横須賀市主催で初めて「不育症の研修会」を開催しました/日本の不育症治療の第一人者・杉俊隆さんを講師にお招きしました

横須賀市主催で初めて「不育症研修会」を開催しました

先日の活動日記で報告したとおり、ついに『不育症』の研修会が行なわれました。

不育症研修会の会場にて

不育症研修会の会場にて


横須賀市が主催して『不育症』の研修会を開いたのは初めてです(フジノの提案が実現して本当に嬉しかったです)。

約40名が参加して下さり、会場は満員となりました。

市議会からも、鈴木真知子議員をはじめ6名も参加してくれました(参加して下さったみなさん、本当にありがとうございます!)。

不育症研修会

不育症研修会


講師は、わが国の不育症の治療・研究の第一人者である杉俊隆先生(杉ウイメンズクリニック)です!

流産の基礎知識、不育症のリスク要因、統計データ、治療の方法などについて、お話を伺いました。



「不育症」は誰もがなりうる可能性があります

あまり知られていないことなのですが、『流産』はとても大きな割合で誰にでも起こりうることです。

『不育症』は決して珍しい病気ではありません。

例えば、2回以上続けて流産してしまう割合は、全ての女性のうち、4.2%にのぼります。

100人のうち、約4~5人の女性が2回以上続けての流産を体験しているのです。とても高い確率ですよね?

『不育症』の患者さんの数というのはものすごく多いのです。

例えば、神奈川県の人口に置き換えてみると、20才から45才までの女性の数は約100万人くらいですので、神奈川県では4万人くらいの女性が2回の流産を経験しており、1万人くらいの女性が3回の流産を経験していることになります。

つまり、誰にでも起こりうることなのです。

問題なのは、そんな高い確率で起こることなのにきちんと知られていないことです。

講師の杉俊隆先生

講師の杉俊隆先生


一方で、適切な治療を行えば85%の女性が無事に赤ちゃんを産むことができるということもまた事実です。治療がとても有効なのです。

だからこそ、男性も女性ももっと正しい情報を知ることができるように、また、必要な治療を誰もが受けられるように国をあげて取り組みを強化していくことが不可欠です。

杉俊隆先生のパワーポイント

杉俊隆先生のパワーポイント


まだまだ国の動きが鈍い中で、今回、横須賀市が独自にスタートさせる『不育症』の治療費への助成は、とても大きな意義があります。

地方から取り組みをどんどん行なっていくことによって、それはやがて国を動かします。

『不育症』への対策は、絶対に国全体の取り組みにしなければなりません。



横須賀市が新たに始める「不育症治療費助成」など

さて、まもなく10月1日から横須賀市がスタートする不育症の治療費への助成についての、市民のみなさま向けのチラシ・Q&A・協力医療機関リストです。どうかご覧下さいね。



残念ながら、専門的な診断・治療ができるのは、関東近辺ではわずかに14医療機関しかありません。

「厚生労働省研究班・研究者リンク」より

「厚生労働省研究班・研究者リンク」より


そして、専門的な知識や技術を持つドクターを急に増やすことはできません。

まずは市民のみなさまをはじめ、看護師・助産師・保健師などの方々に『不育症』の存在を知ってもらい、治療によって無事に出産ができるよう方が増えることをもっと理解してもらえたら、生まれてくることができるはずのたくさんの命が救われます。



アスピリンによる治療の期間を変えるように国に訴えていきたい

今日の研修会は、とても大切な第一歩でした。

これからもこうした機会を必ず増やしていきたいです。

杉先生の決めゼリフ「人事を尽くして天命を待て」

杉先生の決めゼリフ「人事を尽くして天命を待て」


杉先生の講演はとても分かりやすくて、何度お話をうかがっても(フジノは今回で5回目です)毎回、新しい学びがあります。

今日の講演をお聴きして、フジノは改めて国に働きかけていかねばならない課題を自覚しました。

それは、アスピリンによる治療の『期間』についてです。

バファリンなどでよく知られているアスピリンは、『不育症』で行なわれる2大療法の1つです。

低用量のアスピリンを服薬することが『不育症』の治療に大きな効果をもたらします。

実は、この低用量アスピリン療法は日本と欧米では『投与する期間』が大きく異なるのですね。

日本では独自の『妊娠28週ルール』というのが定められていて28週を過ぎたら投与することは『禁忌』とされています。28週を過ぎたらアスピリンはストップさせられてしまいます。

