【横須賀市】初めて「弱者としての男性」が行政計画に明記へ/「男性のための相談支援」が第7次男女共同参画プランに新設

2026年8月19日、『横須賀市男女共同参画及び多様な性の尊重に関する審議会』が開催されました。

男女共同参画及び多様な性の尊重に関する審議会を傍聴する藤野英明

この日は、2027年度からスタートする『(仮称)第7次横須賀市男女共同参画プラン』の素案が示されました。

(仮称)第7次男女共同参画プランの位置づけ

その資料に、とても重要な大きな変化がありました。

それは、

横須賀市の行政計画に初めて『弱者としての男性』を明確に位置づける施策が盛り込まれたことです。

具体的には、

『施策16・男性のための相談支援の充実」

が新たに設けられました。

第7次男女共同参画プランに新たに加えられた「男性のための相談支援の充実」

これまで『弱者としての男性』への支援を訴えてきたフジノにとって、これは横須賀市の大きな方針転換だと受け止めています。

「男性のための相談支援の充実」が独立した施策になりました

『第7次男女共同参画プラン』では5つの目標を掲げていますが、

『目標4・全ての人が安心して暮らせる環境づくり』

の中に、

『施策の方向性7・様々な困難を抱える人への支援』

が位置づけられています。

新たに「施策16・男性のための相談支援の充実」が加えられた

その中には、

  • 『女性のための相談支援の充実』
  • 『男性のための相談支援の充実』
  • 『ひとり親家庭への支援の充実』
  • 『困難な問題を抱える人への相談支援の充実』

