「自殺対策官民連携協働ブロック会議@東京」が初開催/果たして意味はあるのだろうか?

自殺対策官民連携協働ブロック会議・関東へ

今日は、東京駅のすぐ目の前にある三菱ビルへ。

『自殺対策官民連携協働ブロック会議(関東)』が開かれました。

東京駅

新しくなった東京駅を初めて訪れました


この『ブロック会議』は、今年から新たに設置されたものです。

『関東ブロック』の対象地域は、茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・ 神奈川県・新潟県・さいたま市・千葉市・川崎市・横浜市・相模原市・新潟市です。

会場入口にて

会場入口にて。しりあいがたくさん居る前での自撮りに照れ笑い


関東の他に、5つのブロック会議があります。

  • 北海道・東北ブロック(対象:北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・札幌市・仙台市) 10月4日開催

  • 中部ブロック(対象:富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・ 愛知県・三重県・静岡市・浜松市・名古屋市) 10月17日開催

  • 近畿ブロック(対象:滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・ 京都市・大阪市・堺市・神戸市) 11月8日開催

  • 中国・四国ブロック(対象:鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・ 香川県・愛媛県・高知県・岡山市・広島市) 11月15日開催

  • 九州・沖縄ブロック(対象:福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮城県・ 鹿児島県・沖縄県・北九州市・福岡市・熊本市) 11月29日開催




ブロック会議の目的

内閣府によれば、設置の目的は下の通りです。

自殺対策官民連携協働ブロック会議

自殺総合対策大綱に掲げられている推進体制「国、地方公共団体、関係団体、民間団体等が連携・協働するための仕組み」の具体化を図るため、自殺対策に関わる地方公共団体、関係団体及び、民間団体等が一堂に会し、情報共有や意見交換を通して、互いの活動について理解を深め、さらに連携を図ることができるよう、ブロックごとに会議を開催し、地域レベルの実践的な連携を図る。

(内閣府自殺対策推進室の事務連絡より引用)

先日初めて開催された『自殺対策官民連携協働会議』の、地域バージョンという位置づけのようです。

自殺対策官民連携協働ブロック会議の位置づけ

自殺対策官民連携協働ブロック会議の位置づけ(フジノ作成)


けれども、率直なところフジノには、このブロック会議の持つ意味はまだよく理解できません。

しかも、親会議である『官民連携協働会議』と同じく情報が全くありません。

インターネット上では、いくら探しても情報が全く出ていません。グーグルで検索をかけても、フジノ自身が書いた文章が出てくるだけ…。

やむなく内閣府自殺対策推進室に直接電話をかけて問い合わせてみました。

すると、「都道府県・政令市の自殺対策主管課に参加申し込みのおしらせをした」とのことでした。広く一般に向けて参加や傍聴のおしらせは行なっていないとのことでした。

そこで、実際の様子を傍聴させてもらうことにしました。



ブロック会議への疑問

こうして実際に参加してみたのですが…

残念ながら参加した後もこれまで感じてきた疑問は変わりませんでした。

議事次第

議事次第


プログラムは大きく分けて3つです。

  1. 内閣府自殺対策推進室からのお話

  2. 地方自治体による自殺対策の取り組みの紹介(東京都・新潟県)

  3. 民間団体による自殺対策の取り組みの紹介(NPOライフリンク)
内閣府自殺対策推進室より

内閣府自殺対策推進室より

『ブロック会議』そのものは、参加者がいすに座ったまま、ただ講義を聴くというものでした。

パワーポイント資料より

内閣府のパワーポイント資料より


同じ会場で午後から開かれる別プログラム(自殺対策連携コーディネーター研修)ではワークショップ形式で行われるとのことでした。

ただ、ブロック会議そのものはひたすら座学に終始しました。参加者同士が交流するというようなことは特にありません。

東京都パワーポイント資料より

東京都パワーポイント資料より


地方自治体の担当者を集めてお話を聴くだけならば、これまでに開催されてきた自殺予防総合対策センターによる『研修』内閣府による『全国自殺対策主管課長等会議』など何が違うのか、分かりませんでした。

