ついに神奈川県でも「地域医療構想」づくりがスタート/「神奈川県保健医療計画推進会議」へ(その2)

前の記事から続いています)

病院・有床診療所は「病床機能」を報告しなければならなくなりました

まず、この『地域医療構想』の為に、昨年、全国の病院・有床診療所は、自分たちの病棟ごとの医療機能を都道府県に『報告』しました。

病床機能報告制度がスタートしました

病床機能報告制度がスタートしました


機能とは何かというと、下の4つです。

高度急性期
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能
急性期
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能
回復期
急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能

特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)

慢性期
長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能
長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能

もう少しかみくだいてご説明しますね。

  • かなり重い病気やケガによって一番生命の危機にある時期を扱う『高度急性期』
  • 一般的な病気やケガを治療して安定させるまでの時期を扱う『急性期』
  • 危機を脱したけれどまだ医療が必要な方々の為の『回復期』
  • フジノの父のように植物状態の方々やそれほど多くの治療などは不要な方の『慢性期』

この4つの機能に分けて、現在と将来について都道府県に報告したのです。

  • 2014年現在の機能はなにか?
  • 6年後の機能はなにか?



(神奈川県の病院・有床診療所による病床機能報告制度の結果はこちらです)



何故わざわざこんな「報告」をさせたのか?

このままでは日本の医療・介護・福祉が崩壊するという大きく2つの理由があることは、前回のブログにも書いたとおりです。

今、政府は医療費の伸びをとにかく減らしたいので、財務省は厚生労働省をはじめ積極的に病床(病院数・ベット数)を減らすように強い圧力をかけています。

また、日本の医療・介護・福祉のあらゆる資源は足りていません。

そこで、重い病気やケガの治療だけに徹底的に重点を置いた高度急性期・急性期と、それ以外を徹底的に分けることで対応することに決めたのです。

日本では今までは『フリーアクセス』といって誰でもかかりたい病院・診療所に行けば医療を受けることができましたが、これからは本当に重い重篤な危機的な方々しか『急性期機能』の病棟での治療は受けられなくなります。

『フリーアクセス』はやがて無くなり、まずは誰もが『かかりつけ医』(行きつけの診療所)を持たねばならなくなります。

そして、ふだんは『かかりつけ医』のみ。

ひどく重くなった時だけ『急性期機能』のある病院へ、急性期が過ぎたらすぐに大半の方々は自宅に戻ることになります。さらに医療が必要な方々だけが『回復期機能』のある病院へと転院になります。

『回復期』で一定の治療が終わった方の大半は、自宅へ戻るか高齢者福祉施設・障がい福祉施設へ入所することになります。

その後も何らかの医療が必要な方だけが『慢性期機能』のある病棟へ転院することになります。

厚生労働省「医療機関の医療機能の分化・連携の推進」より

厚生労働省「医療機関の医療機能の分化・連携の推進」より


そこで、今回の『病床機能報告制度』をもとにして、在るべき姿を都道府県ごとに決めていくことにしました。

高度急性期の病棟はどれくらいあれば良いか。急性期の病棟が少なすぎないか。あるいは逆に多すぎないか。

といった具合いに。

それが『地域医療構想』なのです。



このシステムチェンジは良いことか?

フジノなりにメリットとデメリットを書いてみました。

  • メリット
    病院中心の生活ではなくなり、誰もが住み慣れた自宅で医療・福祉・介護を受けながら自分らしい暮らしができる。

    2025~2050年に向けて圧倒的に増える恒例の方々を前にして今後は医療人材も医療資源も確実に足りなくなり、今改革を実現しなければ医療崩壊が起こりうる。それを防ぐことができる。

  • デメリット
    今までのように完全に症状が落ち着くまで病院は滞在することはできなくなる。

    入院した日のうちに退院に向けた目まぐるしい動きの中に放り出され、ただでさえ病気やケガで苦しむ患者さんは自分の意志もよく分からないままに置いてきぼりにされてしまいかねない。

    実際には病院の数だけ減らされてしまい、地域の介護・福祉サービス(例えば24時間対応型の訪問看護やヘルパー、小規模多機能型居宅介護など)が足りないままに自宅へと追い返されてしまいかねない。

