

「中絶は憲法の保障する基本的人権である」

と判決を出しました。

現在も中絶そのものへ賛否の論争は続いていますが、日本のように障がい者の権利と中絶が関連付けられることは、ほぼありません。

世界的にも、1975年の『国際婦人年世界会議』をはじめ、1980年に日本も署名した『婦人差別撤廃条約』や、1995年の北京で開催された『世界女性会議』においても

そもそもこどもを産むか産まないかは、国家が介入したり、法で規制すべき問題でなく、個人およびカップルの選択に任されるべきで『リプロダクティブ・ライツ』という基本的人権である、との価値観が確認されています。

僕自身の立場も申し上げます。

「長年の粘り強い議論の積み重ねの結果、現在では、女性が妊娠を継続するか否かを決定するのは女性の基本的人権の1つであると世界的に認識されている」

と僕は考えています。

また、

「障がいの有無によって生命が価値づけられるものでは無い。社会の環境さえ整えば、障がいの有無は人生の幸不幸にも、一切関係ない」

と考えています。

また、後程触れますが、ダウン症候群の方とそのご家族に行なった調査結果では、アメリカでも日本でも幸福度が極めて高い傾向があります。

「障がい=不幸」は大きな誤解です。

にもかかわらず、胎児に障がいがあるとの出生前診断を理由に中絶を選択せざるをえない方が我が国で多数おられることは、日本の障がい保健医療福祉があまりにも不十分な為に世間のイメージとして「障がい=不幸なこと」との誤解が蔓延してしまっていることが原因だと考えています。

我が国の福祉が改善されない限り、出生前診断によって中絶を選択せざるを得ない人は今後も増え続けるはずです。

しかし、ねじれや課題は放置されたままなので、我が国では障がいのある人々も、中絶をせざるをえなかった女性も、ともに深く傷つく現実が続くだろうと予想しています。

こうした現実を僕はこのまちだけでも変えたい、と強く願っています。

今回の質問もそのような長年の願いから行なうものです。

2016年12月議会で一般質問を行うフジノ


それでは質問に入ります。



1.10年以上前から市立うわまち病院で実施されてきた羊水検査の実施を一旦やめて、全市的に議論を行なう必要性について

(1)市長は羊水検査の実施を知っていたか。
 
11月18日、県内他市の議員と意見交換をしていた時に、そのまちの公立病院が新たに羊水検査を導入する条例改正を行なうにあたり、議員向けの説明資料で、『他都市の公立病院で羊水検査を実施している事例』として、本市の市立うわまち病院が記されていることを知りました。

他市の市議会配布資料で初めて「市立うわまち病院」が羊水検査を実施していた事実を知りました

他市の市議会配布資料で初めて「市立うわまち病院」が羊水検査を実施していた事実を知りました


かねてから出生前診断に強い関心を持ってきたものの、市立2病院は狭義の出生前診断を実施してこなかったと考えていた為、それを知り、非常に驚きました。

さっそく担当課に確認したのですが、国から本市に移管された平成15年にはすでに市立うわまち病院では羊水検査を実施しており、カルテの保存年限である10年間を調査したところ、現在まで11名が羊水検査を受けていました。

病院側が積極的に検査を勧めたことはなく、あくまで妊婦側から希望があれば断らないという形で検査を実施してきたのとのことです。

出生前診断は重要なテーマですが、これまで市議会に報告された形跡はありません。

市立病院の活動を報告する『病院年報』にも記載がありません。

(本来は毎年発行すべき「病院年報」です)

(本来は毎年発行すべき「病院年報」です)


こうしたことから議会の議事録にも、議論の記録はありません。

公立病院であるにもかかわらず、議会も行政も知らされず、病院関係者しか知らずに出生前診断を実施してきたとすれば大変な問題です。

そこで伺います。

【質問1】
市長は今回の僕の発言通告書が提出される前から、うわまち病院で羊水検査が実施されてきたことを知っていましたか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(2)羊水検査をいったん中止する必要性

明治以来「産めよ増やせよ」を国策に富国強兵をすすめ、1948年には爆発的に増えた人口を抑制する為に中絶を合法化し、進めるなど、我が国では妊娠・中絶は『女性の権利』とはほど遠いものでした。

