予算決算常任委員会・全体会が開かれました
今日は『予算決算常任委員会・全体会』が開かれました。

予算決算常任委員会の開会前に
毎回ご説明していることなのですが、横須賀市議会には大きく2種類の委員会があります。
- 予算に関わりのある議案を審査する『予算決算常任委員会』
- 予算に関わりの無い議案を審査する『4つの常任委員会』
今日は、予算に関わりのある議案を審査する方の委員会=『予算決算常任委員会』の最終日でした。

予算決算常任委員会は、分科会と全体会に分かれています
4つの分科会で、市長から提案された補正予算案などの審査を行なってきました。
今日の全体会ではその審議された結果を、分科会長が報告します。
続いて、その報告への『質疑』、複数の分科会にまたがる内容についての『総括質疑』を行ないます。
そして『討論』を行ない、最後に『採決』を行ないます。

委員会での採決結果
フジノは5つの議案すべてに賛成しました。
予算決算常任委員会としても、最終的に5つの議案すべてを『可決』しました。
「福祉の危機」を訴える反対討論は切実で、フジノも心が揺れました
今回、小室重卓議員が補正予算案への反対討論に立ちました。
討論とは、何故この議案に対して自分が賛成なのか・反対なのかを訴えて、議場のメンバーに考えを変えるように説得する為に行なう演説のことです。
フジノは小室議員の反対討論にとても心を動かされました。
あえてひとことに要約すると
「保育現場をはじめ、福祉は待ったなし。『ワンピース』とのコラボイベントは効果額もはっきりせず、予算を支出すべきではない」
というものでした。
(*ぜひ正確な内容は、インターネット録画中継が公開される24日(月)に小室議員の討論をご覧いただきたいです)
補正予算案のうち、小室議員が注目したのは観光課(プロモーション担当)の事業についてでした。

すでに5月20日にプレスリリースも出されています
議会に示された説明資料をこちらに記しますね。
「ONEPIECE×横須賀」コラボイベントの開催(集客プロモーション事業)
- 補正の理由
アニメ「ワンピース」と「カレーの街よこすか」が、ともに20周年を迎えることを記念したコラボイベントを開催します。東映アニメーション、京急電鉄、トライアングル、横須賀市と連携し、世界的な人気アニメコンテンツ「ONEPIECE」と地域のグルメ・観光資源をコラボする企画を実施します。
京急沿線は京急電鉄、猿島はトライアングル、市街地は横須賀市がそれぞれ分担し、企画を実施します。
また、この夏公開予定のアニメ作品劇場版(8月9日から上映)のプロモーションにあわせ実施することで、メディアへの露出を図るとともに、ラグビーワールドカップ日本大会、東京オリンピック・パラリンピックを前に、国内外の幅広い世代への発信と集客により地域経済の活性化を目指すため、当初予算では見込めなかった経費について、不足する予算を増額補正します。
- イベントについて
- 開催日時
2019年7月8日(月)~10月20日(日) - 開催場所
①横須賀中央・汐入エリア(ヴェルニー公園、三笠公園、商店街等) 、猿島エリア
②京急沿線の各駅(品川、羽田空港等)、京急百貨店、油壺マリンパーク等 - 実施体制
①共催:横須賀市・京浜急行電鉄(株)・(株)トライアングル
②協力:東映アニメーション(株)・横須賀商工会議所
- 開催日時
- 補正額
2795万円の支出増
→横須賀集客促進実行委員会の負担金として - 2795万円支出増の算出根拠
内容 金額 グルメや商店街とのコラボ企画 361万3000円 ・海軍カレーやグルメとのコラボ企画
海軍カレーやキャラクターをイメージしたグルメ、スイーツを注文するとオリジナルグッズをプレゼント
・商店街ステッカー
対象店舗で500円以上の買い物をすると映画のイラストを使用したステッカーをプレゼント内容 金額 街中や公園等の装飾 1734万9000円 ・市役所の壁面装飾・海賊旗・懸垂幕
・商店街フラッグ・横断幕設置等
・民間事業者との連携による装飾
・三笠公園音楽噴水
・ヴェルニー公園横断幕・街灯装飾内容 金額 イベント周遊マップの作成 368万8000円 ・イベント周遊マップ
・商店街スタンプラリー内容 金額 AR(AugmentedRealityの略、拡張現実) 9か所 0円 内容 金額 警備費 330万円 - インバウンド対応
①多言語情報サイトの活用による市内観光スポット案内
②英字版案内パンフレット制作・配布
③観光案内所による案内(英語・中国語(他言語も翻訳機なら対応可能)上は、横須賀市の事業です。
これに加えて、(株)トライアングルと京浜急行(株)は下の取り組みを行ないます。
【参考】(株)トライアングル実施
猿島での主な企画
- 猿島の愛称変更 モンキー・D・ルフィ島(猿島)
- 猿島航路の渡船のラッピング、声優による船内案内
- 桟橋(島側)の装飾
- 立像製作・設置、船のモックアップ、フォトスポットの設置
- 表示・掲示物・パンフレット・Webサイト等
- 9月以降のイベント開催
①謎解きイベント
②ナイトツアー
③宴島ナイト(貸切パーティー) - コラボグルメ、グッズ販売
- 描き下ろしイラストの制作
京浜急行電鉄(株)実施
- 電車・駅関連
①赤・青・黄色のラッピング電車、広告ジャック
②駅装飾(羽田、品川他全7駅) - 各施設
①油壷マリンパーク
②京急百貨店(グルメ・ショップ)
③記念きっぷ、満喫きっぷ【三崎・横須賀・葉山女子旅】 - その他 グッズ製作(鉄道+アニメ)、ノベルティ、謎解き、 描き下ろしイラスト等
これは、あくまでも補正予算案の一部です。
他にも、例えば教育・保育の無償化の莫大な金額があります。
いずれにしても、子育ての現場、福祉の現場の切実な危機的状況への対応が先決であって、効果もハッキリしない『ワンピース』と横須賀のコラボイベントには反対である、というのが小室議員の反対討論の主張でした。
(小室議員、もしフジノが受け止め違っていたらごめんなさい)
この主張はとてもよく理解できます。
フジノが17年前に初立候補した時、赤字確定のハコモノ建設に使う税金を福祉に回せと強く訴えました。
美術館建設に50億円も市民の税金をつかい、毎年3億円の赤字を垂れ流して穴埋めは市民の税金を使う、そんなバカげた税金の使い方は無い。そう訴えました。
今も美術館は毎年3億円の赤字を垂れ流しています。だからフジノは市の当初予算案に賛成したことは17年間1度もありません。
福祉の現場は今も待ったなしです。
この危機的な状況であえてこの取り組みを本当に税金でやる必要があるのか、という訴えは正しいとフジノも思います。
「経済の再生は福祉の財源を確保する為」と訴え続けてきた上地市長
それでも、フジノは反対にまわることはなく、補正予算案に賛成しました。
理由は、上地市長の市長選挙立候補前からずっと現在まで一貫して変わらない姿勢を信じたからです。
横須賀のまちににぎわいや活気を取り戻して、まずは経済を再興させ、増加した税収を福祉へ投入する、こうした経済と福祉の両立によって、誰も一人にさせないまちを実現してまいりたいと考えています。
2019年2月26日の施政方針演説から引用した上地市長の言葉です。
あまり注目されないフレーズですが、立候補前から上地市長は繰り返しこの言葉をずっと訴えてきました。
選挙前からずっと上地候補のそばでこのフレーズを聴いてきたフジノだからこそ、分かります。
市長就任3年目に入った今でも、必ず折に触れて上地市長は「経済を回すのは増え続ける福祉の財源を確保する為だ」とずっと訴えてきました。
●
上地市長が就任して以来、毎月のようにド派手なイベントが発表されるようになりました。
これは上地市長が持つすさまじい人脈をフル活用して、エンタメやスポーツをはじめとするあらゆるイベントをどんどん引っ張ってきているからです。
例えば、今回の『ワンピース』イベントだって、上地さんが作者の尾田栄一郎さん(おだちゃんですね)と仲良しだったことから実現しました。
新聞をはじめとするあらゆるメディアもこうしたイベントを大きく報じるので、よく市民の方々からこう言われます。
「上地市長は経済政策には熱心だけど、福祉に関心がない」
「上地市長はハデなことが好きだけど、福祉に関心がない」
「上地市長はイベントばかり打ち上げるけれど、福祉に関心がない」
こうしたご意見を市民の方から言われるたびに、毎回フジノは反論してきました。
「上地市長は福祉の財源を確保する為に経済を回そうとしているだけなんです。福祉への関心は歴代市長の中でも最も高いですよ」
「順番が逆です。福祉の財源を確保する為に経済政策をどんどん打っているのです」
と。
フジノは上地さんが議員だった時代からそばにいて、17年間もブレずにずっと同じことを語ってくるのを聴いてきました。
「今後もずっと福祉サービスへの支出は増える一方で、税収は下がっていくばかりの横須賀。これをどうすべきか。経済を回すしか無い」
歴代のハコモノ政策と上地市長の経済政策の決定的な違い
フジノは、歴代市長のハコモノ政策には常に反対を続けてきました。
美術に罪は無いけれど(フジノも個人としては人生の折々において美術に人生を救われてきました)、将来にわたってずっと毎年3億円の赤字が出続ける美術館を50億円も市民の税金を使って作る必要は無い、と。
今でも美術館の赤字を減らす為にずっと提案を続けています。
一過性の花火に過ぎないハコモノは、ずっと赤字を垂れ流し続けていき、市民の税金を食いつぶしていきます。
けれども、上地市長が打ち出してきた様々なイベントは(確かに数千万円規模の支出増になりましたが)、将来にわたって赤字を垂れ流し続けていくものはありません。
これが過去の歴代市長とは大きく異なるポイントです。
そして何よりも異なるのは、その根っこに流れている思想です。
上地市長は、福祉を守る為に経済政策を打っているのです。
メディアは手段(イベントなど)ばかりを大きく報じるので、上地市長の真意(=目的)が全く市民のみなさまに伝わっていないのが残念でなりません。
小室議員の反対討論は胸に響きました。
けれども、フジノが賛成のまま考えを変えなかったのは以上の理由からでした。
7議案のうち2議案に反対しました/予算決算常任委員会・全体会(2018年9月議会)
予算決算常任委員会・全体会でした
今日は、予算決算常任委員会・全体会が開かれました。
予算決算常任委員会・全体会 横須賀市議会では『本会議』での採決の前に、予算決算常任委員会・全体会を行ないます。
まず、4つの分科会(=4つの常任委員会に対応しています)で審議された結果を、分科会長(=委員長)が報告をします。
続いて、その報告に対する『質疑』、全ての分科会にまたがる内容についての『質疑(総括質疑)』、『討論』、そして『採決』という流れです。
予算決算常任委員会は、分科会と全体会に分かれています 市長から提出された議案の中で、予算に関わりのある議案について、今日は採決を行ないました。
フジノの賛否を報告します
7つの議案に対するフジノの賛否は下の通りです。
