「不育症への公的支援」を横須賀市議会で初めてフジノが提案しました/教育福祉常任委員会(2011年9月議会)

不育症への公的支援を提案しました

今日は、教育福祉常任委員会(2日目)でした。

午後からは『所管事項についての質疑』だったのですが、これはちょうど本会議での『市長への一般質問』にあたります。

ここでは教育委員会・健康部・福祉部・こども育成部についてあらゆる質疑を行なうことができます。

そこで、フジノは大きく3つの問題を取り上げました。

  1. 学校給食の産地の公表の在り方を改善すべき
  2. (→教育委員会への質疑)

  3. 市立学校で使用する電力の購入を一般競争入札にすべき
  4. (→教育委員会への質疑)

  5. 不育症に対する公的な支援を行なうべき
  6. (→こども育成部への質疑)

3つの質疑の全てに対して、担当部署からは「前向きな対応を行なう」との答弁を受けました。

この中から、『不育症』についてのフジノの委員会質疑を報告します。



「不育症」に関するフジノの委員会質疑

2011年9月6日・教育福祉常任委員会の質疑より引用します。

フジノの質問

『不妊症』という言葉に似ている言葉で『不育症』という症状があります。

『不妊症』ほどには知られていないのですが、流産・死産・新生児の死亡ということを繰り返してしまって、結果的に子どもを持てないということを『不育症』と定義をしておりいます。

厚生労働省の研究班が最近推計を発表したのですが、妊娠をした経験のある女性の4.2%がこの『不育症』になっており、140万人が日本ではこの不育症になっているのではないかという発表が8月末にありました。

これを横須賀市にあてはめてみると、妊娠可能年齢は本当はもっと広いと思うのですが

20才から40才の女性は横須賀市には5万5,000人おられますから、あいだをとって3%くらいを推計値にあてはめると

横須賀でも1,650人くらい不育症で非常に困っている方々がいらっしゃる

という計算になります。

ただこの10年間くらいで研究が非常に進んで、治療を行なえば80%以上が出産できるといわれています。

残念ながら全国的に対策が進んでおりませんので、この問題点を指摘して横須賀市の対応を促したいと思います。

まず問題点の1番大きな点としては『治療に非常に多額の費用がかかること』です。

先日、『不育症ココロのセミナーin茅ヶ崎』という実際に不育症で困っておられる神奈川県内の方々の集まりに参加してお話をうかがってきたのですが

一般の妊婦さんが妊娠・出産にかかる費用が約60万円ほどで済んでいるところを

不育症の方々は平均で104万円、

ヘパリンの注射の治療をしておられる方は122万円、

というアンケート調査が出ています。

検査だけでも非常に費用がかかる。




また、2番目の問題点としては『そもそも「不育症」という症状について自体が知られていない為に流産を繰り返しておられる方がいらっしゃること』です。

3番目の問題点としては、医療者側の認知度も低い為に『治療できる専門の医療機関が少ないということ』が挙げられています。

こども育成部にまず伺いたいのですが、『不育症』の現状について市民の方からどのような声をお聞きしているのか、まずこの把握している点をお聞かせ下さい。

こども健康課長の答弁

こども健康課では、所管している4つの健康福祉センターおよびこども健康課の本課で妊娠に関する相談を受けています。

残念ながら、『不育症』に関しての相談はほとんど受けたことが無いという現状があります。

ただ、4つの健康福祉センターおよびこども健康課では、母子健康手帳交付時に保健師等による面接交付をしております。

母子健康手帳をお渡しする時に提出していただく妊娠届け出書の中には妊娠経過を把握するということができますので、妊娠経過を把握した時点でご相談があれば対応しているというのが現状でございます。

フジノの質問

まず現状の把握について、こども育成部のご答弁を頂きました。

ここで、4つの提案をさせていただきたいと思いますので、順次ご答弁をお願いします。

まず『不育症』という症状の『存在』について知られていないというふうに僕は考えます。

横須賀市として、『不妊症』についてはだいぶ周知啓発していただきましたので、同じように『不育症』についても周知をしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

こども健康課長の答弁

『不育症』自体の存在を知られていないという、今の藤野委員のご発言があったのですけれども、対応する職員も含めて、まず『不育症』そのものについての勉強を重ねていく必要があろうかというふうに認識しております。

フジノの質問

今、職員もまだ『不育症』について認識が弱い部分があるので職員も学んでいきたい、ということだったのですが

2番目の提案としては今のご答弁にも関わるのですが、ぜひ不妊相談窓口に『不育症』の項目も入れていただきたいということです。

職員の研修にもかかることとは思いますが、川崎市では『不妊専門相談センター』で『不育症』についても相談に乗るということを打ち出しました。




横須賀市ではすでに『不妊』については不妊に悩むご夫婦の相談にのる『不妊相談窓口』を設置されて、産婦人科医の医師と保健師の方々が面接相談を行なってくれています。

ぜひ研修を重ねて不妊相談窓口に『不育症』の相談も入れていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

