「第1回療養病床の在り方等に関する検討会」が開かれました/「エンド・オブ・ライフ・ケア」「クオリティ・オブ・デス」の在るべき姿を市民のみなさまと共に考えていきたい

「療養病床の在り方」の議論がついにスタートしました

ついに始まりました。

『療養病床』の在り方を検討する厚生労働省の審議会が今日スタートしました。

「第1回療養病床の在り方等に関する検討会」議事次第より

「第1回療養病床の在り方等に関する検討会」議事次第より


フジノにとっては「またも、ついに始まったか」という気持ちです。

そもそもフジノが『療養病床』の存在を初めて知ったのは、父の脳卒中による入院が始まりでした。

当時は

「父と同じように慢性期の医療的ケアが必要な方々がみんな居場所が無くて苦しんでいる。ご本人とご家族の為に『現実』を変えねばならない」

という想いから、様々な活動に取り組みました。

様々な取り組みを続ける中で、少しずつ視野が広がりました。

これは『療養病床』というひとつの『医療の機能』の問題ではなく、『クオリティ・オブ・ライフ』『クオリティ・オブ・デス』『エンド・オブ・ライフ・ケア』の問題なのだと理解しました。

こうして父の入院から十数年を経た現在に至るまで、ずっと関心を持ち続けるテーマとなりました。今も強い関心を持ち続けています。



2017年の法改正に向けた「提言づくり」が検討会の目的です

今日、厚生労働省(国)がスタートした審議会は、この『療養病床』の在り方を議論します。

会場の「ホテルグランドアーク半蔵門」にて

会場の「ホテルグランドアーク半蔵門」にて


フジノが「またも」とはじめに書いたのは、この議論は何度も形を変えて繰り返し続けられてきたからです。

検討会の会場にて

検討会の会場にて


今回設置された『検討会』の具体的な内容は、超高齢社会の今、『慢性期』の医療ニーズに対応できる医療・介護サービス体制を実現する為に具体的にどのような改革をしていくべきなのか、その選択肢を整理することです。

検討会終了直後の様子

検討会終了直後の様子


ここでの提言をもとに、2017年に法律を改正する予定です。

今日は、初回だったこともあり、参加した委員メンバーの顔合わせと自由に意見を述べ合って終わりました。

次回以降の本格的な議論もしっかりとフジノは追いかけていきます。

配布された資料から、数点を引用してご紹介します。

まず、目的と検討する事項についてです。

目的

  • 本年3月に定められた地域医療構想ガイドラインでは、慢性期の病床機能及び在宅医療等の医療需要を一体として捉えて推計するとともに、療養病床の入院受療率の地域差解消を目指すこととなった。
  • 地域医療構想の実現のためには、在宅医療等で対応する者について、医療・ 介護サービス提供体制の対応の方針を早期に示すことが求められている。
  • 一方、介護療養病床については、平成29年度末で廃止が予定されているが、 医療ニーズの高い入所者の割合が増加している中で、今後、これらの方々を 介護サービスの中でどのように受け止めていくのか等が課題となっている。
  • このため、慢性期の医療ニーズに対応する今後の医療・介護サービス提供体制について、療養病床の在り方をはじめ、具体的な改革の選択肢の整理等を行うため、本検討会を開催する。

検討事項

  1. 介護療養病床を含む療養病床の今後の在り方
  2. 慢性期の医療・介護ニーズに対応するための(1)以外の医療・介護サービス提供体制の在り方



続いて、論点のたたき台(事務局である厚生労働省が出したもの)です。

具体的な改革の選択肢の整理等にあたってご議論いただきたい論点(たたき台)

  1. 慢性期医療の在り方について
    今後の超高齢社会では、複数の疾患を持ち、医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者が増加していくが、慢性期医療には急性期医療とは異なる役割があること等を踏まえ、今後の慢性期医療の在り方についてどのように考えるか。

