コロナ感染者情報の公表が性的指向・性自認のアウティングにならないように今後横須賀市は「本人の意向」に沿って性別を公表します/フジノの提案、実現します

自治体による感染者情報の公表がアウティングになっている現状があります

毎日、新型コロナウイルス感染症の感染者情報について自治体があらゆる情報を公表しています。

厚生労働省は2月に「2019年に作成した基準に基づいて公表せよ」という通知を出しました。

2020年2月27日・厚生労働省による事務連絡

2020年2月27日・厚生労働省による事務連絡


しかしこれは単なる参考でしかないので、全国の自治体はそれぞれに判断して、自治体ごとにバラバラな項目を公表しています。

ちなみに横須賀市では10項目(性別、年齢、職業、同居人、症状・経過、渡航歴、感染経路、行動歴、居所、その他)を公表しています。

横須賀市HPで公表している10項目

横須賀市HPで公表している10項目


すでに過去のブログに記したとおり、性別を公表することがアウティングになることから『LGBT法連合会』をはじめ多くの方々やメディアが個人情報の公表のあり方を疑問視しています。



上地市長から「今後は本人の意向に沿って発表する」と答弁がありました!

そこで今日の本会議でフジノは上地市長に改めて改善を求めました。

一般質問に立つ藤野英明

質問は2つです(全文をご覧になりたい方はこちらをご覧ください)。

  • 性別の公表が感染予防に資するとは考えがたいにもかかわらず、何故、横須賀市は感染者情報として性別を公表することにしたのか?
  • 今後は性別の公表をとりやめるべき。公表するならば本人同意に基づいた内容で公表すべきではないか?

これに対して、上地市長は次のように答弁しました。

上地市長の答弁

【質問1への答弁】
次に、新型コロナウイルス感染症情報として、性別の公表を決めた理由についてです。

議員のおっしゃるとおり、感染者情報の公表により性自認や性的指向がアウティングされてしまうことは決してあってはならないと思います。

本市としても、いわゆる性的マイノリティとされる方々に限らず、新型コロナウイルス感染症にかかられた全ての方の個人情報について個人が特定されないよう議論した上で、市民への注意喚起など、感染症の拡大防止の観点から、国の方針に基づき、性別の公表を決めました。




【質問2への答弁】
次に、性別の公表のあり方についてです。

現状では、ご本人の同意を得た上で性別などの公表を行なっております。

今後については、先ほどの理由から性別の公表はやむを得ないと考えていますが、議員がおっしゃるとおり、ご本人の思いに添った内容で公表したいと考えます。

動きました!

「現状も本人同意に基づいて公表をしている」との答弁を受けましたが、実際は毎日必ず横須賀市は性別を公表してきました。

担当課への事前のヒアリングでは、かつておひとりの方だけ非公表としたのみで、その方以外は200数十件全ての方の性別が公表としてきました。

けれども、横須賀市には

『横須賀市男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例』があり、

その第3条第6項では

「性的指向、性自認等に関する公表の自由が個人の権利として保障されること」

とアウティングの禁止を明文化しています。

感染症法でもそもそも感染予防に資する情報の公開の義務付けと同時に、個人情報保護に留意することを明記しています。

こうした指摘を受けて、上地市長は今後の公表のあり方はあくまでも本人の意向に沿う形で公表することと答弁してくれました。

横須賀市が新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に全国的に見ても積極的に取り組んできたことはまちがいありません。

横須賀PCRセンターの開設や、市内15医療機関でのPCR検査を可能としたことなど、いくつもの先進的な取り組みを挙げることができます。

さらに、感染者・家族・医療従事者に対する偏見・差別・誹謗中傷などに対して、横須賀市は早期から繰り返し市民のみなさまに強く人権に配慮していただきたいと訴えてきました。

今回の性別公表は本人の意向に沿うという改善も、そうした取り組みの延長線上にある判断だと高く評価したいです。

どうか当事者のみなさまのご不安が少しでも減りますように、心から祈っています。



自治体によるコロナ感染者情報の公表が性的マイノリティ当事者の性的指向・性自認のアウティングとなっている現状を改善する必要性について/発言通告書を提出しました(その3)

