日本産婦人科医会による子宮頸がんワクチンへの声明/子宮頸がん予防と副反応(その5)


「子宮頸がんワクチンの定期接種化と副反応」について過去の記事はこちらです

日本産婦人科医会による声明

4月9日付で、公益社団法人日本産婦人科医会が声明を出しました。

全国の産婦人科医師等によって1952年に設立されて、会員数は1万2,029名(2012年11月現在)を擁する、権威ある団体です。

公益社団法人日本産婦人科医会

公益社団法人日本産婦人科医会


医療・介護の専門的な情報紙である『医療介護CBニュース』がこの声明について4月17日付で以下のように報じました。

HPVワクチン「医学的視点から安全」日本産婦人科医会が声明

日本産婦人科医会は、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)に関する声明を改めて発表した。

同ワクチンの副作用に焦点を当てた報道が相次いでいることなどを受けての対応。

声明では、HPVワクチンの副作用の発生率が、0.01%程度であることなどを紹介した上で、ワクチンについて、

「従来どおり医学的視点から安全」

と強調している。

HPVワクチンは、4月1日から施行された改正予防接種法で定期接種化された。

しかし、複合性局所疼痛症候群(CRPS)による痛みのために歩行困難に陥った女子中学生の事例など、副作用に関する報道が相次いでいる。3月には、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」も発足している。

こうした状況を受け、日本産婦人科医会では声明を発表。

声明では、

▽現時点で2種類のHPVワクチンの副反応の発現状況は、「サーバリックス」が0.014%(うち重篤0.0013%)、「ガーダシル」が0.012%(同0.0009%)

▽厚生労働省は、副反応について「注射針を刺すことが影響している可能性がある。中止するほどの重大な懸念はない」との見解を表明している

▽定期接種化に伴い、万一、ワクチン接種後に起きた健康被害が、重大かつワクチン接種によるものと認められた場合には、手厚い補償が給付される-などの現状を紹介し、

同ワクチンについて「医学的視点から安全」

と指摘。その上で、今後も母子の生命・健康の保護の観点から、同ワクチンの接種に注力していく方針を示した。

【ただ正芳】

上の記事で分かりやすく説明してくれた、その日本産婦人科医会の声明の原本も下に掲載します。

公益社団法人日本産婦人科医会による声明

公益社団法人日本産婦人科医会による声明

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)副反応報道について

● 日本産婦人科医会は、「女性の命をつないでいく」という活動理念のもと、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の定期接種化を国に求めてきました。

その結果、3月29日の参議院本会議で本年4月1日から定期接種化させることが可決、成立しました。

しかし、昨今のマスコミ新聞報道によると、「子宮頸がんワクチン副反応全国被害者連絡会発足へ」等の見出しで、この法案成立を危惧する記事が掲載されています。

そこで、医会会員の皆様には本件に関し正確な情報をお伝えし、従来どおり医学的視点から安全であることをご理解いただくことが大切であると考え、以下のように問題となった事例につきご説明いたします。

● 本事例の概要:14歳の女子中学生が 2011年 9月中旬に本ワクチン(サーバリックスⓇ)1回目を接種、11月中旬に2回目を左腕に接種したところ、2回目接種後、左腕の腫脹、疼痛、しびれがあり、その他、左肩、左足、右腕、右足にも疼痛が間欠的に生じた。

夜間には肩から肩甲骨、指先まで痛みが広がり、疼痛のため歩行困難となった。

接種7日後に複合性局所疼痛症候群(CRPS:complex regional pain syndrome)の疑いでフェントラミンメシル酸塩による負荷試験を行い、症状の改善がみられたため本疾患が示唆された。

接種1ヶ月半後も症状の改善はみられなかった。

その後の経過の詳細は不明だが、新聞記事に、2013年1月には通学できる状態になったとの記載がある。

● CRPSは、ワクチンの成分によっておこるものではなく、外傷、骨折、注射針等の刺激がきっかけになって発症すると考えられています。背景因子は未だ不明です。

本ワクチン接種後に CRPSを発症したと考えられる事例は本症例を含め、本邦では3例が報告されています。サーバリックス2例、ガーダシル1例です。

本邦においては、サーバリックスは現在までおよそ684万本、またガーダシルは144万本が接種されていると推定されており、CRPS の発症頻度は極めて稀です。

● 現時点で 2種類のHPVワクチンの副反応の発現状況(子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会(厚生労働省):医療機関からの報告)については、サーバリックスは全体で0.014%(うち重篤0.0013%)、ガーダシルは全体で0.012%(うち重篤0.0009%)です。

なお本ワクチンの副反応事例は厚生労働省のHPで詳細に公開されているのでご参照ください。

なお、ワクチンの製造販売メーカーにおいては、日々医療関係者、一般市民からの情報や、世界の情報を集積し、個別事例ごとに評価し、薬事法に基づき規制当局への報告を行い、安全に適正な接種が行われるよう引き続き努力を重ねていくことを要望いたします。

● 本ワクチンの定期接種化、すなわち公的接種への移行に伴い、万一、ワクチン接種後に起きた健康被害が、重大かつワクチン接種によるものと認められた場合には、手厚い補償が給付されるようになります。

本ワクチンは他のワクチンに比べて副反応報告が多いのではないかとの懸念の声もありますが、厚生労働省は「注射針を刺すことが影響している可能性がある。中止するほどの重大な懸念はない。」との見解を表明しています。

● 日本においては毎年約1万5,000人の女性が新たに子宮頸がんに罹患し、およそ3,500人が命を落としています。

従って、日本産婦人科医会は、母子の生命健康の保護の観点から、検診とワクチンによりこの疾患の予防にこれからも力を注いでまいります。

● 本ワクチン接種後に起った有害事象に関しては、ご本人ならびにご家族の皆様には、一日も早く回復されますことを心から祈念申し上げます。

平成25年4月9日
公益社団法人日本産婦人科医会
会長 木下 勝之
常務理事 鈴木 光明

以上です。

この声明は、フジノにとっては特に新しい情報ではありませんでした。

「科学的根拠に基づいた、極めてオーソドックスな説明を改めて繰り返したもの」

という印象です。

すでに政府の情報などへの不信感で凝り固まってしまっておられる方々がたくさんいらっしゃいます。

そうした方々には、いくら権威ある医会からの情報発信であっても、届かないのではないかとフジノは感じています。

もう一度、政府も医療関係者もみな保護者の方々ともっと対話する機会を創って、どんな言葉ならば届くのか、率直に尋ねてみるべきだとフジノは思います。

答えはきっと市民の方々の中にあるはず。

その答えを求めて、もっとたくさんの国民と語り合う必要があるのではないだろうか。