    例えば、次のような視点について、どのように考えるか。
    ・ 病気と共存しながらQOLの維持・向上を目指す医療
    ・ 病気を治すだけでなく、本人や家族の意向も踏まえ、患者の生活全体を視野に入れた「治し、支える」医療
    ・ 尊厳をもって人生の最終段階を迎えることを支える医療 等

  2. 慢性期医療の提供体制等の在り方について
    (1)医療提供側に求められる機能の在り方
    今後の慢性期医療の在り方を踏まえ、医療提供側に求められる機能には、どのようなものがあるか。

    (2)医療提供形態の在り方
    上記(1)の機能を果たすための医療提供形態の在り方としては、「療養病床のように、 医療スタッフを内包して提供する形」と、「在宅医療のように、住まいを拠点として医療を 外から提供する形」に大別されるが、それぞれの提供形態の在り方や、選択肢を考える上 での条件等(患者像等)についてどのように考えるか。

    (3)療養病床における医療等の在り方
    上記(1)(2)の論点も踏まえつつ、療養病床において主として対応することが求めら れる患者像についてどのように考えるか。

    また、患者像を踏まえた療養病床における医療の在り方について、どのように考えるか。 その際、例えば、次のような視点や慢性期医療の役割等を踏まえて、どのように考えるか。

    ・ 病気と共存しながらQOLの維持・向上が図られるよう、在宅復帰や在宅生活の継 続を支援する
    ・ 継続的な医学管理を行い、人生の最終段階においても穏やかな看取りを支える 等

    さらに、上記を踏まえた以下のような論点について、どのように考えるか。
    1 人員体制の在り方
    2 施設や設備の在り方
    3 制度上の位置付けの在り方(医療法、介護保険法、報酬制度等)
    4 基盤整備計画上の位置付け(医療計画、介護保険事業計画)や施設等の整備に対する財政支援の在り方

    (4)療養病床以外の医療・介護サービス提供体制の在り方
    切れ目なく、医療・介護サービスを提供する上で、療養病床における医療等の在り方も踏まえ、慢性期の医療・介護ニーズに対応するための、療養病床以外の医療・介護サービス提供体制の在り方について、どのように考えるか。

明日以降、どうか新聞各紙やメディアがこの検討会とテーマについて取り上げてくれることを願っています。

市民のみなさまにとって、かつてフジノがそうであったように体験するまでは自分にとっては縁のない遠い世界のお話に過ぎません。

けれども、もしも自分と自分の家族にふりかかった場合(この先、2050年までは誰の身にもいつでも起こるでしょう)、本当に重要なテーマだということを誰もが痛感させられることになります。

日常生活の中では極めてマイナーで、誰も関心を持たないことがらです。

けれども、2025年〜2050年を見据えていくのが仕事のフジノにとっては、最重要政策のひとつです。

反対すべきことには徹底して反対していくとともに、これからの『エンド・オブ・ライフ・ケア』『クオリティ・オブ・デス』の在るべき姿を求めてしっかりと議論がなされるようにしていきたいです。

これからも情報発信をしていきます!



【ご協力お願いします!】精神科の薬、ゆっくり減らして/全国の医療機関・薬局にポスターを貼り出してほしいのです

どうかご協力をお願いします

2010年からフジノが理事を務めている『NPO法人地域精神保健福祉機構(通称コンボ)』では、現在とても大切なキャンペーンを行なっています。

診療報酬の改定によって、今年10月から抗精神病薬などの『多剤処方』に制限が設けられます。

そこで、コンボでは

「クスリをのんでいるみなさま、クスリを減らすのは不安だと思いますが、ゆっくり減らせば大丈夫ですよ」

「ドクターのみなさま、クスリを減らすのは丁寧な説明ときちんとした体調管理のもとで行なって下さい」

と訴えるポスターを作成しました。

20140710poster

こうしたことをお伝えすることが目的です。

  • 今年10月から、『多剤処方』に制限が設けられることになったことを、当事者・家族のみなさまにぜひ知ってほしい。
  • いきなりクスリを減らすことはとても不安ですが、ゆっくり時間をかけて減らせば大丈夫、ということを、当事者・家族のみなさまに知ってほしい。
  • 減薬への不安を感じているみなさんに、ドクターも丁寧に説明をするようになってほしい

