「男女二元論」だった男女共同参画推進条例が「性的な多様性の保障」を盛り込んで大きく変わり始めました!/男女共同参画審議会

2018年度の「性的な多様性の保障」の3つの大きな取り組みの1つが「男女共同参画推進条例の改正」です

2017年度の全国調査の結果、横須賀市の『性的な多様性の保障』に関する取り組みが全国トップとなりました。

5月に発表されて以来、いろいろな機会に当事者の方々や自治体関係者やメディアの方から

「横須賀市は次に何に取り組むのですか?」

と尋ねられます。

そのたびにフジノは

「細かな取り組みも新たに始まりますが、2018年度の大きな取り組みは3つです。

  1. 『パートナーシップ制度』を導入する
  2. 『男女二元論』で作られた『男女共同参画推進条例』を『性的な多様性の保障』の観点から全面的に見直す
  3. 市役所職員の全ての行動の根本である『人権施策推進指針』を初めて改定する

前市長時代にはいくら提案しても実現しなかった条例や制度を、しっかりと変えていきます」

とお話してきました。

3つとも昨年2017年9月議会で上地市長が前向きな答弁をして下さったのですが、今年度に入って一気に実現に向けて動き出しています。

フジノはこれを勝手に『2018年3大改革』と呼んでいます。

「男女共同参画推進条例」改正の議論が進んでいます

『2018年3大改革』の第1弾は、『男女共同参画推進条例』を『性的な多様性の保障』の観点から全面的に見直す作業です。

それなのに・・・

条例改正を議論する『男女共同参画審議会』の第1回に示された『事務局案』を読んだ瞬間、フジノはショックで固まってしまいました。

提案された『事務局案』は、あまりにも消極的すぎて信じられない内容でした。

「これならば改正する意味は無い。こんな小手先の文字いじりでは誰も幸せになれない」

と強く憤りを感じました。

その為、フジノはこのブログでも強く批判をしました(こちらこちら)。

さらにフジノは、事務局である担当課へ積極的に働きかけて、要請書を提出したり、長時間の意見交換を行ないました。

かなり孤独で苦しい作業でした。

(『パートナーシップ制度』は当事者団体のみなさまがサポートして下さいましたが、条例はまさに『ひとりきりの闘い』という感じでした)

そんなフジノにとって強い援軍が現れました。

審議会の委員を務めておられる、金井淑子先生です!

前回(第2回)の議論では、当事者のみなさまやフジノの想いを代弁するかのように事務局案をバッサリと改めて下さいました。

力強く審議会の場で発言を繰り返して下さったのでした。

そして、今日開催の第3回の男女共同参画審議会では、金井先生を中心として作られた新たな『審議会案』が発表されることになっていました。

今日が来るのをフジノはドキドキしながら待っていました。

新たな「審議会案」が発表されました!

けさ10時スタートの審議会に、もちろんフジノは傍聴に向かいました。

2018年度第3回男女共同参画審議会
2018年度第3回男女共同参画審議会


昨晩は1時間半しか寝ていなくてフラフラでしたが、コーヒーやエナジードリンクをがぶ飲みしてカフェインを脳みそに送り込みました。

とにかく一刻も早く新たな『審議会案』を読みたくてたまりませんでした。

2018年度第3回・男女共同参画審議会のプログラム
2018年度第3回・男女共同参画審議会のプログラム


審議会で示された『審議会案』をさっそくご紹介しますね!

左側が事務局案、右側が今日示された審議会案です。

赤い太文字に蛍光ペンを引いたのが、具体的に改正する文言にあたります。

事務局案審議会案
名称名称
男女共同参画推進条例男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例
前文前文
性別などにかかわらず共に喜びと責任を分かち合い、生き生きと暮らせる平和な社会を実現することはすべての人々の願いであり、職場、学校、地域その他のあらゆる場で共に活躍することができること及び子育て、介護については家族が互いに協力し、社会全体として担うことが、成熟した豊かな21世紀の社会を創るための最重要課題といえます。

本市では、横須賀市基本計画の中に男女共同参画の形成を位置づけ、性別格差の解消や対等な参画機会の確保に向け多くの取組みを続けてきました。

しかし、いまなお性別によって役割を分ける慣行や、それを助長する制度の存在は、実質的な男女の平等を大きく妨げております。また、性的指向や性自認等を理由とする差別や偏見等の課題もあり、横須賀市を構成する、市、市民及び事業者は、これを早急に改善すべき問題として認識し、協働して、あらゆる手立てを講じていく必要があります。

一方、地方分権が進む中、市は必要なことは自らの条例で定め、市民と共に真の住民自治を実現していくことが求められています。

こうした状況を踏まえ、本市では、全ての人が、性別等にかかわらず個人として尊重され、あらゆる分野における活動に男女が協力し、互いに個性と能力を発揮し、その利益を享受できる社会を実現するために、この条例を制定するものです。

生物学的な性別、性的指向、性自認等にかかわらず、すべての人が生きる喜びと責任を分かち合い、職場、学校、地域その他のあらゆる場で共に活躍することができる社会、及び子育てや介護が人びとの多様な価値観と生き方の中で享受、分担され、それを支える制度的な環境が整えられている社会の実現は、成熟した豊かな21世紀の社会を創るための最重要課題といえます。