前の記事から続いています)

新型コロナウイルス感染症の感染者情報の自治体による公表がアウティングになっている

市長へ行なう一般質問の3問目は、感染症パンデミック下においても『人権』が軽んじられてはならないというテーマを取り上げます。

感染症法では、感染予防に役立つ個人情報は積極的に公開しなければならないと義務付けています。

一方で、個人情報の保護に留意しなければならないとも明記しています。

つまり、行き過ぎた個人情報の公開によって人権侵害が起こることを想定して、感染症法は条文が作られているのです。

しかし現在のコロナ禍では、厚生労働省が示した公表基準(2019年に作成した基準を参考にするよう自治体に通知しています)はあくまでも目安に過ぎません。

2020年2月27日・厚生労働省による事務連絡

2020年2月27日・厚生労働省による事務連絡


その為、現状では自治体ごとにバラバラな項目が公表されています。

ちなみに横須賀市では10項目が公表されています。

そんな状況の中で、いわゆる性的マイノリティとされる当事者の方々は、自治体によってアウティングされる危機に追い込まれています。

例えば、戸籍を変更しないで生活しているトランスジェンダーの方はたくさん居られます。

学校や職場では、女性として生きているトランスジェンダーの女性が新型コロナウイルス感染症に感染してしまった場合、自治体の感染者情報では男性と公表されてしまいます。

カミングアウトできず(せず)に暮らしてきた方々はコロナのダメージだけでなく、性自認をアウティングされてしまい、元の生活に戻ることはとても難しくなってしまいます。

こうした現実を受けて、5月の段階で『LGBT法連合会』が個人情報の公表については極めて慎重であるようにと全国の自治体に要請しました。

けれども、多くの自治体が性別を公表しています。

横須賀市でも性別を公表しています。

そもそも性別を公表することで、感染予防に効果はありますか?本当に必要な情報ですか?

フジノは違うと考えています。

(実際、静岡県は本人同意が無い限り、性別は非公表としています)

そこで以下の質問を行なうことにしました。

3.新型コロナウイルス感染症の感染者情報の公表の在り方が、性的マイノリティーとされる方々の性的指向・性自認のアウティングとなるため、当事者に強い不安感を与え、受診行動にも悪影響を与えている現状に早急に対応する必要性について

(1)本市はこれまで感染者情報として性別の公表を続けてきたが、性別の公表がアウティングにつながることをきちんと議論した上で、公表を続けてきたのか。もしそうならば、性別を公表することと決めた理由は何か。

(2)個人情報の保護に留意することを定めた感染症法からも、アウティングを禁止した横須賀市男女共同参画及び多様な性を尊重する社会実現のための条例からも、今後の感染者情報における性別の公表はあくまでも本人同意に基づくものとすべきではないか。また、やむを得ず公表する場合でも、市ホームページやSNS、報道発表においては、あくまでも本人の思いに添った内容で公表すべきではないか。

新型コロナウイルス感染症の診断をしたドクターは、都道府県知事・保健所設置市の市長らに発生届を提出しなければなりません。

新型コロナウイルス感染症発生届

新型コロナウイルス感染症発生届


この発生届をもとに、どの項目を公表するかという基準を改めて作り直す為に政府は9月1日に新たなワーキングチームを設置しました。

新型コロナウイルス感染症対策分科会・偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ

新型コロナウイルス感染症対策分科会・偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ


11月をめどに中間とりまとめを公表する予定です。

けれども11月を待たずに、横須賀市としてすぐ取り組むべきです。

本来であれば、性的マイノリティ当事者の方々についてだけでなく、個人情報の公表のあり方については広く取り上げるべきテーマです。

ただ、一般質問がわずか20分間という制限があり、今回はやむなく性的マイノリティ当事者の方々について取り上げました。

コロナ禍での感染者・家族・医療従事者への差別・偏見・誹謗中傷はひどいものがあります。

この状況は人々の不安感の高まりから起こっている可能性が高く、政治はもっとしっかりとリスクコミュニケーションを行なうべきだとフジノは考えています。