このポスターを全国の医療機関や薬局などに張ってもらいたいのです。

その為に、ぜひ1人でも多くの方々にご協力をお願いしたいのです。

イラストを描いてくれたのは…

ポスターのイラストは、『コンボライター』のぼうえんぎょさんが描いて下さいました。

『こころの元気+』には、『コンボライター』という制度があります。

『コンボライター』はすべてではありませんが、原則当事者がなることになっています。

多くの当事者が『コンボライター』として登録していて、特集のページで顔と名前を出して、記事を書いています。

「コンボライターという制度」より引用)

世界の流れとは逆に、日本の精神科医療は「多剤大量処方」を続けてきました

これまでの日本の精神科医療では、何種類ものクスリを大量に出すという『多剤大量処方』を当たり前のように行なってきました。

2009年8月6日開催・厚生労働省「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」資料1より

2009年8月6日開催・厚生労働省「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」資料1より


『統合失調症』に対して、日本では3種類以上のクスリを処方されている方々が過半数にのぼりますが、他の国々ではそんなことはありえません。

2009年8月6日開催・厚生労働省「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」資料1より

2009年8月6日開催・厚生労働省「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」資料1より


『うつ病』などに処方される抗うつ薬も、調査によれば日本は多剤併用の傾向がハッキリとあらわれています。

しかし、「『多剤大量処方』はダメだ」というのは、ずっと昔から世界的な流れです。

イギリスの『国立医療技術評価機構(NICE)』のガイドラインでは

抗精神病薬の多剤併用は「効果が上がることについて支持する証拠はほとんどない」「おのずと高用量になるので副作用のリスクをあげる」

と明記しています。

『多剤大量処方』はダメだ、ということは、フジノが臨床心理を専攻していた大学時代(20年以上前)から言われていました。

けれども日本はずっと変わりませんでした。

ずっと日本は、世界の流れに反して、独自の『多剤大量処方』を続けてきたのです。

「多剤大量処方」が続いてきたしくみ

「多剤大量処方」が続いてきたしくみ

これは完全な『医療政策の誤り』です。



(*上の動画はコンボとは無関係なのですが、多量多剤による当事者の苦しみや悲しみをとても分かりやすく表現しておられたので紹介させていただきました)

『多剤大量処方』は、精神疾患を治療するどころか、人々を苦しめてきました。

特に、副作用によって人々の『生活の質』を著しく下げてきたことに対して、フジノは怒りを感じています。

さらに(あくまでもフジノの私見ですが)、「精神疾患のある当事者の方々が若いにもかかわらず突然死する悲劇がしばしば起こってきたのは『多剤大量処方』が原因ではないか」と感じてきました。