さらに富国強兵・経済成長に貢献しない障がい者は排除すべきとの『優生思想』も広く流布されました。

こうした歴史を持つ上に、我が国では中絶が合法の一方で刑法には今も堕胎罪があるなど法制度にもねじれがあり、生命倫理、胎児の権利、女性の権利など様々な課題があり、わが国では出生前診断とその結果による中絶に対して国民のコンセンサスは得られていません。

もちろん本市においても市民的なコンセンサスはありません。

こうした状況下で、約10年でわずか11名といえども市立うわまち病院が羊水検査を実施してきたことは勇み足です。

さらに羊水検査には流産を起こすリスクがあります。

また、後ほど述べますが、現在の支援体制では不十分です。

この3つの理由から、羊水検査を一旦中止すべきです。

そして、公立病院として今後も検査を続けるべきか否か、続けるならどのような体制が望ましいか、本市全体で一度議論をすべきです。

特に、市内で障がいのあるこどもを産み育ててきた親の会の方々とは、積極的に意見交換・議論をする機会を持つべきだと強く提案します。

そこで伺います。

【質問2】
羊水検査の一旦中止、全市的な議論の必要性などについて市長はどのようにお考えか、お聞かせ下さい。


(→市長の答弁へ)

2.今後も羊水検査を継続するならば、検査を受けることを迷っている段階から妊婦・配偶者らを支援する体制づくりを行なう必要性について

  
すでに自らの立場を述べたとおりで、僕はただ「羊水検査をやめろ」と批判しているのではありません。

今の日本はすさまじく情報過多の社会で、妊婦らは圧倒的な量の出生前診断の情報にさらされています。どれが正しくどれが誤っているか、個人では判断できません。

インターネット上には営利目的の出生前診断の広告があふれており、日本の学会が定めたガイドラインは完全に無視され、年齢制限なし、医師の紹介状も不要、採血する医療機関をワンクリックで予約してその血液を海外の宛先に送れば、検査結果だけが送り返されてきます。

インターネットで積極的に出生前診断を広告している某企業サイトより

インターネットで積極的に出生前診断を広告している某企業サイトより


こうした検査法には妊婦を守る体制が一切ありません。

一方、出生前診断は『妊婦の心理面』や『胎児との愛着形成』に大きな影響を与えることが分かっています。

儲けだけが目当てで妊婦の心身を一切守らない『出生前診断ビジネス』に対して、責任ある公立病院こそがしっかりとした情報提供体制と安全・安心を担保する支援体制を構築した上で、検査を行なうべきだと僕は考えています。

前問で議論の必要性を訴えましたが、もしも一定のコンセンサスが得られた時には、本当の意味で妊婦を守る体制を構築した上で検査を再開することこそ、うわまち病院の役割だと考えています。
 
そこで本市が羊水検査を継続するならば、現在の在り方への疑問点や改善すべき点を指摘します。

(1)検査希望者について

現在、うわまち病院では、羊水検査は希望者が全員受けられます。

「出生前に行なわれる遺伝学的検査および診断に関する見解」より

「出生前に行なわれる遺伝学的検査および診断に関する見解」より


【質問3】
日本産科婦人科学会が定めた『出生前に行なわれる遺伝学的検査および診断に関する見解』の7つの実施要件に限定するといった条件を一切つけていないのは何故でしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(2)日帰り検査について

検査そのものの危険性をもっと重視すべきです。

そもそもダウン症候群の新生児は約1,000人に1人の割合で生まれますが、羊水検査による流産の割合はそれよりも高く約1,000人に3人です。

検査は10分ほどで終わるとは言え、当日には出血や羊水漏れや子宮収縮が起こることもあり、妊婦と胎児の安全の為、さらにカウンセリングも実施する為に、1泊2日を推奨している病院もあります。

【質問4】
一方、うわまち病院では日帰り検査を実施してきました。

施術実績も少ない中で、日帰り実施で、胎児と妊婦の安全を確実に守れると断言できるのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