議案の名前 フジノの賛否 一般会計補正予算(第2号) 反対 水道事業会計補正予算(第1号) 賛成 下水道事業会計補正予算(第1号) 反対 旧三笠駐車場用地ホテル施設整備事業者選考委員会条例制定について 賛成 横須賀市市税条例中改正について 賛成 アメリカ合衆国軍隊の構成員等の所有する軽自動車等に対する軽自動車税の賦課徴収の特例に関する条例中改正について 賛成 手数料条例中改正について 賛成 最終的に委員会としては、全議案を可決しました。
来週から決算審査がスタートします
今日で9月議会の前半戦(補正予算案などの審査)がほぼ終わりました。
来週19日・20日に本会議が開かれて、再び市長への一般質問が行なわれます。
そして、9月議会のメインイベントである決算審査がついにスタートします。
ハードなスケジュールがさらに続きますが、全力を尽くしていきたいと思います。
2018年度もフジノは「教育福祉常任委員会」に就任する見込みです/5月17日の本会議で正式決定します(2018年召集議会)
(前の記事から続いています)
新年度の「人事」について
その後は、例年どおり『新年度の議会人事』についての話し合いが行われました。
具体的には、下の内容について話し合いが行なわれました。
今日の議会運営委員会で話し合われた人事
- 『常任委員』の配分と正副委員長職の割り当てについて
- 『議会運営委員』の配分と正副委員長職の選出について
- 『広報広聴会議』委員の選出について
- 『議会ICT化運営協議会』委員の選出について
- 『副議長』の選挙について(慣例で1年で交代の為)
- 『議会選出の各種会議の委員』の選挙について(慣例で1年で交代の為)
上4つは正式に任期が1年と定められている為、下2つは慣例で1年交代とされている為、交代となります。
5月17日に開催予定の『召集議会』の場で、正式な決定となります。
5月17日開催の召集議会のスケジュール予定
*今回の『召集議会』では、市長から2つの議案が提出される予定です。人事だけでなく、すぐに通常の委員会が開かれて議論が行なわれます。
「召集議会」であらゆる組織のメンバーが新たに決まります
市議会には、様々な組織があります。
『よこすか市議会なるほどガイド「議会でゲンキ!」』P21より
議会のあらゆることを議論して決めていく『議会運営委員会』。市役所の幅広い仕事を網羅する為に4つの分野に分けて議論していく『常任委員会』(総務・都市整備・生活環境・教育福祉)。
常任委員会とは別に、市政のあるテーマを集中的に期限を区切って議論していく『特別委員会』。
横須賀市議会が一丸となって取り組むべき政策のロードマップを作り、行政とは異なる視点で条例や政策を立案し、議会の政策形成のエンジン役となる『政策検討会議』。
『議会報告会』の開催などで市民のみなさまの声に広く耳を傾けるとともに、『議会だより』の発行などで積極的に発信していく『広報広聴会議』。
全国に先駆けて議会改革を進めてきた横須賀市議会の改革のエンジン役である『議会制度検討会議』。
昨日までの試行期間を終えて今日から正式にスタートした『議会ペーパーレス化』などをはじめ、『横須賀市議会ICT化計画』に基づいて議会のICT化を推進していく為の『議会ICT化運営協議会』。
5月17日の『召集議会』では、こうした組織のメンバーが新たに決まります。
つまり、『市議会の人事異動』が行なわれます。
フジノは2018年度も「教育福祉常任委員会」で働きます
無会派は、現在4名です。
小室たかえ議員、はまのまさひろ議員、山本けんじゅ議員、そしてフジノ。
無会派には、4つの常任委員会(総務・都市整備・生活環境・教育福祉)が1つずつ割り当てられました。
毎年、誰がどの委員会に所属するかを話し合って決めています。
無会派4名でさっそく話し合いをもちました。
●
フジノは議員生活15年のうち、合計14年間にわたって一貫して保健・医療・福祉・教育を担当する常任委員会に所属してきました。
- 2003年 民生常任委員会
- 2004年 民生常任委員会
- 2005年 民生常任委員会
- 2006年 教育経済常任委員会
- 2007年 民生常任委員会
- 2008年 教育経済常任委員会
- 2009年 教育経済常任委員会
- 2010年 民生常任委員会
- 2011年 教育福祉常任委員会
- 2012年 教育福祉常任委員会
- 2013年 教育福祉常任委員会
- 2014年 生活環境常任委員会
- 2015年 教育福祉常任委員会
- 2016年 教育福祉常任委員会
- 2017年 教育福祉常任委員会
2014年の1年間だけが生活環境常任委員会でした。
その1年間を除いて、ずっと『教育福祉常任委員会』に所属してきました。
何故なら、自殺対策・障がい福祉・保健医療福祉などに取り組む為に政治家に転職したフジノの想いを実現する上で『最も近道』だからです。
『教育福祉常任委員会』は、『旧・民生常任委員会』と『旧・教育経済常任委員会』が2011年に再編されて1つになりました。
市役所の組織では、健康部・福祉部・こども育成部・教育委員会の4部局を所管しています。
●
5月17日の本会議での議決を経て正式決定となりますが、無会派のメンバーで話し合って決まりました(内定ですね)。
フジノは2018年度も『教育福祉常任委員会』で働きます。
16年目も、今までどおり、全身全霊をかけて働いていきます。
●
また、『議会ICT化運営協議会』にも引き続きフジノは所属します。
さらに任期が引き続いている会議としては
- 『政策検討会議』
- 『FM戦略プラン審査特別委員会』
- 『がん対策検討協議会』
の3つがあります。
さらに全議員が予算決算常任委員会の委員となるルールになっています。
という訳で、フジノは2018年度も6つの委員会等に所属します。
どれもとても大切な委員会等ですので、重責で心身ともに押しつぶされそうになりますが、しっかりと今までどおり全力を尽くしていきたいです。
病児・病後児保育センターは子育てに不可欠な重要施設ですが「在り方の見直し」を全くしない為、指定管理者の指定に反対しました/2017年12月12日・予算決算常任委員会での討論
議案93号に賛成し、議案114号に反対する立場での討論
藤野英明です。
議案第93号『平成29年度横須賀市一般会計補正予算(第4号)』に賛成し、議案第114号『病児・病後児保育センターの指定管理者の指定について』に反対する立場から討論を行ないます。
2つの議案の関係についての説明と、議案93号に賛成する理由
はじめに、両議案の関係についてご説明し、 議案第93号に賛成する理由を申し上げます。
今回提出されている議案第114号の内容は、その『病児・病後児保育センター』の現在の指定管理期間の終了が来年3月31日と近づいてきた為、来期の指定管理期間の指定管理者を指定する為の議案です。
この議案が可決されれば、来年平成30年4月1日から平成33年3月31日までの3年間の指定管理者が決まることになります。
それは同時に、その3年間の費用合計5094万円を1年分約1700万円を3年間必ず支払っていくという義務が発生することを意味しています。
単年度の予算しか作れない現在の地方自治体では、将来の複数年度にわたる支出が確定している場合には『債務負担行為』という仕組みを使って将来の支出を担保することになっています。
そこで指定管理者制度を導入している施設については 事項・期間・限度額を『債務負担行為』として予算に設定することで、契約した支払いを担保しています。
このような仕組みがありますので、今回、議案第93号の補正予算案においても、『病児・病後児保育センター』の指定管理料3年分を『債務負担行為』に追加することも提案されています。
債務負担行為の追加
以上のことから、本来であれば、第114号に反対するならば、それに伴って発生する『債務負担行為』を追加設定した第93号にも反対するのが通常の賛否の表わし方です。けれども、僕は『病児・病後児保育センター』そのものを否定している訳ではありません。
より市⺠ニーズに沿った形で『病児・病後児保育センター』が改善されて、次の3年間も運営されるべきだと考えています。
したがって、議案第93号の一般会計補正予算案で追加設定された指定管理料の『債務負担行為』については賛成をします。
議案114号「病児・病後児保育センターの指定管理者の指定」に反対する理由
次に、それにもかかわらず第114号に反対する理由を申し上げます。
「病児保育」とは、親が働いていてふだんは保育園に通っているこどもが病気になった時、親が仕事を休めない時に親に変わって病気の子どもの保育をするものです。
「病後児保育」とは、病気は治っているものの、まだ本来の状態に戻っておらず、普通の保育メニューを受けるのが厳しい回復期の子どもを親に変わって保育をするものです。
働きながら子育てをしている保護者の方々にとって病児・病後児保育は不可欠の存在です。
横須賀市では病児保育と病後児保育を行なう為の『病児・病後児保育センター』を開設しています。
対象は、市内在住の3カ月児〜小学校6年生までで、定員は5名、利用料は1日2000円、開いているのは平日は朝7時30分〜夕方18時30分、土曜日は朝7時30分〜お昼14時30分であり、日曜・祝日・年末年始はお休みです。
現在、『病児・病後児保育センター』は市内に1ヶ所しかなく、 うわまち病院の敷地内に設置しています。
『直営』ではなくて、『指定管理者制度』を取っており、 施設の使用の許可、施設と設備の維持管理、その他市⻑が定める業務については指定管理者が行なう業務となっています。
うわまち病院と同じく『地域医療振興協会』が指定管理者です。
病児・病後児の保育を求めている切実な声はとても多く、利用したい市⺠はとても多いにも関わらず現在のセンターは利用者数が低迷しています。
その理由は明らかで、現在のセンターの使い勝手が悪いからです。
センター開設当初から議会が一丸となって使い勝手の悪さを改善すべく訴えてきました
センターの開設当初から、全ての会派と無会派議員がこの問題を取り上げてきました。
問題によって会派ごとに考え方が分かれることもしばしばある議会ですが、センターについてはその重要性から、会派を超えて議会が1つの問題意識のもとで改善策を提案し続けてきたのです。
始めの頃は、例えば申請書類をインターネットでダウンロードできるようにすることや申請手続きの簡略化など現在のセンターの改善策の提案が様々に出されました。
しかし、それらが実行されても利用しやすさが改善されないことから提案の方向は変わり、『根本的な在り方の見直し』が提案されるようになりました。
例えば、病児・病後児のご家庭を訪問して、そこで保育を行なう「訪問型」を導入すべきではないか。
また、病児・病後児のご家庭に送迎バスなどでお迎えに行く、送迎の仕組みを導入すべきではないか。
さらには、広いまちなのに市内にわずか1か所しかセンターが無いことの不便さから、センターの数を増やすべきだとの提案も出されました。
