横須賀の「学童クラブ条例」づくりのゴールが見えてきました/放課後児童クラブ設備・運営基準検討部会(最終回)へ

全国の市町村で「学童クラブ条例」づくりが進んでいます

横須賀市では新しい『子ども子育て支援制度』を作る為の議論は、昨年2013年5月にスタートしました。

中でも『学童クラブ』は、新しい制度の目玉の1つです。

*学童クラブには様々な呼び名があります。学童保育、放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブなども同じ意味です。

児童福祉法改正によって、全国の市町村は新たに『学童クラブ条例』を作らねばなりません。

その条例に盛り込まなければならない内容は、例えば、

  • 職員の数
  • 施設の面積
  • 設置しなければならない設備
  • 開所日数
  • 開所時間

など、あらゆる事柄となります。

全国学童保育連絡協議会資料より一部改変

条例策定のスケジュール(全国学童保育連絡協議会資料より一部改変)


そこで昨年から今年にかけて、全国で一斉に条例策定の作業が行なわれています。

放課後児童クラブ設備・運営基準検討部会へ

横須賀市では、『放課後児童クラブ設備・運営基準検討部会』において、議論が行なわれてきました。

第1回(2013年12月26日)
  1. 横須賀市の放課後児童クラブの現状
  2. 放課後児童クラブガイドライン
  3. 社会保障審議会児童部会、放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告(第7回)
第2回(2014年3月7日)
  1. 社会保障審議会児童部会、放課後児童クラブの基準に関する専門委員会の報告書について
  2. 神奈川県下の放課後児童クラブの条例制定状況について
  3. 横須賀市の放課後児童クラブ運営の現状について(指導員のアンケート結果より)
第3回(2014年4月25日)
  1. 国の放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(案)に関する意見の募集について
  2. 国の放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(案)の概要
  3. 国の放課後児童健全育成事業の設備運営基準(案)【未定稿】について
  4. 本市が募集予定 (6月)のパブリックコメントの考え方について
第4回(2014年5月30日)
  1. 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第63号)とその基準(案)に寄せられたパブリックコメントに対する国の考え方
  2. 第3回検討部会における確認事項について
  3. 本市が募集予定(6月)のパブリックコメントの考え方について

約7ヶ月間の議論を見守ってきましたが、ついにゴールが見えてきました。

会議室にて

会議室にて


フジノは今日、最終回となった第5回目のこの部会を傍聴してきました。

パブリックコメントへの回答を検討しました

今回の議事は下の通りです。

第5回(2014年7月28日)
  1. パブリックコメント手続き(意見募集)結果について
  2. (仮称)放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の骨子(案)について

これまでの検討部会での議論の結果を、市民のみなさまにパブリックコメントの形で報告しました。

6月17日〜7月7日まで行なわれたパブリックコメント

6月17日〜7月7日まで行なわれたパブリックコメント


そして、6月17日から7月7日まで市民のみなさまからご意見を募集しました。

『学童クラブ条例』他6件についてのパブリックコメントだったのですが、合計714件のご意見を頂きました。

このうち、『学童クラブ条例』についてのご意見が693件でした。つまり総意見の97.1%です!

市民のみなさまの『学童クラブ』に対する関心の高さがヒシヒシと伝わってきました。

特にご意見が多かったものを紹介いたします。

条例の中でうたわれている支援員の数の下限・児童数の上限・非常災害対策・衛生管理等の実現に要する費用について、財政支援をお願いする。

また、民間施設を利用するクラブの家賃補助・指導員の資格取得・研修受講に要する費用についても、財政支援をお願いしたい。

(128件)

指導員の処遇について、継続勤務と人材確保のため、何らかの賃金保障・身分保障をしてほしい。

具体的には、市の非常勤職員として雇用しクラブに派遣するとか、社会保険への加入費用や年功序列型の賃金体系の実現のための 財政支援をお願いしたい。これらのことを保護者負担で実現するには、負担が重すぎます。

また、支援員の資格が規定されましたが、 資格と処遇は一緒に考えてほしい。

(98件)

働く保護者のため、寂しい想いをしている子どものために高い利用料を利用しやすい利用料にするため、行政の財政支援をお願いする。

特に、小さいクラブほど運営収支が厳しいので、何とかしてほしい。

(55件)

運営方式について、保護者会運営は保護者の負担が大変なので、児童数に補助金が影響されない『公設』や『委託方式』を検討しても良いのではないか。

運営委員会を年4回程度開催してほしいとのことだが、関係者の負担は大変です。

(54件)