新潟県パワーポイント資料より

新潟県パワーポイント資料より


地方自治体の職員向けに『研修の機会』が増えることに、文句はありません。

でも、設置の目的と実際の場は、異なっていると感じました。

NPOライフリンク清水さんによる講演

NPOライフリンク清水さんによる講演


『ブロック会議』と銘打ってわざわざ新たに設置したのです。

それならば、そのブロックごとの独自の課題や取り組みなどを明確にして、『ブロック会議』にしかできないことをすべきだと感じました。

新しい『自殺総合対策太閤』がスタートして、いろいろな会議の名前が変わりました。

でも、名前だけ変わってもしかたがありません。

名前は変わらなくて良いので、もっと効果のある取り組みを進めてほしいです。

今回は第1回目でしたので、手探りだったとは思います。

しかし、次回以降もっと『ブロック会議』の設置目的に沿った取り組みになるように願っています。



見直しされた「自殺総合対策大綱」がついに閣議決定。/性的マイノリティ支援が初めて「大綱」に明記されました!

「自殺総合対策大綱」が閣議決定されました!

本日の閣議で、『自殺総合対策大綱』が正式に閣議決定されました。

2007年6月に初めて作られた『大綱』が初めて見直しされました。

サブタイトルとして「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して」と付けられました。

自殺総合対策大綱(見直し案)(全体像) ~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~

自殺総合対策大綱(見直し案)(全体像)
~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~


官房長官による記者会見では、次のように述べられました。

自殺総合対策会議の開催について

次に、本日、『自殺総合対策会議』を開催しました。

ここでは『自殺総合対策大綱』の見直し、それの閣議決定案について決定し、その後の閣議において『大綱』を正式決定しました。

見直し後の『大綱』では、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」を目指すこととし、地域レベルの実践的な取組を中心とする自殺対策への転換が必要であるとしています。

具体的施策として、近年自殺死亡率が高まる傾向にある若年層に向けての対策、それから自殺のリスクが著しく高い未遂者向けの対策について重要性を指摘するとともに、様々な主体間の連携・協働を進めることとしています。

新たな大綱の下で、一人でも多くの方の命を救うため、関係省庁で連携して自殺対策に一層強力に取り組んでまいります。

詳細、内閣府自殺対策推進室にお問い合わせを願いたいと思います。



記者会見ではわずかな情報しか語られませんでしたので、以下に注目すべき点をご紹介します。



初めて性的マイノリティが「大綱」に明記されました

記者会見では触れられませんでしたが、今回見直しされた『大綱』で最も注目すべきことがあります。

それは、セクシャルマイノリティ(性的マイノリティ・いわゆるLGBTQ)について初めて『大綱』で明記されたことです。

各団体と全国の当事者・関係者のみなさんの働きかけによって実現した、素晴らしいことだと評価しています。

触れられたのは3ヶ所です。

4.関係者の連携による包括的な生きる支援を強化する

自殺は、健康問題、経済・生活問題、人間関係の問題のほか、地域・職場の在り方の変化など様々な要因とその人の性格傾向、家族の状況、死生観などが複雑に関係しており、自殺に追い込まれようとしている人が安心して生きられるようにして自殺を防ぐためには、精神保健的な視点だけでなく、社会・経済的な視点を含む包括的な取組が重要である。

また、このような包括的な取組を実施するためには、様々な分野の人々や組織が密接に連携する必要がある。

例えば、うつ病等自殺の危険性の高い人や自殺未遂者の相談、治療に当たる保健・医療機関においては、心の悩みの原因となる社会的要因に対する取組も求められることから、問題に対応した相談窓口を紹介できるようにする必要がある。

また、経済・生活問題の相談窓口担当者も、自殺の危険を示すサインやその対応方法、支援が受けられる外部の保健・医療機関など自殺予防の基礎知識を有していることが求められる。

こうした連携の取組は現場の実践的な活動を通じて徐々に広がりつつあり、また、自殺の要因となり得る生活困窮、児童虐待、性暴力被害、ひきこもり、性的マイノリティ等、関連の分野においても同様の連携の取組が展開されている。

今後は、国、地方公共団体、関係団体、民間団体等で連携を進める際、自殺対策に関連する様々な関係機関・団体のネットワークだけでなく、これら関連分野の関係機関・団体又はそのネットワークとの連携体制を確立して、より多くの関係者による包括的な生きる支援を展開していくことが重要である。


(4)自殺や自殺関連事象等に関する正しい知識の普及

自殺や自殺関連事象に関する間違った社会通念からの脱却と国民一人ひとりの危機遭遇時の対応能力(援助希求技術)を高めるため、インターネット(スマートフォン、携帯電話等を含む。)を積極的に活用して正しい知識の普及を推進する。

