2025年12月議会・議案への質疑

藤野英明です。よろしくお願い致します。

上地市長への質問に立つ藤野英明

1.物価高騰対策支援金給付事業にかかる補正について

議案第147号令和7年度横須賀市一般会計補正予算(第7号)について、僕は、この後に議案が付託される予定の民生常任委員会に所属する委員ではありますが、政策を意思決定した市長ご本人のお考えを伺う必要がある為、質疑をさせていただきます。

(1)国による物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の交付額の決定前に給付額を発信した問題について

 市長は、12月16日「YRPでの自動運転バスについて」の定例記者会見を行ないました。その後半の自由質疑の時間において、神奈川新聞の記者から物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(以下、重点支援交付金と省略します)の本市の活用方針を問われた市長は、市民全員に現金5000円を給付する方針であると回答しました。

 その日の夜、神奈川新聞がインターネット記事として配信すると全国から注目を集め、すさまじい閲覧数となりました。

2025年12月16日・神奈川新聞・記事より

 全国の自治体が重点支援交付金の扱いに苦慮する中でスピード感を持って明確な方針を力強く打ち出した本市の姿勢が大きな反響をもたらしたのです。

 世論調査で評価の低いおこめ券ではなく、横須賀市民全員が一律に5000円の現金給付を受けられるというニュースは、SNS上でも、市民の方から頂いた生の声でも、高い評価をもって受け止められました。

 しかしその2日後、本市は現金給付の金額5000円を6000円に訂正することになりました。

横須賀市は全市民に現金6000円を給付する方針です

 記者会見をした12月16日時点で本市は、事前に国から示されていた交付金の規模に基づいて重点支援交付金は25億円と見込んでおり、それに基づいて給付額は1人5000円と積算をしていました。

 けれども16日夕方に国から重点支援交付金の確定した金額を伝える交付限度額通知が届くと、実際は31億5000万円と本市の積算を上回っていたのです。その為、12月18日には給付額を1000円上積みし、6000円へ修正することとなりました。

 国からの交付限度額通知が届く前に、つまり財源が未確定の段階で給付額を確定したものとして発信したことは大きな問題であったと指摘せざるを得ません。

 たまたま今回は給付額を1000円も上積みする結果となったから良かったものの、報道によって市民のみなさまに知れ渡った給付額をもしも下回る結果となっていたならば、例えば4000円や3000円に減らさねばならなかったとしたら、膨らんだ期待感からの強い反動で、市民のみなさまの失望や怒りは計り知れないものとなっていたはずです。

 このもしもの事態を想定すると、今回の市長の記者会見での対応に問題を感じました。

①財源が未確定の状態であるにもかかわらず
②強力な情報発信力を持つ上地市長が
③全国的に強い関心を持たれているテーマについて
④確定したものとして記者会見の場でお答えしてしまった事

 これは問題であった、と僕は批判せずにはいられません。

 国の交付額が決定して財源が確定した後に情報発信すべきだったのではないでしょうか。

 そこで市長に伺います。

(質問1)
 この指摘についてどのようにお考えかお聞かせ下さい。

→市長の答弁へ

(2)重点支援交付金活用事業として「全市民一律の現金給付」を選択した理由について

 今回成立した国の18.3兆円の補正予算の内「生活の安全保障・物価高への対応」において重点支援交付金の拡充として2兆円が全国の自治体に配分されることになりました。

 内閣府から示された推奨事業は大きく5つの分野に分かれており、様々なメニューが具体的に示されていました。

内閣府から示された推奨事業

 例えば、プレミアム商品券、電子クーポン、地域ポイント、いわゆるお米券、現物給付、LPガス使用世帯への給付等の支援、小中学校等における学校給食費の支援、水道料金の減免、省エネ性能の高いエアコン・給湯器への買い換え支援などです。

 全国の自治体がそのどれを選ぶか決断に苦慮していますが、今回、本市では「全市民への現金給付」を選択しました。

 さきの質問で述べた記者会見の内容が報じられると様々なご意見が市民の中からあがりました。おおむね現金給付に賛成する声が多いものの、「おこめ券やプレミアム商品券でなければ消費に回らず貯金する人もいる。それでは物価高対策にならない」などの声もありました。

 さきの新聞報道によると市長は「物価高の対策なので、直接現金をお渡しするのが妥当だろう」との考えを示した、とのことです。

 僕自身は、今回の重点支援交付金の推奨事業が示された時、水道料金の減免か現金給付の2つが最も効果的だろうと考えました。全ての世帯にとって不可欠なのが、水と現金だからです。
 
