乳児院・児童養護施設の職員を対象に「性的な多様性」の研修を開催しました
けさは、長瀬にある児童養護施設『しらかば子どもの家』にお邪魔しました。
こちらを会場に、『性的マイノリティ出前講座』を開催したのです。
横須賀市では『性的な多様性』の理解を広めて深める為に、『出前講座』を開いてきました(前回はうわまち病院で医療関係者向けに開催しました)。
今回は、乳児院・児童養護施設の職員のみなさまを対象とした研修です。
内容は、下のプレスリリースのとおりです。
平成29年(2017年)12月5日
市民部長
こども育成部長
児童養護施設向け性的マイノリティ出前講座の開催について
性的マイノリティ(性同一性障害などの性的少数者)に関する基礎知識を学び、性的マイノリティの方々への差別や偏見を無くすなどの理解を深めるため、『児童養護施設向け性的マイノリティ出前講座』を開催しますので、お知らせいたします。
記
- 日時
平成29年12月12日(火)午前9時から11時 - 会場
しらかば子どもの家(横須賀市長瀬3-3-1) - 対象
児童養護施設職員等 - 講師
特定非営利活動法人SHIP 代表 星野 慎二 氏 - 内容
性的マイノリティに関する基礎知識等について
市民部とこども育成部が共催なのは、性的な多様性に関する普及啓発を担当しているのが市民部の人権・男女共同参画課で、児童養護施設などの社会的養護を担当しているのがこども育成部の児童相談所だからです。
たくさんの職員さんが勤務をやりくりして参加してくれました
フジノは自分自身が研修を提案しておきながら
「乳児院と児童養護施設の忙しさの中で、どれだけの職員さんが参加できるだろうか」
と心配していました。
しかし、永島施設長をはじめ、なんと21名もの職員の方々が参加して下さいました!
こどもたちを学校に送り出した後、また、多忙な業務の中でやりくりしながら、多くの職員さんが積極的に研修に参加して下さいました。
職員のみなさまには心から感謝しております。本当にありがとうございます!
講師の星野慎二さんの語り口はとても分かりやすく、かつ、時に笑いを引き出し、時に聴衆のみなさんが深く考えさせられる姿を観るにつけても、いつもながら感心させられました。
そして、職員のみなさんが身を乗り出すように熱心にお話を聴いてくださるのがとても印象的でした。
やはりふだんからこどもたちの為に働いてくれている訳で、多様な性の在り方についても積極的に吸収してこれからの関わりに活かしていくのだという想いが伝わってきました。
児童養護施設だけでなく、幼稚園・保育園、小中学校、学童保育、高校、養護学校、こどもの数だけ『性の在り方』は様々です。
本来は、レズビアンとかゲイとかバイセクシュアルとかトランスジェンダーとか、単語でかんたんに区切ることなんかできません。グラデーションのように、人の数だけ異なります。
もともとこどもたちひとりひとりが生まれながらにしてみんなひとりひとり違う訳ですが、『性的な多様性』も本当は当たり前のことです。
けれども、残念ながらまだまだ知られていないのですね。
だからこそ、こうして出前講座などによって、どんどん知っていただこうという機会を横須賀市は作っています。
それに対して、『しらかばベビーホーム』『しらかば子どもの家』の職員のみなさまは、熱意をもって応えてくださいました。
永島施設長をはじめ、職員のみなさま、本当にありがとうございました。
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フジノはラストまでは立ち会えず、健康部との打ちあわせ、予算決算常任委員会全体会への出席があり、中座しました。
残念ながら聴けなかったのですが、星野さんの講義の後に、ナオさんによるご自身のライフヒストリーが語られたとのことです。
当事者である方ご本人から生の声をお聴きすることは本当に大切ですし、理解が深まります。
講師である星野慎二さん、ナオさん、お二人とも本当にありがとうございました!