でも、欧米ではむしろ妊娠35週くらいまで投与を続ける方がより一般的とのことです。

フジノは、妊婦さんがより安定して妊娠を継続させられるように日本でも28週以降も低用量アスピリン療法を続けた方がいいと考えます。

けれども厚生労働省の『妊娠28週ルール』がある限り、日本の産婦人科のドクターは、そのルールに従わなければなりません。

横須賀市内の産婦人科のドクターのみなさまにフジノが「28週以降も投与を続け下さい!」といくらお願いしたとしても、今のままでは、不可能なのですね。

それを可能にするには、海外での治療成績についてのデータを示した上で、厚生労働省への働きかけとともに、政治の力でルールを変えていく必要があります。救われる命がより救われるようにしっかりとルールを変えていかねばならないのです。

ですから、今後、フジノは国に対してはこの活動を行なっていきます。

同時に、地元・横須賀では、まもなくスタートする治療費への助成を1人でも多くの方々に利用していただけるようにどんどん周知していきたいです。また、不妊相談の相談窓口で不育症の相談もできるようになることもしっかり広めていきたいです。

杉先生、本日はありがとうございました!

こども育成部長・こども健康課長をはじめ、今日の研修会の開催に尽力して下さったみなさん、そして、参加して下さったみなさまに深く感謝しております。ありがとうございました!



「不育症への公的支援」を横須賀市議会で初めてフジノが提案しました/教育福祉常任委員会(2011年9月議会)

不育症への公的支援を提案しました

今日は、教育福祉常任委員会(2日目)でした。

午後からは『所管事項についての質疑』だったのですが、これはちょうど本会議での『市長への一般質問』にあたります。

ここでは教育委員会・健康部・福祉部・こども育成部についてあらゆる質疑を行なうことができます。

そこで、フジノは大きく3つの問題を取り上げました。

  1. 学校給食の産地の公表の在り方を改善すべき
  2. (→教育委員会への質疑)

  3. 市立学校で使用する電力の購入を一般競争入札にすべき
  4. (→教育委員会への質疑)

  5. 不育症に対する公的な支援を行なうべき
  6. (→こども育成部への質疑)

3つの質疑の全てに対して、担当部署からは「前向きな対応を行なう」との答弁を受けました。

この中から、『不育症』についてのフジノの委員会質疑を報告します。



「不育症」に関するフジノの委員会質疑

2011年9月6日・教育福祉常任委員会の質疑より引用します。

フジノの質問

『不妊症』という言葉に似ている言葉で『不育症』という症状があります。

『不妊症』ほどには知られていないのですが、流産・死産・新生児の死亡ということを繰り返してしまって、結果的に子どもを持てないということを『不育症』と定義をしておりいます。

厚生労働省の研究班が最近推計を発表したのですが、妊娠をした経験のある女性の4.2%がこの『不育症』になっており、140万人が日本ではこの不育症になっているのではないかという発表が8月末にありました。