こうした想いを抱いているのは、フジノだけでは無いはずです。

実際、コンボでは『統合失調症の人が知っておくべきこと〜突然死から自分を守る〜』という本も出版しています。

必読です

必読です


また、『多剤大量処方』はリカバリーの観点からも間違っています。

コンボとしても長年にわたって、『多剤大量処方』ではなく『シンプルな単剤の適量処方』の必要性を訴えてきました。

ようやく日本も「多剤大量処方」を認めない方向へ舵を切りました

こうした精神科医療の在り方を改善する為に、厚生労働省は2014年度の診療報酬改定によって『政策誘導』を行ないました。

精神科における薬剤の多剤処方に制限をする規定を設けたのです。

抗不安薬・睡眠薬の処方は2種類まで、抗うつ薬・抗精神病薬の処方は3種類までとなりました。

それ以上のクスリを処方すると、処方料・処方せん料・薬剤料が減らされることになります。

つまり、たくさんのクスリを処方する精神科ドクターは、収入が減らされます。

10月からの新しいしくみ

10月からの新しいしくみ


こうした『政策誘導』によって、ようやく日本の精神科医療も、クスリは『単剤適量』へと変わっていくはずです。

今年10月1日から適用されます。

「急な減薬」は体調を崩す原因になります。一定の猶予期間が必要です

ようやく日本の精神科医療も、改善される方向に舵を切りました。

それは良いことです。

でも、今まで『多剤大量処方』をされてきた方々は、突然クスリが減らされることはとても不安だと思います。

フジノも約20年にわたって精神科のクスリをのんでいるので、断薬による離脱症状の苦しみはとてもよく分かります。

クスリを急に減らすことで、離脱症状などの症状悪化が実際に起こることは、研究でも臨床でも明らかです(個人差もありますので必ず起こる訳ではありません)。

そこで、クスリを減らすことは、丁寧な説明と体調管理のもとで、時間をかけてゆっくりと行なうことが推奨されています。

今回の診療報酬の改定でも、多剤処方に制限を設ける規定は「いきなり4月1日から」ではなくて「10月1日から」と半年後からの適用となっています。

厚生労働省も「これは減薬に必要な期間を設ける為」と発表しています。

ポスターで「減薬はゆっくり時間をかける必要性がある」と伝えたい

こうした診療報酬改定の作業にあたって、一部の精神科の業界団体が反対しました。きっと『多剤大量処方』を続けたいという人々なのだと思います。

診療報酬改定が決定した後になっても、いろいろな理由をつけて反対している人々がいます。

フジノは、そうした人々を心の底から嫌悪しています。

もう『多剤大量処方』は絶対にやめるべきです。

今回このポスターを作成した理由は、『多剤大量処方』を延命させる為ではありません。

あくまでもコンボがこのポスターを作成した理由は、以下の2点からです。

  1. 今回の診療報酬の改定によって、多くの方々の処方の内容が変わる可能性があります。処方が変わるのは、こうした「多剤処方」への制限が設けられたことをみなさまに知ってもらう必要があること。
  2. 何よりも、減薬をすることとになるみなさまに、ゆっくりと時間をかけて減薬をする必要があることを知ってもらいたいこと。

ポスターを貼る場所への働きかけをどうかお願いします

みなさまにお願いがあります。

このポスターを、病院・クリニック・薬局・行政機関・地域生活支援センターなどに貼っていただきたいのです。

医療関係者のみなさまだけでなく、当事者のみなさま、家族のみなさま、福祉関係者のみなさま、行政関係者のみなさまにお願いです。

このポスターを病院・クリニック・薬局・行政機関などにお願いをして下さる方がいらっしゃいましたら、どうかご連絡ください。

コンボから必要枚数のポスターをお送りいたします。

【連絡方法】
インターネットのアンケートサイトに、ポスターの送り先などを書き込むためのフォーマットをつくりましたので、こちらにご記入ください。

申し込みサイト

申し込みサイト

【募集期間】
7月18日(金)15:00まで。

どうぞよろしくお願いいたします。

みなと舎の「ゆう」を見学しました!/重症心身障がいのある方々のショートステイ

やっと『ゆう』を見学することができました!

