犯罪被害に遭われた方の「生の声」を市職員向け研修で聴いていただきました/平成27年度安全・安心まちづくり研修

犯罪の被害に遭った方々の全人的なリハビリテーションを支えていきたい

犯罪被害に遭われた方々の支援をすること。

それはフジノにとって、大切なテーマです。

会場の市役所正庁前にて

会場の市役所正庁前にて


犯罪の被害に遭った方々は、罪責感を抱いて苦しみ続けたり、時には死へと追い込まれることがあります(加害者側ではなく被害者側がです)。

ある日突然それまでの日常生活と完全に切り離されて、不安と苦痛に襲われます。

マスメディアの取材に追い掛け回されたり、あらゆるプライバシーが損なわれていきます。

こうした日々は長く長く続き、孤独や孤立へと追いやられてしまいます。

フジノは、こうした現実を変えたいと感じています。

県による犯罪被害者支援の取り組み

県による犯罪被害者支援の取り組み


そこで様々な犯罪被害者支援の取り組みを提案してきました。

横須賀市は犯罪被害者支援を条例の中に明記し、さらに相談窓口を立ち上げるなど、フジノの提案を実現し、その想いに応えてきてくれました。

昨年から新たにフジノは、担当部局だけでなく、広く市職員のみなさまに犯罪被害に遭われた方の生の声を聴いてほしいと提案してきました。

それが今日、実現しました。

「平成27年度安全・安心まちづくり研修」のおしらせ

「平成27年度安全・安心まちづくり研修」のおしらせ


市役所の全部署の係長(約120名)を対象にした研修が開催されました。

第1部は、神奈川県の取り組みについて県の担当部署から報告がありました。

そして第2部で、20代の女性がその体験をお話して下さいました。

県と市町村との連携

県と市町村との連携


プライバシーの観点から、そのお名前はもちろん写真もその体験もここには記すことができません。

本当にふつうに暮らしていたふつうの人間の尊厳があっという間に奪われて、生きていくことさえ困難になってしまう犯罪被害の現実をお話して頂きました。

そして、市職員に向けて

「あなたたちがいないことで困る人がたくさんいます」

と語りかけて下さいました。



感謝とこれからの決意

今日の研修が実現するにあたって、感謝の言葉をお伝えしたい方が何人もいらっしゃいます。

参加して下さった約120名の市係長のみなさま、そして企画・運営をして下さった市民安全部地域安全課のみなさま、ありがとうございます。

実現にあたって、この3月末をもって定年退職された前任の地域安全課長、4月で異動となった前・市民安全部長に深く感謝しています。

神奈川県の担当課長Sさんも異動されてしまったのですが、県と市との役割分担と連携などについてご相談にのっていただき、大変お世話になりました。

そして誰よりも、とても残虐な犯罪に遭われた過去を包み隠さずにお話して下さったAさんに、心から感謝を申し上げます。

あなたのお話とあなたの笑顔は、参加した全ての職員の心に突き刺さったと感じています。

フジノはお話を聴いていただけなのに、まるで追体験をしたかのような気持ちになり、こころが揺さぶられています。

政治家として、ひとりの人間として、こうした機会を持つことができたことに深く感謝しています。

本当にありがとうございました。

今日のこの研修をきっかけに、さらに横須賀市による犯罪被害者支援の取り組みを強く進めていきたいと改めて感じました。

そして、夢想論に聴こえるのは承知の上で、何よりもまず犯罪が起こらない社会をいつか必ず実現したいとフジノは改めて感じました。








第1部で配布された資料をアップします。




「子宮頸がんは検診だけで防げる」は間違いです

ワクチンの健康被害の原因究明は絶対に必要です

先日も書きましたが、改めて子宮頸がん予防ワクチンと検診についてフジノの考えを記します。

現在、子宮頸がんワクチン(サーバリックス・ガーダシル)の『副反応』について、マスメディアが大きく取り上げています。