つまるところ、「絶対に2050年に向けて改革をやらなければならない」という危機感はフジノも全く賛成です。

しかし、一方でこのまちに介護・福祉サービスは足りていません。

十分な質と量の介護・福祉サービスと、同時に在宅療養・在宅看取りなど地域へどんどん出て下さるドクターがもっともっと増えていかねば絶対に地域包括ケアは実現しません。

安心できる未来が待っているか否かは、まさにあなたやフジノたちにかかっています。

地域包括ケア実現の為に、このまちの政治を大きく動かしていかねば明るい未来はありません。




次の記事に続きます)



ついに神奈川県でも「地域医療構想」づくりがスタート/「神奈川県保健医療計画推進会議」へ(その1)

全国の都道府県が新たに「地域医療構想」を作ります

地域包括ケアの実現。

その為に、フジノが今年度最も注目しているのが『地域医療構想』です。

今までの「医療計画」の中に新たに「地域医療構想」を作らねばなりません

今までの「医療計画」の中に新たに「地域医療構想」を作らねばなりません


全国の都道府県は、新たに『地域医療構想』を2016年なかばまでに作らねばなりません。

「ああ、また聞きなれない『専門用語』が出てきたな」

あなたはそうお感じになりましたよね?

実はフジノもです(苦笑)



何故、新たな改革が必要なのか?

今のままでは、2025年~2050年に向けて、確実にわが国の医療・介護は崩壊します。

現在進行形の課題

  • 『高齢者数』の『圧倒的な増加』
    →特に75才以上の方々の数が増えます

  • 『疾病構造』の『圧倒的な変化』
    →今のままでは対応しきれなくなります

  • 医療人材・福祉人材の圧倒的な不足
    →今でさえ足りていません

脅しでも何でもありません。

このままでは確実に『医療難民』『介護難民』『看取り難民』が大量に発生する、悲しい未来が待っています。

そんな未来は絶対にダメです!

そこで政府は、改革として『これからの地域の医療・介護を確保していく仕組み』を下のように考えました。

厚生労働省資料「地域医療・介護の総合的な確保の仕組み」より

厚生労働省資料「地域医療・介護の総合的な確保の仕組み」より


改革の仕組みを実現する為に新たな法律(医療介護総合確保推進法)を作りました。

政府が考えている「改革後の姿」

政府が考えている「改革後の姿」


これらを全て実現させられたらこんな未来になります、と政府は上の図のように考えています。



「地域医療構想」とはどんな中身なのか?

2025年はわずか10年後です。

時間は待ってくれないので、同時進行でやらねばならない改革の取り組みがたくさんあります。

その重要な1つが『地域医療構想』なのです。

もう1度、改革の図を観てみましょう。

厚生労働省資料「地域医療・介護の総合的な確保の仕組み」より

厚生労働省資料「地域医療・介護の総合的な確保の仕組み」より


図の真ん中に『医療計画』とあります。

これはフジノがずっと追いかけ続けてきた『医療計画』(神奈川県では『保健医療計画』と呼んでいます)のことです。

この『医療計画』の一部として新たに『地域医療構想』を定めなければならなくなったのです。

ではその具体的な中身はどんなかというと…。

地域医療構想(ビジョン)の内容

  1. 2025年の『医療需要』
    →入院・外来別・疾患別患者数 等

  2. 2025年に『目指すべき医療提供体制』
    →二次医療圏等(在宅医療・地域包括ケアについては市町村)ごとの医療機能別の必要量

  3. 目指すべき医療提供体制を『実現するための施策』
    →(例)医療機能の分化・連携を進めるための施設設備、医療従事者の確保・養成等

今までも『医療計画』は第6期まで作ってきました。

しかし、もっと厳密に将来の姿をデータで細かく推計していくのです。

50年前の日本と今では、人口に占める年齢構成は完全に変わりました。

また、50年前の日本と今とではまるで別の国になったかのように、病気と障がいの種類や在り方も全く変化しました。

そこで、2025年〜2050年において必要な医療資源(どんな機能を持った、どんな疾病をみられる、どんな職種の人達が必要か)を完全に見直していくのです。

さらには、必要な医療資源(人・物・金など全て)をどうやって確保・養成していくのかも考えねばなりません。

こうした事柄を細かく細かく考えて、計画におとしこんでいくのが『地域医療構想』なのです。

すぐ目の前の未来(2025年はわずか10年後です)を今よりも悲惨なものにしない為に、地域の医療・福祉の在り方を大きく変えねばならないのです。

ここまで読んでもなかなか分かりづらいですよね?

