厚生労働省の「子宮頸がん予防ワクチンQ&A」が変更されます

これまでの「Q&A」はわずか8問しか掲載されていなかった

厚生労働省のホームページには『子宮頸がん予防ワクチンに関するQ&A』というページがあります。

『感染症・予防接種情報』コーナーの中にあります。

厚生労働省「子宮頸がん予防ワクチンに関するQ&A(平成25年4月改訂版)

厚生労働省「子宮頸がん予防ワクチンに関するQ&A(平成25年4月改訂版)


けれども、取り上げられているQ&Aは、わずか8問だけです。

これでは情報の質・量のどちらからも不十分です。

6月14日に開催された『副反応検討部会』では、こうした情報提供の不十分さについても委員メンバーからくりかえし指摘がありました。

平成25年6月改訂版は次のようになります

そこで、厚生労働省から新たに「平成25年6月改訂版」案が示されました。

下に、全文を紹介します。

子宮頸がん予防ワクチンQ&A

【子宮頸がんについて】

Q1.子宮頸がんとは何ですか?

「子宮頸がん」とは、女性の子宮頸部にできるがんのことです。子宮は、胎児を育てる器官で、全体に西洋梨のような形をしています。また、子宮頸部は、膣へと細長く付き出た子宮の入り口部分(膣の方から見た場合には、奥の突き当たり部分になります)のことを言います。

Q2.何が原因で子宮頸がんになるのですか?

子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスが関わっています。このウイルスは、子宮頚がんの患者さんの90%以上で見つかることが知られており、HPVが長期にわたり感染することでがんになると考えられています。なお、HPVは一般に性行為を介して感染することが知られています。

Q3.子宮頸がんにかかるとどのような症状が現れますか?

子宮頸がんは初期の頃にはほとんど症状のないことが多いですが、生理のとき以外の出血や性行為による出血、おりものの増加などが見られることがあります。また、進行した場合には、足腰の痛みや血の混じった尿・便が見られることもあります。このような症状がみられた際には、ためらわずに医療機関を受診してください。

Q4.子宮頸がんは、どれくらい重い病気ですか?

子宮頸がんは、早期に発見されれば、比較的治癒しやすいがんとされています。ただし、他のがんと同様、少しずつ進行していくものですから、発見される時期が遅くなると治療が難しくなります。

Q5.子宮頚がんの患者さんはどれ位いるのですか?

子宮頸がんの患者さんは、年間9,000人程度(2007年)と報告されています。患者さんの数は、20代後半から増えていき、40代以降は概ね横ぱいになります。しかし、最近では、特に若い年齢層(20-39歳)で患者さんが増えています。

Q6.子宮頸がんで亡くなる方はどれ位いるのですか?
子宮頚がんで亡くなる方は、年間2,700人程度(2011年)と報告されています。年代別に見ると、30代後半から増えていく傾向にあります。

Q7.ヒトパピローマウイルスとは何ですか?

ヒトパピローマウイルス(HPV) は、皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100以上の種類があります。粘膜に感染するHPVのうち少なくとも15種類が子宮頸がんの患者さんから検出され、「高リスク型HPV」と呼ばれています。

これら高リスク型HPVは性行為によって感染しますが、子宮頸がん以外に、虹門がん、陸がん、外陰部がん、陰茎がん、尖圭コンジローマなどにも関わっていると考えられています。

Q8.ヒトパピローマウイルスはどれ位感染しやすいものですか?

子宮頸部の細胞に異常がない女性のうち、10~20%程度の方がヒトパピローマウイルス(HPV)に感染していると報告されています。また、海外では性行為を行う女性の50~80%が、生涯で一度はHPVに感染すると報告されています。

Q9.ヒトパピローマウイルスに感染すると必ずがんになるのですか?

ヒトパピローマウイルス(HPV) に感染しでも、90%以上の場合、2年以内にウイルスは自然に排出されるとされています。しかし、ウイルスが自然に排出されず、数年から数十年にわたって持続的に感染した場合には、がんになることがあると報告されています。

【検診、予防・予防ワクチンについて】

Q10.子宮頸がんを予防する方法はありますか?

子宮頸がんの予防法としては、子宮頸がん予防ワクチンを接種することで、ヒトパピローマウイルスの感染を予防することが挙げられます。また、定期的な子宮頸がん検診は、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見できることも多く、経過観察や負担の少ない治療につながることも多いのです。

Q11.子宮頚がん検診はどのようなものですか?

