横須賀美術館は変われるか/横須賀美術館運営評価委員会(2012年度・第2回)へ

「横須賀美術館運営評価委員会」へ

今日は、観音崎にある横須賀美術館へ向かいました。

美術館の屋上入り口


美術館評価委員会を傍聴する為です。

美術館評価委員会の議事次第


横須賀市では美術館のあり方を評価する為に、2007年から『評価委員会』を年2〜4回開催しています。審議する内容は、下の5つについてです。

委員会の設置要綱


フジノは、可能な限りこの場での議論に立ち会うことにしています。

というのも、開館から5年が経つものの、いまだ確立されていない点が多いからです。「美術館がどうであったか」という『評価』の方法をはじめ、全てが手探りで進められています。

ですから、そもそも『評価委員会』の在り方自体がどうであったかも同時に検証していかなければなりません。

自らの在り方を『評価委員会』が評価することはできませんから、外部の存在(=フジノ)がしっかりチェックして、改善を提案し続けねばならない、とフジノは考えています。

例えば、この『評価委員会』のどういうところが『未成熟』なのか。

具体例を挙げれば、今回のテーマは『2012年度(今年度)の事業計画』についてでした。

「もう10月半ばになるというのに、今頃になって今年の『事業計画』について話しあうだなんておかしい」

って、感じますよね?

1年間の計画というのは、本来その年がスタートする前に立てるのが基本です。『事業計画』を議論するには、あまりにも遅すぎます。

2012年度の事業計画書

配布資料1


『事業計画』を評価するのは『評価委員会』の大切な役目の1つですが、実はこれまで『事業計画』が議題としてとりあげられたことはありませんでした。ですから、今回が初めてのことなのです。

ですから、『事業計画』を評価するという本来の役割ができるようになったこと自体は良いことなのです。

けれども、その時期が遅すぎます。

このスケジューリングの問題については『評価委員会』委員からも指摘が出されて、美術館(=教育委員会)側も次年度以降は改善したいと約束しました。

スケジューリングが問題なのは『事業計画』だけではなくて、1年間の実績を評価する『評価報告書』についても同じでした。

1年間の取り組みが終わったらすみやかに評価をして翌年度の予算案や『事業計画』に反映させることが必要ですが、今まではそれが実現してきませんでした。

この点については、フジノが9月議会の教育福祉常任委員会で質疑を行なって、今後は改善するように提案しました。

美術館側も来年度からは改善していく旨の答弁がありました。



ラルク・アン・シエル展への賛否両論が噴出

さて、今日の評価委員会では、夏に開催した『ラルク・アン・シエル展』について賛否両論の意見がそれぞれ出されました。

特別企画展の開催結果について

特別企画展の開催結果について


否定的な立場の委員からは

「まさかこのような企画が行なわれるとは思わなかった。納得できない」

「横須賀美術館の5年間の積み重ねを壊すものだ」

という批判が出されました。

委員の発言をメモした記述

委員の発言をメモした記述


評価委員によるこの意見に、フジノは全く共感できません。

自分が「好きだ」と価値判断したものを美術だと捉えて、自分が好きでないものは美術じゃないと価値判断するのは「違う」と考えているからです。

5年前、横須賀美術館がオープンした時、開設記念展『生きる展』が行なわれました。

石内都さんの作品が展示されたのですが、裸体を扱っていることから「ふさわしくない」と市議会で批判した議員がいました。

同じ理由から、この批判も間違っているとフジノは考えています。

何かが正しくて何かが間違っているという価値判断は、あってはならないと考えているからです。特定の作家や特定の作品が好きだとか嫌いだと良いとかダメだとか、『個人の立場』としての感想はあると思います。けれども、『公的な立場』にある限り、そうした発言はかたく慎むべきだと自戒をこめてフジノは考えています。

価値判断は、作品と向きあった1人1人の方々が個人としてなすべきことです。



赤字削減の為に特別企画展の実施は必要、ただし改善すべき点は多い

そして、この危機的な財政状況の中でフジノが判断の基準にしているのは、赤字を少しでも減らすことです。むしろ、「判断基準はこれしか無い」と言っても良いと考えています。

ですから、市の経済部集客担当が中心となって進めた試行事業としての『ラルク・アン・シエル展』の開催は、正しかったと考えています。

ただ、現在の試行事業の在り方には、いくつかの問題があります。

例えば、経済部集客担当と美術館を担当する教育委員会との連携が全く取れていないことです。

特に情報が共有されていないことに対しては、美術館の現場サイドからも批判が上がっています。

集客を増やす為の試行事業を推進する立場であるフジノも、この批判についてはもっともだと考えています。

その他の問題点については、9月議会での教育福祉常任委員会の質疑でとりあげてきましたので、また後日報告します。

いずれにせよ、美術館は変わらなければいけません。

財政の厳しいこのまちにおいては、生活に事欠く人々もたくさんいます。あることに税金を使えば、他のことに使えません。美術館が赤字を出し続ければ、福祉の財源を奪ってしまうのです。

毎年3億5000万円の赤字が出ているという現実があります。

本来ならば、医療・福祉や教育などに使えるお金だったのに、ハコモノが赤字はその機会を奪ってしまったのです。

だから、少しでも赤字体質から変わることが求められるのは、当然です。