それでもフジノなりに全力でかみくだいてご説明いたしますので、ぜひみなさまも次の記事にもついてきて下さいね。

どうかよろしくお願いします!

次の記事に続きます)



議論はもういい、早く実行すべきだ/「神奈川県地域医療支援センター」の立ち上げで横須賀・三浦の医師不足を克服できるか?

完全に出遅れた神奈川県の、「地域医療支援センター」立ち上げの議論の経過をチェックしにいきました

今日は、霞ヶ関から大急ぎで横浜・伊勢佐木長者町にある『神奈川県総合医療会館』に向かいました。

第4回となる『神奈川県医療対策協議会・地域料支援センター検討ワーキンググループ』が開かれたからです。

神奈川県医療対策協議会・第4回地域医療支援センター検討ワーキンググループ議事次第より

神奈川県医療対策協議会・第4回地域医療支援センター検討ワーキンググループ議事次第より


過去3回にわたってこの会議は開かれてきました。

第1回:2014年11月10日、第2回:2015年2月16日、第3回:2015年3月30日、です、

しかし、神奈川県ではすでに2012年12月の時点で黒岩知事が「検討したい」と発言していました。

にもかかわらず、会議の立ち上げが2年も遅れて2014年11月だったこともフジノにはまず疑問でした。

そして過去3回の議事録などを読むにつけても

「何故こんなにのろのろと議論を進めているんだ」

とフジノは焦りと怒りを感じながら見守ってきました。

2025年を迎える前にあらゆる取り組みが必要ですが、医療人材を育成することはとても大切なのに、医療政策の権限を持つ県の動きの鈍さにフジノは率直に『いらだち』を感じてきました。

そこで、今日は実際に会議の場に足を運んで、自ら傍聴することにしたのです。

神奈川県医療対策協議会の会場にて

神奈川県医療対策協議会の会場にて


実は、医師不足や医師の地域的偏りを解消する為の取り組みを議論する会議なのですが、この『センター設置』の取り組みが全国の中で神奈川県は完全に出遅れています。



国は全ての都道府県に「地域医療支援センター」設置を求めています

そもそもこの『地域医療支援センター』とは何かを簡単にご説明しますね。

2014年6月に成立した『医療介護総合確保推進法』において、全ての都道府県に『地域医療支援センター』の設置を求めています。

法成立後の、厚生労働省による各都道府県への説明資料より

法成立後の、厚生労働省による各都道府県への説明資料より


センターの部分だけ、大きく取り上げてみますね。

医師は足りないまちには全く足りないのですが、足りているところにはたくさんいます

医師は足りないまちには全く足りないのですが、足りているところにはたくさんいます


日本の医学部・医大を卒業した学生たちが医者になった後、「どの地域に行きなさい!」という命令を出すことはできません(*)

ですから、高い技術力や素晴らしいドクターがいる医大や病院には優秀な医師がどんどん集まります。そこで自らの腕を高めたいとい思うのは当然のことです。

(*)長年にわたって世界が注目しているキューバの医療は、社会主義国ということもありますが、1959年頃から、医学校の卒業生や新米の医師たちは最低限6ヶ月は農村で医師をすることを求められる代わりに高給が保障されるなど、キューバ革命の初期からへき地医療・農山村での医療に徹底的に力を入れてきました。

