8ヶ月ぶりに突然開催された、神奈川県の「保健医療計画推進会議」

8ヶ月ぶりに突然開催された「保健医療計画推進会議」へ

夕方から、神奈川県総合医療会館(横浜・伊勢佐木長者町)へ向かいました。

『神奈川県保健医療計画推進会議』を傍聴しました。

保健医療計画推進会議の会場にて

保健医療計画推進会議の会場にて


昨年は『第6期神奈川県保健医療計画』策定の為に、6月から精力的に開催されてきたこの会議。

フジノはその全てに立ち会ってきました。

『第6期計画』は無事に完成し、策定作業の最終回となった今年2月25日以来8ヶ月間、この会議は全く開催されてきませんでした。

それが3日前(10月25日)のことです。

突然に開催通知が出されました。

「こんなに突然の開催なんて、一体どんな重要なことが議論されるのだろうか」

とフジノは不安に感じました。

突然の開催に会長もフジノも困惑でした

3日間という慌ただしいスケジュールには、会長に再任された近藤正樹さん(神奈川県医師会副会長)も怒っておられました。

「これでは今夜の会議には委員メンバーが全く参加できなくてもおかしくなかった」と。

関係各団体から出されている委員の改選も大急ぎで決めたとのことでした。

委員名簿はこちらになります。そうそうたるメンバーです。

神奈川県保健医療計画推進会議・委員名簿

  • 医療を提供する立場にある者
    1. 神奈川県医師会副会長
    2. 横浜市医師会会長
    3. 川崎市医師会会長
    4. 相模医師会連合会
    5. 神奈川県病院協会副会長
    6. 神奈川県精神科病院協会会長
    7. 神奈川県歯科医師会常務理事
    8. 神奈川県薬剤師会副会長
    9. 神奈川県看護協会専務理事
  • 医療を受ける立場にある者
    1. 健康保険組合連合会神奈川連合会会長
    2. 神奈川県社会福祉協議会常務理事
    3. NPO法人神奈川県消費者の会連絡会理事
    4. 公募委員
  • 学識経験者
    1. 慶應義塾大学医学部(医療政策・管理学教室)教授
    2. 日本大学名誉教授
    3. 東京医科歯科大学大学院教授
  • 関係行政機関
    1. 横浜市健康福室祉医局療担当理事 (医療政策 政策担当部長)
    2. 川崎市健康福祉局医療政策推進室長
    3. 相模原市健康福祉局保健所長
    4. 神奈川県都市衛生行政協議会(綾瀬市市民こども部長)
    5. 神奈川県町村保健衛生連絡協議会(葉山町保健福祉部長)

議題は「病床整備の事前協議」などでした

フジノ自身も、今夜この同じ時間帯には毎年大切にしてきた会議がありました。

市内の障がいのある方々・ご家族・関係者の方々で組織されている『障がい者施策検討連絡会』と市議会議員との間で年1回開催される『意見交換会』が開かれるのです。

それでも、保健医療計画はずっと追い続けてきた大切な政策課題。

県から何か突然の重要な議題などが出されるかもしれず、あえて意見交換会は欠席することにして、今夜は会場に向かったのでした。

フジノが会場に着くと、すでに傍聴者が来ておられました。これまではフジノの他に1〜2名であることばかりだったのに、今夜は合計7名もの傍聴者が集まっていました。

この会議を一般市民の方が傍聴することはまず無くて、医師会をはじめとする関係団体の方々が何らかのテーマがある時にこうして傍聴に多くいらっしゃるのが今までのパターンです。

さらに、おかしなことに傍聴者がみな傍聴席に着席しても「資料」が配られません。

開会するまで資料は配布されないなんて、これはいよいよ重大な内容が議論されるのだろうかと不安になりました。

そこで事務局の方をつかまえて「資料は開会するまでもらえないのでしょうか」と尋ねると…

「すみません、すぐに配布します!」とのこと。

資料を受け取って議事次第を大急ぎでチェックしてみると、今夜のプログラムは下の通りでした。

議事

  1. 平成25年度の病床整備に関する事前協議について
  2. 国庫補助金等における事業計画の事後的評価について

報告

  1. 神奈川県保健医療計画の進行管理について
  2. 神奈川県地域医療再生計画(平成24年度補正予算)の策定について

ええ!?