これを横須賀市にあてはめてみると、妊娠可能年齢は本当はもっと広いと思うのですが

20才から40才の女性は横須賀市には5万5,000人おられますから、あいだをとって3%くらいを推計値にあてはめると

横須賀でも1,650人くらい不育症で非常に困っている方々がいらっしゃる

という計算になります。

ただこの10年間くらいで研究が非常に進んで、治療を行なえば80%以上が出産できるといわれています。

残念ながら全国的に対策が進んでおりませんので、この問題点を指摘して横須賀市の対応を促したいと思います。

まず問題点の1番大きな点としては『治療に非常に多額の費用がかかること』です。

先日、『不育症ココロのセミナーin茅ヶ崎』という実際に不育症で困っておられる神奈川県内の方々の集まりに参加してお話をうかがってきたのですが

一般の妊婦さんが妊娠・出産にかかる費用が約60万円ほどで済んでいるところを

不育症の方々は平均で104万円、

ヘパリンの注射の治療をしておられる方は122万円、

というアンケート調査が出ています。

検査だけでも非常に費用がかかる。




また、2番目の問題点としては『そもそも「不育症」という症状について自体が知られていない為に流産を繰り返しておられる方がいらっしゃること』です。

3番目の問題点としては、医療者側の認知度も低い為に『治療できる専門の医療機関が少ないということ』が挙げられています。

こども育成部にまず伺いたいのですが、『不育症』の現状について市民の方からどのような声をお聞きしているのか、まずこの把握している点をお聞かせ下さい。

こども健康課長の答弁

こども健康課では、所管している4つの健康福祉センターおよびこども健康課の本課で妊娠に関する相談を受けています。

残念ながら、『不育症』に関しての相談はほとんど受けたことが無いという現状があります。

ただ、4つの健康福祉センターおよびこども健康課では、母子健康手帳交付時に保健師等による面接交付をしております。

母子健康手帳をお渡しする時に提出していただく妊娠届け出書の中には妊娠経過を把握するということができますので、妊娠経過を把握した時点でご相談があれば対応しているというのが現状でございます。

フジノの質問

まず現状の把握について、こども育成部のご答弁を頂きました。

ここで、4つの提案をさせていただきたいと思いますので、順次ご答弁をお願いします。

まず『不育症』という症状の『存在』について知られていないというふうに僕は考えます。

横須賀市として、『不妊症』についてはだいぶ周知啓発していただきましたので、同じように『不育症』についても周知をしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

こども健康課長の答弁

『不育症』自体の存在を知られていないという、今の藤野委員のご発言があったのですけれども、対応する職員も含めて、まず『不育症』そのものについての勉強を重ねていく必要があろうかというふうに認識しております。

フジノの質問

今、職員もまだ『不育症』について認識が弱い部分があるので職員も学んでいきたい、ということだったのですが

2番目の提案としては今のご答弁にも関わるのですが、ぜひ不妊相談窓口に『不育症』の項目も入れていただきたいということです。

職員の研修にもかかることとは思いますが、川崎市では『不妊専門相談センター』で『不育症』についても相談に乗るということを打ち出しました。




横須賀市ではすでに『不妊』については不妊に悩むご夫婦の相談にのる『不妊相談窓口』を設置されて、産婦人科医の医師と保健師の方々が面接相談を行なってくれています。

ぜひ研修を重ねて不妊相談窓口に『不育症』の相談も入れていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

こども健康課長の答弁

現在やっております不妊相談の窓口でございますが、こちらは『特定不妊支援事業』の中で行なっている事業でございますので

今ここで『不育症』の範疇のものもこの相談対応の中に入れるというようなことで即答することは大変難しゅうございます。

『不育症』そのものについての対応する側の対応力を高めるという部分での学習を重ねていくということについては取り組むことはできるかとは思いますが、

事業そのものを特定不妊の中に入れ込むということは今ここで申し上げることは難しいと答弁させていただきたいと思います。

フジノの質問

今の課長のご答弁は、特定不妊相談の事業に加える形では即答は難しいという答弁だと受け止めましたが

この不妊相談窓口に限らず、『不育症』の相談窓口をもちろんまず医療機関が整備することが必要だと思いますが

こども育成部として何らかの相談の体制を構築していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

こども育成部長の答弁

課長がお答えさせていただいたのは

「今行なっている事業の中で一緒にというのは難しい」

という意味で申し上げたと思います。

けれども、今窓口にご相談にいらっしゃる方、そして、これから妊娠して赤ちゃんを産もうという方に対して

『不妊症』というのがどういったものかということについての『窓口』というのはどこにも出ていないんですね。

そういった意味ではみなさんがどこに相談したらいいか分からないという部分もあろうかと思います。

赤ちゃんが欲しいけれども、せっかく妊娠したのにお母さんのおなかの中で正常に生まれるまで育ててあげられないという苦しい想いをされている方が大勢いらっしゃると思いますので