そもそも、あらゆるワクチンには『副反応』が存在しています

ですから、「『副反応』による重篤な健康被害が起こることも当然ある」と常に想定して、政府は素早い対応を取らなければいけません。

健康被害を受けた方々については、国の責任において、しっかりと事実関係を調べて、早急に補償を行ない、受けられる限りの治療を提供することが必要です。

また、今後は『副反応』の発生率を可能な限り引き下げられるように、さらなる研究が必要です。

これはフジノだけでなく、子宮頸がんワクチンの承認を目指してきた研究者をはじめ、真剣に活動に取り組んできた誰もが願っていることです。

一方で、現在、ワクチンの健康被害をとりあげているジャーナリストや政治家たちの中には、全く誤った情報を流している人々がいます。

悪意を持って意図的に流しているのか、不勉強な為に間違った知識を発信していることに気づいていないのか、それは分かりません。

けれども、ワクチンの健康被害の問題と、こうした誤った情報発信とは、切り離して行なわねばならないことです。

ジャーナリストや政治家であれば、市民のみなさまに正しい情報を提供していくのが義務であるはずです。

ここしばらくジャーナリストや政治家による誤った情報発信が多く、フジノは問題視しています。

誤った情報に対しては、健康被害の問題と切り離して、反論すべきです

フジノが「悪質な情報発信だ」と感じたのは、例えば、大熊由紀子さんによるこの記事です。

大熊由紀子さんは医療問題に強いジャーナリストとして尊敬していますし、聴講でお世話になっている国際医療福祉大学の教授でもあります。

さらには、フジノが理事を勤めているNPO法人のアドバイザリーボードにも就任していただいています。

したがって個人的に悪い感情は一切持っていません。

けれども、社会的に発信力の強い大熊さんがこの問題において無責任な発信をしていることに対して、フジノは極めて強い不快感を覚えています。

インターネットしか発信手段の無いフジノと比べて、すさまじい影響力を持つマスメディアでの大熊さんの発信は、看過することができません。

2013年4月10日・毎日新聞より

2013年4月10日・毎日新聞より


例えば、まずこのような記述を大熊さんはしています。

「子宮頸がんは死を招いたり、子宮を摘出したりすることになる怖い病気だが、ワクチンで防げるという。

5万円と高価だが、期日までに受ければ無料といわれ、それならわが子に受けさせよう、と考えてしまったのです」。

こう親たちは嘆きます。

フジノは5年にわたって、子宮頸がん撲滅の活動を続けてきました。

その際、常に訴えてきたことは

「予防ワクチンの接種をしても、必ず検診も受けなければならない」

ということです。

そもそも5年前には予防ワクチンは日本で承認さえされていませんでしたから、活動のスタートは

「とにかく検診をみなさん受けて下さい!」

というお願いを続けることでした。

ワクチンが認可されてからも、子宮頸がんをワクチンで全て防げるなんてことは1度たりとも述べたことはありません。

それはフジノだけではありません。

専門的な知識がある方々ほどずっと『検診』の重要性を訴え続けて来ました。

大熊さんがお話を伺った方は実際にそのようにおっしゃったのかもしれません。

ワクチン接種をすすめた医療機関や保健所に、不十分な知識からそんなセリフを述べた無責任な人間がいたのかもしれません。

けれども、「ワクチンを打てば防げる」なんて発言をするのは、子宮頸がん撲滅に本気で取り組んできた人たちではありません。

また、このようなことも記しています。

子宮頸がんは、検診で早期発見すれば命も子宮も失わなくてすみます。

これも事実ではありません。

大熊さんの言う『早期発見』というのは『前がん状態』を指しているのであれば、確かに『円錐切除術』のみで済んでそのまま子宮を残してこどもを産める・命も失わないという人もいらっしゃいます。

