「婦人会館」の売却反対を求める陳情について質疑しました。有料化してでも守りたいという住民の想いを尊重すべきです/2011年12月議会

吉田市長の「婦人会館」売却の方針に対して、地域住民の方々から「売却反対」の陳情が出されました

本日の教育福祉常任委員会では、市民の方々から市議会に提出された『陳情』についても審査を行ないました。

ここで特に触れたいのは、『婦人会館』についての陳情です。

陳情「婦人会館の売却反対について」

陳情「婦人会館の売却反対について」


住民の合意を得ないままに突然に市長が方針転換を行なった『婦人会館』の廃止・売却に対して、市民の方々から「反対」の陳情が出されました。

まず陳情の全文を掲載します。

陳情第22号

住みやすい大津の街を作る会代表A(現物では実名)
署名1,224名

婦人会館(馬堀町1丁目6番3号)売却に反対する為の陳情書

2011年8月10日市長参加の車座会議が『大津行政センター』で行なわれました。

その場で会場の質問に答えて、市長は『大津行政センター』を新築移転すること、その財源として現行政センターと『婦人会館』を売却する、と答えました。

かつて市長は『建て替え』ではなく、耐震の調査をして持たせる方向であると言明しました。

まして、市の財政赤字を抱え、市民の負担はいっそう重くなるばかりの状況があると思います。

そのような中で、しかも、本庁舎では無い支所的な現行政センターに近隣の住民はバリアフリー以外何の不都合も感じていません。東京都でさえ、区の役所に大津行政センター並みのものがそのまま活用されているものがあります。

その中で、新築移転の財源に、文化財級の歴史的遺産『婦人会館』を売却するということは、市制110年を超える横須賀市制始まって以来の暴挙です。

歴代の市長はこのような暴挙を行なったことはありません。

横須賀市制誕生とほぼ同年に建造された『婦人会舘』は、芥川賞・直木賞を設定し、文芸春秋社を創設した文豪・菊池寛の小説『不壊の愛』にも登場します。

110年間以上、関東大震災にも耐えて市民に広範囲に今なお愛着を持たれて活用されているものです。

明治40年に創建された別荘建築の典型的な和風様式で、その庭園の松17木含め、市内では稀少価値のものです。

建築文化研究所によると、「横浜市金沢区野島にあって、新築リニュアルオープンされた、史跡指定、伊藤博文別荘跡の元の建築様式と同じもの」と言う評価をされています。

文化財保護法は保存活用を提起しています。

現行政センターとそのコミュニティ機能を補強もしつつ、大津地域の文化や歴史に根づいてきた歴史の語り部的存在で、その機能だけ移転できるようなものではありません。

『婦人会館』の庭園と伺じような、相模原市の旧陸軍士官学校校舎・庭園は市指定遺跡となっています。

大津行政センター新築移転の為の『婦人会館』売却に反対します。

地域住民の願いを踏みにじる以外のないものでもない行為であり、市制に汚点を残すものと言っても過言ではないと思います。

市婦人会維持費は年間200万円と聞いています。

有料にしてでも保存活用できるよう切望します。

この『陳情』の趣旨はもっともで、フジノは強く賛同します。



「陳情」に対する市の所見

横須賀市議会では『陳情』を審査するにあたって、事前に、横須賀市が『所見』を述べることになっています。

この『陳情』に対する横須賀市の所見は以下の通りでした。

陳情第22号について、教育委員会の所見を述べさせていただきます。

本陳情の趣旨は、『大津行政センター』新築移転のための『婦人会館』の売却に反対し、有料にしてでも保存活用することを求めたものであります。

『婦人会館』は、明治40年、現在の横須賀市馬堀町1丁目に建築された木造建築物及び敷地を、昭和55年に住友重機械工業株式会社から本市が購入し、『婦人の社会生活の向上と福祉の増進を図る為』に開館いたしました。

現在は、全13室が、趣味のサークル活動や会議の場などとして活用され、平成22年度は、789団体7,655人が利用しております。

しかしながら、近年は、建物の老朽化が著しく、耐震工事が行われていないなど、利用者の安全が確保できない状況にあります。

一方、『大津行政センター』についてはエレベーターが無く、高齢者や障害者の方々に不便を強いており、また、コミュニティセンターは床面穫が狭く、貸館の際の部屋数も少ない為、地元からの建替え要望も強く、市民部において検討を行なってまいりました。

