介護職による「たん吸引・経管栄養」がようやく法制化へ/医療的ケアをもっと身近にしたい

介護職による「たんの吸引・経管栄養」がようやく法制化へ

今日は夕方から夜にかけて、厚生労働省へ。

ずっと追いかけ続けてきた『介護職員などによる、たんの吸引などの実施の為の制度のあり方に関する検討会』を傍聴してきました。

何よりも今回が大切なのは、ついに『中間まとめ』が決定されるということです。

ふつうの日本語の『中間まとめ』という言葉の意味とは違って、政治・行政用語で『中間まとめ』とは『方向性の決定』という意味があります。

今日ここで、新しい法律を作る為の方向性が正式に決まります。

「介護職員などによる、たんの吸引などの実施の為の制度のあり方に関する検討会」会場にて

「介護職員などによる、たんの吸引などの実施の為の制度のあり方に関する検討会」会場にて


『たんの吸引』がどれほど重要なことか、実際に目の前で見たことが無い方にはイメージするのはムリだと思います。

フジノも自分の父に『たんの吸引』が必要になるまでは、そんなことを1度たりとも考える機会がありませんでした。

でも、僕は今その『意味』を知っています。

だから、政治家としてフジノは、あなたに伝えなければいけないのですね。

『たんの吸引』が無ければ、生きていかれません。

ノドの筋肉を動かすことができる状態の時には、つまり、ふつうに暮らしている時には、誰もが無意識にノドの筋肉を動かして『たん』を外へと吐き出しています。

あるいは、気道に入らないように食道から胃の方へと『たん』を流し込んでいます。

人間の身体のメカニズムというものは本当に素晴らしくて、意識しなくても勝手にやってくれているのですね。

でも、ノドの筋肉を無意識で動かすことができなくなると、『たん』ひとつによってこんなにも苦しいものなのかと途端に気付かされるのです。

『たん』を吐き出せないと、息を吸ったり吐いたりすることができなくなります。

呼吸ができなければ、窒息してしまいます。つまり、『たん』ひとつで人は死んでしまうのです。

自分で『たん』を吐き出すことができなければ、少しずつ少しずつ気道に入っていき、肺へと流れていきます。そして、肺炎になります。

だから、『たん』を自力で吐き出せない人々にとって、ストローのような管をつかって他人の手を借りてノドから『たん』を吸引してかきだすことは、文字通りの『命綱』なのです。


(画像:検討会が始まる前の会場)


この『たんの吸引』は、日本では医者と看護師しか許されない『医療行為』と決められています。

しかも、深刻な医師・看護師不足があって『たんの吸引』まで、手が回りません。

つまり、どれほど苦しんでいたとしても放置せざるをえないのが現実です。

例えば、フジノが父のお見舞いに行った時、父のベットサイドに2時間いたとしても1度も来てもらえないことも当たり前の状況になっています。

1日に10回も来てもらえることはありません。

目の前の父は、意識が無いとはいえども本当に苦しそうな表情でのたうちまわっています。

僕は、父に対して本当に申し訳なく感じながらも目の前の父に何もしてあげることができません。

ナースコールを押したとして、たとえ今この瞬間は『たんの吸引』をしてもらえたとしても、それはその場しのぎにすぎません。

僕がお見舞いに来ていない時間の方が圧倒的に多い訳です。

その間は、父は誰にも見守られないままにもがき苦しむしかないのです。

誰もがこんなことは間違っていると分かっています。

それでも今の日本の法律・制度のもとでは「しかたがない」と本人も家族も諦めるしか無いのです。


(画像:検討会が終わったところ。今日はマスコミが多かったです)


こんな現実を少しでも変えたくて、せめて医者・看護師じゃない人であっても『たんの吸引』を可能にしたいと考えて

新しい法律をつくる/現在の法律を改正することによって、介護職員などの方々にも実施可能にする為に、この検討会が開かれています。

もしもこれが実現すれば、多くの人々が救われます。




今日の会議の結果、この『中間まとめ』が決定されました。

ようやく方向性が決まりました。

あまりにもゆっくりすぎる一歩ですが、確かに一歩が踏み出されました。

あと2年間も時間がかかるので、僕は自分の父の為には間に合わないかもしれません。

それでも、絶対に進めなければいけないのです。

この動きが本当に確かなものとなる為に、ささやかな力でもこうして情報を伝え続けていくのです。

この国には、父と同じような状況に追い込まれている人々があまりにもたくさん存在しています。

これからもとても多くの方々が父と同じような状態へとなっていくでしょう。

だから、絶対に今の状況を変えなければいけないのです。



マスメディアも中間まとめを報じました

ふだんはとりあげられることがほとんどないのですが、さすがに『中間まとめ』ともなるとマスメディアも報じてくれました。

各社の翌日の記事を紹介します。

(2010年12月14日・神奈川新聞より)





(2010年12月14日・毎日新聞より)





(2010年12月14日・朝日新聞より)