このセンターの数を増やすべきとの提案だけは平成27年度〜平成31年度までの5年間の取り組みを定めた『横須賀子ども未来プラン』の中で、平成31年度に新たに 1か所を設置し、計画期間中に2か所で実施することを定めました。
「横須賀子ども未来プラン」
病児・病後児保育センターは平成31年度に2ヶ所目を設置する
このように、これまでずっと議会側は提案を続けてきたのですが、行政側は市内に1ヶ所増やすこと以外は手付かずのままでこども育成部と現在の指定管理者には肝心な現在のセンターの在り方を改善する姿勢が全く見えません。
その場しのぎの答弁ばかりで「在り方そのものの見直し」を行政は全く行なってきませんでした
この討論により共感して頂く為にも本来であればこの数年間、全ての会派と無会派議員が行なってきた数々の建設的な提案の全てをお伝えしたいのですが、討論の性質上、残念ながらできません。
しかし、市議会の議事録を「病児」「病後児」「保育」で検索してその議論の全てを時系列で読んでいけば、誰もが行政側のその場しのぎの答弁に怒りをおぼえるはずです。
「病後児」「保育」で市議会議事録を検索すると膨大な数の質疑が出てきます
これまでの経緯のほんの一部をご紹介します。平成26年4月25日、まさに訪問型の病児・病後児保育を実践している認定NPO法人フローレンスの代表理事である駒崎弘樹さんを本市のこども政策アドバイザーに吉田雄人前市⻑が任命しました。
当然ながら本市における訪問型の病児・病後児保育の実施への期待が高まる訳ですが、平成27年第3回定例会の教育福祉常任委員会において小室たかえ議員が「訪問型」の導入を提案しました。
しかし、こども育成部⻑は「考えていない」と答弁をしています。
その一方で、平成28年第1回定例会において、石山満議員からわざわざ駒崎弘樹さんを『こども政策アドバイザー』に任命した2年間の成果は何だったのかと問われて、吉田雄人前市⻑は『アドバイザー』の助言をもとに、『病児・病後児保育』の拡充について検討を始めたことを挙げています。
そこで僕は、平成28年第3回定例会の教育福祉常任委員会で 「訪問型」の導入に向けた検討状況について詳しく質問したのですが、こども育成部では「研究は始めていない」「まだその段階ではない」「指定管理者とも話していない」との答弁がなされました。
つまり、前市⻑の答弁が事実ではなかったことがまたも明らかになりました。
前市⻑は、『病児・病後児保育』について拡充の検討を始めた、と答弁したり、駒崎氏から横須賀で訪問型の『病児・病後児保育』をやらせてほしいと売り込みをかけられたなどと話してきた訳ですが、実際のところ、こども育成部では何も動きはありませんでした。
こうして、いつも質問に対してその場しのぎで前向きな答弁をする。けれども前市⻑もこども育成部も実際には動かない。この繰り返しが続いてきました。
議会でなされた数々の提案に対する答弁がそのまま答弁の通り実践されてきたならば数年後の今、横須賀の『病児・病後児保育』はもっと拡充されているはずですが、そうした提案は何も活かされていません。
多くの市⺠の方々の想いを聴いている立場としてはどうしてもこうした姿勢を許すことはできません。
今回の議案にも半数の委員が怒りの追及をしました
こうした⻑年の経緯がある上に、今年12月に議案が出されて次期指定管理者を審査することが分かっていた為に、数年前から多くの議員が次期指定管理者の審査にあたっては現在のセンターの在り方を見直すべきだと訴え続けてきました。
僕もそのひとりですが、毎回、質疑のたびに課⻑と部⻑から在り方そのものの見直しを検討する旨の答弁を受けてきました。
しかし、今回の議案においても全く見直しを検討した姿勢は見えませんでした。
この数年間の議論は全く反映されておらず、結局は今までどおりのままの内容で仕様書が作られて、指定管理者も広く全国に公募をかけたりはせずに現在の指定管理者を指名して終わりです。
そうした不誠実なこども育成部の姿勢に対して、今回の教育福祉分科会においても、会派を超えて井坂議員、伊関議員、小幡議員、渡辺議員、僕と分科会メンバーの半数が追及をしました。
質疑の中で、同じ指定管理者が別のまちでも『病児・病後児保育』を行なっているけれど 横須賀よりも人口がとても少ないにもかかわらず、センターの利用者は横須賀よりもとても多いという実績があることも分かりました。
先ほど申し上げたとおりで横須賀のセンターの利用者は少なく、平成28年度では利用者数は164人しかいません。
何故ほかのまちで実績を上げているのにその取り組みをすぐ横須賀で実践するように指定管理者に強く言わないのか全く理解できませんでした。
議論を先送りするという答弁は絶対に許せません
またいくつもの答弁の中でどうしても許せない答弁がありました。
現在、うわまち病院の建て替えの議論をしていますが、この建て替えにあわせて検討をしていくという検討を先送りにする旨の答弁がなされたのです。しかし、建て替え工事が始まるのは今から5年後です。工事を終えて新たなうわまち病院がスタートするのは今から7年後です。
そんな先送りは絶対に許せません。
市⺠のみなさまが求めているのは可能な限り早い対応です。政治も行政もその声に応えて可能な限り早く対応しなければならないのです。
少子超高齢化と人口減少が進んでいる横須賀において子育て環境を良くしていくのは最優先課題です。
今回僕たちは、来年から改善されることを求めてきました。それが何故、建て替えにあわせてなんて言ってるんですか!?
現在の部⻑も課⻑も、5年先、7年先まで現在の役職に就いているのでしょうか。自分が異動や退職でいなくなれば責任からは逃れられても市⺠の困り感は何も解決されません。
明らかに市⺠の想いに反しており、 議論を先送りする発言をしたこども育成部の姿勢はとても許せません。
議会で議論をして答弁があっても、動かない。それでは何の為に市⺠代表として議会で発言をしているのか、一方で、我々自身も存在価値が問われています。
だからこそ、我々、市⺠の声を代弁している議会はその場しのぎの答弁でごまかし続けているこども育成部の姿勢を見逃してはならないのです。
この議案は、これまでの議論が何も反映されておらず、さらに、議論の先送りも明言されている、そんな議案なのです。
そんな議案に対して議会側は賛成してはならないというのが僕の考えです。
行政側への改善要望
最後に、行政側に申し上げたいことがあります。
加藤まさみち教育福祉常任委員会委員長の見守る中、討論に立つフジノ
これまでその場しのぎの答弁を繰り返してきた前市⻑とは違い、新たに就任した上地市⻑は、「前向きな答弁をしたらその2つ先の定例議会までには結論を出す」と議会に約束してくれています。したがって、こども育成部は今までの姿勢を猛省すべきです。
そして上地市⻑のもとで必ず『病児・病後児保育センター』の在り方そのものを見直す検討をすぐに始めるべきだと強く求めます。
また、市⺠の切実な声よりも現在の指定管理者である『地域医療振興協会』の意向を忖度してばかりの姿勢も改めるべきだと重ねて強く要望します。
市⺠のニーズに沿った新たな病児・病後児保育の在り方を可能な限り早く市⺠のみなさまにお示しし、実際に動くべきです。
以上のことから議案第114号に反対いたします。
先輩同僚議員のみなさまにおかれましては、議案第93号の補正予算案への賛否表明の仕方が通常とは異なるものとなりましたが、どうかご理解いただけますよう、よろしくお願い致します。
ありがとうございました。
使い勝手が悪く利用者も増えないのに抜本的見直しを先送りした「病児・病後児保育センター」議案への反対討論をしました/予算決算常任委員会・全体会(2017年12月議会)
予算決算常任委員会・全体会が開かれました
今日は、『予算決算常任委員会・全体会』が開かれました。
予算決算常任委員会全体会を前に
議会期間はわずか16日間と短めの12月議会ですが、今回も本当に精根尽き果てるまでがんばったと感じています。一般質問づくりの為の山のような準備作業に始まり、いろいろな圧力も受けながらも耐え抜いて原稿を作り、ようやく当日の質疑にたどりつく。
本会議が終わるとすぐに(いつものことではありますが)『予備日』も使用して行なう教育福祉常任委員会での膨大な審議。
特に2日目は38.5度の熱が出てしまい、インフルエンザ発症の有無を調べる為に病院で検査を受けねばならず、午後から委員会に出ました(議員という職責を預かっているのに発熱くらいで大切な質問の機会を失なってたまるか、というのが率直な想いです)。
こうして、市長から出された補正予算案をはじめ、様々な条例の改正案や指定管理者の指定を認めるか否かの議案を、徹底的に審査しました。
そして今日は『全ての委員会の実質的な最終日』にあたります。
予算決算常任委員会は、分科会と全体会に分かれています
毎回ご説明していることなのですが、横須賀市議会では『本会議』での採決の前に、まず予算決算常任委員会・全体会を行ないます。まず、4つの分科会(=4つの常任委員会に対応しています)で審議された結果を、分科会長(=委員長)が報告をします。
続いて、その報告に対する『質疑』、全ての分科会にまたがる内容についての『質疑(総括質疑)』、『討論』、そして『採決』という流れです。
フジノは「病児・病後児保育センター」の「指定管理者」を決める議案に反対しました
フジノは、討論に立ちました。
討論に立つフジノ
『病児・病後児保育センター』の来年2018年度からの新たな『指定管理者』を認めるか否か、という内容の議案です。フジノは反対しました。
(反対討論の全文についてはブログに掲載しましたので、ぜひご覧下さい)
病児・病後児の保育は、子育てをしている方々にとって、必要不可欠な存在です。とても大切な存在です。
けれども、今の横須賀市にはたった1ヶ所(定員5名)しかありません。
使い勝手が悪い為に、利用者数はスタートから現在に至るまで微増しかしていません。
行政側は、このセンターの存在が知られていないから広報して周知して市民のみなさまに知ってもらう、というような的外れの答弁を繰り返してきました。
一方、議会側は市民のみなさまから毎日のように生の声をお聴きしていますから、様々な改善の提案をしてきました。
討論でも述べたのですが、この問題については会派を超えて、全ての会派・無会派議員が「そもそも現在のセンターの在り方を見直すべきだ」という意見で一致しています。
「病後児」「保育」で市議会議事録を検索すると、全会派による膨大な数の提案が出てきます
そして、提案も3つに収斂されてきました。議会側の「病児・病後児保育」に関する提案
- 病児・病後児保育センターの数をもっと増やして身近な地域(もしくは駅前など利便性の高い場所)で受けられるようにする
- 病気のこどもをセンターまで連れていくのは大変なので、送迎バスなどでご自宅までお迎えに行く方式にする
- 病気のこどもをセンターまで連れて行くのは大変なので、ご自宅に保育士・看護師が訪問する方式にする
こうした提案は、今回の議案が出されたからではなく、何年も前からずっと会派を超えてオール市議会で行なってきたのです。