極めてフツーの議題でした…。

そしてタイトなスケジュールでの慌ただしい開催となった理由は、事務局側の連絡の不手際とのこと。会議の冒頭に謝罪がありました。うーん、何だかなぁ…。

今夜の内容は、明日以降に時間をみつけてぜひ詳しく解説したいと思います。

精神疾患のある方が身体疾患を合併すると診てもらえない現実/神奈川県精神科救急医療調整会議

精神疾患のある方が身体疾患を合併すると診てもらえない現実

夕方から、横浜市の日本大通りにある情報文化センターへ。
 
神奈川県が開催した

『第1回・神奈川県精神科救急医療調整会議部会』

を傍聴しました。

この部会は、今年12月まで5回開催予定で『搬送受入基準(案)』を作成します。

消防法の規定に基づいた基準があるのですが、『観察基準』『選定基準』『伝達基準』『受入医療機関確保基準』などを決めていきます。

会場入り口にて

会場入り口にて


今年、全国の都道府県が『医療計画』の改訂を行ないますが、精神保健医療福祉の改革を進める為にとても重要な動きです。

課題は山積みですが、特にフジノが重視している課題の1つが

『精神疾患のある方々が身体疾患を合併した時の救急医療』

です。 

『精神疾患のある方』がケガや病気をする(=身体合併症を起こす)と、救急患者として病院が受け入れないことがとても多くあります。

もちろん119番をかければ、救急隊は来てくれて『搬送できる病院』を探します。

でも、照会をかけても、病院側から受け入れを拒否されてしまうのです。

理由は

「ベットに空きが無い」

「精神科医がいないので精神障がいのある方は診察できない」

といったものです。

これは一般の方々には知られていませんが、実は、精神疾患のある方々にとってはよくある身近な問題です。

しかも、命を落としかねない、深刻で切実な問題です。

例えば、単なる『腸閉そく』が起こっただけなのに、搬送先が見つからない為に亡くなってしまうということも実際に起こっています。

ガンや生活習慣病は誰にでも当然起こりますし、精神疾患があろうと無かろうと同じです。

さらに精神疾患のある方は長い間クスリを服み続けている影響で『身体合併症』を併発しやすいです。

それなのに精神疾患があるだけで、『ケガや病気になった(=身体疾患を合併した)時に受け入れ病院が無い』という現状は、絶対に変えなければいけません。



実際にあった「事例」は悲しいものばかりでした

今日の部会では、県の『精神科救急医療情報窓口』において、実際にあった事例の紹介がありました。

精神科救急医療情報窓口

精神科救急医療情報窓口


こちらをご覧ください)

救急隊が現場についてからも、搬送できる病院が見つからない為に現場に滞在し続けた時間が30分以上になってしまったケースのうち、

『背景として精神疾患あり』が第1位(14.96%)となりました。

2位(6.16%)は『飲酒あり』でした。

横浜市の消防局・救急担当の方からはより具体的な話がありました。

『現場滞在時間』が245分間(約4時間)もかかったケースがありました。

『頭部打撲』で119番通報したのですが、受け入れてくれる病院が見つかるまでに4時間もかかったのです。

その方には統合失調症があったそうです。

会議室から県庁とランドマークタワーが見えました

会議室から県庁とランドマークタワーが見えました


フジノはこうした話を身の回りでよく聴きます。

そこで、現状をデータで確認する為に横須賀市の消防局・救急に『搬送困難事案』にはどのような背景があるのかを洗い出してもらっています。



改善に向けた神奈川県の取り組み

こうした状況に対応する為に、県も動きをスタートさせてはいます。
 
例えば、『地域医療再生計画』です。

おととし12月から1年間かけて作られた県の『地域医療再生計画』の『追加分』が昨年12月に発表されました。

ここでも救急受け入れ体制の整備がとりあげられています。

(県の『地域医療再生計画』より抜粋)

6.具体的な施策

(3)精神科医療体制の強化

ア.精神科的背景のある身体合併症救急患者の受入体制の整備

【目的】
精神科的背景のある身体合併症救急患者の受入体制を整備し、受入拠点病院を確保する。

【事業内容】
病院における身体合併症救急患者の受入体制を確保する取組みに対し補助し、支援を行う。

【総事業費】1億2000万円

イ.地域医療機関支援のための緊急相談窓口の設置

【目的】
精神科を設置していない地域の医療機関に対し、身体合併症救急患者への精神症状への対応を大学病院の精神科医が支援する。

【事業内容】
地域の医療機関が精神科的背景のある身体合併症救急患者を受け入れた場合の精神症状への対応について、電話等により北里大学東病院の精神科医等が支援を行なう緊急相談窓口の運営に対し補助し、支援する。

【総事業費】1億円

ウ.精神科救急基幹病院の再整備

【目的】
精神科救急医療や新たな精神科医療の充実を図り、精神科救急基幹病院の機能強化を図る。

【事業内容】
県立精神医療センター芹香病院及びせりがや病院を統合・再整備し、精神科救急医療の充実と、思春期医療やストレスケア等の新たな精神科医療への拡充を図る。

【総事業費】58億8084万円

(5)医療人材の養成

ア.精神科的背景のある身体合併症救急患者に対応できる専門医の養成

【目的】
精神科的背景のある身体合併症救急患者に対応できる専門医を養成するための卒後講座を開設し、各救命救急センターや地域の医療機関に専門医を供給し、精神科的背景のある身体合併症患者の対応の強化を図る。

【事業内容】
東海大学医学部及び北里大学医学部において、精神科的背景のある身体合併症救急患者に対応できる専門医を養成するための卒後講座の開設に伴う教授等の人件費、運営費等に対し寄附を行う

【総事業費】2億2000万円

この問題に日本で最初に取り組んだのは1973年、都立松沢病院がスタートです。

それからすでに約40年近くが経ちますが、いまだ解決には至っていません。

問題の根深さを考えるにつけても、すぐに解決するのは難しいのかもしれませんが、『精神疾患があろうと無かろうと、救急医療が差別なく誰もが受けられる体制』を作りたいです。

フジノは自分のテーマとして、これからもしっかりと関わり続けていきたいです。