障がい者虐待防止を考える勉強会へ
今日は、汐入にある総合福祉会館へ向かいました。
神奈川県横須賀・三浦障害保健福祉圏域・地域生活ナビゲーション事業・権利擁護学習会『障がい者虐待防止を考える~絶対に虐待を許さない為に~』に参加しました。
虐待から人々を守る為の法律はこれまですでに2つ作られました。
- こどもたちを守る→児童虐待防止法(2000年)
- 高齢の方々を守る→高齢者虐待防止法(2005年)
しかし、もう1つの大切な法律である障がいのある方々への虐待防止法だけ法整備が遅れていました。
昨年6月に『障がい者虐待防止法』がようやく成立して、ついに今年10月1日から施行されます!
法律が作られるずっと前から先進的なNPOなどによって、『福祉オンブズパーソン』の取り組みが進められてきました。
今日の講師を勤められた高山直樹さんが理事をしておられるNPO湘南ふくしネットワークオンブズマンは福祉オンブズ活動の先駆者として全国に知られています。
(フジノも2003年に『福祉オンブズマン養成講座』を受講しました)
けれども、やはりそうしたNPOなどの活動を支える上でも、法整備が成されることはとても重要です。
フジノが初めて『障害者虐待防止法案』の動きを聴いたのが2005年くらいのこと。
超党派の国会議員の方々が一生懸命に法案を作ったのに、時の政局によってなかなか実現してきませんでした。かれこれ6年以上かかってしまったのですが、ついに10月から施行(スタート)します!
今日の講師は、NPO湘南ふくしネットワークオンブズマンの高山直樹さん(前理事長・現理事、東洋大学教授)です。
この分野に全く光があたらなかった頃から、ずっと権利擁護の大切さを広く世間に訴え続けてきて下さった方です。障がいのある方々への虐待についてだけでなく、差別・偏見・スティグマを無くす為の取り組みを進めてきて下さいました。
そして、『対世間』だけでなく、つらい想いをしていながらも閉ざされた空間で起こることが多い被害に対して、自らはなかなか声のあげづらい障がいのある本人(当事者のみなさん)に対しても「そんな想いをしている時には、声をあげていいんだよ」とずっと伝えてきて下さった方です。
本人が苦しい想いをしている時に「苦しい」と伝えられるようになることは、とても大切です。
また、本人の伝えることができない想いをまわりが汲み上げられるようになることもとても大切です。
今は、表面化しない虐待があまりにも多く存在しています。大切なことは、それらを全てオープンにすることです。
今日の学習会でも、参加対象は当事者のみなさんがメインでした。
そして高山先生との対話やワークショップでの語り合いを通して、虐待とは何か、どうやって伝えていくか、などをみんなで共有していきました。
市民のみなさまにも「通報する義務」があります
この法律は、市民のみなさまにもカンケーがあります。
障がいのある方々への虐待があった/見た/知った時は誰もが通報する義務が課せられます。
10月1日からは、今これを読んで下さっているあなたにも通報する義務が課せられるのです。その方が障がい者手帳を持っているかどうかは全くカンケーありません。
でも『虐待』ってどんなことでしょう?
虐待には5種類あります
そこで、みなさまに分かりやすく知っていただく為に下の4つの事例をぜひ見ていただきたいと思います。
↓<
(手をつなぐ育成会・会報より引用させていただきました)
上に挙げた事例は全て『虐待』にあたります。
こういう事例をあなたも目にしたことがありませんか?
フジノは確かに見たことがあります。日常の中に虐待はありふれていると言っても間違いないと思います。
今回の法律では虐待は下の5つに分かれています。
(1)身体的虐待
(2)性的虐待
(3)心理的虐待
(4)放棄・放任(ネグレクト)
(5)経済的虐待
誰から虐待を受けているか、3つの分類
さらに、誰からの虐待を受けているかで3つに分類されています。
(1)養護者による虐待
家族の中の虐待。例えば、家族、親族、同居人など。
(2)従事者などによる虐待
施設の中の虐待。例えば、通所・入所施設、作業所、グループホームなど。
(3)使用者による虐待
働いている職場での虐待。例えば、障がいのある方々を雇用している民間企業や特例子会社など
通報の後の対応の流れ
さて、実際に虐待が起こって通報が成された場合、下のような枠組みで対応が行われます。
横須賀市に新たに「障害者虐待防止センター」がオープン
そして、10月1日から新たに横須賀市にも『障害者虐待防止センター』がスタートします。
福祉部・障がい福祉課・地域生活支援係の2人の職員が兼務ではありますが、『センター』の担当になります。
通報の電話番号は046(822)8249です。
市役所が開いている時間帯はその2人の職員が担当します。
市役所が閉まっている時間帯は、夜間の警備員窓口から担当者へと電話が回される形です。
虐待の認定、一時保護、成年後見制度の市長申し立てなど対応をスピードをもって行なう必要があります。
これからどんどんこの法律とセンターについて市民のみなさまにお知らせしていきます。まずは『広報よこすか』10月号でのお知らせや、市HPへの掲載、チラシも作って配布します。
さらに、施設職員向けの研修会も行ないます。出前トークも受け付けます。
この法律は、起こった虐待への対応だけでなく、虐待が起こることを未然に防ぐ為のものでもあります。
特に、虐待が生まれやすい家庭の中の状況を、家族をより強く支援していくことを打ち出しています。
『障害者の虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律』
というのがこの法律の正式な名前ですが、法律の名前の後半部分には「擁護者への支援」が明記されています。
国は、上の図で紹介した取り組みをはじめとして連携協力体制を整備したり、専門性を強化する為の事業を2012年度は4億2000万円の予算をかけて行なっていきます。
市は、相談・指導・アドバイスなどの支援をはじめ、ショートスティの利用、ホームヘルパーの派遣、家族会への参加やカウンセリングの利用を勧めたりしていきます。
市民のみなさまも虐待防止のパートナーです
さらに知りたい方は中山秀征さんの東京FMのラジオ番組(政府広報です)で曽根直樹さんが分かりやすく解説してくれています。ぜひこちらを聴いてみて下さいね。
10月1日から、あなたも一緒に障がいのある方々への虐待を防ぎ無くしていくパートナーです。どうぞよろしくお願いします!