けれども、残念ながら何も変わりませんでした。
トップが動かない以上、担当部局も動かないのは当然です。
前市長は本当にひどかった。
病児・病後児保育を訪問型で実践している認定NPO法人フローレンスの代表理事(駒崎弘樹さん)をあえて横須賀市のこども政策アドバイザーに任命しておきながら、何の対応もしなかった訳です。
多くの議員が「駒崎さんをあえて『こども政策アドバイザー』に任命したのだから横須賀市は訪問型の病児・病後児保育に乗り出すはず」と期待しました。
しかし彼を2年間も雇っておきながら、何の成果も無く、税金のムダづかいでした。
今回の議案にも、『こども政策アドバイザー』の成果も何も反映されていませんし、議会側の提案も全く反映されていませんでした。
こんな行政の姿勢は、市長が交代した今もう終わりにしたいとフジノは本気で考えています。
そうした強い願いをこめて、反対討論を行ないました。
反対討論を行なった、後日談です
議案は、賛成多数で『可決』こそされました。
けれども、フジノはとても前向きです。
そもそも教育福祉常任委員会の委員のほぼみなさんが同じ想いなので、討論を終えた後に、加藤委員長をはじめ、複数の方々が「討論、とても良かった」「全く同感だったよ」と声をかけて下さいました。
これからも議会側は必ずこの問題を追及し続けていくのは絶対に間違いありません。
次の3年間の指定管理者こそ同じ事業者に決まってしまいましたが、もはや抜本的な見直しは避けられません。
さらに、本会議場でフジノの討論を険しい表情で聴いておられた上地市長からも、ご連絡を頂きました。
すぐに部局に指示を出したのだと思います。
こども育成部から、議会事務局を通じて「藤野議員の反対討論の原稿を提供していただけませんか」と依頼がありました。
これまで歴代市長に対してフジノは何度も反対討論を行なってきましたが、このような対応は初めてです。
改めて、上地市長の本気度を感じました。
トップが変わって前向きな姿勢を見せている以上、もともと仕事熱心な市職員のみなさんは必ず改善に向けて動き出すはずです。
病児・病後児保育は、全てのこどもにとって大切な存在です。
保護者にとっても、不可欠なものです。
より使い勝手の良い、病児・病後児保育の体制が新たに作られていくはずだと信じています。
このまちに暮らす全てのこどもたちが健やかに成長していかれるように、それこそ病める時も健やかなる時も安心して暮らせるまちへと、必ず変えていきたいです。
ついに決算審査が終わりました。フジノは「単コロ」が廃止されていない「病院事業」の決算に反対しました/予算決算常任委員会・全体会(2017年9月議会)
9月議会での「決算」審査が終わりました
今日は、『予算決算常任委員会・全体会』が開かれました。
予算決算常任委員会全体会を前に
1ヶ月半にわたる9月議会ですが、前半は補正予算案の審査、後半は決算議案の審査です。そして今日は『後半戦の実質的な最終日』にあたります。
予算決算常任委員会は、分科会と全体会に分かれています
毎回ご説明していることなのですが、横須賀市議会では『本会議』での採決の前に、まず予算決算常任委員会・全体会を行ないます。まず、4つの分科会(=4つの常任委員会に対応しています)で審議された結果を、分科会長(=委員長)が報告をします。
続いて、その報告に対する『質疑』、全ての分科会にまたがる内容についての『質疑(総括質疑)』、『討論』、そして『採決』という流れです。
こうして、決算議案に対する賛否(認定するか否か)の採決が行なわれました。
フジノは「一般会計」「病院事業」決算認定に反対しました
この決算(2016年度分)は、上地新市長が作った予算に基づく決算ではありません。
吉田前市長が作った予算に基づいて執行された結果(決算)に対する審査です。
フジノは『一般会計』『病院事業』決算認定に反対しました。
予算決算常任委員会全体会での賛否一覧
『一般会計』の決算については、『ハコモノ3兄弟』の予算が執行された決算なので反対をしました。芸術劇場・美術館・ソレイユの丘に対して、吉田前市長は結局のところ最後まで抜本的な改革を行ないませんでした。
赤字額は変わらないまま。
初当選からずっとハコモノに反対してきたフジノは、2016年度当初予算案にも反対しました。当然ながら、この決算にも賛成することはできません。
●
『病院事業』に反対した理由は、昨年度の決算で激しく改善を要求した『単コロ』が2016年度は改善されていないからです。
議会がチェックできない方法で横須賀市が行なっていた8.5〜12億円もの短期貸付の問題
こうした激しい追及を経て、2017年度(今年)の当初予算案ではついに不透明な短期貸付金は廃止されました。
けれども、本議会で審査対象になっているのは、まだ『問題の貸付を行なっていた2016年度の決算』です。
予算書にも決算書にも記載されず、議会も全くチェックできない上に、市長決済だけで12億円も無担保で貸し付けるという、この異常なやり方を絶対に認めません。
したがって、2016年度決算には反対しました。
改めて決算書を読んでも1行も記されていないのだから本当にあってはならない手法だと思います。
「2016年度地方公営企業決算監査意見書」より
同じ問題意識を持って下さっている監査委員による『地方公営企業決算監査意見書』に唯一このような記述がなされました。●
ありがたいことに、この9月議会の決算審査のスタート時に監査委員へフジノが質疑を行なった際に
「藤野委員のご指摘もあって貸付を解消することができました」
と監査委員から答弁を頂いてしまいました。ありがたいお言葉。。。
けれども、たしかに議会で問題視して質疑をしたのはフジノひとりですが、実際には監査委員のみなさまの存在があって初めて実現することができました。
2017年度からこの短期貸付金を廃止することができたのは、何よりも監査委員のみなさまのご尽力のおかげです。
●
こうして、『予算決算常任委員会・全体会』は終わりました。
最終的には、フジノの反対もむなしく、全ての決算は『認定』することと多数決で決まりました。
10月16日(月)に開かれる本会議でも、今日と同じ結果で採決されることになります。
最後に、学童クラブにおいて補助金の不正使用があった為、今回の決算には『附帯決議案』が教育福祉常任委員会の有志から提案される予定です。
さあ、全ての審査が終わりました。
あとは本会議を残すのみです。
「小児医療費の無償化を中3まで拡大、所得制限も撤廃」が実質的に成立へ/予算決算常任委員会・全体会(2017年9月議会)
上地市長の重要な選挙公約「小児医療費の無償化を中3まで拡大」が実質的に可決されました
今日は、『予算決算常任委員会・全体会』が開かれました。
予算決算常任委員会・全体会を前に
予算が関わる議案について、採決(賛否を示すこと)が行なわれました。その結果、上地市長の選挙公約である
『小児医療費の無償化を中学校3年生まで拡大する。所得制限も撤廃する』が賛成多数で可決されました。
予算決算常任委員会・全体会での議案の賛否
予算決算常任委員会・全体会で可決された議案はその後の本会議でもほぼ可決されており、この議案も反対は1名のみ(無会派)だったことから、実質的に可決されたことになります。来年4月から、小児医療費無償化がついに中3まで拡大します。
委員会での説明資料より
新たな医療証を来年2018年3月中にみなさまに郵送いたします。委員会での説明資料より
これは本当に素晴らしいことです。本来ならば、こどもの医療費の無償化は『ナショナルミニマム』(国家が国民に提供する必要最低限の生活水準のこと)として国全体で行なうべき政策です。
しかし、国が動かない以上、上地市長が本市独自の政策として決断しました。
7月10日の就任からわずか2か月で、選挙公約の重要部分が次々と実現していることを誇りに感じます。
「誰も一人にさせないまち」を最終目標に『横須賀復活』に向けて進んでいく、新しい横須賀をフジノは日々実感しています。
予算決算常任委員会全体会・総括質疑(2016年10月12日)
フジノの質問
議案第94号平成27年度横須賀市病院事業会計決算をはじめ、他の全会計の決算について、総括質疑を行ないます。
まず、はじめに、本市が指定管理者に対して巨額の貸し付けを繰り返してきたことに関して、議会の議決を要しない『指定管理業務基本協定書』で貸し付けを約束した件などについて伺います。9月23日の予算決算常任委員会・全体会での代表監査委員との質疑、9月27日の教育福祉分科会での健康部との質疑、その後、関係部局へのヒアリングを繰り返してきた中で、本市病院事業会計が、市民病院の指定管理者である公益社団法人地域医療振興協会に対して続けてきた貸付金の存在と、その会計処理方法などに強い疑問を抱きました。
平成22年度8億5,000万円、23年度10億5,000万円、24年度8億5,000万円、25年度10億円、26年度12億円、27年度12億円と、本決算で6年間に及びます。
今年も貸し付けており、すでに7年になります。
けれども実は、今回の決算まで僕は、この貸し付けの存在を全く知りませんでした。
本来、議会は市民の皆さまからお預かりした税金がどのように使われるのか、どのように使われたのかを、本市の歳入歳出予算および決算の全てについて、提出された資料に基づいて、細部にわたって審査した上で、議決または認定します。
つまり、こんな莫大な貸し付けに気づかないことは、異常事態です。
そこで議会人として、僕はこれまで何故、全くこの貸し付けの存在に気付けなかったのか、と必死に調べました。
その結果分かったことは、なんとこの貸し付けは、議会に提出し、審査と議決を経る必要のある予算書や決算書に、一度も記されたことがなかった、ということです。
その為に、僕だけでなく、議会がその存在に気付くことは極めて困難で、実際これまで一度も取り上げられたり、問題視されたことはありませんでした。
監査委員作成の「横須賀市地方公営企業決算審査意見書」
唯一、監査委員が作成する『地方公営企業決算審査意見書』の、たくさんある表のひとつである『協会との主な取引』の中に小さく記された『短期資金の貸付12億円』という項目があり、今回の決算で初めて、貸し付けが無担保であることに改善を求める一行の文章があったので、気付くことができました。協会との主な取引状況
この特殊な貸し付けの問題をぜひ皆さまに知っていただきたいので、まずこの貸し付けの成り立ちを説明します。市の直営だった市民病院の経営の行き詰まりを打開する為に、平成22年度から指定管理者制度を導入することになりました。
本市と地域医療振興協会はそのスタートにあたって、『指定管理業務基本協定書』(以下、基本協定書)を締結しました。
この『基本協定書』の第20条に、「市民病院の運転資金に不足を生じる場合に、本市は指定管理者に貸し付けを行なう」と明記してしまったのです。
これを根拠にして本市は毎年8億5千万円から12億円もの貸し付けを繰り返してきました。
ただ、この『基本協定書』の策定に議会は全く関与していません。