出生前診断について質すフジノ


出生前診断は、胎児の命や家族の運命を左右する、非常にセンシティブな検査です。

そこで日本医学会『医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン』では

「出生前診断には、医学的にも社会的および倫理的にも留意すべき多くの課題があることから、検査、診断を行なう場合は日本産科婦人科学会等の見解を遵守し、適宜遺伝カウンセリングを行なった上で実施する」

と定めています。

また、日本産科婦人科学会『出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解』でも

「出生前に行われる遺伝学的検査および診断は、十分な遺伝医学の基礎的・臨床的知識のある専門職(臨床遺伝専門医等)による適正な遺伝カウンセリングが提供できる体制下で実施すべきである。また、関係医療者はその知識の習熟、技術の向上に努めなければならない」 

と定めており、実施においては両者を遵守しなければなりません。

遺伝カウンセリングとは、検査を受けるべきか迷っている段階から検査後まで一貫して情報提供と心理・社会的支援をする為に臨床遺伝専門医として認定を受けた医師、もしくは大学院に設置された専門コースで養成された認定遺伝カウンセラーが行ないます。

検査の意味や限界などの説明、診断される病気について、同じ病気を抱える人たちの現状やサポート体制を伝えることで誤解や情報不足による不安を解消し、妊婦の心のケアをしていきます。

特に中絶手術後は精神的なダメージや母体への負担が大きく、精神的な問題は1度のカウンセリングや薬の処方では完治できない場合がほとんどの為、専門家による長期的な関わりが必要です。

しかし全国的な人材不足の為、カウンセリングをせずに出生前診断を行なっている施設が多い現状があります。

(3)臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラー新規雇用の必要性

うわまち病院にも臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーがいません。

両学会が求める専門家が不在のままの検査実施は、支援体制として不十分です。

そこで伺います。

【質問5】
臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーを早急に新たに雇用もしくは養成して、十分な支援体制を構築すべきではないでしょうか。お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(4)遺伝カウンセリング実施機関の紹介

現在、うわまち病院では遺伝カウンセリングが受けられないので「希望があれば」遺伝カウンセリングを受けられる医療機関を紹介している、とのことです。

けれどもそのような消極的な姿勢では妊婦を守ることはできません。

【質問6】
ガイドラインを守り、妊婦らの精神的なケアや支援、適切な情報提供の為に「必ず」遺伝カウンセリング実施医療機関に紹介する方針へと変更すべきではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(5)結果判明までの期間中の支援体制

羊水検査は結果が出るまで2〜3週間ほどかかります。

この期間の妊婦の精神的なストレスは極めて高いことが知られています。

【質問7】
結果が出るまでの期間、うわまち病院では妊婦に対して誰がどのような支援を行なっているのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(6)検査結果の伝達時の体制

【質問8】
検査結果は直接伝えているとのことですが、染色体異常との結果が出た時には、妊婦・配偶者に対して具体的に誰がどのように結果を伝えているのでしょうか。

また、結果を聞いた妊婦らの精神的なショックの受け止めや支援はどのように行なっているのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(7)横須賀版受容ネットの立ち上げの必要性

羊水検査は妊娠第16〜17週に実施することが多いのですが、一方、人工妊娠中絶が可能な時期は第22週までなので、検査結果が出てからわずか2〜3週間で大きな決断を迫られることになります。

その為、妊婦の孤独感は極めて強いものがあります。

妊婦・配偶者の不安に寄り添って、どのような疑問にも応え正確な情報を提供し得る体制が必要です。

僕はその一助として、妊婦をはじめ、支援に当たる産科医療従事者に、ダウン症候群のあるこどもたち、その成長、家族の心理、本市の療育体制・障がい福祉サービスの現状などをリアルに知っていただくべきだと考えています。

2011年のアメリカの複数の研究から、障がいのある本人兄弟姉妹に行なった調査の結果、本人の99%が「日々の生活が幸せだ」と答え、きょうだいの97%と親の99%が「ダウン症の家族を愛している」と答え、家族の幸福感の高さや人生の充実感、物事を本質に即して考える傾向などが報告されています。

「Having a son or daughter with Down syndrome:Perspectives from mothers and fathers」より