6月議会での提案がさっそく実現しました
本日は、『しらかば子どもの家』を会場にさせていただいたこともあり、参加していただいたのは『しらかばベビーホーム』『しらかば子どもの家』の職員さんでした。
市内にもう1つある児童養護施設『春光学園』には、来年度ご協力をいただく予定です。
また、12月中には市内の『里親』『ボランティアファミリー』『ファミリーホーム職員』を対象に研修を行ないます。
さらに来年1月中には、児童相談所の職員を対象にした研修を行ないます。
いずれも今年6月議会の教育福祉常任委員会で、フジノが児童相談所長と行なった質疑が実現したものです。
そのやりとりをご紹介します。
2017年6月定例議会 教育福祉常任委員会(2017年6月5日)での質疑
フジノの質問
こども育成部に伺います。
子ども家庭福祉にかかわるさまざまな施設においてSOGIにかかわる諸課題がありますが、先日、新聞報道もされたので、皆さん御承知と思いますが、児童養護施設における調査を一般社団法人レインボーフォスターケアと金沢大学の岩本准教授らが行ないました。
全約600施設に問い合わせた結果、220施設が回答してくれた訳ですが、児童養護施設の45%にいわゆる性的マイノリティとされる子どもがいたとの結果が報告されました。
職員会議や子どもの相談に乗るなどの対応をできたのは66施設。
ただ、それ以外の多くでは、「個室がなくてプライバシーの配慮が難しい」「生活の場が体の性別で分かれており、性別違和、トランスジェンダーに配慮した対応ができていない」など、生活環境関連の問題についての言及も多くあったり、職員の意識の低さや、一緒に暮らす子どもへの教育の必要性を指摘する声もあったなどと報じられました。
そこで、伺います。
本市にも2つの児童養護施設がありますが、まずこのアンケート調査への協力は行なったとお聞きでしょうか。
お答え下さい。
児童相談所長の答弁
藤野委員からお話がありました新聞記事を私も見ております。
これを受けまして、市内2施設に確認したところ、このアンケートにはお答えされていないということでお聞きしています。
フジノの質問
それでは、具体的に伺いたいのですが、本市の児童養護施設2カ所では、いわゆるSOGIにかかわる諸課題への具体的な対応として、職員への教育は行なっているのでしょうか?
お答え下さい。
児童相談所長の答弁
施設職員に対してのSOGIに特化した研修等は行なっていない、という報告を受けております。
フジノの質問
そこで、本市こども育成部にぜひ要請したいのですが、児童養護施設に対しても情報提供を的確に行なっていただきたいと思います。
すでに学校現場に対しては、文部科学省が通知を出していて、「教育委員会は学校現場に対して情報提供を適切に行ないなさい」という通知が出ています。
同じように、子どもが集団で暮らす場において適切に職員に研修が行なわれていないということはよろしくないことだと受けとめています。
横須賀市としては、ぜひ児童養護施設に対しても『必要な情報提供』及び『研修の機会』を提供していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
児童相談所長の答弁
年間を通しまして、児童相談所が市内の2施設の職員に対して研修をするというカリキュラムがございます。
この年度当初、SOGIに関する研修テーマは設定しておりませんでしたが、こういった記事も受けまして、年内にこのテーマで施設職員を対象に研修が開けないかどうか、検討に入ったところでございます。
さらに、横須賀市2施設だけでよろしいのかというとそうではなくて、横須賀市の子どもは横須賀市外の施設にも入っております。
そういった意味では、横須賀市のみならず、オール神奈川として『施設長会』もございますし、職員の研究会もございますので、例えば私が県内の『所長会』でテーマを提供して、共同で研修を組めないかといったような提案もしてまいりたいと思っております。
フジノの質問
大変貴重な御答弁をいただいたと思います。
もう1点確認したいのですが、児童養護施設ではなくて、児童相談所における一時保護所は滞在期間が大変長くなっているという質疑も過去にありましたが、一時保護所での対応というのはできているとお考えでしょうか?
児童相談所長の答弁
まさに自分のお膝元の一時保護所について、正直申し上げて、きちんとしたSOGIに対応するマニュアル等はございません。
ケースがあれば相談できる職員体制はとっておるつもりですが、具体的にはその報告を受けていないというところがではあります。
今後はそのあたりも職員に意識させて、処遇支援をしていきたいと考えております。
提案からわずか半年での全面的な実施に対して、児童相談所長の迅速な対応に心から感謝しています。
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これからもフジノはどんどん取り組みを進めていきます。
「誰も一人にさせないまち」を最終目標に掲げる上地市長に、今年9月議会の一般質問でフジノは『性的な多様性』の理解を広めることと当事者のみなさまの支援を進めることに全面的な賛同の答弁をいただきました。
現在パブリックコメントにかけている次期『男女共同参画プラン』案にも、性的な多様性の保障が新たに項目として加わりました。
来年度は、男女共同参画条例の見直しの議論や、性的マイノリティに関する行政計画も作成されることになっています。
前市長のもとでは全く進まなかったことが、上地市長とのタッグで今とても前進していっています。
これまでSOGIに関する取り組みをフジノは10年間続けてきましたが、今こそ横須賀の人権施策を進める大切な機会だと感じています。
ぜひみなさまも声をあげてください。生の声をさらにフジノに届けて下さい。
よろしくお願いします!