平成18年には『集中改革プラン』に、『大津行政センター』の移転新築に合わせて、『大津コミュニティーセンター』の機能拡充と、『婦人会館』の開舘が位置付けられております。

こうした状況の中、本市の厳しい財政状況を勘案し、国庫補助金等の活用や、現在の『大津行政センター』施設・用地、『婦人会館』、建設残地の売却など、財源確保に努めながら行政センターの建替えを行なうこととなったものであります。

現在計画している『行政センター』の施設案では、『婦人会館』の機能を可能な限り盛り込むために、部屋数を現在より増やし、学習室などの整備を計画しています。

移転後は、利用者はより良い環境で快適かつ安全に活動ができることとなりますので、教育委員会といたしましては、その機能が新施設に移った時点で『婦人会館』は廃止いたします。

利用者の皆様にご不便をおかけすることの無いよう、新たな『コミュニティセンター』が完成するまでの問きちんと管理した上で、完成後は廃止することでご理解をいただきますようお願い申し上げます。

以上で、陳情第22号についての所見とさせていただきます。

厳しい財政状況があること、地域住民から大津行政センター建て替えの要望があること、その建て替えの財源に婦人会館を売却して充てたいこと、耐震化工事がなされていないこと、などが述べられました。

そして改めて『婦人会館』売却の方針に変更は無いことが述べられました。



フジノは売却反対の立場で質疑を行ないました

『陳情』に対して11名の委員のうち、伊藤順一議員・井坂新哉議員・長谷川昇議員が質疑を行なって下さいました。

フジノが行なった質疑の全文を以下に掲載します。

2011年12月1日・教育福祉常任委員会での質疑

フジノの質問

陳情第22号『婦人会館の売却反対』について数点伺います。

今回、この陳情の中に市民の方は、「有料にしてでも保存活用できるよう切望します」と記載しております。

ただ「何かをしてくれ」というのではなくて、「自分たちも負担をしていくよ」という覚悟を示していただいているものと受けとめました。

そこで、伺いたいのですが、有料化することの検討というのはなさったのか。

今の入場人員であれば、1人250円とれば維持費自体は拠出できると思うのですね。

こういったことについても検討されたのかどうかを伺います。

生涯学習課長の答弁

まず、前提としてコミュニティセンターが有料化をしていませんので、『婦人会館』がコミュニティセンターに先行して有料化をしようという検討は実際にはしておりません。

ただ、目安として今、藤野委員から「1人当たり」という御質問がありましたけれども、通常私どもが所管する『生涯学習センター』などでは1人当たりという料金設定はやはりできませんので、これは今回の場合ですと、『生涯学習センター』が和室が1時間300円で、3時間で900円です。これを昨年の789件に掛けますと、約70万円という収入が見込まれます。

これは有料にした場合の減る分は見込まずにということになります。
 
一方、年間維持費は陳情には200万円と書いてございますが、平成23年度の婦人会館費の予算は年間500万円予算を議決をいただいておりますので、500万円に対して71万円ということは、なかなか維持管理の費用を賄えるという判断はしてございません。

フジノの質問

公式な有料化の検討はしたことは無いけれども、見込みというのは行なっていただいた、というのを伺いました。

有料化のあり方は従来の方法に合わせていくと、有料化したとしても維持管理はなかなか難しいということは承知しました。
 
財政的な部分について、今回は新大津行政センターとの一体的な取り組みの中で婦人会館の売却を例に挙げておられますが、文化的な価値以外の側面の価値も考えてみたいと思うのです。
 
大津地域というのは、今、おりょうさんの墓ですとか、本当に観光振興に頑張っておられると思うのです。

そんな中で、『婦人会館』というのも観光的な価値もあるのではないかと考えます。

この点については、経済部とも話し合いは行なわれたのでしょうか。

生涯学習課長の答弁

観光的な利用を図っていくという趣旨での検討、あるいは所管課との打ち合わせは行っておりません。

フジノの質問

この点は、やはりぜひ連携して話をいったんはしていただきたい、と思います。

『婦人会館』というもののイメージを、僕が政治家になる前からも含めて思った時に、やはりその庭園のすばらしさですとか、そういう観光的な価値も大きく感じたのですね。そこは考えていただきたいと思います。
 