けれども、1人1人がんの進行状態は全く異なりますから、必ず『前がん状態』で発見できる訳ではありません。

すでにステージが進行しておられる方もたくさんいらっしゃる現実があります(だから毎年3500人もの女性が子宮頸がんで亡くなっているのです)。

どれだけ検診体制を強化したとしても、検診だけで子宮頸がんを完全に防ぐことはできません。

ましてや検診をした後に必要となる、手術・放射線・抗がん治療などについても一切触れていません。大熊さんの記述は事実をはしょり過ぎています。

まるで検診が万能であるかのような書き方は、正しい情報ではありません。むしろ、事実をねじ曲げています。

さらに、日本の検診受診率が低い理由について、このようなことも記しています。

ただ、日本のように、男性医師の前で足を広げねばならないことの多い検診法では、女性は検診をためらい、検診率は20%にとどまっています。

確かに、産婦人科ドクターに男性が多い日本では、検診の時に男性医師の前で検診台の上で下半身を丸出しにすることになります。

横須賀市保健所の検診台です。フジノも実際に座りました。


けれども、日本で検診の受診率が低い理由は、そんなことではありません。

検診を実際に終えた多くの女性にフジノがお話を伺ってきた中では、「ドクターが男性か女性か」については、単に個人の好みのに左右されています。

  • 「検診に行く前にそのクリニックのドクターが男性か女性かなんて知らなかった」
  • 「ドクターが男性か女性かは関係ない」
  • 「女性ドクターの方が綿棒の扱いが強くて痛かった」
  • 「検診台に座ってお腹のあたりにカーテンを引いてくれるけど、むしろ引かないでくれた方が安心」
  • 「やっぱりカーテンで男性ドクターの顔が見えない方が恥ずかしくない」

むしろ、これまで検診に行かなかった/行きたくなかった理由は、

  • 「そもそも検診の存在そのものを知らなかった」
  • 「自分たちの年齢では子宮頸がんなんて関係ないと思っていた」

という、知識不足にこそあります。

大熊さんが記したような、「男性ドクターが検診をしているから受診率が低い」のでは全くありません。

実際に横須賀市では、検診を無料で受けられるクーポン券を対象者に郵送で送付したことで(つまり『金銭的なインセンティブ』と『周知啓発の効果』)によって大きく受診者数がアップしました。

横須賀市における子宮頸がん検診の受診者数
2008年2009年
8,968人1万3,735人

*2009年、無料クーポン券実施

正確な情報を直接にターゲットである年齢層の方々にお届けし、さらに無料で受診できるクーポン券をお送りするだけで、約2倍へと受診率をあげることができました。

何よりもまず『正確な情報の周知』です。

さらに、『経済的な負担を可能な限り負わせないこと』が大切です。

他にも、受診率を上げる為の手段はいくつもあります。

そのひとつには、大熊さんが提案するような『イギリス方式(看護師による検診)』もありかもしれません。

しかし、大熊さんの以下の主張は論理的にはおかしいです。

(受診率が)80%と高い英国では、訓練を受けた看護師が、診察所の普通のベッドの上で実施しています。

このような安全で確実な検診方法を検討すること無く、まだ臨床試験段階のものを、十分な説明もなく少女たちに接種するのは中止すべきだと考えます。

看護師が診療所の普通のベッドで検診を行なうことが、イコール「安全で確実な検診方法」だと大熊さんは記しています。

何故、看護師さんが検診をすると「安全で確実な検診方法」なのか全く理解できません。

大熊さんは子宮頸がん検診が実際にどのように行なわれているか知らないのでしょうか?

フジノたちのように検診を受ける方々を増やしたいと願って活動をしてきた人間にとって、看護師の方々が検査をやるべきか否かだけが大切な問題ではありません。

むしろ、現在の検診である『細胞診』という方法を、さらに『HPV検査』という方法と併用することによって『精度』を高めることの方がフジノには重要です。

例えば、市議会ではこうした提案を行なってきました。

2012年9月6日・教育福祉常任委員会でのフジノの質疑

フジノの質問

まず、子宮頸がん検診について伺います。

現在、横須賀市が子宮頸がん検診を無料クーポン券によって保健所健診センターや市内の実施医療機関の協力を得ながら、『細胞診』で検査を行っております。

実際には『問診』と『内診』と『細胞診』によるものですが、一方で、以前も申し上げましたが、ヒトパピローマウイルスに感染しているかどうかを調べる上で、より精度の高い『HPV検査』というものもございます。