20歳以上の女性は、2年に1回の頻度で子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。一般的に、子宮頸部の細胞を採取して、細胞に何らかの異常がないか検査する『子宮頸部細胞診』が行われています。検診を受けられる場所など詳細については、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

Q12.子宮頭がん検診と子宮頚がん予防ワクチンは両方受けなければいけませんか?

子宮頸がん検診、ワクチンともに有効な予防方法ですが、どちらか一方だけでは、予防効果は十分とは言えません。両方を併用して、子宮頸がんに対する予防効果を高めることが大切です。

Q13.子宮頸がん予防ワクチンの接種場所など、必要な情報はどこに問い合わせたらよいですか?

法に基づくワクチンの接種は、地域の実情に合わせて各市区町村が実施しています。お住まいの地域での実施方法や、接種の詳細などについては、お住まいの市区町村の予防接種担当課にお問い合わせください。

Q14.子宮頸がん予防ワクチンは絶対に受けなければならないものですか?

法に基づくワクチンの接種は強制ではありませんが、一人ひとり人が接種することで、社会全体を守るという側面があるため、対象者はワクチンを接種するよう努めなければならないとされています。

実際に予防接種を受ける際は、ワクチンの有効性とリスクを十分に理解した上で、受けるかどうかご判断ください。

(フジノ注:このQ14への回答の文章は、変更になるのではないかと個人的には感じています)

Q15.子宮頸がん予防ワクチンは何回接種すればよいですか?

子宮頸がん予防ワクチンは、3回の接種が必要です。標準的な接種は、中学1年生となる年度に、以下のとおり行うこととなります。

・サーバリックスについては、1回目の接種を行った1か月後に2回目を、6か月後に3回目の接種を行います。

・ガーダシルについては、1回目の接種を行った2か月後に2回目を、6か月後に3回目の接種を行います。

また、通常、予防接種は一定の間隔をあけて受けるものです。ワクチン接種1か月以内に何らかの予防接種を受けた方は、いつ、どのようなワクチンを接種したか、担当の医師に伝えてください。

Q17.子宮頸がん予防ワクチンはどれ位効くのですか?

子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がん全体の50~70%の原因とされる2種類のヒトパピローマウイルス(16型と18型)などに予防効果をもつワクチンです。現在、サーバリックスとガーダシルの2種類のワクチンが販売されており、これまで、16型と18型の感染やがんになる過程の異常(異形成)を90%以上予防したと報告されています。

Q18.子宮頸がん予防ワクチンについて、がんを予防する効果は証明されていないと聞きましたが、本当ですか?

子宮頸がんは、数年から数十年にわたって、持続的にヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した末に発症するとされています。子宮頸がん予防ワクチンは、新しいワクチンなので、子宮頭がんそのものを予防する効果はまだ証明されていません。

しかし、持続的なHPVの感染やがんになる過程の異常(異形成)を予防する効果は確認されており、これらに引き続いて起こる子宮頭がんを予防する効果が期待されています。

Q19.子宮頚がん予防ワクチン接種後に副反応はありますか?

子宮頸がん予防ワクチン接種後に見られる主な副反応として、発熱や接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神などが挙げられます。

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また、ワクチン接種後に見られる副反応については、接種との因果関係を問わず報告を収集しており、定期的に専門家が分析・評価しています。その中には、稀に重い副反応の報告もあり、具体的には以下のとおりとなっています。

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Q20.子宮頸がん予防ワクチンの安全性に関する報道をよくみかけますが、何が問題になっているのですか?

子宮頸がん予防ワクチン接種後に、複合性局所疹痛症候群(CRPS)※などの慢性の痛みを伴う事例や、関節痛が現れた事例などの報告があり、緊急に専門家による検討を行いました。検討の結果、現時点では、診断の妥当性や因果関係、転帰(予後)などについて明らかでない点も多く、定期接種を一時中止すべきと判断するには、医学的論拠が不十分であり、予防接種を継続するという結論に至りました。なお、報告された事例については、引き続き調査を行っているところです(2013年6月現在)。

※複合性局所疹痛症候群は、骨折・捻挫などの外傷をきっかけとして生じる、原因不明の慢性の疹痛症候群です。

(フジノ注:Q20への回答文書案も副反応検討部会の結論を受けて変更になるのではないかと思います)

Q21.子宮頸がん予防ワクチンを受ける際に注意することはありますか?