また、自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、理解促進の取組を推進する。


(2)教職員に対する普及啓発等の実施

児童生徒と日々接している学級担任、養護教諭等の教職員や、学生相談に関わる大学等の教職員に対し、自殺の危険性の高い児童生徒等に気づいたときの対応方法などについて普及啓発を実施するため、研修に資する教材の作成・配布などにより取組の支援を行う。

自殺者の遺児に対するケアも含め教育相談を担当する教職員の資質向上のための研修等を実施する。

また、自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、教職員の理解を促進する。

ぜひみなさまにも『大綱』の全文をご覧頂きたいと思います。

詳しくはこちらのリンク(自殺対策推進会議)をご覧ください。



内閣府の「自殺対策推進会議」へ/GKB47騒動をやってる場合じゃない

第15回自殺対策推進会議へ

今日は、朝から東京・霞が関へ。

内閣府の『自殺対策推進会議(第15回)』が開かれました。

5年ごとに見直しを行なう『自殺総合対策大綱』ですが、昨年6月の第12回会議から3回に分けて『現・大綱』の進捗状況のヒアリングが行なわれてきました。

今は、自殺対策に関わる学会などからの意見をとりまとめているところで、次回の会議にはそれらの意見が公表される予定です。

最終的には、今年の春には『新・大綱』が閣議決定される見通しです。

合同庁舎4号館4階共用会議室前にて

合同庁舎4号館4階共用会議室前にて


しかし、『新・大綱』策定に向けた大切な時期であるにも関わらず、今日の会議で大きな議論を呼んだのは、本筋とは全く別のことでした。

内閣府自殺対策推進室が発表した、今年3月の『自殺対策強化月間』の取り組みについて、そのキャッチコピーである『GKB47』が問題視されました。

配布資料5・内閣府自殺対策推進室より

配布資料5・内閣府自殺対策推進室より


フジノ自身もこの資料に目を通した瞬間、

「なんでこんなバカげたキャッチコピーを付けたんだ」

と感じて、率直な想いをツイッターでつぶやきました。

案の定、委員メンバーからも批判が出ました。

20120123gkb47


予想通り、それから数時間後にインターネット上で配信された各メディアの記事を見ると、批判一色でした。

2012年1月24日・朝日新聞より

2012年1月24日・朝日新聞より

2012年1月24日・毎日新聞より

2012年1月24日・毎日新聞より


内閣府の説明文章によれば『GKB』とは

『Gate・Keeper・Basic』と『47都道府県』の頭文字を取った

とのことです。

しかし、若い世代にとって『GKB』とは『ごきぶり』を意味しています。『GKB47宣言』のキャッチコピーを作った人たちは、こんなことも知らなかったのでしょうか。

それ以前に、これまでも自殺対策は何よりも言葉づかいに慎重に慎重を期してきたのに、『AKB48』人気にあやかりたいという安易すぎるコピーは今までの取り組みとも大きく反したもので、自殺対策を推進してきた1人としてフジノ自身も全く受け入れることができません。



内閣府の取り組みはブレている

今回の『GKB47』問題だけではなく、内閣府の取り組みは、今、ブレていると強く感じます。

昨年11月に新たに作られた『官民が協働して自殺対策を一層推進するための特命チーム』はその表れだとフジノは感じています。

この『特命チーム』は自殺対策の専門家でも何でもない人間をメンバーにしました。

14年連続で3万人を超えた犠牲者を出している今、本気でいのちを守ろうと覚悟している人だけが必要なのです。

そして、この『特命チーム』で行なわれている議論も今さら何故こんな屋上屋を架すのか全く無意味に感じます。

こんな状況で作られる『新・大綱』にフジノは不安を感じています。

『自殺対策元年』と言われた2006年から早くも6年が過ぎて、一時期の熱気は確かに去っていきました。

けれども、現場で毎日の活動を地道に続けているみなさんの熱意は全く変わっていません。

大きな啓発イベントを単発で打ったり、有名な人を審議会メンバーにするようなことは、そもそも必要ではありません。

やるべき取り組みを通年でじっくり行なえるようにしっかりと予算を付ける、人材の確保をする、それこそが必要です。

派手さは全くいらないのです。

成果が出ている取り組みを地道に続けることが重要なのです。

『GKB47』なんて謳わなくてもゲートキーパーは確実に少しずつ増えてきています。

派手なキャッチコピーはいらないし、もっとやるべきことは別にあるのです。

内閣府には、初心に帰って、もっと成すべきことは何かを考えてほしいです。