こどもが安全で快適に生活できるよう指導員の数を増員して下さい。

指導員の配置基準について、児童の人数に応じた配置基準にして下さい。

指導員の確保が難しく複数配置ができかねる現状があるので条文を訂正すべきだと思います。

人材が確保できない場合の対応について明記すべきではないのか。

(54件)

専用区画の面積について、「児童1人につきおおむね1.65㎡以上でなければならない」とされていますが、その規定により定員を超えてしまい待機児童を出さざるを得ず、クラブを分割せざるを得ないことも考えられます。

待機児童が生じないように基準に応じた学童クラブを増やして下さい。

(46件)

回答は、ほぼ事務局案どおりになりました

こうしたご意見に対して、どのように回答するかの『原案』は、事務局(横須賀市こども育成部)が作成します。

事務局原案に対して、検討部会メンバーが意見を出していきました。

しかし、根本的な内容の変更が必要な意見は、取り入れられることはありませんでした。

本当に残念です。

パブリックコメント手続き結果(案)

パブリックコメント手続き結果(案)


結果的に、決定された回答のほとんどの内容は

今回検討をした基準は、条例として市内全ての学童クラブ事業者に適用するものです。

その為、規定する項目や内容については、既存の学童クラブの存在を意識して、最大公約数的な項目や内容に絞らざるを得ませんでした。

市独自の項目や内容の設定については、今後の課題として、市にお伝えしたいと考えております。

といったものとなっています。

市の責任を明確に位置づけることや、新たな財政支出が必要となる補助や、学童クラブ全体の底上げになるような基準などは、全く新たに記されることはありませんでした。

重ねて、残念でなりません。

検討部会に参加しているメンバーは現場の方々、事務局であるこども育成部のメンバーも現場の実情を理解している職員ばかり…。

それがこのように現状維持に押し切られてしまうのは、何故なのか。

財政部による財政規律が厳しいのか。市長に学童クラブを改善する意思が無いのか。

いずれにしても、学童クラブ関係者のみなさまにとって、とても残念なパブリックコメント回答となりました。

新しい『子ども子育て支援制度』に位置づけられた学童クラブは、今までと一体何が変わったのでしょう。

まずは新制度の立ちあげに間に合わせることが「最優先」だったのだろう、と言わざるをえません。

フジノや学童クラブ関係者のみなさんの大半は、新たな制度に位置づけられたことを過去最大のチャンスと捉えて、学童クラブの質を向上させてこどもたちの暮らしを守りたい、という想いでした。

そうした切実な願いは、ほとんど叶わなかった形になります。

残念です。

条例骨子案も原案のまま、決定しました

議題2、学童クラブ条例の骨子案についても、原案どおりに決まりました。内容は下の通りです。

(仮称)放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例
  1. 条例の概要

    本条例は、放課後児童健全育成事業の適正な実施を確保するために、児童福祉法第34条の8の2第1項の規定に基づき、事業の設備・運営の基準を定めるために制定するものです。

    本市では、基本的には国が示す基準(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第63号))と同一の基準を条例に定めたうえで、以下の基準については、本市独自の基準を設けることとします。

    ●本条例において本市が独自に定める基準(経過措置)

    省令(国の基準)の内容本市が独自に定める内容
    なし現在運営されている放課後児童健全育成事業者については、当分の問、放課後児童健全育成事業所に必要な専用区画の面積基準への適合を猶予する。

    (考え方)
    現在運営されている放課後児童健全育成事業者は、新制度への移行後、「児童1人につきおおむね1.65㎡」という放課後児童健全育成事業所に必要な「専用区画」(遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画)の面積基準を満たせないクラブが生じる可能性があります。

    そこで、新制度への円滑な移行を図るため、条例の施行の時点で運営している事業者については、面積基準への適合を当分の間猶予する経過措置を設けることとします。

  2. 施行期日

    平成27年4月1日(予定)

  3. 条例の見直し

    本条例は、その運用状況、実施効果等を勘案し、施行の日以後 5年以内に見直しを行うものとします。

新しい条例では、こども1人あたりの面積1.65㎡を最低基準とします。

けれども、いきなりすべての学童クラブがこども1人あたり1.65㎡の面積が必要だと定めると、これを守れない事業者も出ます。

そこで、経過措置として5年間の猶予(5年間は1.65㎡以下でもOKと認める)を『横須賀市独自の基準』として認めることとしました。

これが骨子案の内容です…。

条例の骨子案

条例の骨子案


もちろん、このあと9月議会で条例案の審議がなされます。

フジノとしては、こどもたちの暮らしがもっと根本的に守られるように全力を挙げて条例案の変更を求めていきます。