「Having a son or daughter with Down syndrome:Perspectives from mothers and fathers」より


さらに、発言通告書を提出した11月24日の朝日新聞1面で、日本で初めて行なわれた当事者への調査結果が報じられました。

2016年11月24日・朝日新聞より

2016年11月24日・朝日新聞より


厚生労働省の研究班によるとダウン症候群の人の9割以上が「毎日幸せ」と感じているとのことでした。

世間一般に漠然と持たれている「障がい=不幸」「障がいのある子どもを育てることは苦しい」といった出生前診断を受ける根拠となったイメージは多くの場合、事実とは異なっていると日米の研究結果が示しています。

こうした本当の姿を知ってもらう為に、障がいのあるこどもたちの親の会の方々に依頼して、生の声に触れる機会を本市がシステムとして提供すべきです。

福岡市に素晴らしい先進事例があります。
1999年、ダウン症候群のこどもを持つ親と福岡市立子ども病院や市内の産科医ら専門家が『ダウン症等受容支援ネットワーク福岡(略称・受容ネット)』を立ち上げました。

「受容ネット」HPより

「受容ネット」HPより


親の会と連携して、地域でダウン症候群の告知を受けた妊婦・母親がいると聞けば、希望によって話をしにいくピアカウンセリングシステムを作り、福岡市全域をほぼカバーしています。

本市も『受容ネット』の横須賀版を作るべきです。

障がいに対する世間の画一的なイメージしか持たないままに人工妊娠中絶に追い込まれるのではなく、妊婦らが現実の姿に基づいて将来のイメージを持った上で判断できる機会を提供すべきです。

そして、うわまち病院の妊婦に限らず、本市の妊婦は誰でも『横須賀版受容ネット』の支援を受けられるようにすべきです。

そこで伺います。

【質問9】
市長はこの提案をどうお考えでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(8)市立病院と市役所各部局との連携の必要性

支援に当たる産科医療従事者に、日ごろから療育・障がい福祉の現状を正確に知っていただくべきです。

こども育成部こども青少年支援課や療育相談センター、教育委員会支援教育課などは、こどもたちが生まれた後の療育体制を知ってもらう為に、福祉部障害福祉課などは、障がい福祉サービスや様々な制度について知ってもらう為に、積極的に情報提供すべきです。

さらに、療育相談センターや特別支援学校の見学や顔の見える関係づくりの機会も積極的に提供すべきです。

【質問10】
市長はどのようにお考えかお聞かせ下さい。


(→市長の答弁へ)


(9)中絶を選択せざるを得なかった方々のケアの重要性

出生前診断に基づいて人工妊娠中絶を選択した妊婦の罪悪感や孤独感や悲嘆はとても強く、他の死産や人工死産の方の集まりにも一切参加できず、しっかりとケアをしなければ長期にわたり深刻なダメージを受け続けるとの研究報告がすでに多数あります。

また、中絶手術を受けた女性がその経験を同じ立場、ピアの女性と語り合う場が不可欠ですが、僕は必死に探したものの日本では1カ所しか見つけられませんでした。圧倒的に支援の機会が足りません。

そこで市長に伺います。

【質問11】
検査後に人工妊娠中絶が実施される可能性も踏まえて、グリーフケアなどの支援体制づくりが必要ではないでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)

3.女性の選択権(リプロダクティブ・チョイス)を確立することと障がいのある人の尊厳が守られることが両立する 社会の実現を目指す必要性について

(1)全ての妊婦が出生前診断で葛藤することに市立病院への「遺伝科」設置で対応すべき

ダウン症候群以外にも現在すでに様々な病気・障がいの診断が可能となっていますが、医学の進歩で今後はさらに多くの病気が出生前に診断されるようになります。

その結果、遠くない将来に遺伝学的検査によって、全ての妊婦が出産するかしないかの葛藤に巻き込まれる可能性が極めて高いと言えます。

ドイツが国内1,500ヶ所に設置している妊娠葛藤相談所のように、出生前診断で陽性の判定を受けた方が相談できる公的な場の設置が早急に必要だと僕は考えています。

【質問12】
そこで、出生前診断と遺伝カウンセリングのプロで構成される『遺伝科』を市立病院に新たに設置すべきだと僕は提案します。

市長の考えをお聞かせ下さい。


(→市長の答弁へ)