 そうした様々な市民のみなさまの声に対して、何故ほかのメニューではなくあえて現金給付を選んだのか、市長は説明責任を果たす必要があります。

 そこで市長に伺います。

(質問2)
 何故あえて「全市民一律の現金給付」を決断されたのか、お聞かせ下さい。

→市長の答弁へ

(3)重点支援交付金活用事業の検討における給付金による世帯間・世代間の分断への配慮および現状に対する認識について

 振り返れば、コロナ禍以降、何度も何度も給付金が配られてきました。

 そしてそのたびに、支給対象か否かによって「世帯間」や「世代間」に深刻な分断が生まれてきました。先の12月定例議会での「物価高対応子育て応援手当」の補正予算を可決した後、多くの市民の方から「何故、子育て世帯だけが優遇されるのか」「物価高騰に苦しんでいるのは全ての世帯だ」と厳しいお声を頂きました。

 長引く不況や物価高騰の中においては、より困窮に追い込まれる世帯に手厚く対応するのは政治の当然の対応ではあります。しかし厳しい暮らしが長期化する中で市民は疲弊し、他者への思いやりを持つことも現実的には難しくなってきていることを感じます。

 こうしたことから、かねてより僕は「分断が生まれるような給付金のあり方はおかしい」と訴えてきました。

 さきの12月定例議会の委員会審査においても、今後の重点支援交付金の扱いについては「世帯間」「世代間」による分断につながらないように、物価高騰に直面している全ての人々が少しでも生活が楽になるような取り組みを行なうべきと訴えました。

 そこで市長に伺います。

(質問3)
 今回の重点支援交付金の使い途を決断するにあたって、こうした「世帯間」「世代間」の分断を解消する必要性をお考えになったのかどうか、お聞かせ下さい。

(質問4)
 あわせて、繰り返される給付金の給付によって、支給される・支給されない「世帯間」「世代間」で分断が起こっている現状についてどのようにお考えか、お聞かせ下さい。

→質問3・4への市長の答弁はこちら

 以上で1問目の質疑を終わります。答弁によっては再質問を一問一答方式で行ないます。

市長の答弁

 まず、給付額の発信についてです。

 重点支援地方交付金の交付額の積算については、11月21日の閣議決定後に内閣府から前年度交付額の330%以上となる見込みと通知されていました。

 横須賀市の前年度交付額は約7.5億円ですので、少なくともその3.3倍である約25億円以上は交付されるという見込みのものと支援策を検討した結果、全市民5,000円を給付すると方針を決めました。

 国の物価高騰対策に関する議論が進み他自治体の支援策が報道される、と市民の方から「横須賀はおこめ券を配るのか」「いつ決まるのか」というお問い合わせが増えてまいりました。

 「検討中」とお答えしてもなかなか納得が頂けず、「みんな困っている」「早く方針を打ち出すべき」との意見も日に日に多くなっていたのは事実です。また複数の記者からも同様のお尋ねがありました。

 そのような状況の中、12月16日の記者会見で記者からのご質問を受けました。私としては単に「検討中」とお答えするのではなく、現時点での市の考えを伝えるべきと考え、現金給付の方針をお答えをしたところです。

 給付額の変更についても翌日すみやかに市議会と報道機関に対してはご説明をしており、問題があったとは考えていません。

 慎重な情報発信の必要性は当然のことながら理解をしています。

 しかし今回はおこめ券の是非などが事前に展開され、市民の関心も高まっていた為に市民の皆さんに不安を感じさせない為にも市としての方向性を早くお示しすることが重要ではないかというお考えで対応をいたしました。

 次に全市民一律の現金給付についてです。

 まず前提として、今回交付される重点支援地方交付金は31.5億円のうち13.3億円は食料品の物価高騰への支援を必ず実施するように設けられた『特別加算』で、具体的な事業内容は地域の実情に応じて各市町村において判断することになっています。

 『特別加算分』の活用については先ほどからお話したように、現金給付以外の選択肢としておこめ券、プレミアム商品券、低所得者への給付金、上下水道料金の減免なども検討をいたしました。あわせて他の自治体が発表する事業に対する反応なども参考にさせていただきました。

 まずおこめ券は基本的にはお米しか買えないこと、印刷代、発送代などの経費が大きいこと、使える店舗が限られていることから選択はしませんでした。

 またプレミアム商品券は経済効果としてはとても大きい事業ですが、購入するために元手を用意する必要があります。過去の実績から購入できる方は市民の約18%と支援を受けられる方が限られていることから今回は見送りました。

