2026年7月16日、『第2回・横須賀市障害福祉計画等検討部会』が開かれました。
『よこすか障害者計画』と、そこに含まれる『第8期横須賀市障害福祉計画』『第4期横須賀市障害児福祉計画』を改定する為の、実質的な議論を行なう場です。

当日の資料を開いた瞬間、フジノはうれしくて思わず声をあげそうになりました。
ケアラー支援が障害者計画(事務局案)に『独立した項目』として位置づけられていたからです。

そして議論の結果、検討部会はこの事務局案を承認しました。
後ほど改めて記しますが、この後いくつかの手続きを経て、来年4月には正式な計画となります。
ケアラー支援が、初めて「独立した項目」に
これまでフジノは、ケアラー支援条例の制定をめざして横須賀市議会で様々な活動をしてきました。
ケアラーとは、家族や身近な人を無償でケアする人のことです。
老老介護、ダブルケア、障がいのある人やこどものケア、働きながら介護する人、そしてヤングケアラーなど、おひとりおひとりが置かれている状況は本当に多様です。
さきの2026年6月議会の一般質問では、市長からケアラー支援条例の策定に向けた答弁を受けました。
一方で、条例の策定には一定の時間がかかります。
そこで僕は、条例ができるのを待つだけではなく、現在改定作業が進められている各種行政計画にもケアラー支援を明記してほしいと提案しました。
市長からは「行政計画にも明記する」との答弁がありました。
この答弁を受けて、現在、僕は様々な行政計画を改定する為の審議会の動きを改めてチェックしています。
そして今日、障害者計画の策定に向けた資料でとても大きな動きがあったのです。
『第8章 その他計画を推進するにあたって留意すべき視点』の中に、
「3 ケアラー支援」
という項目が独立して設けられました。
長年フジノは障害福祉計画づくりに関わってきましたが、横須賀市の障害者計画案に『ケアラー支援』が明記されたのは、今回が初めてです。
資料では、ケアラーについて次のように書かれています。
ケアラーの中には、一日中つきっきりでケアをせざるを得ず、自分の望む人生や日々の暮らしが送れなかったり、人知れず社会的に孤立する方もいる。ケアラー自身への支援が必要な場合がある。
これは、とても大きな変化だと思います。
これまでの障害福祉では、基本的には『障がいのある本人』への支援が中心でした。家族支援も存在していましたが、ケアラー自身の人生や暮らし、孤立にまで目を向けることは不十分だったと感じています。
しかし今回の計画案では、ケアをしている家族等(ケアラー)自身の人生、暮らし、孤立にも目を向けています。
そして、単に「ケアラーを支援します」と書かれただけではありません。
今後の方向性として、具体的に次のような内容が示されています。
●障害のある人・児童をケアしている家族等に対して、相談や障害福祉サービス等に関する情報提供を行ない、必要な支援につなぐこと
●家族等の負担軽減を図ること
●障害福祉相談員による、介護者の不安や悩みごとへの傾聴・相談対応
ケアされる本人への支援だけでなく、支える家族等(ケアラー)の暮らしそのものにも目を向ける。
その姿勢が、行政計画の文書中に明確な形となったことをフジノはとても嬉しく思います。そしてこのことをみなさまにご報告をできて本当に良かったと感じています。
ケアラー支援の実現に向けて、また一歩前に進むことができました。
「8050問題」と「共生型サービス」
部会についてもう少し報告します。
今回の計画策定に向けた事務局案では、『ケアラー支援』だけでなく、『重層的支援体制の構築と活用』についても示されました(こちらも部会が承認しました)。
高齢の親が社会的に孤立したこどもの生活を支える、いわゆる『8050問題』をはじめ、介護、子育て、障がい、生活の苦しさ、ひきこもりなど、複数の課題が複雑に絡み合うケースが増えていることが、現状・課題として率直に記されています。
その対応の1つとして挙げられているのが、『共生型サービス』です。
これは、高齢の親と障がいのある子が同じ事業所を利用できる仕組みで、介護保険サービスと障害福祉サービスとの連携が可能になるというメリットがあります。
例えば、高齢の親は介護保険サービスの通所介護や短期入所生活介護を利用し、障がいのある子は障害福祉サービスの生活介護や短期入所を同じ施設で利用することができます。これはまさに『ケアラー支援』そのものでもあります。
一方で、資料には、
「現状では共生型サービスの認知度は低く、普及も停滞しています。」
ともあります。
制度があっても、知られていなければ利用につながりません。