今後その方々にも「相談窓口はこちらで伺いますよ」というのを私どもの体制が整いしだいご案内していくようにしたいと思います。

フジノの質問

ぜひお願いしたいと思います。

『不育症』の治療についてはこの後も質問をするのですが、そもそもの相談カウンセリング体制が整っているかどうかというだけでもその後の出産率が高くなるということが分かっています。

ぜひ相談窓口を何らかの形で構築していただきたいと思います。

続いて、治療のサポートについてもぜひ行なっていただきたいと提案します。

6月1日時点の調べでは、すでに11の自治体がこの検査や治療費に対して助成を行なっています。

というのも、アスピリンの錠剤にしてもヘパリンの注射にしても保険の適用外になっておりまして、検査をするだけでも非常に費用がかかる。

治療を行なうというだけでも精神的に苦しいし、注射を1日2回打つというのも苦しいのですが、それに重ねて経済的な困難がのしかかってくる。

先ほどカウンセリングのお話もしましたが、精神的な苦痛も非常に大きい中で、ここまで経済的に厳しい治療をしなければおこさんを持つことができない、それは非常に残念なことだと思っています。

そして行政が支援すべきことだと思うのです。

近隣のまちでは大和市がこの10月、議会を通過すれば年30万円を上限とする助成をすると発表をしています。

(2011年8月27日付・神奈川新聞より)



横浜や川崎など近隣の自治体でも多くの議員が提案しているようです。

ぜひ横須賀市でも経済的な支援を考えていただきたいと思いますがいかがでしょうか?

こども育成部長の答弁

この『不育症』については、私どももしっかりと取り組んでいかなければならない問題だというふうに考えております。

先ほども課長が申し上げましたように、私どもの知識とかそういったものも整えまして

来年できるかどうかというお約束は今ここで申し上げられませんけれども

検討を続けていきたいと思います。

フジノの質問

そして最後になるのですが、やはりこの問題というのはあまねく日本全国で起こっていること、そして助成がなされていないというのも、国の研究が10年程度しか進んでいないということもあるのですが

何よりも政府がきちんとした方針を打ち出すことが必要だと思います。

保険適用もそもそも国が成すべきことですから、こういったことをしっかりと国の責任で行なうように横須賀市からも求めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

こども育成部長の答弁

そういったことにつきましても機会をとらえて声をあげていきたいと思います。

さあ、問題提起は行ないました。

フジノが問題提起をした以上は、もはや横須賀市はこの問題を知らないということも見て見ぬふりもできません。

横須賀市が新しいいのちの為にしっかり寄り添うことができるのか、市長は、ぜひしっかりとその姿勢を打ち出してほしいです。

『不育症』への公的な支援については今、想いを同じくする全国のたくさんの議員たちが一斉に問題提起を行なっています。

守ることができるいのちを、救うことができるいのちを、政治が動けば助けることができるいのちを

全身全霊をかけて大人たちが守り、救い、助けるのです。

下の画像は、厚生労働省研究班がつくったポスターです。

『不育症』は治療をすれば85%が出産にたどりつけると訴えています。




この横須賀市だけでも『不育症』の治療をすれば1,300人以上もの赤ちゃんが生まれてくることができるのです。

政治がちゃんと動けば、新しいいのちが誕生することができるのです。

だから、やるのです。

だから政治は絶対に動かなければいけない。

この問題は、子宮頸がん予防ワクチン・検診の無料化と全く同じ構造を持っています。

救うことができるいのちを守ろうとしない国の遅々とした対応ぶりに対して、地方政府がアクションを起こすことで、国を動かすのです。

全国の地方政府が動きを起こせば、必ず国を動かすことができます。

だから、横須賀市よ、がんばれ!

横須賀市が動けば、必ず国だって必ず動かすことができる。

『いのちを守る横須賀』を訴えているのだから、吉田市長、今こそがんばって下さい。



後日談

2012年2月14日に発表された新年度予算案において、新たに『不育症』の治療に横須賀市が補助をスタートすると発表されました。

フジノの提案がまさに実現する運びとなりました。

今後は、制度を一人でも多くの方々に知っていただいて、補助をぜひ受けていただけるようにしていきます。

また、その他の取り組みは今後も提案していきます。