無料で医学校に入学できるかわりにへき地や農村での1年間働くことが義務とされました。

革命から50年が経った今も、WHOもキューバの医療の成果には強く注目しています。

一方の日本では、わが『横須賀・三浦2次保健医療圏』のように医師が足りないせいで『周産期医療』が厳しい地域もたくさんあります。

そこで政府は医師不足の地域をうまないように(偏りを無くす為に)法的な取り組みをスタートさせたのです。

厚生労働省がイメージしている『地域医療支援センター』とは、下のようなものです。

厚生労働省による「地域医療支援センター」イメージ図

厚生労働省による「地域医療支援センター」イメージ図


医療法上に、医師不足の医療機関の医師確保の支援等を行なう為に『地域医療支援センター』を明確に位置づけたのです。

医師は足りないまちには全く足りないのですが、足りているところにはたくさんいます

医師は足りないまちには全く足りないのですが、足りているところにはたくさんいます


法律に位置づけたのは2014年ですが、その前から各県が独自にスタートさせていました。

すでに2011年度以降、42道府県で合計2,170名の医師を各道府県内の医療機関へあっせん・派遣をするなどの実績を上げていました(2011年7月1日現在)。

先程も記しましたが、神奈川県ではすでに2012年暮れに黒岩知事が「設置に向けて検討したい」と発言していました。

それが伸びて、次は「今年2015年4月スタート」を目指していました。

2014年12月1日・神奈川県議会での黒岩知事の答弁より

医療介護総合確保推進法に基づく新たな財政支援を活用し、医療従事者を確保するための事業等を実施する経費を、今定例会に補正予算として提案したところです。

また、地域で不足している医師の確保については、医師の地域偏在解消に取り組むコントロールタワーとしての地域医療支援センターを来年度(2015年度)設置できるよう、このたび検討を開始しました。

それなのに、まだ議論をしているのです。

今回がワーキンググループでの議論は最終回のようです。

ただ。。。ワーキンググループの上に位置する『医療対策協議会』でさらに議論をするようです。

はっきり言って、何故こんなにのろのろと議論をしているのかフジノには全く理解できません。

医療に強いはずの黒岩知事なのに、とても残念です。

早くセンターをスタートさせるべきです。



2025年問題、それ以前に三浦半島の周産期医療を守る為に、神奈川県はもっと力を尽くしてほしい

『地域医療支援センター』はすでに他都県では設置されています。

神奈川県がこのようにとても遅れてスタートしたことは、県民のみなさまにとっては医師偏在解消に向けて大きなデメリットです。

ただし、他の成功例・失敗点を参考にすることができるメリットもあります。

絶対に失敗させないように、先行事例を学びながら慎重かつ大胆な取り組みをしてほしいです。しかも早く!

こういう強い怒りがたまりにたまっていたフジノは、神奈川県議会に社会保障政策に詳しい井坂しんやさんを県議として送り込まねばならない、という決意をしたのです。

もう『超少子・超高齢・多死社会』は進行していますし、1度目の最大の波が来る2025年は目の前です。

また、周産期医療が不十分で、こどもを産みたいおかあさんたちを守れないようなまちからはどんどん人が流出していきます。

フジノは横須賀の市議会議員として、神奈川県にもっと迅速な取り組みを強く求めます。

神奈川県知事を筆頭に、県庁の医療課のみなさま、医療政策の権限を持っているのは県です。

ならば、その責任を果たして下さい!

県議会ももっと厳しく県を追及して下さい!



「新たな財政支援制度」に向けて計画案を了承、明日、厚生労働省に提出します/県の「保健医療計画推進会議」へ

神奈川県保健医療計画推進会議が開催されました

今夜は、伊勢佐木長者町にある神奈川県総合医療開館へ向かいました。

『神奈川県保健医療計画推進会議』を傍聴する為です。

神奈川県保健医療計画推進会議の会場にて

神奈川県保健医療計画推進会議の会場にて


今日の議題は下のとおりです。

  1. 『新たな財政支援制度』について
  2. 平成26年度の病床整備に関する事前協議について
  3. 『神奈川県保健医療計画』の進行管理について

フジノは市議会の決算審査のまっただなかなので、決算だけに集中したいというのが本音です。

けれども、社会保障の大きな変化が起ころうとしている場には、とにかく自分自身が立ち会っていなければならないという想いも本音です。

今、医療・介護はさらに大きな変化のまっただなかにあります。

国では、医療介護総合確保推進法が成立して、19本の法律を一括して改正しました。

県では、医療介護確保推進法に基づく計画を作らねばなりません。

大量の資料が配られました(どれも大切)

大量の資料が配られました(どれも大切)


また、計画づくりからずっと追いかけてきた『第6期神奈川県保健医療計画』(平成25年度〜29年度)の、進捗状況も確認しなければなりません。

今夜の傍聴者は、フジノひとりきりでした。

いつもフジノ以外は傍聴者ゼロなのでいつも同じことを感じます。

神奈川県全体の医療を決める重要な場なのに、何故ほかに誰も傍聴に来ないのだろう。

ふつうの県民のみなさまはお忙しいことでしょうから、傍聴がゼロでもしかたがないと思います。

けれども、少なくとも県内の市町村議会議員の方々は『地域包括ケア』の実現や『医療人材の確保』を本気で考えているならば、この場に立ち会うべきだと毎回強く感じます。