などが並びます。

つまり、計画のどこかに『男性』という言葉が少し書き加えられた、というレベルではありません。

『男性のための相談支援の充実』がひとつの独立した施策として位置づけられたのです。

ここにとても大きな意味があるとフジノは感じています。

しかも「男性相談員が対応します」と具体的に書かれました

さらに別冊の『事業一覧(案)』を見ると、もっと具体的です。

『施策16・男性のための相談支援の充実』の下に、

「男性のための相談支援』

という事業が置かれています。

そして、その内容には、

「男性が抱える一般的な悩みに、男性相談員が対応します」

と明記されました。これは本当に大きな変化です。

これまでも横須賀市には、性別や制度、相談分野にかかわらず、様々な困りごとを受け止める相談窓口がありました。

けれどもフジノが訴えてきたのは、

「誰でも相談できます」と言うだけでは、相談につながれない男性がいる

という問題でした。

「男なんだから弱音を吐くな」に苦しんできた男性がいます

「男なんだから弱音を吐くな」

「男なら自分で何とかしろ」

「人に頼るのは恥ずかしい」

「家族を支えるのが男の役割だ」

そんな価値観の中で育ってきた男性は少なくありません。

特に、今の中高年以上の男性の中には、こうした考え方を強く身につけてきた方々がいます。

その結果、仕事を失っても相談できない。

介護で限界になっても助けを求められない。

家庭の問題を誰にも話せない。

心身の調子を崩しても我慢してしまう。

そして、本当に限界になってから初めて支援につながる。

あるいは、最後まで誰にも相談できない。

フジノは自殺対策やケアラー支援などの様々な相談支援に取り組む中で、こうした男性の生きづらさをずっと問題だと感じて、議会で問題提起してきました。

2023年、市長に「男性向け相談窓口」を提案しました

そこでフジノは、2023年の予算議会でこの問題を取り上げました。

「相談窓口は誰でも利用できます」と言われても、自分が相談してよいのか分からない男性がいる。

だからこそ、あえて、

「男性向け相談」

と名前をつけることに意味がある、と提案しました。

例えば『男の料理教室』と書いてあれば、料理が苦手な男性も「自分が行ってもいいんだ」と思いやすくなります。

同じように、

『男性のための相談』

と明記することで、

「自分も相談していいんだ」

と気づいてもらえる可能性があります。

当時、市長からも、

「あえて男性向け相談などと銘打つことの意味合いは非常に大きい」

との答弁がありました。

そして、計画を検討・策定する際には、男性が抱える課題をどのように位置づけるか検討する、との答弁もありました。

あれから3年。

ついに行政計画に具体的な形で示されることになりました。

2026年6月議会でも、改めて市長に訴えました

2023年に前向きな答弁を受けながらも、残念ながら『男性専用の相談』は実施されることはありませんでした。

そこでフジノは、2026年6月議会で改めて市長に質問しました。

テーマは、

「援助希求力の弱い男性に対する相談支援の必要性と発信の強化」

です。

「援助希求力」という言葉は少し難しいですが、簡単に言えば、

「つらい時に『助けてください』と言える力」

のことです。

男性の中には、

「男は強くあるべき」

「人に頼ってはいけない」

という価値観を強く持っているために、この「助けて」が言えない人がいます。

市長もこの質問に対して、

「男性は強くあるべき、人に頼るのは恥といった価値観の下で、支援を求めることが遅れがちな方がいる」

という問題を認めました。

そして、本人が助けを求めやすい環境をつくることが重要だと答弁しました。

言葉を変えただけで、男性の参加が大きく増えた実例もあります

実は横須賀市では、すでに小さな工夫によって男性の参加が大きく増えた実例があります。

『認知症介護者の集い』です。

フジノの質問をきっかけに、参加者募集の表現を、

「男女問わずどなた様でも御参加いただけます」

と変更しました。

すると、

2022年度は参加者41人のうち男性5人だったものが、

2023年度は64人のうち男性22人、

2024年度も59人のうち男性21人になりました。

男性参加者が約3分の1を占めるまでになったのです。

新しい大きな制度をつくったわけではありません。

「男性も参加していいんですよ」と、はっきり言葉にした。

それだけでも、届く人が変わったのです。

フジノはこの経験からも、行政が「誰でも利用できます」と待っているだけではなく、

「あなたも利用していいんです」

と対象となる人に明確に伝えることが大切だと考えています。

もう1つ、新しい取り組みが加わっています

今回の第7次プランには、相談支援だけでなく、もう1つ注目したい新規事業があります。

それが、

『男性にとってのジェンダー平等の理解促進・意識啓発』

です。

事業一覧には、

「男性が抱える固定的性別役割分担意識の解消と、男性が直面する生きづらさへの理解を深める啓発活動を進めます」

と記されています。

これはとても大切です。

なぜなら、相談窓口だけをつくっても、

「男が相談なんてできるか」

「弱音を吐いてはいけない」

という考えが本人の中に強く残っていれば、相談にはつながらないからです。

だから、

男性自身を縛ってきた「男らしさ」を少しずつ解きほぐしていくこと。

そして同時に、

実際に困った時には男性が相談できる場所をつくること。

この両方が必要です。

今回の第7次プランには、その両方が入りました。

新たに加えられた「男性にとってのジェンダー平等の理解促進・意識啓発」

「男性=弱者」という意味ではありません

とても大切なことを誤解のないように書いておきます。

フジノは、

「男性はみんな弱者だ」

と言いたいのではありません。

女性が「女性だから」という理由で差別や不利益を受けてきた歴史があり、現在も男女格差は残っています。

女性への支援は、これからも絶対に必要です。

いわゆる性的マイノリティとされる方々への支援も必要です。

その一方で、

「男性だから強くなければならない」

「男性だから弱音を吐いてはいけない」

「男性だから人に頼ってはいけない」

というジェンダーによる固定観念によって、苦しんでいる男性もいます。

その人たちもまた、必要な時には行政が支える。

フジノが『弱者としての男性』と表現しているのは、そのような意味あいです。

男女共同参画は「女性だけのための政策」ではありません

今回の変化には、もう1つ大切な意味があります。

『男女共同参画』と聞くと、

「女性のための政策でしょう」

と思われることがあります。

でも、本来は違います。

性別によって、

「こう生きなければならない」

と人生を決めつけられない社会をつくること。

女性が「女性だから」という理由で可能性を狭められない。

男性も「男性だから」という理由で強さばかり求められない。

どちらもジェンダー平等です。

今回の第7次プランは、2027年度からスタートする予定です。

現在の第6次プランが2026年度で終了する為、その次の計画として策定が進められています。

その新しい計画の中に、

『男性のための相談支援の充実』

が独立した施策として入りました。

フジノは、これは横須賀市の男女共同参画施策にとって、とても大きな変化だと受け止めています。

ただし、まだ「素案」です

そして、大切なことがあります。

今回示されたものは、あくまでも『素案』です。

計画に書かれたから、それだけで男性が相談できるようになるわけではありません。

「男性が抱える一般的な悩みに、男性相談員が対応します」という事業を、いつ、どのような形で始めるのか。

電話なのか、対面なのか、オンラインなのか。

仕事をしている人でも利用できる時間帯なのか。

匿名でも相談できるのか。

介護、仕事、夫婦・家族関係、孤独、心身の不調など、幅広い悩みを受け止められるのか。

そして相談を受けた後、必要な支援へきちんとつなげられるのか。

これから具体化していかなければならないことはたくさんあります。

計画に書いて終わりではありません。

実際に「助けて」と言えずに苦しんでいる男性に届いて初めて、意味のある施策になります。

そして、まだ『素案』だからこそ、市民のみなさまの声を反映できる機会があります。

この第7次プランについては、2026年10月頃にパブリック・コメント(市民意見募集)が行われる予定です。

パブリック・コメントとは、市が計画などを正式に決める前に、市民のみなさまから意見を募集する仕組みです。

今回新たに盛り込まれた『男性のための相談支援』についても、

「こんな相談方法なら利用しやすい」

「平日の昼間では相談できない」

「電話では話しづらいので、SNSやオンラインでも相談できるようにしてほしい」

「介護や仕事、家族関係についても相談できるようにしてほしい」

など、当事者だからこそ分かることがたくさんあると思います。

ぜひ10月頃に予定されているパブリック・コメントの機会に、みなさまの声を横須賀市へ届けてください。

フジノも、実施期間や意見の提出方法などが正式に発表されたら、このブログで改めてお知らせします。

男性も「助けて」と言える横須賀へ

フジノが2023年に市長へ男性向け相談を提案してから、3年がたちました。

今回、初めて横須賀市の行政計画に、

『男性のための相談支援の充実』

が独立した施策として位置づけられました。

さらに、

男性が抱える固定的な性別役割意識を解きほぐす取り組み

も盛り込まれました。

これは、「男性はいつでも支える側」「男性は強い側」という見方から一歩進んで、

男性もまた、状況によっては支援を必要とする一人の人間である

という当たり前のことを、行政の計画として明確にする一歩だとフジノは受け止めています。

男性は、いつも強くなくていい。

つらい時には、弱音を吐いていい。

一人では抱えきれない時には、人を頼っていい。

そして行政には、その声をきちんと受け止める責任があります。

女性も、男性も、いわゆる性的マイノリティとされる方も。

誰もが困った時には「助けて」と言えて、必要な支援につながることができる横須賀へ。

今回の計画への明記を、そのための確かな一歩にしていきたいです。

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