当時、市民病院に指定管理者制度を導入するために、議会には市民病院条例中改正案が市長から提出されましたが、『基本協定書』そのものは提出されず、その内容を審査したり、議決する機会はありませんでした。
これが何を意味しているかというと、市民代表である議会が一切チェックさえできないままに、市民の皆さまからお預かりした税金から、なんと約10億円も将来にわたって貸し付ける約束をした条文が、『基本協定書』の中に記載されてしまったということです。
普通、本市が将来にわたる何らかの支出を約束した場合、予算書に『債務負担行為』という扱いではっきり記されて、必ず議会のチェックを受けるものなのです。
しかしこの貸し付けは、どこにも記されませんでした。
貸し付けの金額は毎年変わるのですが、そのプロセスも説明します。
健康部と地域医療振興協会によって、毎年新たな『横須賀市市民病院指定管理業務年度協定書』(以下年度協定書)を策定します。
併せてその際に、だいたい12月頃に、翌年度の市民病院の収支見込みを元に担当課長らが『基本協定書』第3条の、事業収益の総枠の12分の2を基準に貸し付け金額を算定します。
そして『横須賀市立市民病院短期貸付金貸借契約書』が作成されて、財政部長合議の上で、財務事項として専決規定に基づいて市長決裁で手続きが完了します。
そして翌年度4月月初には貸し付けが実施されます。
実は、このプロセスにも議会は全く関与できません。
『年度協定書』の策定も、毎年の貸し付けも、議会の審査や議決などは全く必要無く、市長決裁だけで支出されてしまうのです。
議会はノーチェック、巨額な貸し付けにも関わらず、担保は無し。
そんな極めてハイリスクな状態で7年にわたって、8億5千万円から12億円という巨額な税金が支出されてきたのです。
この事実に、議会人として僕は強い驚きと問題を感じます。
税金の使い道をチェックできない予算決算があってはならない、と率直に僕は思います。そこで市長に伺います。
【質問】
議会の関与できない方法を用いて、市長決裁だけで巨額な貸し付けを将来にわたって可能にする条文を記載した『基本協定書』を、本市が地域医療振興協会と締結したことは、市民と議会への説明責任、アカウンタビリティを全く果たしておらず、重大な問題だと僕は考えています。市長はどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
市長の答弁
市と指定管理者との『基本協定書』により、運転資金の貸付をしていることについて、ご質問をいただきました。
この資金の貸し付けについては、指定管理者である地域医療振興協会から、診療報酬が2か月後に健康保険組合等より確実に入金される為、この収入と支出のタイムラグを埋める為の資金を手当てして欲しい、という要望がありました。
こちらはあくまでも赤字補てんをするのではなく、診療報酬が現金として入金されるまでのタイムラグを埋めるものであります。
また、その要望のあった内容については、『市民病院事業計画書』という形で、当時の、平成21年の民生常任委員会に追加説明資料として提出をさせていただいています。
フジノの質問
説明資料の提示が過去になされたということで、基本的には市長は、市議会が関与しない予算があっても良いのだというお考えなのだ、と受け止めました。
次の質問に移ります。
この貸し付けの約束と、それから会計処理の方法は、現行の法令には違反してはいません。
【質問】
しかし、議会人である僕からみれば、『抜け道』のような方法で7年もの間、議会の審査や議決も経ず、さらには貸し倒れが起こるリスクに備えた担保も設定せずに来た本市の貸し付けは、極めて無責任だと指摘せざるを得ません。この点について伺います。
市長は、どのようにお考えでしょうか。お答え下さい。
市長の答弁
市としては、指定管理期間の8年間を無担保で貸し付けることは、債権保全という点でリスクが高いと考えました。
この為、貸し付け年度内に必ず返済をさせる短期貸付を、選択をしてまいりました。
ただ、この点については監査委員からもご指摘を受けていますので、次回、指定管理者を指定する際には、さらにリスクを減らすように改善をしていきたいと思います。
フジノの質問
質問は、今までの在り方は無責任だったのではないかという質問だったんですが、やはりその点にもお答えいただけなくて、市長は現状を正当化しているんだなということもよく分かりました。
次の質問に移ります。
病院事業会計以外の他の全ての会計についても、ぜひ確認をしたいと思います。
【質問】
病院事業会計と同じ仕組みを用いて、議会の審査や議決を必要とせずに決裁のみで指定管理者や外郭団体などに貸し付けを行っている事例は、他にも存在しているのでしょうか。市長、お答えください。
市長の答弁
一般会計および特別会計については、予算に計上していない支出というのはできませんので、決裁のみで貸し付けを行うことはありません。
予算に計上している案件では、一般会計で6事業ございます。
また、地方公営企業法を適用している水道事業会計および下水道事業会計においても、指定管理者や外郭団体に貸し付けた事例はありません。
フジノの質問
他の会計には無い、ということで大変安心しましたが、逆にこの病院事業会計の貸し付けが特別だということがよくわかりました。
続いての質問に移ります。
法令上の『形式的正確さ』だけでなく、本市のステークホルダーに説明責任を果たす為に、すべての取引の実態などを適切に反映した『実質的正確さ』を持つことが、予算および決算には求められる件について伺います。
今回の質問にあたって、地方公営企業法や同法施行令や、同法施行規則をはじめ、総務省が出した通達、通知などあらゆる法令や資料をチェックした結果、現在の法令上は、今回指摘した貸し付けを、正式な予算書、決算書に記載する義務を課した条文が存在していないことがわかりました。
その為、これまで市が議会に提出してきた予算書、予算説明資料、決算書、決算説明資料などにこの貸し付けが記されたことは一度も無いにも関わらず、法令上の形式的正確さは備えていることになります。
しかし、会計上必要なのは、『形式的正確さ』だけではありません。
特に決算は、全ての利害関係者にわかりやすく実態を説明する、『実質的正確さ』が必要です。
それが、説明責任を果たすということになります。
先に述べたようにこの巨額な貸し付けは、手続きも市長決裁だけで、支出がなされた事実も、返済がなされているのかも、市民も議会も誰も知る事ができません。
つまり、説明責任が果たされていないのです。
僕は議員になる前は民間企業の財務部に在籍していたので、当然会計ルールについては必死に勉強し実務にあたり、決算になれば財務諸表も作成し、監査法人による監査にも立ち会ってきました。
そんな民間企業の会計基準や決算の場では当たり前のことが、この貸し付けに関する事務では行まわれていないと感じます。
例えば『継続企業の前提に関する開示』というルールがあり、民間企業では、破綻懸念が存在するときは必ず財務諸表に注記しなければならず、ステークホルダー(財務諸表利用者や利害関係者)にそのことを伝える義務があります。
指定管理導入から6年が経った市民病院の財政規模は、事業収益と資本的収入を合計しても13億6,689万円です。
13億円の収入しかない市民病院に対して、毎年本市が、8億5千万円から12億円も貸し付けなければ、市民病院が経営できないのが実態です。
この貸し付けがなければ、市民病院では資金ショートが毎年起こっているという実態は、市民も議会も絶対に知っていなければならない会計上の懸念事項です。
そもそもこんな巨額な『金銭消費貸借契約』は、会計上、極めて高い『金銭的重要性』を持っており、絶対に利害関係者に伝えねばならない事項です。
説明責任を果たす上では、民間企業であろうと、地方公営企業であろうと、こんな重要事項を伝えるのは当然のことだと僕は考えます。
そこで市長に伺います。
予算も決算も全ての取引の実態を適切に反映すべきですが、今のやり方では病院事業会計と市民病院の経営実態を正確に知ることはできません。
たとえ法令の定めで作成する予算書と決算書への記載義務が無くても、市民と議会をはじめとする利害関係者すべてに対して、実質的な会計情報を提供する必要があります。
【質問】
したがって、来年度も貸し付けを行うのであれば、予算時には、本市が独自に作成している予算説明資料に、その事実と金額と貸付条件などを新たに記述する。決算時には、決算説明資料に同様に、貸し付け実績と返済実績などを新たに記述するなど、何らかの形で必ず市民と議会に対して説明責任を果たすべきではないでしょうか。お答えください。
市長の答弁
今回の運転資金の貸し付けついては、法令に基づいて適正に処理をしていますけれども、予算書、決算書等への記載の仕方については、工夫をして明記をしていきたいと思います。
フジノの質問
しつこいんですが、もう1回確認させて下さい。
【質問】
工夫をして明記をする、というのは、『書く』ということでよろしいんですね。
市長の答弁
そういうことです。
フジノの質問
次の質問に移ります。
実質的には6年にわたる『長期貸付金』であるにも関わらず、単年度で貸し付けと返済を繰り返すことで、財務諸表に計上してこなかった経緯について伺います。
みなさまにやはり問題意識を共有していただきたいので、会計の基本ルールを少しだけ説明いたします。
一年以内に返済が終わる貸し付けがなされた場合、勘定科目は『短期貸付金』となります。一方、一年を超える貸付の勘定科目は『長期貸付金』です。
短期・長期いずれの貸付であっても、計上されれば、当然ながら貸借対照表をはじめ財務諸表全体に影響を与えるものです。
もうひとつ知っていただきたいことがあります。
それは、単年度転がし、略して『単コロ』という会計操作についてです。
全国の自治体で負債隠しの慣行として行なわれてきました。財政破綻した夕張が行なっていたことで知られましたが、今年8月22日の朝日新聞の調査報道によれば、全国85自治体で2,336億円の単コロなどの会計操作が、今も行なわれていることがわかりました。
実質的には一年以上の貸し付けである『長期貸付金』を、年度始めに貸し付けて、年度末直前に返済をします。
貸借対照表は年度末の3月31日時点の財政状態を表すので、4月に貸して3月31日よりも前に全額返済してしまえば、貸借対照表にその金額は載りません。
このように単年度の貸付けと返済を、翌年もその翌年も繰り返してずっと続く長期ローンを隠す会計操作を『単コロ』と呼びます。
この仕組みを悪用して、本来は資金不足で貸付金が必要な自治体と外郭団体などが、借金ゼロの健全経営に見せかけてきました。
総務省は2014年に策定した指針の中で、違法ではないが不適切であり、避けるべきだと指摘しました。
実は今回取り上げている本市の貸し付けも、方法は『単コロ』と同じで、同一年度で貸し付けと返済を繰り返してきました。
例えば平成27年度の場合、平成27年4月14日に貸し付けを行い、平成28年3月17日に全額返済されました。しかし翌4月には再び貸付を行ないました。