【質問13】
また、病院管理者とも管理運営協議会等でぜひ意見交換をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(2)リプロダクティブライツ、チョイスを実践できるまちへ

中絶が基本的人権といえども、権利を行使したからといって喜びや充足感はありません。

あくまでもその時その女性にとって産むことよりも中絶がましな選択肢にすぎなかっただけです。

そしてそのリプロダクティブライツ、チョイスは、様々な情報提供や遺伝カウンセリングなどの手厚い支援のもとであくまでも本人の自己決定としてなされるべきです。

しかし日本では、女性の選択権や意思決定権がいまだ確立されているとは言えず、妊娠、出産、中絶も妊婦本人の意思だけでなく、配偶者や婚家に対する配慮や周囲の有形無形の圧力によって意思決定せざるを得ないことが多い、と僕は感じています。

【質問14】
市長はどうお考えでしょうか。

もしも同感であれば、どのような対策が必要とお考えでしょうか。お答え下さい。


(→市長の答弁へ)


(3)産むと決意した妊婦を守り、こどもが健やかに育てる社会へ

社会福祉が貧困なこの国で、診断を受けても「産みたい」と望む妊婦を本市は心から祝福し、全力で守らねばなりません。

そして産まれた子どもは本市全体で健やかに育んでいかねばなりません。

その為にも政治・行政が療育と障がい福祉の体制をさらに充実させ、差別や偏見の除去を徹底的に行なうことが不可欠です。

【質問15】
その為に市長はどのように取り組んでいくのでしょうか。

お答え下さい。


(→市長の答弁へ)

市長の答弁

ご質問、ありがとうございました。

まず、私自身の立場を申し上げておきますと、女性個人の選択肢は用意されるべきだと考えていますが、一方でこれが『マス・スクリーニング』と呼ばれる社会の選択につながるようなことがあっては断じてならないと、そういう立場から答弁をさせていただきます。


【答弁1】
まず、うわまち病院で平成15年から羊水検査を実施していたことを承知していたのか、というご質問をいただきましたが、私は今回初めて知りました。




【答弁2】
次に、うわまち病院で羊水検査を今後も続けるべきか否か、本市全体で一度議論してはどうか、というご質問をいただきました。

うわまち病院では羊水検査の問い合わせがあった場合、目的・方法・リスク・結果等について丁寧に説明し、家族で話し合われたうえで、希望される方にだけ実施をしています。

これまで通り、丁寧な説明をしたうえで、希望される方には検査を実施していきたいと思います。




【答弁3】
次に、日本産婦人科学会の7つの実施要件に限定していないのは何故か、というご質問をいただきました。

うわまち病院では、この7つの実施要件に該当しない方が希望した場合には、学会の実施要件に該当しないことを丁寧に説明しています。

ただ、それでも検査を受けたいと希望された場合には、お断りできないと考えています。

なお、これまで該当しない方に対して検査を行なったことはありません。




【答弁4】
次に、日帰りでの羊水検査の安全性について、ご質問をいただきました。

うわまち病院では妊婦と胎児の安全性を第一に、検査を行なってからしばらくは病院内で安静にしていただき、その後、超音波検査をして異常が無いことを医師が確認してから帰宅していただいています。

また、帰宅後、少しでも異常を感じた場合には、すぐに対応できるようにしています。




【答弁5】
次に、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーを新たに雇用し、充分な支援体制を構築すべきではないか、というご質問をいただきました。

臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーの雇用については、取得している医師が少ないことから難しいところですが、うわまち病院でも産婦人科の医師だけで無く、必要に応じて小児科の医師のサポートも受けて支援にあたっています。

また、希望があれば臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーが在籍している医療機関を紹介しています。