こども健康課長の答弁

現在やっております不妊相談の窓口でございますが、こちらは『特定不妊支援事業』の中で行なっている事業でございますので

今ここで『不育症』の範疇のものもこの相談対応の中に入れるというようなことで即答することは大変難しゅうございます。

『不育症』そのものについての対応する側の対応力を高めるという部分での学習を重ねていくということについては取り組むことはできるかとは思いますが、

事業そのものを特定不妊の中に入れ込むということは今ここで申し上げることは難しいと答弁させていただきたいと思います。

フジノの質問

今の課長のご答弁は、特定不妊相談の事業に加える形では即答は難しいという答弁だと受け止めましたが

この不妊相談窓口に限らず、『不育症』の相談窓口をもちろんまず医療機関が整備することが必要だと思いますが

こども育成部として何らかの相談の体制を構築していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

こども育成部長の答弁

課長がお答えさせていただいたのは

「今行なっている事業の中で一緒にというのは難しい」

という意味で申し上げたと思います。

けれども、今窓口にご相談にいらっしゃる方、そして、これから妊娠して赤ちゃんを産もうという方に対して

『不妊症』というのがどういったものかということについての『窓口』というのはどこにも出ていないんですね。

そういった意味ではみなさんがどこに相談したらいいか分からないという部分もあろうかと思います。

赤ちゃんが欲しいけれども、せっかく妊娠したのにお母さんのおなかの中で正常に生まれるまで育ててあげられないという苦しい想いをされている方が大勢いらっしゃると思いますので

今後その方々にも「相談窓口はこちらで伺いますよ」というのを私どもの体制が整いしだいご案内していくようにしたいと思います。

フジノの質問

ぜひお願いしたいと思います。

『不育症』の治療についてはこの後も質問をするのですが、そもそもの相談カウンセリング体制が整っているかどうかというだけでもその後の出産率が高くなるということが分かっています。

ぜひ相談窓口を何らかの形で構築していただきたいと思います。

続いて、治療のサポートについてもぜひ行なっていただきたいと提案します。

6月1日時点の調べでは、すでに11の自治体がこの検査や治療費に対して助成を行なっています。

というのも、アスピリンの錠剤にしてもヘパリンの注射にしても保険の適用外になっておりまして、検査をするだけでも非常に費用がかかる。

治療を行なうというだけでも精神的に苦しいし、注射を1日2回打つというのも苦しいのですが、それに重ねて経済的な困難がのしかかってくる。

先ほどカウンセリングのお話もしましたが、精神的な苦痛も非常に大きい中で、ここまで経済的に厳しい治療をしなければおこさんを持つことができない、それは非常に残念なことだと思っています。

そして行政が支援すべきことだと思うのです。

近隣のまちでは大和市がこの10月、議会を通過すれば年30万円を上限とする助成をすると発表をしています。

(2011年8月27日付・神奈川新聞より)



横浜や川崎など近隣の自治体でも多くの議員が提案しているようです。

ぜひ横須賀市でも経済的な支援を考えていただきたいと思いますがいかがでしょうか?

こども育成部長の答弁

この『不育症』については、私どももしっかりと取り組んでいかなければならない問題だというふうに考えております。

先ほども課長が申し上げましたように、私どもの知識とかそういったものも整えまして

来年できるかどうかというお約束は今ここで申し上げられませんけれども

検討を続けていきたいと思います。

フジノの質問

そして最後になるのですが、やはりこの問題というのはあまねく日本全国で起こっていること、そして助成がなされていないというのも、国の研究が10年程度しか進んでいないということもあるのですが

何よりも政府がきちんとした方針を打ち出すことが必要だと思います。

保険適用もそもそも国が成すべきことですから、こういったことをしっかりと国の責任で行なうように横須賀市からも求めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

こども育成部長の答弁

そういったことにつきましても機会をとらえて声をあげていきたいと思います。

さあ、問題提起は行ないました。

フジノが問題提起をした以上は、もはや横須賀市はこの問題を知らないということも見て見ぬふりもできません。

横須賀市が新しいいのちの為にしっかり寄り添うことができるのか、市長は、ぜひしっかりとその姿勢を打ち出してほしいです。

『不育症』への公的な支援については今、想いを同じくする全国のたくさんの議員たちが一斉に問題提起を行なっています。

守ることができるいのちを、救うことができるいのちを、政治が動けば助けることができるいのちを

全身全霊をかけて大人たちが守り、救い、助けるのです。

下の画像は、厚生労働省研究班がつくったポスターです。

『不育症』は治療をすれば85%が出産にたどりつけると訴えています。




この横須賀市だけでも『不育症』の治療をすれば1,300人以上もの赤ちゃんが生まれてくることができるのです。

政治がちゃんと動けば、新しいいのちが誕生することができるのです。

だから、やるのです。

だから政治は絶対に動かなければいけない。

この問題は、子宮頸がん予防ワクチン・検診の無料化と全く同じ構造を持っています。

救うことができるいのちを守ろうとしない国の遅々とした対応ぶりに対して、地方政府がアクションを起こすことで、国を動かすのです。

全国の地方政府が動きを起こせば、必ず国を動かすことができます。

だから、横須賀市よ、がんばれ!

横須賀市が動けば、必ず国だって必ず動かすことができる。

『いのちを守る横須賀』を訴えているのだから、吉田市長、今こそがんばって下さい。



後日談

2012年2月14日に発表された新年度予算案において、新たに『不育症』の治療に横須賀市が補助をスタートすると発表されました。

フジノの提案がまさに実現する運びとなりました。

今後は、制度を一人でも多くの方々に知っていただいて、補助をぜひ受けていただけるようにしていきます。

また、その他の取り組みは今後も提案していきます。



『不育症』は治療をすれば85%が出産にたどりつける

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