本市では、横須市基本計画の中に男女共同参画の形成を位置づけ、性別格差の解消や対等な参画機会の確保に向け多くの取組みを続けてきました。

しかし、いまなお「性別」によって役割を分ける慣行や意識、それを助長する制度は残存し続け、実質的な男女の平等を阻んでいる現実があります。さらに、近年では、「性的指向や性自認等を理由とする差別や偏見の解消」に向けた取組みを求める声が強まっています。それは「性別」を男女軸だけで考えることを当然視してきた社会に対する、生き難さを抱えてきた当事者たちからの切実な要求です。

横須賀市を構成する、市、市民、教育関係者で及び事業者等は、このことの意味と課題の重要性を深く認識し、協働して、あらゆる手立てを講じ、その解決・実現に向けた努力をしていくことが問われています。

横須賀市は、上記の男女共同参画推進に託された現代的課題の重要性に鑑み、「性別等による偏りのない社会」「誰もが活躍できる社会」「誰も孤立させない社会」の実現を目指すことを決意し、ここに、この条例を制定するものです。

目的目的
第1条
この条例は、男女共同参画の推進に関し基本理念、責務、市が実施する施策の基本的な事項等を定め、市、市民及び事業者が協働し、男女共同参画の着実な推進を図り、もって、全ての人が性別等にかかわらず個人として尊重され、家庭生活及び地域生活並びに職業生活において、主体的に行動できる社会を形成することに寄与することを目的とする。
第1条
この条例は、男女共同参画の推進に関し基本理念、責務、市が実施する施策の基本的な事項等を定め、市、市民、教育関係者及び事業者等が協働し、男女共同参画の着実な推進を図り、もって、全ての人が生物学的な性別、性的指向、性自認等にかかわらず個人として尊重され、家庭生活及び地域生活並びに職業生活において、主体的に行動できる社会を形成することに寄与することを目的とする。
定義定義
第2条
 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 男女共同参画 全ての人が性別等にかかわらず個人として尊重され、家庭生活及び地域生活並びに職業生活において対等に参画し、並びに個性及び能力を発揮し、それらの利益を享受し、かつ、共に責任を負うことをいう。
(2) 性別等  生物学的な性別及び性自認(自己の性別についての認識をいう。以下同じ。) 並びに性的指向(どの性別を恋愛の対象にするかを表すものをいう。以下同じ。)をいう。
(3) 事業者 本市の区域内に事務所又は事業所を有する個人又は法人その他団体をいう。
(4) 協働 市、市民及び事業者が、共通の目標を達成するために、継続的で対等な協力関係を形成し、それぞれが単独で行うよりもよい効果をあげるように、能力、情報等を提供し合うことをいう。
(5) 暴力 ドメスティック・バイオレンス(夫婦、恋人等の親密な関係並びに離婚をし、又は婚姻が取り消された後の関係及び婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入った後の関係において行われる身体的、精神的、経済的等の強制)、セクシュアル・ハラスメント(相手が望まない性的な言動により、不利益を与え、又は生活環境を害すること)、強かん、ストーカー行為、放置、無視等の心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)男女共同参画 全ての人が、生物学的な性別、性的指向、性自認等にかかわらず個人として尊重され、家庭生活及び地域生活並びに職業生活など社会のあらゆる分野における活動において対等に参画し、その個性及び能力を発揮することをいう。
(2)性別等 生物学的な性別及び性的指向並びに性自認等をいう。
(3)性的指向 異性を対象とする異性愛、同性を対象とする同性愛、男女両方を対象とする両性愛、いずれも対象としない無性愛等の、人の恋愛や性愛がどのような性を対象とするかを示す概念をいう。
(4)性自認 自分が女性または男性であるか、その中間であるか、そのどちらでもないか、流動的であるか等の自らの性に対する自己認識をいう。
(5)
事業者等 営利・非営利にかかわらず、本市の区域内に事務所又は事業所を有する個人又は法人その他団体をいう。
(6)協働 市、市民、教育関係者及び事業者等が、共通の目標を達成するために、継続的で対等な協力関係を形成し、それぞれが単独で行うよりもよい効果をあげるように、能力、情報等を提供し合うことをいう。
(7)暴力 ドメスティック・バイオレンス(夫婦、恋人等の親密な関係並びに離婚をし、又は婚姻が取り消された後の関係及び婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入った後の関係において行われる身体的、精神的、経済的等の強制)、セクシュアル・ハラスメント(相手が望まない性的な言動により、不利益を与え、又は生活環境を害すること)、強制性交等、ストーカー行為、放置、無視等の心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
(8)教育関係者 市内において学校教育、社会教育、その他あらゆる教育に携わる個人及び法人その他の団体をいう。

条例は25条まであるので、第3条以降は次の記事に記します。

でも、はじめの第2条まででも十分に『事務局案』とは根本的に変わったのが分かりますよね?

フジノは傍聴席でひそかにガッツポーズをとりました。

もちろん細かい点で納得いかないことはたくさんあります。

けれども『事務局案』のままだったらと考えるとゾッとしてしまいます。

フジノが考えた案とは異なりますが、そもそも条例の名前が変わって本当に良かったです。

横須賀市男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例

名は体を表す訳ですから本当に良かったです。

(次の記事に続きます)

2018年度第3回男女共同参画審議会

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