3月の予算議会で可決された、ある素晴らしい障がい福祉政策があります。

それは

『重症心身障がい児者・単独型短期入所事業』1081万5000円 (定員3人)

です。

つまり、『ショートステイ』のことですね。

今回10月から新たにスタートする横須賀市を含めて、神奈川県内でこれを行っているのは、わずか2ヶ所。

本当に大切な福祉サービスです。

これを引き受けて下さったのが『社会福祉法人みなと舎』さんです。

『みなと舎』さんが運営している『ゆう』は、福祉業界では全国的にすごく有名です。

横須賀が全国に誇れる重度の心身障がいのある方々の為の非常に素晴らしい活動をしているのが『みなと舎』なのですね。

『日本グループホーム学会』が学会誌を発行した、その第1号の最初に載っているのが『ゆう』なのですから。

横須賀って、こういう誇れる活動が実はたくさんあるのですね。

本当は『電子入札』なんかよりも誇れるものがいろいろとあるのですよ。

さて、前置きが長くなりましたが、この『ゆう』を見学したいとずっと思っていました。

「市長選挙が終わったら、自分へのご褒美として絶対に見学に行くぞ!」

と固く決心をしていたのですが、ついに21日に実現しました!

『ゆう』はこんな所です

林から佐島方面へ向かって進んでいって京急ストアのある『大楠山入り口』で右折すると、あとは300mくらいで到着します。

道沿いに『ゆう』を案内する看板が出ています。

芦名2丁目、このまちの美しさが残されているとても自然の多い場所に『ゆう』はあります。

ゆう全景
(ゆう全景)

やわらかなピンク色の2階建て、ここが『ゆう』です。

利用者の定員は40名。

対象は、原則として18才以上の、重度・重複障がいのある方です。

法的には『知的障がい者通所更正施設』となっていますが、フジノにとっての位置づけは違います。

とても障がいの重い方々で身体と知的と障がいが共にある方々を『重症心身障がい』と呼ぶことがありますが、『ゆう』はフジノにとっては重症心身障がいのある方の為の場です。

重症心身障がいのある方も地域で暮らしていくことが当然できるのです。

それは『理想』を語っているのではなくて、人として生きていく誰もが持つ当たり前の『権利』のことです。

しかし、この国ではその当たり前のことをやろうとすると、重症心身障がいのある方ご本人をはじめ、ご家族の方々の苦労には、すさまじいものがあります。

それはこの国の福祉が貧しく、当たり前のことが当たり前になされていないからです。

つまり、地域での暮らしを支える体制が無いに等しいのです。

そんな状況の中だからこそ、『ゆう』が存在していることはとても大きな意味があります。

ここに通って、たくさんの活動をして、みんなでお昼ご飯を食べて、いろいろな人々と交流をして、そして夕方には帰っていく。

文章で書くとこれだけのことですが、これだけのことを実現するのはこの国ではとても大変です。

それを『ゆう』は実現しています。

『ゆう』の1日はこんな感じです(リーフレットより抜粋・一部改変)

9:00職員さんが出勤
9:30利用者の方々が出勤
10:00朝の集会、リハビリ、散歩など
12:00昼食、休憩
13:30作業、個別活動、音楽活動など
15:00帰りの集会、水分補給、整理
15:15利用者の方々が退勤
16:00職員さんの打ち合わせ、退勤

ゆうの職員室
(職員室)

オープンからまもなく丸7年間を迎える『ゆう』ですが、全景の写真と同じく、中に入ってもその印象は変わりません。

とても清潔感あふれる素敵な雰囲気です。

上の写真は職員さんたちのスペースですね。

玄関を入るとすぐあるのですが、太陽の光がたくさん入ってきて開放感あふれるつくりですね。

今日は1人の市民の方と一緒に見学をさせていただきました。

瀧川理事長と飯野施設長が迎えてくださいました。

施設長室兼会議室で1時間ほど施設の成り立ちをうかがったり、『障がい者自立支援法案』についての意見交換をしました。

そして、ついに内部の見学です。

*ちなみに、当事者の方々の写真は撮っていません。近年は、当事者の方々の写真を掲載しないのはおかしい、という動きもあります。障がいのある方々のことを知っていただくには当然ながらもっと多くの情報に接してほしいのですけれど、今回の見学では止めました。理由はものすごく単純で、フジノのスケジュール的な忙しさの問題で撮影させて頂いた方々全員に『掲載の確認』を取る時間が取れなかったからです。