 低所得者への給付金も検討しましたが、例えば非課税世帯は約27%です。物価高は課税世帯、非課税世帯にかかわらず影響がありますので、これも見送りました。

 上下水道料金の減免も検討いたしました。確かに上下水道料金の減免は全ての方に必要なインフラに対し事務費をほとんどかけずにすみやかに支援できるというメリットがありました。ただ、横須賀市の場合は先月の12月定例議会でご報告したとおり、企業会計の経営改善の為、令和8年10月と令和10年4月と2段階で料金を改定する条例改正議案を令和8年3月定例議会で提出する予定になっています。減免後、元の料金に戻り、また上がるということは政策として理解をいただけないかという判断をしました。

 現金給付は貯蓄金に回る可能性があるとの指摘もありますが、食料品や物価高騰の中では6000円という金額であれば日々の生活で消費される可能性が非常に高いのではないかと考えています。

 こうした様々な検討を重ねた結果、今回は経済対策の側面より物価高騰対策であるということに主眼を置き、 当然のことではありますが、対象や使いみちを限定せず、より多くの方に支援を実感いただける案としての市民全員への6,000円の現金給付を選択しました。

 次に分断への配慮についてです。

 今回の交付金の目的は物価高騰に対する生活者支援です。その為、課税世帯か非課税世帯か、また子育て世帯かなどの違いによって対象が限定されることの無いよう、 多くの方に行き渡ることを重視し、全市民を対象に現金給付としております。

 藤野議員のご指摘の通り、大変残念なことではありますが、長引く不況や物価高騰の中においては不安や不満を感じて、どうしても他人を思いやることが難しくなると思います。

 こうした現状において、行政の施策の選択によって藤野議員のおっしゃる分断が生まれてしまうということを、言い換えるならば、市民の間に不公平感が広まることは厳に避けなければならないと思っています。

 今後の交付金の活用についてもこうした考えをしっかりとお伝えし、理解をいただけるよう努めていきたいと思います。

 以上です。

フジノの再質問

 市長、ご答弁ありがとうございました。 1年10か月ぶりにこの場に立って、市長の生の声でご答弁いただけることを本当にありがたく感じています。 その上で、質疑を行なわせていただきたいと思います。

 まず1点目、強力な発信力を持つ上地市長であるからこそ慎重であってほしかった。 具体的には、交付額が決定した後にご発言いただきたかったというのが率直な想いです。

 何故ならば、確かに国は前年度より330%を超える交付金を交付するよというふうに連絡はしてきていたものの、 それが必ず実現するものであるかどうかというのは、 これまでも地方交付税交付金のことをずっと考えてくると本当にそうなるかどうかというのは最後の最後まで分からないというのが、 僕の正直な感想です。

 1番恐れているのが、もし5,000円を下回らざるを得ないような状況になった場合、 例えば、考えがたいですけれども20%だったり、150%だったという場合では、市の一般財源を持ち出してでも5,000円をキープするのか、あるいは「4、000円でお許し下さい」「3,000円に修正します、お許し下さい」というふうにお伝えするのか。

 かなり難しい。政策決定としては難しくないんですけれども、 ご理解をいただくというのはかなり難しい状況に追い込まれてしまうのではないかというふうに心配をいたしました。

 今回は全てうまく収まったと思っています。 市民の方にとっては5,000円という期待感がさらに1,000円上回った。記者の方は一刻も早くその情報を入手したいでしょうから、 神奈川新聞さんにおかれては「特ダネだな」というふうに率直に感じましたし、記者として有能なんだろうなというふうにも感じました。

 ただ今後についてはやはりこれはもう一度慎重になっていただくことをご検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

市長の答弁

 現下の政治状況において、社会状況において、 現政権が330%以上という、これ(満額交付されること)は当然だというふうに確信をしていました。 (交付額が下がることは)あり得ない、今回の場合は。

 ただ次の段階において、 地方交付税等、様々なことを扱っている自分としては、 そういう状況があること(地方交付税交付金が見込みを下回ること)は当然のことながら考えるのですが、

 今回の場合はいち早くお伝えをした方が良かったということ。

 フライングととは思っていなくて、実は330%以上であるというのは、 当然ながら現政権で、現状で「(交付金は330%以上)あるに決まっている」ということに確信を持っていたからやった訳で、 それを早くお伝えしたかったということだということでご理解を下さい。

 今後、これ以外についても、もちろん様々なことをやってきていますので、 当然のことながら、それは慎重にやらざるを得ないというのも よく理解をしていますが、これは、一刻も早くお伝えをしたかったということだけでご理解をいただきたいと思います。

フジノの再質問

 例えば、昨日報道発表された『物価高対応子育て応援手当』の支給が1か月も早くなったこと、これは市の職員のみなさんの血のにじむようなご努力のおかげというふうに聞いています。こういう発表というのは本当に素晴らしくて、後から「(支給が)早くなるよ」というふうに教えていただくというのはみなさん嬉しいことだから本当に良いことだと思うんです。