『細胞診』だけでは見落としが多いという指摘もありますが、『細胞診』と『HPV検査』を組み合わせると、子宮頸がん検診の精度はほぼ100%近いものになるということで、非常に有効である。

これを既に導入している自治体も全国にはいくつかある。

ただ、自己負担しなければならないと5,000円〜8,000円程度と、非常に負担が高くなってしまいます。

そんな中で、ちょうど9月5日に厚生労働省が発表した来年度予算の概算要求では、この『HPV検査』の普及のために116億円を要求している。

これは新規事業として、まだ一部の自治体での実施にとどまっている『HPV検査』を広く普及していくのがねらいとのことです。

横須賀市でもこうした財源を利用して、『細胞診』に加えて『HPV検査』を組み合わせて行えるように、ぜひ調査研究をして頂きたい。

そして、もしモデル事業として手を挙げる機会があれば、率先して手を挙げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

保健所長の答弁

子宮頸がんの検診ですけれども、今、委員に御指摘いただいたように、新しいHPV抗原の検査を組み合わせた検診が非常に効果的だということは、特に外国の研究で明らかになってきているところです。

現在、将来的に、内々ですが、研究を進めているところですので、国の推移を見ながら検討していきたいと思っています。

フジノの質問

昨日、市長が来年度予算の要求の指針を出して、昨年同様、国や県や使える補助金、財源が得られるものはどんどん活用しようと記されておりました。

すでに内部で研究も進めておられるということですので、ぜひ情報を早く取り入れて、手を挙げられるようにしていただければと思っておりますが、いかがでしょうか。

健康部長の答弁

今、藤野委員がおっしゃいましたように、我々のほうもよくそういうところにアンテナを張りながら、取り組めるものに一生懸命取り組んでいきたいと思っています。

このことについては、よく最近でも新聞報道でもたくさん載っておりますし、私も関心は持っているところでございます。

(質疑の引用は以上です)

フジノは大熊さんの「看護師に検診をさせろ」という主張よりも、こうした取り組みの方が大切だと考えています。

ジャーナリストや政治家こそ正確な情報を発信すべきです

さて、いくつもの反論をしてきました。

『検診万能論』は、間違いです。

検診だけでは子宮頸がんを完全に防ぐことはできません。

そして、「だからといってワクチンを打て」という主張をフジノはしていません。

ワクチンの問題と、検診の問題は、分けて考えるべきです。

ワクチン反対派のジャーナリストや政治家が検診を万能扱いするのは完全に間違いです。

ワクチンの問題はワクチンの問題として、政府がしっかりと原因究明と被害者の補償に取り組むべきです。

ワクチンの問題と、検診の精度を高めること・検診の受診率をあげることなどは『全く別の問題』として取り組まなければなりません。

フジノがとても危惧しているのは、ジャーナリストや政治家が本当に苦しんでいる人々のことを無視して、そのときそのときの時流にのった発言を安易にすることです。

子宮頸がんで苦しんでいる女性がたくさんいます。

そして、ワクチン接種による健康被害に苦しんでいる方々もいらっしゃる。

まず何よりもこうした苦しんでいる方々のことを1番に考えるべきです。

それを大熊さんのように

それが政治主導と社会的なキャンペーンの中で押し切られたのでした。

『政治家』+『製薬会社』=『薬害よりも利権をとった』みたいな陰謀論を発信することに何の意味があるのでしょうか。

3.11以降、陰謀論に振り回される市民の方々は、子宮頸がんワクチンについてもジャーナリストのこうした発信をうのみにしてしまうことでしょう。

しかし、何よりも大切なことがジャーナリストや政治家たちにおろそかにされています。

被害者を救うことをまず最優先すべきです。

今は「子宮頸がんワクチンは薬害だ」と発言すればジャーナリストや政治家は人気が取れる、と思っている人が多いのではないでしょうか。

そういう風潮は間違っています。

ワクチンの問題を追うことは大切です。

だからといって、正確な情報も調べないのはおかしいですし、誤った情報を発信し続けるのも間違いです。

ジャーナリストや政治家こそ、冷静で正しい判断をできるように毎日努力し続けるべきです。

犯罪被害者支援の為に、もっとやるべきことがある/「それぞれの立場からはじめる犯罪被害者支援~神奈川県犯罪被害者支援県民大会」へ(その1)