【答弁6】
次に、ガイドラインを遵守し、適切な情報提供の為、必ず遺伝カウンセリングを紹介する方針に変更すべきではないか、というご質問をいただきました。

うわまち病院では、ガイドラインについて充分に説明をした上で、臨床遺伝専門医等がいないことをご理解いただいています。

その際、臨床遺伝専門医等を希望される方には、専門医が在籍している医療機関を紹介しています。




【答弁7】
次に、検査結果が出るまでの期間、うわまち病院ではどのような対応をしているのか、というご質問をいただきました。

うわまち病院では検査を受ける前に充分な説明を行なっていますが、不安等により医師に聞きたいことがある場合には、いつでも病院まで連絡するよう伝えています。




【答弁8】
次に、染色体異常という結果を具体的に、誰がどのように伝えているのか、またその精神的なショックに対し、どのような支援をしているのか、というご質問をいただきました。

うわまち病院では、これまでに染色体異常という検査結果は出ていません。

今後、そのようなケースが生じた場合は、担当医が検査結果を伝えることになりますが、ご本人やご家族に対しては、担当医をはじめ病院職員により丁寧な対応を心がけて支援にあたります。




【答弁9】
次に、妊婦さん、配偶者が障がいに対する現実の姿に基づいて将来をイメージできる機会を提供すべきではないか、というご質問をいただきました。

妊婦の皆さんが、障がいに対する画一的なイメージに捉われない判断を行なう為に、本市としてどのような支援が可能であるか、研究してまいります。




【答弁10】
次に、産科医療従事者に、療育・障がい福祉の現状を知ってもらう為、療育体制・障がい福祉サービス等の制度について、積極的に情報提供すべきではないか、というご質問をいただきました。

妊婦さんや配偶者の不安を解消する為に、産科医療従事者が本市の療育体制・障がい福祉サービス制度などを正確に理解しておくことは大切であると考えています。

本市では発達支援に関する制度や相談機関を紹介するガイドブックを各医療機関に送付するなど情報提供を行なっていますが、さらなる積極的な情報提供に努めてまいります。




【答弁11】
次に、今後は人工妊娠中絶が実施される可能性も考えた上でのグリーフケアなどの支援体制づくりが必要ではないか、というご質問をいただきました。

出生前診断の直後から、妊婦さんは混乱と不安の中で決断を迫られる上、中絶を選択した場合は、赤ちゃんとの別れを体験しなければなりません。

そのような苦しみに寄り添い、支えてくれるサポートは重要であり、医療機関などで行なわれるカウンセリングと一体的に支援することが望ましいと考えています。




【答弁12】
次に、市立2病院に遺伝科を設置してはどうか、というご質問をいただきました。

遺伝科を設置する為には、臨床遺伝専門医を確保し、設備を整えるだけでなく、研究も行なえるような大学病院等の専門性の高い病院でなければ難しいと考えています。






【答弁13】
(市長、答弁せず)




【答弁14】
次に、女性の選択権の現状と対策についてご質問をいただきました。

妊娠や出産などの意思決定は、女性の今後の人生に重大な影響を及ぼすものであり、配偶者や家族はその女性の意思を支持し支え続ける存在であるべきだと考えています。

しかし、残念ながら周囲の様々な憶測や心配が、結果的にご本人にとって圧力となってしまう現実があることも承知をしています。

これは社会全体の問題であり、すぐに解決できるものでは無いと思いますが、正しい知識の普及啓発と、サポート体制の構築を目指すことで、妊婦さんやご家族の皆さんを孤立させることの無い地域社会を実現させていくことが必要と考えています。




【答弁15】
次に、療育体制と障がい福祉体制をさらに充実させ、差別や偏見を徹底的に除去する為の取り組みについて、ご質問をいただきました。

障がいのある子どもが、差別や偏見を受けること無く、充実した療育、福祉体制の中で成長していくことは、大変重要だと考えています。

また、障がいのある子どもが健やかに成長していく為には、ひとりひとりの市民が障がいに対する理解を深めることが何より重要であると考えています。

本市では一般市民向けの講演会を開催したり、ガイドブックを作製するなど、障がいに対する啓発活動を行なっていますが、障がいのある子どもたちが差別を受けることなく成長できるよう、制度と市民の意識づくりに努めてまいります。

以上です。

(一問一答による再質問は後日掲載します)