 繰り返しになりますが、逆に下がるようなことがあった時のその期待感の裏返しというのは本当に大きなものが予想されるというか、例えばこのSNSの時代、本当に一瞬で20万人ぐらいがバッと見てしまうような状況がある。

 フライングでは無かったとは思います。報道発表をどんどん積極的にしていただく市長の発信力の強さは大切だと思うんですが、でもいま一度、慎重になっていただきたい。ここは改めて苦言を呈したいと思います。

 続いて『何故現金給付なのか説明責任を果たす必要性』について再質問をいたします。

 現金給付を選択された理由についてはよくよく承知いたしました。ありがとうございます。

 今回再質問として伺いたかったのは「重点支援交付金が大きく増えました。それにもかかわらずアップは1,000円の幅にとどまりました」という見方もできると思うんです。

 例えば大阪府寝屋川市などでは現金給付を1万3,000円という形にしています。

 給付額合戦になっては絶対にいけないと思うんですが、一方で、こういう選択肢を取るということも自治体によってはある訳です。

 本市は31億4,954万9,000円の重点支援交付金ですから6,000円の支援金を6,500円であっても7,000円であっても良かったと思う。そんな中で本来金額をさらに上げることもできたはずという中であえて6,000円にとどめた根拠についてお聞かせいただければと思います。

財務部長の答弁

 交付額は全体として増えましたけれども、先ほど答弁の中でもありましたが、いわゆる食料品の『特別加算』っていうのは限られたものになっています。

 ですので、今回5,000円をいくらまで上げようかといった時に、その他の生活者支援であったりとか、あと事業者の支援ということもこの後行なっていかなければいけませんので、それぞれのボリューム感とかバランスを踏まえて「6,000円が適当だろう」ということで決定をいたしました。そのように市長に進言をいたしました。

フジノの再質問

 ありがとうございます。

 市民のみなさまにとっては国も県も市も無い中で、いくらこちらが「国の重点支援交付金だよ」というふうにご説明をしてもなかなかその金額についてご理解いただけないところが、正直僕自身、市民の方と接していて感じるところがあります。

 「(重点支援交付金の使いみちは)この6000円で終わりでは無いんだよ。来年度予算にも反映されるんだよ」ということを積極的に発信していきたいというふうに個人的には感じております。

 最後の質問に移ります。ご答弁ありがとうございました。

 繰り返される給付金行政によって、本当に残念なことに、確かに「世帯間」「世代間」の分断というのは起こっているのを感じます。それに対する市長のご認識を伺いました。「不公平感は可能な限りなくさなければならない」という力強いお答えをいただけたと思っています。

 その一方で、これからも政府が発案をしてくる給付金はやはり特定の世帯や特定の世代を手厚く支援するものにならざるを得ないと思います。これは政治の要諦ですから、そうならざるを得ないと思います。

 では横須賀市はどうするかというのを考えた時に、こちらも今日横須賀市公式Xアカウントで発信していただきましたが、本市は年末年始も市役所を開庁していただく。

横須賀市公式エックスアカウントで広報された「年末年始の生活困窮相談」の日時と場所について

 こういう(全市的な福祉の)取り組みをしっかりずっとやってきている。

 お金だけじゃない。ほっとかんをはじめとするオール横須賀で総ぐるみで市民のみなさまを支える取り組みを行なってきている。こういう取り組みもさらにさらに強く発信をしていっていただきたい。

 「誰も一人にさせないまち」を掲げる上地市長がそれを実現する為に給付金以外のあらゆる側面から全ての世帯・全ての世代が安心して公平感をもって暮らせる取り組みをすでに行なっているんだと。そのことをもっともっと発信していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

市長の答弁

 ありがとうございます。

 毎度申し上げているように様々なことをやっているのですけれども、発信の仕方が(弱い)。

 私は(様々な福祉的な取り組みを)やるのは人の為に当たり前だと思っているのですが、発信の仕方がまずいので、色々考えさせていただきながら、たぶん他に例を見ないようだと様々なことをやっていると思いますので、それはもう一度検討してぜひ発信をさせていただきたいと思います。

 ご指摘をありがとうございます。

フジノの意見

 ありがとうございました。

 本日クリスマスイブという中で、議員のみなさまにも理事者のみなさまにもこうして集まっていただきました。この後、この議案については(僕は)同じ想いを持っておりますので、無事に可決・成立をして、そして「6,000円の全市民一律現金給付が実現するんだよ」ということをクリスマスプレゼントとして市民のみなさまにお届けできればいいなというふうに心から願っています。

 ありがとうございました。終わります。