犯罪被害者支援の為に、もっとやるべきことがある

中学生たちの演劇発表会場を飛び出ると、大急ぎで昼ごはんを食べて、横浜・桜木町に向かいました。

ランドマークタワーの真正面にある『はまぎんホールヴィアマーレ』が会場です。

ランドマークタワー

ランドマークタワー


午後から、

に参加しました。

『それぞれの立場からはじめる犯罪被害者支援~神奈川県犯罪被害者支援県民大会~』プログラム

『それぞれの立場からはじめる犯罪被害者支援~神奈川県犯罪被害者支援県民大会~』プログラム


被害者支援に対して強い想いを持つ県のある職員さんから熱心にお誘いいただいてこともあって、喜んで参加させていただきました。

「犯罪被害にあった方々の支援はフジノの政策課題だ」と受け止めて、横須賀市議会でいろいろな提案をしてきました。

アメリカ軍の兵士が起こす犯罪の防止(加害の予防)だけでなく、全ての犯罪による被害にあった方々へのサポート(被害への支援)も、とても重要です。

ご遺族による基調講演「犯罪被害者等が望む支援」

まず、2人の方から基調講演が行なわれました。

最初に、練馬区での殺人事件の被害者のご遺族である糸賀美穂さんから『犯罪被害者等が望む支援』のテーマでお話がありました。

糸賀美穂さんの講演

糸賀美穂さんの講演


(ここから先は、フジノのメモを基に記したもので、聞き間違いや誤解や重要な情報が欠けている可能性があります。正確なものではなく、あくまでもフジノのメモとお考え下さい)

被害者は、私の息子で25才でした。

息子は、同い年の恋人に殺されてしまいました。

加害者は、極めて一方的な理由によって、息子を永遠に奪い去ってしまったのです。

もともと情緒不安定の女性でした。

息子が彼氏になった後も、平気で他の男性と浮気をしたり、というようなこともありました。

また、彼女は、自分の両親との関係が一方的に悪いと受け止めていました。

実際には彼女の両親は彼女が家出をするたびに毎回、一生懸命に彼女の行方を探してあげたりしていました。

後で供述を読んでしったのですが、彼女は、

「彼氏(息子さん)を殺してあげなければならない」

と自分勝手な思い込みで考えていました。

息子が殺されたことをテレビなどのニュースで観た友人から様々な電話やメールなど連絡がありましたが、事件当日も、お通夜もお葬式も、どのように終わったのか今も記憶がありません。

彼女は、計画性も殺意も容疑も全て認めた為か、刑事裁判は事件からわずか2ヵ月後に始まりました。

けれども2ヵ月後の頃は、まだ私は自分を責め続けていました。

骨壷を抱きながら、毎日謝り続けていました。

私たち被害者の家族の味方と信じていた検察とは話す機会も無いままに、裁判になりました。

「遺族は裁判のはじめに冒頭陳述ができるだけ」

と言われました。

彼女は、何故息子を殺したのか、真実を語ることも無く、息子に対しても私たちに対しても謝罪の言葉も無く、反省の言葉もありませんでした。

2回目の公判では、彼女の親(加害者の親)が陳述することになっていたのですが、当日になって拒否しました。

そこで、私も夫も、彼女の親が自分たちの娘がしたことをどのように考えているのか、謝罪の気持ちがあるのかどうかも、何も知ることができなくなってしまいました。

その日は、私の夫のみが意見陳述をしました。
 
涙でぐしゃぐしゃになりながらの陳述でした。

夫が陳述を終えた後に、

「加害者、何かありますか?」

と裁判長が彼女に問いました。

けれども、

「何もありません」

と彼女は言いました。

彼女の側の弁護士は、加害者の両親に対して、

「20才を超えた加害者に対して、保護者の責任は無いから接触すべきではない」

と指示を出していたようです。

法廷で会っても、お辞儀ひとつ無かったです。

これまで息子が生きている時には彼女のことで何度も相談にのったり、いずれ結婚するだろうと考えていたので、何度も一緒にお話した間柄だったのにあんまりだ、と感じ、とても悲しくなりました。