次のいずれかに該当する方は、特に、健康状態や体質などを担当の医師にしっかり伝え、予防接種の必要性、リスク、有用性について十分な説明を受け、よく理解した上で接種を受けてください。

  • 血小板が減少している、血液が止まりにくいなどの症状のある方
  • 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害などの基礎疾患のある方
  • 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた方
  • 過去にけいれんの既往のある方
  • 妊娠又は妊娠している可能性のある方

また、接種部位には主に、腕の肩に近い外側の部分(三角筋)が選ばれるので、接種当日はこの部分を露出しやすい服装にしてください。

Q22.子宮頚がん予防ワクチン接種後に注意をすることはありますか?

針を刺した直後から、強い痛みやしびれが生じた場合は、担当の医師にすぐに伝えて、針を抜いてもらうなどの対応をしてもらって下さい。また、その後の対応についても相談してください。

予防接種直後に、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神が現れることがあります。失神し、倒れて怪我をする例も報告されているため、接種後の移動の際には、保護者の方が腕を持つなどして付き添うようにし、接種後30分ほどは体重を預けられるような場所で、なるべく立ち上がることを避けて待機して様子を見るようにしてください。

その他、予防接種当日は激しい運動や入浴は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の体調管理をしっかり行ってください。接種部位の異常や体調の変化、さらに高熱、けいれん、長期間持続する激しい痛みなどの異常な症状を呈した場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

Q23.予防接種の安全性はどのようにチェックしていますか?

安全性については、その他の医薬品と同様に、製品化までに安全性に関する承認審査を行っている他、ワクチンはウイルスや細菌など生物をもとに作っていることもあり、その後も製品(ロット)ごとに国による検定を行っています。

また、予防接種後に健康状況の変化が見られた事例を、予防接種との因果関係の有無に関わらず収集し、随時モニタリングしています。さらに、収集したこれらの情報について、定期的に専門家による評価を実施して安全性の評価を行っています。

Q24.予防接種を受けた後に体調が悪くなり、医療機関を受診しました。補償などはありますか?

定期の予防接種によって引き起こされた副反応により、医療機関での治療が必要になったり、生活に支障が出るような障害を残すなどの健康被害が生じたりした場合には、法に基づく補償を受けることができます。給付申請を検討する場合には、診察した医師、保健所、お住まいの市区町村の予防接種担当課へご相談ください。

※なお、補償に当たっては、その健康被害が予防接種によって引き起こされたものか、別の原因によって起こったものなのか、専門家からなる国の審査会で、因果関係についての審議が行われます。

(引用は以上です)

上記の文案は、6月14日に開催された副反応検討部会で配布された資料2-11です。

正式な改定文章は表現などが異なる可能性がありますので、後日確認いたします。

また、みなさまもご確認くださいますようよろしくお願いします。

子宮頸がん予防ワクチンに関するQ&A/子宮頸がん予防ワクチンの定期接種化と副反応(その4)


「子宮頸がんワクチンの定期接種化と副反応」について過去の記事はこちらです

「子宮頸がんワクチンに関するQ&A」を厚生労働省が発表しました

本日4月18日付けで、厚生労働省が『子宮頸がん予防ワクチンに関するQ&A』をホームページに掲載しました。

厚生労働省ホームページの感染症・予防接種のコーナーより

厚生労働省ホームページの感染症・予防接種のコーナーより


子宮頸がん予防ワクチンについて、現段階での『国の公式見解』にあたるものです。

ひとりでも多くの方々に読んでいただきたいと思いますので、その全文をこちらにも転載します。

子宮頸がん予防ワクチンに関するQ&A
厚生労働省健康局結核感染症課作成

Q1.
子宮頸がんにかかる人や死亡する人はどれくらいいるのでしょうか。

A1.
子宮頸がんの罹患数は9,747人(上皮内がんを含めると20,735人)(2008年)、

死亡数は2,737人(2011年)で、これらの数字は軽視できない数字です。

特に40歳未満の女性に限ると、罹患率は乳房に次いで2番目(上皮内がんを含めると1番目)、死亡率も乳房に次いで2番目に高いがんで、

若年層のがんとしてはその予防策は必要と考えられます。

Q2.
ワクチンは子宮頸がんの予防にどのような効果があるのでしょうか。

A2.
現時点では導入から間もないことから、子宮頸がんが減少するという効果の検証は困難ですが、

①子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスの持続感染を予防する効果

②がんに移行する前段階の病変の発生予防効果

は確認されています。

子宮頸がんの大部分を占める『扁平上皮がん』と呼ばれるがんについては、持続感染やがんに移行する前段階の病変を必ず経てがんになるものと考えられる為、

持続感染やがんに移行する前段階の病変を予防できれば、がんも予防できると考えられており、世界保険機関(WHO)においてもそのような評価の結果、このワクチンの接種を推奨しています。