それぞれの部屋には『そら』『だいち』『くも』『ひかり』『かぜ』と名前が付けられています。

ゆうの日常活動の場
(ゆうの日中活動の場)

上の写真、左右に1台ずつベットがあります。

音声に合わせて振動が体験できるようになっています。

心身に障がいのある方にとって、肌で体験する、という行動はとっても大切です。『感覚知覚活動』と呼びます。

また、どの部屋にも全て大きさや形が異なるイスがあります。これは、1人1人の体の状態が異なるからです。

あなたは、床ずれのひどくなった『じょくそう』というものをご存知ですか?

よく、介護慣れしていない方や、分かってるくせにダメなへっぽこ病院が寝たきりの方々の体位変換をこまめにしないと、体のある部分(特に出っ張っている部分、尾てい骨のあるお尻など)がえぐれて肉や骨まで見えてしまう、傷痕のようなものをつくってしまいます。

車いすをいつも使用している方もいつも同じ部位がイスに当たっていることになるので、よっぽど体型にきちんと合った車いすで無いと『じょくそう』ができてしまいます。

だから、イスも1つずつ大きさも形も違うのですね。

フジノたちが館内を見学しているうちにお昼ごはんの時間になりました。

ごはんを食べることができる方々は食堂に集まって、ヘルパーの方々の介助をうけながら、おいしそうにごはんタイム。

僕の父のように胃に管を通している経管栄養の方々は別の部屋に集まって、流動食みたいな感じのベージュ色の栄養を点滴を行なうみたいにして食事を摂っています。

よく何も知らない方々から言われるのですが、「胃に管で栄養を入れるなんてかわいそう」です。

でも、そんなこと無いんですよ。

鼻から管を入れて胃まで入れる方法もありますが、それは実は感染症の危険が高くなったりデメリットがあります。

加えて、胃への経管栄養も、実は味覚があるんですよ。

僕自身が体験した訳では無いのに断言するのは良くないですが、胃に直接に栄養を届けるという場合でも、味覚が機能して味が分かる、と言われています。

もちろん満腹感もあります。

『ゆう』の職員体制

さて、お昼ご飯の後は、みなさん少し休憩タイムでした。

お昼ごはんと休憩タイムをつかって、フジノたちはみなさんにいろいろお話を聞かせていただきました。

こうやってみなさんと一緒に過ごしている時間が、視察の最も意味がある時間だと思います。

そして同時にフジノ自身にとって、最も大好きな時間です。

いつか市議を辞めたらたぶん僕は現場に戻ってくるのだ、とつくづく感じる時間です。

よく他の方々と視察に行くとこうしてフジノは置いていかれてしまうのですね(笑)。

(今回もそうでした...)

そんなフジノを見て、飯野施設長がひとこと。

「今、うちは職員を募集してますから応募しますか?」

ありがとうございます(笑)。市議を辞めたら、ぜひヘルパーからスタートしたいです。

実は『ゆう』の職員育成システムは、これまでフジノが見てきた福祉施設の中ではかなり厳しいです(厳しいと言っても怒鳴るとかそういう話ではありません)。

スタッフは85名(2005年7月1日現在)。

障がいのある方々とスタッフはどんな場面でも必ず1対1での対応を取ること、としています。

ヘルパーとしてまず働いて、そこで優秀だと認められたら

過ごしやすい、暮らしやすい、当たり前の場所をめざして

2階にあがると、お風呂がありました。

名前は『ゆうの湯』。

ゆうのお風呂(お風呂入り口)

フジノにとって意外でありうれしい驚きだったのが、高齢者の施設には本当によくある『つりさげ』式の移動機器が無かったこと。

介護が大変だからとか腰痛を避ける為にということで、機械を使って身体をつりあげて湯船へ持っていく、というものがあるんです。

それがありませんでした。

ゆうの浴室(お風呂)