この取引は、外見上は『短期貸付』ですが、実質的には7年に及ぶ『長期貸付』です。
さらに同一年度内に貸し付けと返済を行うことで、本市病院事業会計および市民病院の貸借対照表と損益計算書にこの貸付は、『短期貸付金』としてさえ計上されません。
そのおかげで、表面上の市民病院の経営は、資金ショートも存在しておらず、赤字も減って、26年度は黒字になったことから、「指定管理者制度の導入の効果が出た」と高く評価されました。
しかし、繰り返しますが、これは実態を表していません。
僕は9月23日の予算決算常任委員会・全体会において、この貸し付けの実態は『長期貸付』であり、市民病院の経営状態を実態よりもよく見せる為の会計操作と受け止められても仕方がないのではないかと指摘しました。
答弁に立った代表監査委員は、『単コロ』に触れ、現行法令では違法では無いが実質的には僕の指摘のとおり『長期貸付金』のような形になると述べました。
僕には本市の姿勢が全く理解できません。
何故ならば、巨額の赤字を抱えていた直営時代の市民病院の経営状況からすれば、新たに指定管理者制度を導入しても、長期間にわたって運転資金がショートすることは明らかで、そのことは議会も充分に理解していたからです。
また市民病院の指定管理者を引き受けるうえで、本市が貸し付けを行なうことが、地域医療振興協会側が出した絶対条件だった、とのことです。
こうした事情を考えれば、『単コロ』と受け止められる貸付方法を取る必要は全く無かったはずです。
つまり、正々堂々と長期貸付金として予算に計上しても、議会は指定管理者制度の導入を支持した訳ですから、予算案をそのまま可決したはずです。
決算時にも実質的な市民病院の財務状態をそのまま報告すれば、説明責任も果たすことができました。
そこで市長に伺います。
【質問】
それにも関わらず、なぜあえて単年度で貸し借りを繰り返す『単コロ』と批判される方法を今まで取ってきたのでしょうか。お答えください。
市長の答弁
まず、今回のこの貸し付けは『単コロ』には当たらないと考えています。
基本的に自治体で『単コロ』と言われて批判をされるべきは、出納整理期間を用いた会計操作であるというふうに認識していますので、年度内で貸し借りが終わるこういった貸し付けについては『単コロ』ではない、とそのように思っています。
その上で、今回の貸付というのはあくまで、診療報酬が現金で入ってくるまでの2か月のタイムラグを埋めるための資金を手当てしたものである、とその2か月後には必ず健康保険組合等から入金がされるということで、長期の貸付というのは、考え方としてあるかもしれませんが、基本的には、ご指摘いただいたように、担保が無い、という状態の中では、このリスクを減らしていく為に、短期貸付という手法を取っているということです。
フジノの質問
結局、何故『単コロ』と呼ばれてもおかしくない方法を取ってきたのかのご説明はいただけませんでした。
【質問】
もう一度、ご説明いただけますか。
市長の答弁
当然、資金の貸し付けをするということで、担保等を取っていればその安全性というのは図れる訳ですが、今回は担保を取っていない。そういう手法の中では短期でしっかりと確実に返してもらうということが、安全性という観点で望ましいだろうと、そういう判断です。
フジノの質問
市長が考える「安全性を取った」ということが、実は市民にとっては大変なリスクを負わせていることをご理解いただけなかったのかなと思い、たいへん残念です。
次の質問に移ります。
実質的には『長期貸付金』であるにも関わらず、単年度での貸し付けと返済を今後も続ける限り、市民病院の経営状態を対外的に良好に見せかけるための意図的な会計操作だとの指摘は免れないと、僕は考えています。
そこで市長に伺います。
【質問】
したがって、今後も貸し付けを続けるならば、この方法も会計上の扱いも、根本的に見直すべきではないでしょうか。お答えください。
市長の答弁
病院のこの事業会計が、いわゆる、この短期の貸し付けによって良好に見えるようになる、というようなことは、実は無いと思っています。
特に、経常収支には、たとえ仮に『長期貸付金』で手当てをしたとしても、影響はしないですから、赤字補てんのための『運営交付金』というものが増えたりする訳ではありません。
ですので、この『短期貸付』という手法を取ることによって、経営状態が良く見える、というふうにはならない、というふうに認識をしています。
フジノの質問
残念ながら、認識のずれは埋められないということが分かりました。
では、ほかの全ての会計についてもぜひ確認したいと思います。
【質問】
年度内に貸し付けと返済を繰り返す貸し付けを行っている事例は、他にも存在しているのでしょうか。お答え下さい。
市長の答弁
先ほど、予算書に計上して年度内に貸し付けしているのは6事業ある、というふうに申し上げました。
もう少し丁寧に申し上げれば、長期の貸し付けで行なっているのが1、支出が無いものの予算計上しているものが1ありますので、予算書には全てで8事業あります。
ただ、単年度で、という意味では6事業になります。6事業のうち4件は預託事業、それ以外の2件は預託事業ではない、ということです。
フジノの質問
ありがとうございます。
この預託事業については良く理解しておりますので、不健全なものは他には無いということで、この点については大変安心できました。
最後に、12億円もの貸し付けを、貸し倒れのリスクを考えずに無担保で行なっていることは、明らかに本市側の『任務懈怠』であり、『基本協定書』第20条を廃止して貸し付けを止めるか、今後も貸し付けを継続するならば、何らかの担保を取るべき件について伺います。
地域医療振興協会は、本市の市民病院とうわまち病院だけでなく、全国で約70の診療所や病院などを幅広く運営しています。
これだけ規模が大きく、全国で活動している以上、地域医療振興協会に何らかの経営リスクが生じて、本市の貸し付けに返済ができなくなる可能性、つまり貸し倒れを想定して対応することが必要です。
本市の経営トップである市長には、当然その責任があります。
けれどもこれまで本市は、12億円もの巨額の貸し付けを一切の担保を取らずに無担保で行ってきました。これは極めて危険です。
将来、地域医療振興協会に何らかの経営危機が起こった場合、地域医療振興協会が全国で持っているたくさんの債務の中から、まずは担保を取られている債務への対応を優先するのが常識ですから、無担保の本市による貸付金への対応は、当然ながら優先順位は極めて低くなります。
つまり、12億円が回収できなくなる、という本市にとって大きな損失が起こるリスクがあるにも関わらず、現在は備えを怠っています。
『会社法』には、『任務懈怠責任』が定められています。
会社の取締役等が、その業務を誠実に行わない為に会社に損害を与えた場合に負う責任で、その役員は株主や社員にたいして、損害賠償責任を負います。
本市が現状のまま貸し付けを続けることは、明らかに市長の『任務懈怠』であって、即刻改善すべきです。
そこで伺います。
【質問】
『基本協定書』第20条を廃止して貸し付けを止めるか、今後も貸し付けを継続するならば、早急に何らかの担保を取るべきです。いつまでに、どのような改善策を取るのでしょうか。市長のお考えをお聞かせ下さい。
市長の答弁
監査委員からもご指摘をいただいていますので、安全性の確保という観点で、指定管理者の次期の指定の際には、具体的な担保を取るなどの方法によって、安全性というものを確保していきたい、とそのように考えています。
フジノの質問
先ほどの答弁で「次期の指定管理者の選定においては改めたい」ということで、これは一歩前進ではあるのですけれども、今年度も貸し付けている訳です。
そして、来年度も貸付けるですよね、きっと。
その時にもしものことが起こった場合は、市長、あなた個人の責任ですよ、これ。『任務懈怠』ですから。
【質問】
市民から損害賠償訴訟を起こされても、今、改善を求める質問もはっきり行いましたが。市長、あなた個人の責任になりますよ。それでも来年からはやらないんですか。
市長の答弁
当初の基本協定書の存在がありますので、次期指定管理者の選定の際に対応したいと思っています。
フジノの質問
これは、助け船の質問です。
監査委員からも指摘を受けて、議会からも厳しく指摘をして、これだけ大きな事態の変化が起こった訳ですから、指定管理者に対して、『基本協定書』にはこう書いてあるけれども、担保が必要だというふうな意見が強いということで、市長の『任務懈怠』を免れることができる。
【質問】
それにも関わらず、来年度何も担保を取らないんですか。
市長の答弁
すでに、指定管理の次の次期というのが平成30年ということで詰まっていますので、その時期で充分、責任というのは確保できるだろうと思っています。
フジノの質問
たいへんしつこいですけれども、経営というのは生き物ですし、それから今の社会状況をみていても、昨日も日経平均1万7,000円に急伸しましたね。
こういうふうに、経済は常に動いている訳です。
今、指定管理者を受けて頂いている地域医療振興協会は半官半民のような存在ですから「潰れることは無い」と言われていますが、何が起こるか絶対にはわからないわけです。
その先のリスクを取り除きましょうよ、と言っている。それだけのことなんです。
まだ次期更新まで、指定が更新されるまで何年ありますか。
平成30年度までまだ時間があるじゃないですか。
その間も市長ひとりが賠償責任を負うんだと、僕は受け止めています。
【質問】
この改善要求は市長への助け舟だと、僕は思っているんですけれども、それでも担保の設定はできない。どうしてなんですか。
市長の答弁
ご意見をいただいたばかりですし、指定管理者側の考え方というのも一緒になって詰めていく必要があると思っています。
ですので、協議は速やかにスタートしたいというふうに思っていますが、「いつまでに」という質問には、「少なくても次期指定管理者選考の時までに」とそういう答弁にさせていただきました。
フジノの質問
最後に伺いたいんですが、指定管理者との協議は速やかに進めていただけるということは、大変良いことだと思います。
市長の先ほどのご答弁、僕は「最低限、次期更新には盛り込みます」と受け止めたいです。
【質問】
指定管理者とこれから交渉をして、もしその担保、それが土地建物なのか、それとも預金に対する質権なのかわかりませんけれども、設定が可能になるのであれば早急に導入していただきたい、というふうに申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
市長の答弁
わたしの答弁の趣旨も、いつまでに、と言われましたので、次期指定管理者選定までに、という趣旨で答弁をさせていただきましたので、協議が成れば速やかに対応したいと思います。
予算書・決算書にも全く載らない市民病院への巨額の貸付金問題をついに市長に質疑します/明日の予算決算常任委員会での「総括質疑」の発言通告書を掲載します
この2週間のフジノの全てをかけて調査してきた問題を、明日市長にぶつけます!