それから、最後になりますが、『文化的価値』『経済的価値』に続いて、やはり一番重視しなければいけないと思うのは『地域のコミュニティーとしての価値』です。

建物を建てかえれば、入れる人は増えたり、スペースは確かに確保できると思うのです。
 
ただ、この110年間、大津の地域に根づいたランドマークとして非常に地域の方々の愛着のある建物としてあることで、そこに集う方々が8,000人近くおられる。

そのコミュニティー機能をここで売却してしまって維持できるのか。

地域の方々のきずなを維持できるのか。

大津といえば社会福祉協議会も頑張っていることでも非常に有名ですし、そういうのはこの『婦人会館』の存在というのも大きいのではないかと思うのですね。この点についてはどのようにお考えでしょうか。

生涯学習課長の答弁

藤野委員のおっしゃるように、年間8,000人の方が利用していただいて、私も『婦人会館』は所管ですのでよく行きますが、ある一定以上の年配の方々がたくさん集っていただいて囲碁をやっているとか、御近所の方が集まって会合しているとかというようなコミュニティー的な利用は本当にしていただいているという状況は、認識はしております。

ただ、一方で、やはり『大津コミュニティセンター』『大津行政センター』を建てかえて、その建てかえの検討の中で、『婦人会館』の機能を--来年以降基本設計ですけれども、可能な限り機能を吸収できるような規模にしていくということを私どもも市民部のほうに申し入れをしてあります。

市民部もそれを受けて検討していくということです。

これを両方、コミュニティー形成に寄与していることは事実ですが、両方の施設をコミュニティー施設として今後も維持していくということについては、これは市全体の判断として難しいということで、『大津行政センター』の建てかえと『婦人会館』の廃止をセットで、以前から市として決定していたということでございます。

フジノの質問

新しい建物をつくっても、そこに魂を吹き込むというのは本当に難しい時間のかかること。

一方、今すでに愛されている建物があって、そこに人が集って、想いもたくさん集まって、記憶も積み重なっている。

それをいったん失なってしまえば、本当に取り戻して再構築するというのは難しい。

それを本当にそのリスクを冒してまで新しい建物に切りかえる必要があるのか、というのは、僕はハッキリ言うと疑問を感じています。
 
全体としてのお考えがあるということは、市長判断と僕は受けとめますので、所管課(教育委員会)には厳しいことも申し上げても仕方がないのかな、ということを思います。

ただ、そのような想いを教育委員会もぜひ共有していただきたい。

市民の方々は、有料化してでも自分たちはここを守りたいのだという思いがあるということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。

フジノが行なった質疑は以上です。



「陳情」は「審査終了」となりました

『陳情』については『賛成』『反対』とは言わずに『趣旨了承』『趣旨不了承』という用語を使います。

最終的な各会派の賛否は以下の通りです。

委員名 賛否(了承・不了承)
加藤議員 不了承
岩沢議員 不了承
大野議員 不了承
はまの議員 不了承
長谷川議員 了承
井坂議員 了承
フジノ 了承

横須賀市議会では『陳情』は多数決ではありません。

全委員が一致して『趣旨了承』か『趣旨不了承』のどちらかの結論になった場合のみ、その結論となります。

今回のように、『趣旨了承』と『趣旨不了承』で意見が分かれた場合には、『審査終了』という結論になります。

つまり、現時点では結論が出なかった、という意味です。

以上のことから、この『婦人会館』売却反対に対する『陳情』への横須賀市議会の結論は『審査終了』となりました。

『審査終了』という結果は、大変に残念です。



「婦人会館」は売却してはならない!

売却すれば、確かに収入を得ることができます。

その収入を財源に、大津行政センターの建て替えを行なうという説明は分かりやすく、なんとなく良さそうに聞こえるかもしれません。

けれども、本質は、全く違います。

『婦人会館』の地域コミュニティにおいて果たしている大きな役割を、横須賀市は絶対に残すべきです。

そこに集う方々の表情を見れば、生き生きとして楽しそうで、人々の暮らしに潤いを与えています。

フジノは文化財や建築学に詳しくありませんので、『婦人会館』の文化財的な価値や建築学的な意義は分かりません。

けれども1度でも実際に『婦人会館』に足を運べば、懐かしい日本建築の建物と美しくて広い庭の素晴らしさに誰もが心を奪われるはずです。

また、大津地域では観光に力を入れています。

その観点からも『婦人会館』は観光資源としても大きなスポットになるはずです。

これからもこの大切な空間を将来にわたって引き継いでいくべきです。

廃止・売却は絶対に間違いです。



陳情「婦人会館の売却反対について」

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