そして、お風呂もいい感じでした。

サポートの大変さでは認知症の高齢の方々よりも困難な方々もいらっしゃるけれど、それでも『QOL』(人として生きていく人生の質の高さ)を追求していくという『ゆう』の姿勢が強く感じられました。

大型の特別養護老人ホームに見学に行くと、ベルトコンベア式というか、職員側の効率重視のために高齢の方々をイモ洗いするかのごとくに入浴させている所が現実にあります(もちろん横須賀にもあります)。

けれどもフジノは人生の最後半にそんな扱いをされるのは、本当にイヤです。もちろん今、現在だってイヤです。

だから当然のこととして、障がいがあるというだけの理由で人としてイヤな想いをするのは絶対にイヤです。

施設の見学をどんどん重ねていくと、例えば、今そこで実際にお風呂に入っている人がいなくてもふだんはどんなかが分かるようになってくるのですね。

『ゆう』のお風呂はとても良さそうでした。

『ゆう』の日常活動

『ゆう』ではふだんいろいろな活動をしています。

例えば、こんなですね。

  • 感覚知覚活動(さっき上で紹介した部屋もそうですね)
  • 機織り
  • 印刷
  • 音楽活動
  • 入浴
  • リズム体操
  • 社会見学
  • 季節の行事
  • 地域の行事への参加

その他にも、屋上を使って、プランターで花や野菜を育てたりもしています。

見学の間に親しくなったKさんに育てているお花を見せていただきました。

屋上のプランター(とてもきれい)

屋上からの見晴らしは、最高でした。

芦名というのはフジノが育った武山のそばなのですが、本当に山の緑が美しい場所です。その緑が見渡せる素敵な屋上は風が気持ちよく吹いていました。

Kさん、お花を見せて下さってありがとうございました。

グループホーム『はなえみ』

そして、今回最大の見学ポイント!

どうしてもフジノが見たかったグループホーム『はなえみ』です。

障がいの重い人こそ地域で当たり前に暮らせるまち、これが現在の福祉の流れです。

それを実現しているのが『はなえみ』です。

はなえみ全景(全景)

グループホームの多くはアパートなどを改築して作ったものなので、見学に訪れて朝に最初に『はなえみ』を見た時にはふつうの『隣の家』かと思いました。

とてもきれいで、かつ生活感のあふれるふつうの家(これが大切)でした。

ふだんグループホームというのは内部をあまり見学できません。

何故ならば、ふつうの家ですから。

あなたの家を例に考えれば分かりやすいですよね。あなたが暮らしている家を「政治家だから」という理由があっても見学なんて許可しないですよね。それでなかなか見学はできません。

けれども今回は、入居している方のご好意で、特別に見学を許可していただきました。ありがとうございます。

はなえみのロビー(ロビー)

玄関を入るとロビー。

この共有スペースに面する形で4つの個室があります。

さらにお部屋も見させていただきました。ありがとうございました。

木製の車椅子(木製の車いす)

とてもいい感じでした。

こういうグループホームがどんどん増えていくといい、増やしていかなければ、と思いました。

障害者自立支援法案の中ではグループホームの扱いに納得がいかないことが多いので、ますますこの法案が廃案になればよいのに、と改めて思いました。

飯野施設長と瀧川理事長とフジノ(左から、飯野施設長、瀧川理事長、そしてフジノです)

お2人にはお忙しい中、見学させていただきまして本当にありがとうございました。

これだけ素晴らしい施設を作り、運営することは、本当に大変なことだと思います。

日常的に全国からたくさんの視察が訪れていて『みなと舎』さんの活動は、高い評価を受けています。

こういう素晴らしい活動があることを、どうかこのまちのみなさんにはぜひ知ってほしいと思います。

そして、応援して下さい。

フジノはここで学んだことを今後の障がいのある方の福祉の向上に活かしたいと思います。

『ゆう』のみなさん、本当にありがとうございました!