9月23日の代表監査委員への質問から、ずっと追いかけてきた『市による市民病院への巨額貸付金問題』。
この2週間ずっと、本当に毎日寝ずに調査を続けてきました。
複数の公認会計士の方々に協力して頂き、この貸付金の持っている大きな問題を徹底的に調べ上げました。
ついに明日の予算決算常任委員会全体会の場で、吉田市長に対してフジノは質疑を行ないます。
残念ながら『総括質疑』の質問時間は、わずかに20分しかありません。本音を言えば、もっと多くの問題があるので質問したいことは他にもあります。
けれどもまずは明日、この問題を広く市民のみなさまに知って頂く第一歩としたいです。
そして、今すぐできる改善策を提案して、市長に対応を求めます。
●
こちらが明日の質問の『発言通告書』です。
議会事務局に提出した発言通告書
以下に全文を紹介します。1 議案94号 平成27年度横須賀市病院事業会計決算を初め、他の全会計の決算について
(1) 本市病院事業会計は、市民病院の指定管理者である公益社団法人地域医療振興協会に対して平成22年度から毎年8億5,000万円~12億円の貸し付けを繰り返してきたが、これだけの巨額な貸し付けの義務が生じるにもかかわらず、議会の議決を要しない「指定管理業務基本協定書」で貸し付けを約束した件等について
9月23日の予算決算常任委員会全体会での代表監査委員との質疑、9月27日の教育福祉分科会での健康部との質疑、その後の関係部局へのヒアリングによって、本市病院事業会計が市民病院の指定管理者である公益社団法人地域医療振興協会に対して巨額な貸し付けを続けてきた事実が分かった(平成22年度8億5,000万円、平成23年度10億5,000万円、平成24年度8億5,000万円、平成25年度10億円、平成26年度12億円、平成27年度12億円)。
この貸し付けは、議会に提出し審査と議決を経る必要のある予算書や決算書にも一切記されない。
監査委員によって作成される『地方公営企業決算審査意見書』の中で、わずかに1つの表中の項目と文章で1行記されるのみだ。
その為、巨額な貸し付けであるにもかかわらずその存在に気づくことはきわめて困難で、これまで議会で問題視されたことはなかった。
本市と地域医療振興協会は、平成22年度から市民病院に指定管理者制度を導入するにあたって『指定管理業務基本協定書』 (以下、基本協定書)を締結した。
この第20条に、市民病院の運転資金に不足が生じる場合に本市は指定管理者に貸し付けを行うと明記した為に、これを根拠にして、本市は毎年8億5,000万円~12 億円もの貸し付けを行なってきたのである。
本来であれば、議会は、本市の歳入歳出予算及び決算の全てを細部にわたって審査し議決する。
しかし、この『基本協定』書の策定に、議会は全く関与していない。
当時の議会には、指定管理者制度を導入するための市民病院条例中改正案は市長から提出されたが、『基本協定書』そのものは提出されず、その内容を審査したり議決する機会は無かった。
つまり議会が一切関与ができない『基本協定書』の中に、将来にわたって巨額の貸し付けを約束する条文が記載されていたのである。
毎年の貸付金額等が決定するプロセスは、健康部と地域医療振興協会によって毎年『横須賀市市民病院指定管理業務年度協定書』を策定する際に、例年12月頃に翌年度の市民病院収支見込みをもとに担当課長らが基本協定書第3条の事業収益の総枠の12分の2を基準に貸付金額を算定する。
『横須賀市立市民病院短期貸付金貸借契約書』が作成されて、財政部長合議の上で、財務事項として専決規定に基づいて『市長決裁』で手続きは完了する。
そして翌年度4月月初には貸し付けが実施される。
このプロセスに、議会は全く関与できない。年度協定書の策定も、毎年の貸し付けも、議会の審査や議決などは全く要しない。『市長決裁』だけで支出されてしまう。
議会はノーチェック、担保は無し、という極めてハイリスクな状態で、6年にわたって(今年度を含めれば7年)8億5,000万円~12億円という巨額の税金が支出されてきたことに、 議会人として私は強い驚きと問題を感じる。
【質問】
ア.議会の関与できない方法を用いて、『市長決裁』だけで巨額な貸し付けを将来にわたって可能にする条文を記載した『基本協定書』を本市が地域医療振興協会と締結したことは、市民と議会への説明責任(アカウンタビリティ)を全く果たしておらず、重大な問題だと私は考える。市長の考えを伺う。
【質問】
イ.現行法令には違反していないが抜け道のような方法を用いて、議会の審査や議決も経ず、貸し倒れが起こるリスクに備えた担保も一切取らずに、本市病院事業会計が地域医療振興協会に巨額の貸し付けを毎年継続してきたことはきわめて無責任だと指摘せざるを得ない。市長の考えを伺う。
【質問】
ウ.他の全ての会計についても確認したい。病院事業会計と同じ仕組みを用いて、議会の審査や議決を必要とせずに決裁のみで指定管理者や外郭団体等に貸し付けを行なっている事例は、 他にも存在しているのか。
(2) 法令上の問題はないという「形式的正確さ」だけでなく、本 市のステークホルダー(市民・議会他全ての利害関係者)に対 して説明責任(アカウンタビリティ)を果たすために、全ての取引の実態等を適切に反映した「実質的正確さ」を持つことが 予算及び決算には求められる件について地方公営企業法や同法施行令及び施行規則などの法令上は、 予算書及び決算書に今回指摘した貸し付けを記載する義務を 課した条文が存在しない。そのため、これまで議会に提出してきた予算書、予算説明資料、決算書、決算説明資料等にこの貸し付けが記されたことは一度もないが、法令上の問題はなく『形式的正確さ』は備えている。
しかし、この巨額な貸し付けは、先に記したように手続は『市長決裁』のみで、支出の決定も、支出がなされた事実も、返済がなされているのかも、市民も議会も全く知ることができない。
一方、民間企業の会計基準では、破綻懸念が存在する時は必ず財務諸表に注記しなければならず(継続企業の前提に関する開示)、ステークホルダー(財務諸表利用者や利害関係者) にそのことを伝える義務がある。
市民病院の財政規模(平成27年度決算では事業収益と資本的収入の合計は13億6,689万円)で毎年8億5,000万円~12億円もの巨額な『金銭消費貸借契約』が成されているという会計上の金額的重要性をはじめ、この貸付金がなければ市民病院では資金ショートが毎年起こっているという実態は、市民も議会も絶対に知っていなければならない懸念事項だと私は考える。
【質問】
ア.予算及び決算は全ての取引の実態を適切に反映すべきだが、現在のままでは病院事業会計及び市民病院の経営実態を正確に知ることはできない。法令の定めで作成する予算書及び決算書への記載義務が無くとも、市民と議会に対して実質的な会計情報を提供する必要がある。
したがって、来年度も貸し付けを行なうのであれば、本市が独自に作成している予算説明資料にはその事実と金額と貸付条件等を、決算説明資料には同様に貸付実績と返済実績等を新たに記述するなど、何らかの形で必ず市民と議会に知らせるべきではないか。
【質問】
イ.他の会計においても病院事業会計と同じ仕組みを用いて、議会の審査や議決を必要とせずに決裁のみで指定管理者や外郭団体等に貸し付けを行なっているのであれば、その会計においても当初予算時及び決算時には説明資料等に新たに記述を加えることで、市民と議会に実質的な会計情報を提供すべきではないか。
(3) 実質的には6年にわたる「長期貸付金」であったにもかかわらず、単年度で貸し付けと返済を繰り返して財務諸表に計上してこなかった件について会計の基本ルールでは、1年以内に返済が終わる貸し付けの費目は『短期貸付金』であり、1年を超える貸し付けは『長期貸付金』である。
いずれの場合も計上されれば、貸借対照表を初めとする財務諸表に影響を与える。
また、実質的には『長期貸付金』であるにもかかわらず、単年度に貸し付けと返済を繰り返して財務諸表への計上を免れる会計操作を『単コロ』と呼び、全国の地方自治体で負債隠しの慣行として行われてきた。
本市による市民病院への貸し付けも、同一年度内で貸し付けと返済を繰り返してきた。
例えば平成27年度の場合、平成27年4月14日に貸し付けを行い、平成28年3月17日に全額返済された。しかし、翌4月には再び貸し付けを行なった。この取引は外形上『短期貸付』だが、実質的には6年にわたる『長期貸付』であると言わざるをえない。
さらに、同一年度内に貸し付けと返済を行うことで、本市病院事業会計及び市民病院の貸借対照表と損益計算書に、この貸し付けは『短期貸付金』としても計上されることはない。
9月23日の予算決算常任委員会全体会において、この貸し付けの実態は『長期貸付』であり市民病院の経営状態を実態よりも良く見せる為の会計操作と受け止められても仕方がないのではないかと私は指摘した。
代表監査委員は『単コロ』に触れ、現行法令では違法ではないが実質的には私の指摘のとおり、『長期貸付金』のような形になると答弁した。
【質問】
ア.直営時代の市民病院の経営状況からすれば、指定管理者制度を導入しても長期間にわたって運転資金がショートすることは明らかであり、そのことは議会も十分に理解していた。また、地域医療振興協会が市民病院の指定管理者を引き受ける上で、本市が貸し付けを行うことが絶対条件だった、とのことだ。こうした客観的状況を考えれば、『単コロ』と受け止められる貸付方法を取る必要は無かった。『長期貸付金』として予算計上し議会の議決を受け、決算時には実質的な市民病院の財務状態を明らかにしてくればよかっただけである。
それにもかかわらず、何故あえて単年度で貸し借りを繰り返す『単コロ』と批判される方法を今まで取ってきたのか。
【質問】
イ 実質的には『長期貸付』金であるにもかかわらず単年度での貸し付けと返済を今後も続ける限り、市民病院の経営状態を対外的に良好に見せる為の意図的な会計上の操作だとの指摘は免れないと私は考える。したがって、今後も貸し付けを続けるならば、その方法も会計上の扱いも根本的に見直すべきではないか。
【質問】
ウ.他の全ての会計も確認したい。年度内に貸し付けと返済を繰り返す貸し付けを行なっている事例は存在しているのか。
(4) 12億円もの貸し付けを貸し倒れのリスクを考えずに無担保で行なっていることは明らかに本市側の『任務懈怠』であり、「基本協定書」第20条を廃止して貸し付けをやめるか、今後も貸し付けを継続するならば何らかの担保を取るべき件について地域医療振興協会は全国で約70の診療所や病院等を幅広く運営している以上、何らかの経営リスクが生じて本市の貸し付けに返済ができなくなる可能性(貸し倒れ)を想定して対応することが、市長には当然求められる。
しかし、これまで本市は12億円もの巨額の貸し付けを無担保で行なってきた。
将来、地域医療振興協会に何らかの経営危機が起こった場合、地域医療振興協会が全国で持っている債務の中で、本市の無担保の貸し付けへの対応の優先順位は極めて低くなる。
つまり本市に大きな損失が起こるリスクがあるのに 現在は備えを怠っており、明らかに市長の『任務懈怠』であり、即刻改善すべきだ。
【質問】
ア.『基本協定書』第20条を廃止して貸し付けをやめるか、今後も貸し付けを継続するならば早急に何らかの担保を取るべきだ。いつまでにどのような改善策を取るのか、市長の考えを伺う。
文字ばかりで分かりづらいとは思います。けれども大切な内容です。市民のみなさまからお預かりしている税金が12億円も損失するリスクがある大問題です。
明日、ひとつでも改善に向けて成果をもぎとってきます。