Q3.
有効性はどの程度持続するのでしょうか。

A3.
新しいワクチンであることから、現在、確認されている予防効果の期間は最長9年程度ですが、

これまで有効期間は随時更新されており、今後も引き続き有効性の調査がされていく予定です。

 ① サーバリックス(グラクソ・スミスクライン) ※最長9.4年間の持続

 ② ガーダシル(MSD) ※最長8.4年間の持続

Q4.
ワクチンは子宮頸がんの原因ウイルスすべてに有効なのでしょうか。

A4.
ヒトパピローマウイルスのうち、子宮頸がん予防ワクチンが有効なウイルス型(16型、18型)は、日本の子宮頸がん患者の50~70%程度が保有していると報告されています。

Q5.
安全性は確立されているのですか。

A5.
ワクチンは生体にとっては異物であり、接種による副反応は避けられません。

この為、副反応報告について定期的に専門家に評価していただき、接種の判断材料となるよう、情報公開し、必要な安全対策を検討しています。

子宮頸がん予防ワクチンの副反応としては、注射部位の疼痛、発赤等のほか、

全身性の症状として、疲労、筋痛、頭痛、胃腸症状(嘔吐、下痢等)、関節痛、発疹、発熱等が報告されており、まれに、ショック、アナフィラキシー様症状等があります。

また、痛み、恐怖、興奮などに引き続く『血管迷走神経反射』と考えられる失神の報告もあります。

現在報告されている副反応は他のワクチンよりも報告頻度が高い傾向のものもありますが、その多くは『血管迷走神経反射』によると思われる一過性の失神によるものです。

定期的に開催されている専門家による会議では、これまでの発生状況を踏まえ、接種の中止等の措置は必要ないとの評価を受けています。

Q6.
子宮頸がん予防ワクチンを接種すると、不妊になるとの噂を聞きますがどうなのでしょうか。

A6.
現在までに専門家による審査がある学術誌等で、子宮頸がん予防ワクチンと不妊との関連を疑う報告は確認されていません。

Q7.
世界保健機関(WHO)の見解はどうなっているでしょうか。

A7.
2009年にWHOはヒトパピローマウイルスワクチンについて評価を行い、方針説明書(position paper)を公表しており、

発展途上国を含めた世界全体においてこのワクチンを使用するよう推奨し、国のワクチン接種プログラムに導入することの重要性が強調されています。

Q8.
各国での導入状況はどうなっているのでしょうか。

A8.
米、英、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ等の先進各国において既に公的接種として導入されています。

(引用はここまで)

厚生労働省としては簡潔な文章を目指したのだと思いますが、もっと長くても良いから分かりやすい説明をした方がいいのに、とフジノは感じました。

フジノが繰り返し記してきた「ワクチンに限らず、全ての医薬品には副反応が起こりうるものです」という基本的な考え方が、厚生労働省のQ&Aにもしっかりと明記されたことは安心しました。

A5.
ワクチンは生体にとっては異物であり、接種による副反応は避けられません。

この為、副反応報告について定期的に専門家に評価していただき、接種の判断材料となるよう、情報公開し、必要な安全対策を検討しています。

ワクチンに限らず、医薬品は、確率論的には『デメリット(副反応)』を圧倒的に超える『メリット(治療や予防などの効果)』があるからこそ、活用されています。

一方、確率論的にはどれほど低くとも「そもそも健康被害は起こりうる」のが前提です。

そこで、このブログでも紹介してきたとおりセーフティネットも作られています。

改正予防接種法によって、4月1日からはセーフティネットがより強化されました。

今後は、各医療機関・地方自治体の関係部局・厚生労働省がちゃんとそのセーフティネットを活かす運用を行なっていくことが重要な課題です。

健康被害が起こった時は、迅速に対応し、救済がきちんと行なわれるようにしなくてはいけません。

フジノとしては、この点を今後も引き続き注視していきます。