検察側は懲役13年を求刑しました。

しかし、自首であること、前科前歴が無いこと、25才という若年であること、反省していること(しかしこれは自分の両親への謝罪の言葉)、で減刑されてしまいました。

加害者には保護や人権が守られているにも関わらず、被害者には何の保護も無いことが分かりました。

被害にあった人は国や司法から守られているものと思っていました。

しかし現実には、自分の私利私欲の為に人の命を奪った犯罪者に対しても「心神喪失や責任能力が無い」などの理由によって、量刑が軽くなってしまうだけでした。

被害者の遺族は、なおさら傷つけられてきました。

また、これは同時に、加害者の為にも良いものなのでしょうか。

矯正教育が今、どのように行なわれているのかは分かりませんが、被害者のことを忘れることなく、罪を真正面から見つめることが必要だと思います。

加害者はもし生きて刑務所を出てきたならば、出所の日からが本当の罪滅ぼしの日々です。

2度と取り返すことのできない現実に苦しみながら生きていかなければならないからです。

1年ほどたって民事裁判を行いました。

けれども、相談にのってもらった弁護士さんから

「どうせ何も取れないのだから、請求額は5000万円にしてはいかがですか?」

と言われました。

「これは一体何の話をしているのだろうか」

と私は思いました。

民事裁判の準備を進めていくにつれて争点が無い裁判は刑務所の加害者に書類を送り、署名をして送り返すだけのものだと初めて知りました。

加害者の署名と言い分として

「私にはお金が無いので、出所したら少しずつ払う」

とだけ書いてありました。

加害者の親は、事件の後も、同じ住所でふつうに暮らしながらえていることに、怒りを覚えました。

相手の母親からは謝罪の言葉は無かった上に、お話をしたいと伝えた途端に、むしろ逆切れされてしまいました。

「あんたね、私たちだって大変なんだよ!」

「あなたの息子がつきあわなければ良かったんでしょ!」

と言われました。

殺された上に、なおもけなされる息子が不憫で不憫で、私はその夜、自殺未遂をしてしまいました。

「死にたい」

という気持ちよりも、

「死んだら息子のところに行くことができる。早く息子に会いたい」

という気持ちになりました。

ようやく今、私はそういう命を救わねばならないと思いました。

『被害者支援センター』からお手紙を何度かいただき、友人らの前では語ることができない想いを毎月1回話せるようになりました。

自助グループに参加するまでは

「こんなことに参加して、一体何の役に立つものか」

と疑問に思っていました。

けれども、センターのサポートや同じ苦しみを持つ方々と体験を話すことで、こころの傷が少しずつ小さくなりました。

その後、2006年犯罪被害者基本法、DV法、更生保護法、少年法の改正、刑事訴訟法も今年12月から刑事裁判の中で遺族も意見を言うことができるようになります。

けれども、これらの法改正も、法律に携わる人々の意識が変わらない限り、ただの飾りになってしまうおそれがあります。

警察や司法、地域の支援ネットの理解が必要です。

自殺予防や犯罪を防ぐ為にも被害者の家族は、なるべく早い段階から支援を受けられるように、自治体やカウンセリングとの連携の必要性=協力が本当に必要だと考えています。

県が条例を作ろうとしていることや取り組みを行なってくれていますが、取り組みの単位は県のように大きなものではなく、それぞれの市町村単位にしてほしいと望んでおります。

みなさまにはぜひ他人事とお考えにならないでいただけたらと思います。

次の記事に続きます)