議会がチェックできない方法で6年間も市民病院に8.5〜12億円も貸付!短期貸付に見せかけた「単コロ」か?決算も不正確ではないか?/予算決算常任委員会・全体会(2016年9月議会)
予算決算常任委員会全体会でフジノは代表監査委員に質疑を行ないました
本会議が終わった後、続けて『予算決算常任委員会・全体会』が開かれました。
決算審査のスタートです。
まず会計管理者からの説明が行なわれて、続いて代表監査委員から『決算審査意見書』等について説明がありました。
フジノはここで『横須賀市による市民病院(指定管理者=地域医療振興協会)に対する貸付』に関して、問題提起を行ないました。
なんと議会のチェックが全くできない方法で、現在まで7年にわたって(決算は前年度のものなので6年間と表現します)『無担保』で8.5億円〜12億円も貸付を行なってきたのです。
議会はノーチェック(チェックしようがない)、市民のみなさまの税金が損なわれかねないハイリスクな状態です。
この横須賀市の手法は極めて問題で、絶対に改善が必要です。
以下に、代表監査委員に行なったフジノの質問です。
予算決算常任委員会・全体会での質疑
フジノの質問
病院事業会計について数点伺います。よろしくお願い致します。
『病院事業決算書』の26ページをお願い致します。26ページは、バランスシートの『注記』にあたります。
『注記』5番の『その他の注記』において、『病院間資金融通の処理方法』について記載がなされています。
市民病院およびうわまち病院間の資金融通は病院事業会計内での融通である為、病院間融通消去として資産・負債から相殺・消去されています。
この病院間資金融通が消去されていると、本来の単一の病院の経営状況が見えないのでは無いか、というふうに受け止めました。
監査にあたっては、元データもチェックすることはできたのでしょうか。
代表監査委員の答弁
『資金融通』につきましては、原局の方から説明を受けておりますし、『例月出納検査』の方でもそのような説明を受けておりますので、内容としては把握しておりましたが、記載としてはこのような形で、従来からやっておりましたものですからこ、のような形を踏襲させていただいておるということでございます。
フジノの質問
実際には両病院間でどの程度の規模の資金融通がなされていたか、教えて頂けたらと思います。
代表監査委員の答弁
2億5000万円と承知しております。
フジノの質問
ありがとうございます。
続いて、『横須賀市地方公営企業決算審査意見書』の105ページをお願い致します。
同じく『病院事業会計』について、特に市民病院について伺います。
具体的な記述としては、市民病院に対して、本市が短期資金の貸付を12億円行なっている。この点について伺います。
所管の常任委員会に所属をしておりまして毎年予算書・決算書を観てきたのですが、お恥ずかしながら短期貸付12億もしていることに今回初めて審査意見で気付きました。
この『短期貸付』については、監査委員のみなさんも問題視をされていて『審査意見』にも記載をされています。
まず質問としては、年度内に返還をしてしまっているのでバランスシート上には一切表れてこない。
ただ、実質的には年度内に返還をしておいて、また翌年度に貸付をしている。これは『短期貸付』に見せかけた『長期貸付』、つまり『固定負債』なんではないか、というふうに受け止めるんですが。
2016年8月22日朝日新聞記事の図にフジノが横須賀市と市民病院の現状を書き入れたもの
あるいは『運営交付金』を市は出してないようにみせかけて実際には12億円も出している。つまり虚偽ではないかというふうに受け止めるんですが、監査委員はどのようにお考えでしょうか。
代表監査委員の答弁
この12億円につきましてですね、『運営交付金』として出しているというふうには理解はしておりません。
『運営交付金』は『運営交付金』の協定によって計算して交付したりしなかったりしているでしょうけれども、
確かについ先程、新聞で『短コロ』であるとかそういう表現でもって、言ってみれば『長期貸付金』が『短期貸付金』の形を取っている、とそういう記事がございました。
そういう意味では確かに年度内で貸して年度内で返してもらうという意味で、表面には出てこないけれど毎年、長い期間を見ればずっと12億円貸しているではないか、実質的な意味ではおっしゃるとおりでございますが、
これも地方公共団体の従来からの慣行としてずっと行なわれてきていると。
それについて特段、違法ということにはなっておりませんので、実質面から観るとおっしゃるとおり『長期貸付金』のような形になりますけれども、これをどうするのか、国・県・市町村の関係者が協議して、これからどういう処理が良いのかということが検討されるものだと思っております。
フジノの質問
率直なご意見をありがとうございます。
もし分かれば教えて頂きたいのですが、これは年度内に返還がなされているということなんですけれども、3月末日の1日前とかに返還をされて、BS(貸借対照表)に載らないようにしているのでしょうか。
代表監査委員の答弁
詳しい日時は私も承知しておりませんけれども、年度末ということでだいたい3月31日よりも前、1週間程度位ではないかと思っております。
フジノの質問
今のお答えを伺い、先程のご答弁を伺うと、昨今問題になっている実際のところは『固定負債』である『長期貸付』であるものを短期で借りていると見せかけて年度末近くに返済をしてまた年度当初に借り入れる。
実際には『運営交付金』が出ているのと変わりないんではないかというふうに感じられました。
「これはあってはならない」と部局に今後の審査では聴いていこうと思います。
代表監査委員にもう1点伺います。
『審査意見』において、このことの危険性について触れられていただいており、「安全性の確保について定めが無い」と。「協会との指定管理に係る協定に何らかの規定を付すべきではないか」というふうにおっしゃっていただいております。
これは、本市にとって安全性を確保する為にどのような規定が、例えば不動産や何らかの担保をつけよというような文言が望ましいのか。どのような協定に文言を付すべきというふうにお考えでしょうか。
この点を伺って質問を終わります。
代表監査委員の答弁
12億円という多額の金額でありますからその担保を求めたいという気持ちがありましてですね、このような表現をさせていただきました。
それは建物であるとか土地であるとかそういう物の担保を求めるのか、それとも預金に質権を設定するのかいろいろ方法はあると思いますが、私どもの方からこういう方法でと具体的に申し上げませんけれども、何らかの担保を取るべきだろうとこういう趣旨で表現をさせていただいたところであります。
フジノの質問
ありがとうございました。
質疑応答は以上です。
本当に残念なことなのですが、この問題は会計の知識が無いとなかなか分かりづらいのです。
もしかしたら市民のみなさまにとって、この問題の重要性が伝わらないかもしれません。
けれども、市民のみなさまからお預かりしている大切な税金が、12億円も失われる可能性がある重大な問題なのです。
横須賀市が取っている方法は「単コロ」による「赤字隠し」の可能性があります
フジノは会社員時代に財務部にいました。
決算書も作ってきましたし、監査法人による監査にも立ち会ってきました。
さらに、今回の質問にあたって、複数の公認会計士の方々(ひとりは企業の監査に精通している方、もうひとりは地方公営企業法の監査に精通している方)にアドバイスを求めましたが、やはり「不自然だと言わざるをえない」とのことでした。
フジノは、横須賀市によるこの会計処理は絶対にあってはならない、と考えています。
全国で「単コロ」は問題になっています
代表監査委員が答弁で教えてくれたように、ここ最近の新聞で大きく『単コロ』が問題として報じられていたようです。
さっそく帰って調べてみると、朝日新聞の調査記事が掲載されていました。
一夜貸し・単コロ…85自治体、会計操作2336億円
全国各地の自治体で、経営難に陥った出資法人などへの貸付金が回収できていないのに、翌年度の予算で穴埋めして返済されているように見せる会計操作が横行している。
朝日新聞が今年度予算を調べ、85自治体で総額約2336億円の処理が判明した。
操作を繰り返すことで貸付金を回収できないことによる財源不足が隠され、「つけ」が将来に回される形となる。
総務省は解消を求めている。
会計操作は「オーバーナイト」(一夜貸し)と「単コロ」(単年度転がし)と呼ばれる2通り。
総務省の調査に実施していると答えた自治体を朝日新聞が情報公開請求や取材で調べ、個別に額や事情を精査した。
出資法人は自治体が資金を出して運営されている地方公社や第三セクターで、公有地の取得やレジャー開発、中小企業への制度融資などを行っている。
オーバーナイトは出資法人などが金融機関から年度末に資金を借り、全額を自治体にいったん返済。翌年度に自治体が再び法人に資金を貸し、それをもとに銀行に返済する。3月31日から4月1日につなぎ資金として借りることが多く、利子もかかる。
北海道や神戸市など84自治体が計約1646億円を実施していた。
単コロは決算作業のために年度をまたいで資金の調整ができる「出納整理期間」(4〜5月)を利用。翌年度の財源を充てて、年度末に返済があったように処理する。岡山県が約411億円、北海道は約279億円を行っていた。
@niftyニュース(元記事は東洋経済オンライン)より
岡山県ではすでに2015年に取りやめています。
2015年12月16日・山陽新聞より
こうした不正会計捜査が全国で行なわれていることも許されません。フジノとしてはまずこれからスタートする部局別審査で厳しく追及していきます。
ウインドサーフィンW杯の24年ぶり国内開催を津久井浜で行なう費用等を含む「補正予算」の審議が終わりました/予算決算常任委員会・全体会(2016年9月議会)
9月議会での「補正予算案」審議が終わりました
今日は『予算決算常任委員会・全体会』が開かれました。
市議会の会議案内の前にて
1ヶ月間の会期である9月議会ですが、まず前半戦は補正予算案の審査、ついで後半戦は決算議案の審査です。今日は『前半戦の実質的な最終日』にあたります。
いつもご説明していることなのですが、横須賀市議会では『本会議』での採決の前に、まずこの予算決算常任委員会を行なうことにしています。
予算決算常任委員会を行なうのも本会議場です
まず、4つの分科会(=4つの常任委員会に対応しています)で審議された結果を、分科会長(=委員長)が報告をします。予算決算常任委員会は、分科会と全体会に分かれています
続いて、その報告に対する『質疑』、全ての分科会にまたがる内容についての『質疑(総括質疑)』、『討論』、そして『採決』という流れです。
全ての議案が可決されました
2014年度補正予算案に対する各議員の賛否は下の通りでした。
2016年9月15日・予算決算常任委員会での賛否一覧
フジノも全ての議案に賛成しました。今回の補正予算案には、ウインドサーフィンのW杯を24年ぶりに国内で開催、しかも津久井浜での開催をする為の費用などが含まれています。
政策推進部・議案説明資料より
予算決算常任委員会全体としても全ての議案が可決されました。
来週からは決算議案を審査します
来週からは、『2015年度決算』議案を審査していきます。
決算説明資料が届きました。分厚いです
まずは21日・23日に本会議が開かれて、市長への一般質問(後半)が行われます。フジノもこの2日のどちらかで一般質問を行ないます。後半戦もしっかりと議論を尽くしていきます。
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