ケアラー支援と同じく、こうした制度が実際にご家族等の負担軽減につながっていくのか、フジノはこれからも注視していきます。
現場の声から見える新たな課題
第1回検討部会をフジノは傍聴できなかったのですが、前回の議事録を読むと、見過ごせない指摘がいくつもありました。
●精神障がいのある方の地域移行支援・地域定着支援・自立生活援助の利用者が非常に少なく、長期入院者が多い中で、重度・高齢の精神障がいのある方への支援不足が示唆されるという指摘(下江委員)
●障害児通所支援を利用する子どものうち、手帳未交付のまま利用している児童が多く、「障害児」の対象像そのものが変化してきているのではないかという指摘(五本木委員)
●アンケートで「夢や目標を持てません」と回答した方がいることへの懸念(高谷委員)
(第1回検討部会議事録より)
重度かつ高齢となった精神障がいのある方々の暮らし。
障がいのあるお子さんの状態像の多様化。
そして、生きていく上での夢や目標を持てずにいること。
こうした生の声からは、従来の障害福祉サービスや各種制度だけでは支援が届きにくい人たちの存在が見えてきます。本当に率直で、重要なご指摘だと感じました。政治・行政として新たにどのような取り組みが必要なのか、担当部局としっかり議論を進めていきたいです。
フジノがケアラー支援に取り組んできた理由
フジノがケアラー支援に力を入れてきたのは、多くの方々の声をお聴きする中で、『ケアする人』がこの国では長い間、後回しにされてきたと感じてきたからです(そして介護殺人に至ってしまった同級生も・・・)。
日本では、家族がケアを担うことが当たり前とされてきた面があります。今も、その考え方は強く残っています。
けれどもイギリスやオーストラリアなどでは法律を定めて、国をあげてケアラーをひとりの個人として尊重し、支える取り組みをすでに始めています。ケアは家族が抱え込まねばならないものではなくて、社会全体で支えていくものなのです。
わが国においても、家族だけにケアを背負わせるのではなく、障害福祉サービスなどを充実させ、社会全体で支えていく仕組みをつくる必要があります。
繰り返しますが、そもそもケアは家族だけで抱えるものではなく、社会全体で支えていくべきものです。
だから、今回その視点が初めて『ケアラー支援』が横須賀市の障害者計画案に明記されたことを、大きな前進だと高く評価しています。
こうした横須賀市の取り組みが、全国にも広がっていくことを願っています。
まだ「ゴール」ではありません
ここで大切なことがあります。
フジノにとっては長年の悲願である『ケアラー支援』が明記されたことは大きな一歩ではありますが、ケアラー・元ケアラーのみなさまの声をフジノだけで全て届け切ることができたとは感じていません。
ケアラーのみなさま、ぜひあなたの声をこの計画に反映させませんか?
まず、10月にパブリック・コメント案が示される予定です。11月13日から12月3日までパブリック・コメントが予定されています。そして12月の第6回検討部会ではみなさまから寄せられたご意見を踏まえて、計画案を修正します。
つまり、あなたの声がもっともっと届く可能性があるのです。
ケアラー支援が本当に実態のあるものになるのか。
障害福祉相談員による相談対応が、ケアラーの不安や悩みを受け止める仕組みとしてどれだけ実効性を持つのか。
共生型サービスの認知度をどう高め、実際の利用につなげていくのか。
そして何より、ケアラー自身が「自分の人生を、夢を信じて生きていい」と本気で感じられる支援になっているのか。
今の計画案の文章では生ぬるいとお感じの方もいらっしゃるはずです。ぜひそうした想いをこれからパブリック・コメント手続きなどでぶつけてほしいのです。
あなたの声を聞かせて下さい
パブリック・コメント手続きを待たずとも、ぜひケアラー・元ケアラーのみなさま、フジノにあなたの声をお聞かせ下さい。
毎日のくらしの中で感じていること。
困っていること。
「こんな支援があったら良かった」と思うこと。
どんな小さなことでも構いません。
あなたの声が、この街の支援を変えていく、次の一歩につながります。
条例の制定を市長が約束してくれた一般質問の後、街で歩いているフジノを見かけた方からたくさんお声がけを頂くようになりましたし、定期的に開催しているインスタライブでも、本当にたくさんのケアラー・元ケアラーの方から生の声をいただくようになりました。
フジノはそのいただいた声を本会議や委員会をとおして市長へぶつけていきます。
メールでも、LINEでも、SNSのDMでも何でも大丈夫です。
ぜひあなたの声を聞かせて下さい。お待ちしております。